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【図解付き】治具の3つメリットと7つの種類を身近にあるもので解説

治具は主に部品や製品の加工・組立をサポートする器具のことをいいます。
今では治具の定義もかなり拡大しており、日常で身近な物からかなり専門性の高い物まで治具と呼ばれるようになりました。
ここではそんな治具について、簡単な例を挙げながら役割やメリット、種類について図解でご紹介いたします。

治具が果たす役割とは?

製造業におけるものづくりは、何の準備もしないで「いきなり材料を切断してくっ付けて終わり」ということはありません。

たとえば、趣味でプラモデルを製作するにしても、まずは説明書を読み、その流れに沿って製作しますよね。製造業でもそうした作業の流れ、つまり「工程」があります。

【製品製造の流れ】

治具はそんな工程の中で作業をサポートする役割を担っています。
始まりは加工の補助具でしたが、技術の進歩とともに様々な器具が開発されたことで工作機械や試験器具と呼べるレベルにまで至り、現在ではものづくりの必須アイテムとなっています。

治具を使う3つのメリットとは?

治具が進化を遂げ、ものづくりの必須アイテムとしての立場を確立できたのは、使用することで多大な恩恵を受けられるからに他なりません。主なメリットとしては以下が挙げられます。

①作業の手間を削減

たとえば、紙をある大きさに切断しようと思った際、皆さんはどのような手順で行うでしょうか。大抵は切断位置に線を引くなど何か目印をつけるかと思います。しかし、数枚ならともかく何百枚もあった場合はどうでしょう。印付けだけで気が遠くなりそうです。

そんなときに「紙をここに合わせれば正確に○○cmで切断できます」と位置を指示してくれるアイテムがあれば、印付けの工程を省略できてとても便利ですよね。
治具を使用することで、手で線を入れる手間を省き、効率良く作業を開始することができます。

②品質の統一

再び紙の切断を想定してみます。作業自体は単純ですが、何十枚と続けているとどうなるでしょうか。
人間は当然疲れてきますし集中力も低下していきます。そうなると時には手元が狂い、失敗することがあるかもしれません。つまり品質にバラつきが出るようになります。

そんなとき、正確に切断できるよう導いてくれる道具が治具です。
それによって、品質のバラつきを防ぎ、失敗による材料のロスも削減することができます。
機械による自動化と組み合わせれば、何千何万という単位で正確に量産が可能になるのです。

③作業難易度の軽減

今度は円形に切断することを想定してみます。
これも単純作業に思えますが、手慣れている場合は一発で上手くできても不慣れな場合は失敗することも多いでしょう。失敗は材料のロスにつながりますし、熟練者が病欠などで不在となると作業に多大な支障をきたします。

ここでも正確に位置を指示してくれる治具があれば、誰が作業しても同じ加工を行うことが可能となり、材料のロスを軽減し、作業効率が上がります。
治具を正しく用いることでこうした多くのメリットを得られ、生産性を大きく向上させることができます。

用途別で見る7つの治具の種類

ここでは治具を用途に応じて大まかに分類し、簡単な例とその特徴を紹介します。

●主な治具の種類一覧

種類 用途
固定治具 部品・製品の固定
切断治具 部品・材料の切断
挿入・引抜き治具 部品を所定の場所に挿入
あるいは所定の場所から引き抜き
溶着治具 部品同士の接着
塗装治具 部品・製品の塗装補助
カシメ治具 部品・材料をかしめて接合
検査治具 部品・製品の検査

1.固定治具

部品・材料を固定することで加工を補助する治具です。バイスやクランプといった、いわゆる「万力」が該当します。学校の工作室などで目にした方も多いのではないでしょうか。
一般的にもっともわかりやすい治具といえます。

2.切断治具

ワーク(加工対象)を手間なく所定のサイズに切断する治具です。製造の現場では鉄板やパイプなどを切断するのに使用します。日常生活でもっとも目にするのは紙を切断する裁断機でしょう。目盛や押さえにワークを合わせれば、誰でも簡単に希望のサイズで切断できます。

3.挿入・引抜き治具

ワークを所定の位置に挿入、あるいは引き抜くために使用する治具です。
プーラー(下記の図で解説)やIC引き抜き機といったものが該当します。日常生活ではあまり見掛けないかもしれません。
たとえば、モーターなどの回転物にはベアリングが入っていますが、引き抜こうと思っても数ミクロン(0.001mmほど)の隙間しかありません。素手で引き抜くのは大変ですよね。
プーラーはベアリング中央に軸を挿入することで、簡単かつ安全にベアリングを引抜くことができます。

4.溶着治具

ワークどうしを簡単に接着するために使用する治具です。振動・超音波など色々やり方はありますが、溶着の文字通り熱でワークを溶かして接着します。
たとえば、ポリエチレン製の袋を密封できるシーラー(下記図で解説)が機能的には理解しやすいでしょう。食品の袋とじのようなイメージですね。
製造の現場では真空パックなども可能な、より高価で高性能な機械が該当します。

5.塗装治具

ワークの塗装を補助する治具です。塗装しやすくする以外に、塗装したくない部分を保護する目的でも使用されます。
一般的なのは、着色したい物の上に被せるテンプレート(別名:ステンシル)でしょう。文字が刻まれたテンプレートの上からスプレーを吹き掛ければ、誰でも何度でも同じデザインをプリントすることができます。

6.カシメ治具

ワークとワークの接合部分を締めたり潰したりして硬く固定することを「かしめる」と言い、カシメ治具はそうした作業を簡単に行うことができます。
身近なものでいうと、自転車のチェーンが一番見やすいかと思います。
本来、チェーンは一本の鎖ですが、接合部分にリベット(金属の粒:下記図で説明)を挿入し、これを潰して輪っかにしています。治具としては専門的な機械が該当するため、見掛ける機会は少ないかもしれません。

7.検査治具

でき上がった部品・製品は不備がないか検査する必要があります。寸法や外観、耐久性などをチェックしますが、例えばスマートフォンの部品のように形状が複雑で小さな物をノギスやスケールで測定するのは難しく、耐久性確認のためとはいえハンマーで叩くわけにもいきません。
こうした、人の手では不可能な作業を代替する目的でも治具は使用されています。

まとめ

治具の用途とメリットを実例を交えて紹介してきました。治具は多くの恩恵をもたらしますが、導入の際はきちんとした計画立てが重要であることに注意しましょう。特に検査治具などは高価な物が多いため、無計画に導入して結局は使わなくなった、となればコストだけが重くのしかかってしまいます。
検討の際はメーカーの営業担当者や技術サポートとしっかり会話し、目的や予算などを明確にした上で導入しましょう。そうすればきっと治具は大きな助けになってくれます。

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