リークテストに必要な治具とは?メーカー解説と工場5選
目次
1.はじめに
工業製品や部品で密閉されたものは数多くあります。密閉がきちんとなっているかどうかを調べる検査が、リークテストです。
自転車のパンクを調べるとき、タイヤチューブを水の中に入れて、泡が出るか、どこから出るかを調べて、タイヤの修理をします。これが、自転車タイヤチューブのリークテストです。
では、実際に工業製品に対し、リークテストがどのように行われていて、治具がどのように活用されているかを見てみましょう。
また、最適な治具を導入して、
・省力化してコストダウンしたい
・生産性アップして売上を上げたい
・人的ミスを減らして品質価値を高めたい
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2.リークテストを必要とするものとは
リークテストを必要とする工業製品を表1に示します。
表1 工業製品のリークテスト部品
産業分野 | リークテストを行う製造品 |
電気・電子産業 | 電子デバイス、ケーブルアッセンブリ、コンデンサー、他 |
医療・薬品産業 | ゴム手袋、輸血パック、PTP包装、他 |
自動車産業 | インバータ、エンジンアセンブリー、燃料タンク、他 |
住宅産業 | ユニットバス、水道メータ、給湯配管、他 |
食品産業 | 容器、ビールサーバー、他 |
機械産業 | 空気圧縮機、オイルポンプ、電磁弁、他 |
3.リークテストの方法とは
リークテストの方法については、JISに示されています。それを表したものが、表2です。
なお、表では、加工物、部品などの検査対象をワークと表現しています。
表2 リークテストの方法抜粋(JISZ2330参照)
試験方法 | 使用流体 | 試験装置 | 検出リーク量 | 特徴 |
液没法 | 空気 | 加圧装置、浴槽 | 10-2 ml/s | ワーク内部を空気で加圧し、浴槽に沈め、漏れ出る泡を目視観察します。 |
圧力変化法 | 空気 | 圧力計、加圧装置 | 10-4 ml/s | ワーク内部を加圧し、一定時間経過後に、圧力変化を測定します。圧力変化がなければ漏れはありません。 |
差圧変化法 | 空気 | 差圧計、加圧装置、基準容器 | 10-5 Pa・m3/s | 基準容器とワークとの圧力差を差圧計で測定し、漏れを検出します。 |
流量測定法 | 空気 | 流量計、加圧装置 | 10-3 Pa・m3/s | 流量計によって漏れを測定します。微小な漏れの検出はできません。 |
吸込み法(スニッファ法) | He(ヘリウム) | サーチガス、スニッファプローブ、リークディテクタ | 10-5 Pa・m3/s | ワーク内に加圧したHeを入れ、漏れてくるHeをスニッファプローブで吸入し、リークディテクタでその量を測定します。
漏れ箇所の特定ができます。 |
真空吹付法 | He | スプレーガン、リークディテクタ、排気装置 | 10-9 Pa・m3/s | 減圧としたワーク表面にHeガスを吹き付け、ワークに流入するHeをリークディテクタで測定します。 |
真空容器法(チャンバ法、ベルージャ法) | He | サーチガス、リークディテクタ | 10-9 Pa・m3/s | 加圧Heが入っているワークをチャンバ内に入れてから、チャンバ内を排気します。その後、漏れ出るHeをリークディテクタで測定します。 |
表2で表したリークテストのうち、液没法、圧力変化法、差圧変化法、流量測定法について、概念を次の図でご説明します。
検査を行うために検査装置やボンベなどを配置・接続し、検査しやすいようにワークを配置するために、リークテスト用治具が使用されます。
これまでリークテストを必要とする部品と、検査の方法を見てきましたが、その種類は大型のものから小型のものまで、幅広くあります。ということは、その数だけリークテスト治具が必要とされることです。
4.微細なリークも見逃さないヘリウムを使ったリークテスト
リークテストでは、電子部品のように微細な漏れ量を検出する必要があります。そのために使われるヘリウムにリークテスト方法、吸込み法(スニッファ法)と真空吹付法の概念を次の図でご説明します。
ヘリウムによるリークテストの真空容器法(チャンバ法、ベルージャ法)を表した図が、次の図です。
真空容器法で、ワークのリークテストを行う手順の概略を、図4に示します。
リークテスト行うためには、検出するディテクターやゲージなどの測定器、ヘリウムや空気を出すボンベが必要です。しかし、この2つだけではワークのリークテストは行うことができません。
検出装置、気体ボンベとワークを接続し、リークテストの検出結果を表示、計算、判定をする仲立ちが、リークテスト治具です。
微小な漏れの検出に影響しないように、リークテスト治具に対して注意することは、次のようなことです。
- ワークやチャンバなどと接続する接手類は、漏れがないこと。
- 接続する配管は、周囲の環境によって変形、容積が変化しないこと。
- ワークを治具に乗せてクランプするとき、確実な固定を行うこと。
ワークをHeで加圧したとき生じる反力で、クランプが不安定となるためです。
- 治具ベースにワークを固定してシールするとき、時間的変形に地位すること。
- 治具やワークは洗浄してからリークテストを行い、油分などが残らない状態とすること。
5.リークテスト治具メーカー5選
① 株式会社FAプロダクツ
【特徴】
FAプロダクツは年間200台の実績を持つ関東最大級のロボットシステムインテグレーターです。一貫生産体制をとっており、設計から製造までをワンストップで対応。費用・時間にムダなく最適化を行うことができます。
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【ポンチ絵とお見積りのサンプル】
テキストやお電話だけでは伝わりづらいゴールイメージを共有し、スピード感を持った対応を心がけています。
【所在地】
茨城県土浦市卸町2丁目13-3
TEL.050-1743-0310(代表)
FAX.050-3156-2692(代表)
https://jss1.jp/
【営業品目】
- 産業用ロボット
- 生産設備合理化・省力化の設計及び製作
- 基板電気チェッカーや貼合・折曲など
- 治具の設計・製作
【実績】
NM社(電子部品の製造販売)、HS製作所(情報通信・社会産業・電子装置・建設機械・高機能材料・生活の各システム製造販売)、TT社(ショッピングセンターなどリテール事業)、SM社(自動制御機器の製造・販売)、OR社(自動車安全システムの製造販売)
② 株式会社ナック
https://www.leaktester.co.jp/company/
写真は、ナック社製 スマートフォン用リークテスター
【所在地】
東京都八王子市川町838-3
【営業品目】
エアーリークテスター(気密検査機)設計・製作・販売
リークテスト用検査装置、圧力、流量計測機器 設計、製作、販売
デジタル圧力計、各種テストスタンド、空・油圧シリンダー及び油圧ユニット等、各種省力化装置設計・製作・販売
【特徴】
ナック社の5つの強みを紹介します。
- 誰でも簡単に、短時間で高精度の測定ができる、高品質のリークテスターを提供できます。
- リークテスターと装置を一体に、生産からメンテナンスまで自社対応ができています。
- 導入前のデモ計測によって、製品精度の確認が可能です。
- リークテスト・ラボを開設し、客先のニーズに合ったテストラインへの導入が可能です。
- 客先への安心と信頼は、実績が示しています。
【実績】
・自動車業界:50社以上
スリープ、スプールのクリアランス測定、欠品検査など
・水道・ガス配管継ぎ手業界:10社以上
各種パルプ、水洗金具、シャワー金具、各種ガス用継手など
・電気・電子部品業界:30社以上
携帯電・スマホ・タブレット、レジャー用トランシーバー、水中ポンプ、水道メータなど
③ 株式会社エイシン技研
http://www.eishin-tec-co.jp/pg198550.html
写真は、エイシン技研社製パレット式治具です
【所在地】
神奈川県綾瀬市深谷中八丁目9-16
【営業品目】
宝飾品製造関連装置(デジタルオートクランプ、回転電気炉、真空吸引加圧鋳造機など)
家電リサイクル装置(シェルカッター、銅線カッター、ブラケット・パイプ除去装置など)
オイル定量装置(オイルチャージ機、自動定量機、不凍液定量給水装置など)
エアーリークテスター(マスターチャンバー、リークテスター、パレット式測定治具、エアリークテスト装置など)
人型ロボット開発
【特徴】
会社創立以来、機械と電子を常に両輪として技術開発を進めてきた結果、今日の製品を世に出すことができています。特に、リークテスター事業では、リークテスター本体だけでなく、ワークをシールする治具の設計・製造・販売しています。
さらに、エイシン技研社は、安全を考慮したリークテスト装置の設計・製作を提供できるまでに、技術向上が図れている企業です。
【実績】
ND社(ネットワークサービス、システムプラットフォーム事業など)、BR社(タイヤ・自動車関連部品製造、スポーツ用品製造など)、MJ社(エネルギー、船舶など)、YR社(IT機器・計測器のレンタル、IT機器販売・システム基盤設計など)、NK社(使用済み家電製品の商品化事業など)、他多数
④ 株式会社コスモ計器
https://www.cosmo-k.co.jp/company/
写真は、コスモ計器製シリンダーヘッド全自動リークテスト装置です。
【所在地】
東京都八王子市石川町2974-23
【営業品目】
工業用計測機器製造販売、工業用プラスチック製品製造販売、計測器の校正業務などの事業展開を行い、次の営業品目の製造・販売を行っています。
エアーリークテスター、圧力計、気体流量計、圧力・流量制御機器、異音検査システム(ムーブレット)、各種計測装置・システム、工業用プラスチック製品(コスモスーパーゲル、他)
【特徴】
日本の自動車産業とともに発展し、リークテスト技術では、世界をリードする存在で、日本・世界のトップシェアを誇ります。市場は電子・医療・住宅などの分野に広がり、数ミリのワークから数リットルの容器までの仕様に対応できています。
コスモ計器のリークテスター事業を発展させてきたものは、多くの課題を解決してきた実績です。温度影響の克服・変形影響の克服・シール技術など、まだまだ解決できていない多くの課題は、コスモ計器をさらに発展させていくでしょう。
【実績】
自動車関連産業:20社以上
ガス関連産業:10社以上
電気・電子産業:15社以上
化学・薬品・食品・住宅など多数の産業分野
⑤ 株式会社フクダ
http://www.fukuda-jp.com/corporate/
写真は、フクダ社製のハーネス用リークテスト装置です。
【所在地】
東京都練馬区貫井3丁目16番5号
東北工場:宮城県白石市大平森合字清水田39-
静岡工場:静岡県牧之原市静谷2543-1
【営業品目】
工業用計測器の製造販売
リークテスター(エアーリークテスター、ヘリウムリークテストシステムなど)
検査対象別リークテスト装置(小型電子部品専用気密検査装置、密封品 リークテスト装置、自動車部品用 エアリークテスト装置など)
標準リーク・校正器・較正器・周辺機器
制御機器・圧力計(レギュレータ、デジタル圧力計など)
【特徴】
株式会社フクダは、非破壊試験資格認証制度の委員会への認証作業に関わり、漏れ試験技術者の養成に取り組むとともに、漏れ試験の啓蒙を行っています。また、国の研究所・関連機関の漏れ規格の活動に協力し、国家標準定容流量計や標準リークの開発を行っています。
こうした技術的背景のもとで、取り組んでいることが、社会のニーズに対応する計測システムの開発と、測定環境要因に惑わされない計測技術の確立です。
【実績】
自動車産業(エンジン・ミッション気密確認、燃料系部品の燃料漏れ予防確認など)
医療・健康産業(内視鏡アッセンブリーの気密確認、輸血バッグ溶接部漏れ予防など)
事務機・精密機械産業(トナー容器・インクジェット容器の漏れ予防など)
住宅設備(浴槽排水溝・ガス給湯器の水漏れとガス漏れ防止、灯油ストーブ燃料タンク液漏れ防止など)
食品(ペットボトル液体漏れ予防、プリン容器・調味料チューブの雑菌・腐食予防など)
電気・電子部品(水晶発振素子の気密確認、カメラ・携帯電話の防水確認、LEDの気密確認、MEMS微小電子部品封止確認など)
6.治具に関するご相談はFAプロダクツへ
ワークとの接続器用の治具、検査装置にワークを取付ける治具、リークテストを自動で進めるための治具など、リークテスト用治具を製作するメーカーは数多くあります。
さらに、リークテストに特化した、リークテスター、検査装置、校正器具などを設計・製造・販売している工場もあります。
はじめに触れたように、リークテストを必要とする業種・品種は非常に多く、それらのリークテストを行う工場も、広い範囲に存在しています。こうした工場のいくつかは、治具を製作していなくても、依頼されればリークテスト用治具の相談や製作が可能です。
リークテスト用治具で解決したい課題があれば、気軽に問い合わせてみたらいかがでしょうか。きっと良い結果が得られます。
治具の設計・導入をお考えの際は、お気軽にFAプロダクツまでご相談ください。
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