スカラロボットを4大用途別に紹介!事例で見る導入メリット
近年、モノづくりの現場では少子化や従業員の高齢化による人手不足が深刻化しています。
そのような問題を解決するために、モノづくりの現場ではいま、産業用ロボットの導入が進んでいます。
産業用ロボットは省人化だけでなく、生産性の向上、品質向上、複数の製品への対応など、様々なメリットがあります。
今回は、産業用ロボットの中でも、低コストで導入がしやすく、操作も比較的簡単で様々な用途に応用できるスカラロボットについて、その用途と具体的な導入事例4つをご紹介します。
「実際にどのように使用されているのか?」を知りたい方はぜひご参考ください。
もし、スカラロボットの導入によって
- 省力化、省人化してコストダウンしたい
- 生産性アップして売上を上げたい
- 人的ミスを減らして品質価値を高めたい
- どのメーカーのロボットを使えば効率的かわからない
という場合は、お気軽にFAプロダクツまでお問い合わせください。
関東最大級のロボットSIerとして、最適化のご提案をさせていただきます。
目次
1.スカラロボット(水平多関節ロボット)の基礎知識
スカラロボットとは、水平方向にアームが動作するロボットです。
名前の通り、水平方向の動きに特化したロボットとなっていますが、先端にはZ軸を持っており、上下への押し込みなどの動きが可能です。
水平方向に高速で移動して、先端のZ軸を用いてワークに対して作業を行うことと得意としたロボットで、半導体ウエハの搬送や、基盤の組立などに幅広く使用されています。
⇒スカラロボットとは?仕組みや用途、おすすめスカラロボットメーカー5選
(1)スカラロボットのメリット
スカラロボットには次のようなメリットがあります。
①省スペースで稼働できる
スカラロボットは垂直多関節ロボットなどの他の産業用ロボットと比べると小型なため、省スペースで稼働することができます。広いスペースを確保しなくても導入できるため、製造現場の限られたスペースを有効に活用しつつ生産性を高めることが可能です。
②管理や制御がしやすい
スカラロボットは他の産業用ロボットに比べて構造が単純なため、制御がしやすくなっています。
そのため、複数の製品に柔軟に対応する必要がある少量多品種の製造現場でも使用しやすいロボットと言えます。
③他の産業ロボットに比べて低コストで導入できる
スカラロボットは構造が簡単なため、他の種類の産業用ロボットよりも安価に導入できます。
導入コストを少しでも抑えてロボットを使用したいと考えている企業には大きなメリットになります。
(2)スカラロボットのデメリット
スカラロボットも万能ではなく、以下のようなデメリットもあります。
①高精度かつ高速な動作が求められる作業は不向き
構造が簡単であるため、パラレルリンクロボットなどの高精度かつ高速な動作ができるロボットと比較すると動作の精度が劣ります。
②使用用途の自由度が低い
スカラロボットで垂直方向の動きができるのは先端部分のみとなるため、垂直方向の動きも得意とする垂直多関節ロボットに比べると使用用途が限られてしまいます。
このようなデメリットもあるスカラロボットですが、適した用途で活用すればデメリットは問題になりません。
では、スカラロボットのメリットを最大限に活かすことができる使用用途は、どのようなものでしょうか。
次の章で解説していきます。
2.用途別:スカラロボット導入事例4選
ここでは、スカラロボットの使用用途と活用事例をご紹介します。
では、スカラロボットのメリットを最大限に活かすことができる使用用途は、どのようなものでしょうか。ここからは、スカラロボットの使用用途と活用事例をご紹介します。
(1)組み立て
①スカラロボットでの組み立て作業
実は、元々スカラロボットは組み立て作業の自動化を行うことを目的で開発されたロボットです。
そのため、組み立て作業で多く活用されています。
(シナジーシステム株式会社様よりご出典)
ロボットアームで部品をピッキングし、部品の位置ずれを補正しながら指定の場所へ挿入するという流れを高速で繰り返すことで、人が実施するよりも正確かつ効率的に組み立て作業を行うことができます。
②組み立て工程への導入事例
ある産業機器工場では、複数部品を組み立て工程を作業者の手で行っていました。構成部品数が多いため、熟練の技術者でないと作業ができず、生産量も増やせないため困っていました。
そこで、スカラロボットに複数部品を一度にピッキングできるロボットハンドを付けてラインを構築しました。
複数部品でも高速でピッキングし正確に組み立てを行うことができ、組み立て能力が作業者10名相当に向上しました。
また、少量多種生産にも柔軟に対応でき、同じラインで複数の製品の組み立てが可能で製造現場がフレキシブルになりました。
(2)搬送
①スカラロボットでの搬送
スカラロボットは水平方向に高速で移動することができるロボットです。
その特徴を活かして工程内での搬送に活用されています。
コンベアからコンベアへの移動や、トレイなどへの容器へ整列する用途で利用されています。人のように疲労することなく、高速で搬送を続けてくれるため、生産効率が大幅に向上します。
②搬送工程への導入事例
ある食品工場では、ラインを流れてくる食品を作業者3~4名がサイズや形を見て瞬時に判断し、適正なトレーに移し替えるという作業を行っていました。
人手もかかり、作業者の熟練も必要ということで、改善できないかと考えていました。
そこで、カメラで画像処理した結果を元にスカラロボットが食品をピッキングし、トレーに搬送するという仕組みでライン構築したところ、作業者の人数は1名のみへ削減。
その結果、年間で約500万円のコスト削減効果を得ることができました。
また、同時に生産量もアップしたため、売上増加にも繋がりました。
(3)ねじ締め
①スカラロボットでのねじ締め工程
スカラロボットは先端にユニットを付けることで、より様々な用途に応用することができます。例えば、先端に電動ドライバを取り付けることでねじ締め工程を自動化できます。
複数のスカラロボットを組み合わせて、搬送とねじ締めを高速で行うことで、生産性を向上させることが可能です。
②ねじ締め工程への導入事例
ある産業機器工場では、熟練技術者10名以上の手による部品の組み立て作業を行っており、その中には多くのねじ締め作業もありました。
熟練が必要で時間もかかるネック工程で、改善したいと考えていました。
部品の組み込みを垂直多関節ロボットで行い、スカラロボットでねじ締め作業を高速かつ正確に行うというラインを構築した結果、生産性が向上したと共に、熟練技術者でなくても担当ができるようになりました。
(4)塗布
①スカラロボットでの塗布工程の効率化
スカラロボットとディスペンサ(液体定量吐出システム)を組み合わせることで、接着剤やはんだなどを塗布する工程を自動化することができます。
適正な位置に適正な量の液を塗布することができるため、人が行うよりも効率的に作業が実施できるとともに、品質の向上効果も見込めます。
②塗布工程への導入事例
ある電子部品工場で、樹脂ケースに接着剤を塗布する工程がありました。
塗布量が多すぎてはみ出してしまうと後工程でふき取りを行う必要があり、逆に少なすぎると接着ができず不良品となってしまうため、精度よく塗布したいというニーズがありました。
スカラロボットを導入することで、高精度かつ高速で塗布を行うことができるようになり、塗布作業の効率が上がって作業者の人数を削減しました。
また、塗布量を適正に保つことができるようになり、後工程でのふき取り作業や不良の発生をなくせました。
3.その他の産業用ロボットの特徴
産業用ロボットには、スカラロボット以外にもいくつかの種類があります。
それぞれ簡単に紹介していきましょう。
より詳しく知りたいという方はこちらの記事もご覧ください。
⇒【動画付き】産業用ロボットとは?4種類の形状と5つの用途を解説
(1)垂直多関節ロボット
垂直多関節ロボットは、人間の腕に近い構造をしたロボットです。
一般的に4~6軸の可動軸を持ち、6軸以上持っていると人間の手と同等の動きを再現することができます。
人間の腕に近い構造であることから、人間が行っている作業の代替に適しており、自動車組立時の溶接など様々な用途で使用されます。
(2)直角座標ロボット
直角座標ロボットは、直交ロボットとも言われているロボットです。
3次元の動きを、縦・横・高さという3方向へ直交する動きで実現するロボットとなっており、重量物の搬送などでよく利用されています。
⇒直角座標ロボットとは?特徴やメリット・デメリット+工場3選
(3)パラレルリンクロボット
パラレルリンクロボットは、関節が並列に配置されたロボットです。
複数モーターの出力を1点に集中させることができるため、高精度かつ高出力なことが特徴となっています。
ただし、構造が複雑で制御も難しいため、用途が限られています。
⇒パラレルリンクロボットとは?おすすめパラレルロボット製造工場5選
4.スカラロボットの導入をサポートしてくれるロボットSIer3選
ここまででご紹介したように、スカラロボットを導入することで、様々な作業の省人化や生産性向上を行うことができます。
しかし、いざスカラロボットを導入しようとしても、「何をすればよいのか」「自社で本当にメリットを得られるのか」と悩む方も多いと思います。
そこで、スカラロボットの導入をサポートしてくれるメーカーを3社ご紹介します。
こちらを参考にしていただき、少しでもスカラロボットの導入に興味があれば、問い合わせをしてみてください。
①株式会社FAプロダクツ
【特徴】
FAプロダクツは年間200台もの実績がある関東最大級のロボットシステムインテグレーターです。一貫生産体制をとっており、設計から製造までをワンストップで対応。費用・時間にムダなく最適化を行うことができます。
また、お打ち合わせから原則1週間以内に「お見積りとポンチ絵」をご送付。
【ポンチ絵とお見積りのサンプル】
テキストやお電話だけでは伝わりづらいゴールイメージを共有し、スピード感を持った対応を心がけています。
【所在地】
茨城県土浦市卸町2丁目13-3
TEL.050-1743-0310(代表)
FAX.050-3156-2692(代表)
https://jss1.jp/
【営業品目】
- 産業用ロボット
- 生産設備合理化・省力化の設計及び製作
- 基板電気チェッカーや貼合・折曲など
- 治具の設計・製作
【実績】
NM社(電子部品の製造販売)、HS製作所(情報通信・社会産業・電子装置・建設機械・高機能材料・生活の各システム製造販売)、TT社(ショッピングセンターなどリテール事業)、SM社(自動制御機器の製造・販売)、OR社(自動車安全システムの製造販売)
②株式会社バイナス
【特徴】
あらゆる業種向けにロボットセル生産用ユニットを製造しており、お客様のニーズに合わせてオーダーメイド設計から調整までトータルで行っています。精密部品の組み立てや仕分け、カッティング加工、整列、検査、ケーシングなど様々な作業をロボットのユニットで可能にしています。
スカラロボットの導入経験も豊富で、食品工場でのトレーへの整列業務、電子機器工場でのネジ締めや塗布業務、建材工場での検査工程の自動化などでスカラロボットを活用した実績があります。
【所在地】
愛知県稲沢市平和町下三宅菱池917番地2
TEL:0567-69-6981(代表)
https://bynas.com/
③株式会社オフィス エフエイ・コム
【特徴】
独立系ロボットSlerとして、大型・小型問わずロボットの導入に対応しています。国内外問わず全てのメーカーに対応できる専属のエンジニアが100名在籍しており、高い技術力を駆使してオートメーション化をサポートします。
また、「実際のロボットシステムを見て体験してもらいたい」という想いから「スマートファクトリーコンダクターラボ」(通称スマラボ)というショールームを運営しており
展示物の中には、自動車・機械向けの部品の篏合作業をスカラロボットが行うデモがあります。
【所在地】
栃木県小山市楢木293-21 小山南工業団地内
TEL:0285-41-1140(代表)
FAX:0285-41-1164(代表)
https://www.office-fa.com/
5.スカラロボット導入のご相談はFAプロダクツへ
この記事ではスカラロボットの特徴や使用用途、活用事例についてご紹介してきました。
スカラロボットには、「省スペースで稼働できる」「管理や制御がしやすい」「比較的低コストで導入できる」といったメリットがありました。
また、使用用途としては、「組み立て」「搬送」「ねじ締め」「塗布」などがありそれぞれの用途で活用されていました。
自社でも同じような作業があり、人手不足や生産性の向上ができず困っているという方は
ぜひスカラロボットの導入を検討してみてください。
また検討するに当たっては、産業用ロボットに詳しいメーカーに相談してサポートしてもらうことで、ロボット導入の効果を最大限発揮することができます。
弊社、「FAプロダクツ」も産業用ロボットの導入をサポートしております。
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関東最大級のロボットシステムインテグレーター ロボットシステムの設計から製造ならお任せください
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