【図解】画像検査での照明の当て方と特徴+照明メーカー5選
目次
1.はじめに
製造品の画像検査では、カメラやレンズ、画像処理装置は重要ですが、これらのパーツを活かすことができるパーツが照明です。
その照明について、画像検査を成功させることができるかどうかは、どのような型式の照明を選ぶかがポイントです。
さらに検査画像をより検査しやすくすることは、照明を選ぶだけでなく、照明の当て方を工夫することです。
光の当て方とは、斜め上・真上・真下などの光の方向で、もう一つ、光の量もワークの特徴点を浮き出す重要な要素になります。
このコラムでは、画像検査での照明の当て方についてご紹介します。
もし、検査・検品に画像処理システムを導入して、
- 省力化、省人化してコストダウンしたい
- 検査レベルを高めて品質価値を高めたい
というご希望がございましたら、お気軽に画処ラボまでお問い合わせください。
ルール型画像処理からAIによる画像処理まで、ご希望に対して幅広い対応が可能です。
業界最大級の画像処理検証施設を開設!
「画処ラボ」ではルールベースやAIの画像処理を専門エンジニアが検証。ご相談から装置制作まで一貫対応します。
Youtubeチャンネルでも解説中!
2.光の特性を活かした照明とは?
(1)光の反射の性質
図1は、光が検査対象(ワーク)に当たったときの、光の反射についての性質のイメージです。
ワークが鏡面であったときは、図1左図のように、入射光は鏡面上で反射しますが、入射した角度と同じ角度で反射します。
この反射光を正反射光と言います。
一方、ワークが普通の面であったとすると、図1右図のように、反射光はいろいろな角度で反射します。
正反射の光量が一番大きいですが、表面の状態によってさまざまな光量の反射が生まれることになります。
この反射光を拡散反射光と言います。
(2)光の当たり方と画像検査の関係性
図2と図3は、ワークに照明を当てたときに、照明とカメラ位置によって、検査画像がどのようになるかを紹介する図です。
図2は、溝のあるワークに斜め上から照明を当てたときの画像検査の様子です。
①正反射光
図2左図では、照明の正反射光方向からカメラで撮像した場合の結果を示しています。
この場合ですと、溝からの反射光はカメラにほとんど届かず、ワーク表面の反射光だけを捉えます。
そのため、左図のような検査画像となります。
②拡散反射光
一方、図2右図では、カメラの位置をワークの真上にセットしています。
この場合は、溝からの拡散反射光がカメラに届くため、溝の様子を撮像することができます。
そのため、右図のような検査画像となります。
③透過光
図3は、ワークの下側から照明を当てたときの画像検査の様子です。
図3からわかるように、ワーク周辺から透過した光をカメラがとらえるため、検査画像のようにワークのエッジが強調された画像が得られます。
3.LED照明型式ごとの光の当て方
この章では、LED照明の型式ごとの光の当たり方についてご紹介します。
(1)ドーム型とリング型
図4は、ドーム型とリング型のLED照明の光の照射イメージを表したものです。
①ドーム型照明
図4左図は、ドーム型照明です。
ドーム型照明の光は、ワーク全体を一様に照らすことができ、影のない映像が撮れることが特徴です。
②リング型照明
図4右図は、リング型照明です。
図では、斜め方向からある角度でワークに明るく強い光を当てますが、角度を真下に向けて、下方に一様に光を当てることも可能です。コントラストが良い画像を得ることできる特徴を有します。
(2)ローアングルリング型とバックライト型
図5は、LED照明のうち、ローアングルリング型照明と、バックライト型照明の照射イメージの違いを図示したものです。
①ローアングルリング型照
図5左図は、リング型の照明ですが、リングの位置がワークのほぼ間近にあるため、ローアングル型とも言います。
この照明は、ワーク全体に一様に光を照射でき、中心部に光を直接当てて、ワークの検査部位を抽出するという特徴があります。
②バックライト型照明
図5右図は、バックライト型の照明です。
図3でもご紹介しましたが、ワークの逆方向から光を当てて、ワーク全体の外観を明確に捉えることができることが特徴です。
(3)同軸落射型とバー型
図6は、同軸落射型照明と、バー型照明の様子を図示したものです。
①同軸落射型照明
図6の左図が、同軸落射型照明です。
ハーフミラーを通して、下方に照明を照射するとともに、ワーク表面から垂直に出る反射光を撮像します。光る表面の傷や異物の検知に効果があります。
②バー型照明
図6の右図が、バー型照明です。
ワークに沿って線状に照明を均一に当てることができ、シート検査のようなライン画像検査に適しています。
4.光の当て方による検査画像の違い
画像検査の結果が照明の当て方によってどう変わるかについて、2件の実例をご紹介します。
(1)同軸落射型
図7では、同軸落射型照明によって得られるワークの検査画像をご紹介します。
同軸落射型照明の照射方法については、図6でご紹介しました。
- ワークは両端が円形の形状としています。
- ワークの平面部分からは、照明の直射に対して反射光が垂直上方に返ります。
- 一方、円形部分には、照明は垂直下方に当たりますが、反射光は垂直上方には返らず、円形形状に沿って下向きに反射します。
- そのため、検査画像は、図7右下のような画像が得られます。
(2)ドーム型
図8では、ドーム型照明によって得られるワークの検査画像をご紹介します。
ドーム型照明の照射方法については、図4でご紹介しました。
- ワークは図7と同様に、両端が円形の形状としています。
- 同軸落射型照明と同じように、ワークの平面部分からは、照明の直射に対して反射光が垂直上方に返ります。
- 一方、ドーム型では一様に光が当たるため、円形部分からは端に行くほど上方への反射光が少なくなります。
- その結果、検査画像は、図8右下のような画像が得られます。
(3)照明の当て方のポイント
図7と図8で紹介したように、カメラの位置は同じでも、照明の光の当て方で得られる画像が異なります。
この2つの例は、同軸落射型照明とドーム型照明についての紹介ですが、他の型式の照明でも、異なる検査画像となります。
画像検査に当たっての照明の当て方は、検出したいワークの特徴点、キズ・銘板・寸法・形状などに応じて最適な照明を選ぶことが、ポイントでしょう。
5.画像処理の照明を扱うメーカー5選
この章では、会社が有する照明製品や照明による画像処理を紹介します。Webページを合わせて紹介していますので、詳細はそのページで確認してください。
(1)画処ラボ(ガショラボ)
【所在地】
神奈川県相模原市緑区西橋本5-4-30 SIC2-2314
TEL:050-3733-3774
WEB問合せ:https://gasho-labo.jp/#contact
https://gasho-labo.jp/
【特徴】
検査の自動化に伴って画像処理装置の導入する際には、複数のセンサーメーカーと複数の画像処理機器メーカーを選択し、それぞれ検査対象によって個別対応する必要があります。
画処ラボは、メーカー横断での機器選定から判断プログラムの選定及び装置の設置構想までを⼀括で提案し、設置からサポートまで⼀元管理。
さまざまなメーカーから、照明は50種類、カメラ・レンズは30種類をとりそろえており、機器や画像処理プログラムの選定だけでなく、装置の構想・設置、サポートまで、ワンストップで相談が可能です。
業界最大級の画像処理検証施設を開設!
「画処ラボ」ではルールベースやAIの画像処理を専門エンジニアが検証。ご相談から装置制作まで一貫対応します。
(2)オムロン制御機器事業
【所在地】
京都府綾部市中山町鳴谷3-2 綾部工場
滋賀県草津市西草津2-2-1 草津工場
【照明事業特徴】
https://www.fa.omron.co.jp/products/family/3040/
オムロン社の画像処理専用照明FLシリーズは、LEDの限界を超えた高輝度なODR照明(Optical Double Reflection)です。
ODR照明は砲弾型LEDの4倍の明るさがあり、鮮明な画像入力が特徴です。
図の上側は、ダイレクトリング照明です。
図の下側では、従来型照明と、ODR照明の比較が示されています。
(3)株式会社キーエンス
【所在地】
大阪市東淀川区東中島1-3-14
TEL:06-6379-1111
【照明事業特徴】
https://www.keyence.co.jp/products/vision/vision-sys/ca-d/variations/ca-drm_x.jsp
キーエンス社のマルチスペクトル照明では、CMOSセンサと8色の照明を同期させて、色差を検出することができます。
図上段は、同社のマルチスペクトル照明CA-DRMです。
図下段については、次のようになります。
- マルチスペクトルモード
わずかな色違いも正確に判別します。 - LumiTraxモード
凸凹を抽出し、ハレーションを除去します。 - 通常点灯モード
最適な照明色を簡単に選択できます。
(4)有限会社シマテック
【所在地】
東京都町田市本町田973-2
TEL:042(729)8914
【照明事業特徴】
https://www.shimatec-led.com/vkd_s.html
図上段は、シマテック社のドーム照明VKDです。
この照明は、使いやすさを求め、トンネル型のドーム照明となっています。
この照明の特徴は、
- 小型ワーク・大型ワーク・複雑なワークでも均一性のあるやわらかい光を照射し、最適画像の取得
- 照明の開口部が広く、ロボットが中に入り込むことが可能
- ロボットヘッド部への取り付けが可能
です。
図下段の左図は部品ハンドリングシステム、右図は表面外観検査の使用例です。
(5)シーシーエス株式会社(英文表記:CCS Inc.)
【所在地】
京都市上京区室町通出水上ル近衛町38番地
TEL:075-415-8280(代表)
【照明事業特徴】
https://www.ccs-inc.co.jp/products/series/176
CCS社のIR2シリーズの照明は、ピークの発光波長を選択できる赤外照明です。
同社のIFL-100IR2-940は、導光拡散板外周にLEDを埋め込むフラット型の赤外照明です。
図は、そのIFL-100IR2照明を使った、消毒液の異物購入を検査する事例を紹介しています。
図の下段は、LED可視光照明と赤外照明との撮像の違いの紹介です。
LED可視光照明では、消毒液の中を見ることはできませんが、赤外照明では、消毒液内を透過して異物の検査ができることが分かります。
6.画像処理に関するご相談は画処ラボへ
照明メーカーはいろいろな型式の照明を製造していて、照明の説明ページでは、照明の当て方と検査ができるようになったという照明の成功例が数多く載せられています。
画像検査で照明を工夫しようと考えているユーザーにとっては、参考にできる内容でしょう。
ハインリッヒの法則を参考にすれば、海の上に浮かぶ氷山はその一角にすぎず、海の中には巨大な氷塊が隠されていると理解できます。
同じように、画像検査の照明の当て方の成功事例には、さらに多くの失敗事例があるということではないでしょうか。
この失敗事例には照明の当て方のノウハウが詰め込まれているはずで、それが照明の当て方の成功につながっていることでしょう。
そのような失敗事例でも、自社の照明の改善に対してヒントを与えてくれるものがあるはずです。
照明型式や当て方について、成功・失敗事例とともにそのノウハウを知ることで、自社で悩んでいる画像処理の精度は、格段に向上する可能性があります。
ノウハウを豊富に持ち合わせているメーカーやインテグレーターに相談することで、照明設置のノウハウを得ることができるのではないでしょうか。
画像処理システムの導入をご検討の際は、お気軽に画処ラボまでお問合せください。
関東最大級のロボットシステムインテグレーター 画像処理の検証から装置化ならお任せください
050-1743-0310 営業時間:平日9:00-18:00