シーケンスロボットとは?動作・制御の仕組みや導入のメリットを解説
シーケンスロボットは、元々プログラムされている動作を忠実に実行する産業用ロボットです。
製造現場や設計部ではよく話に出る「シーケンス制御」が使われているため、シーケンスという単語は知っている人が多いのではないでしょうか。
当記事では、シーケンスロボットの概要や、シーケンス制御の基本的な仕組みについて解説します。
もし、シーケンスロボットのコンサルティングを受けて、
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- 人的ミスを減らして品質価値を高めたい
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目次
1.シーケンスロボットとは
シーケンスロボットとは、あらかじめ機械的に設定した動作にしたがって動く産業用ロボットのことです。シーケンス(Sequence)は「順序、連続して起こる順序」を意味し、シーケンスによる制御をシーケンス制御といいます。日本工業企画(JIS)での定義は、「あらかじめ定められた順序に従って制御の各段階を逐次進めていく制御」です。
ベースとなるロボットに後から動作を付けるのではなく、ロボットの設計段階で「このロボットをどう動かすのか」「何のために動くのか」といった部分までプログラムします。
シーケンス制御が使われている例を挙げると次のとおりです。
- 電子レンジで10という数値を設定する⇒10分温め
- コンベアのスタートボタンを押す⇒特定の地点まで製品が移動⇒10秒停止⇒再び製品が移動
またロボットへのプログラム以外にも「照明のスイッチを押す⇒電気がつくor消える」のように、電気回路を用いた簡単なシーケンス制御も存在します。
ロボットも含めたシーケンス制御を用いた装置は、今や日本中の工場で稼働中です。
(1)シーケンスロボットの例
私たちにとって身近なシーケンスロボットは、主に次の機器です。
- 洗濯機
- 炊飯器
- エレベーター
- ガソリンスタンドなどにある洗車機
- 自動販売機
- 駐車場の発券機
- 物流倉庫のコンベア
- 商店街の自動シャッター など
工場現場だけでなく、普段の生活の中にもシーケンス制御で動作する装置が溢れています。
(2)シーケンスロボットに関わる時に役に立つ資格
シーケンスロボットは、ときに不具合やトラブルによって調整やメンテナンスが必要になります。ただし、知識のない人が不用意に触ると、問題の複雑化や大ケガにつながるかもしれません。
シーケンスロボットに触れる作業が発生するときは、次の資格の勉強や免許取得を行っておくと、構造の理解や実務で役に立ちます。
①電気工事士
電気工事士とは、ビルや工場、住宅などにある電気設備の工事を行うための国家資格です。工場現場であれば、配電盤や操作盤の配線関係を担当できます。
電気工事士には一種と二種が存在します。それぞれ担当できる工事の範囲は次のとおりです。
- 第一種電気工事士:第二種の範囲にプラスで最大電力500kw未満の工場やビルの工事に従事可能
- 第二種電気工事士:600V以下の電気設備の工事に従事可能
試験内容には、シーケンス制御に関する問題もあるため、シーケンスの理論を学ぶにも最適な資格です。普通の製造現場であれば、第二種の範囲で十分に対応可能でしょう。
②第三種電気主任技術者(電験3種)
第三種電気主任技術者とは、電圧50,000V未満の事業用電気工作物を取り扱うことができる資格です。難易度は高めですが、電気や制御関係の知識が得られるだけではなく、自分自身のスキルアップにもつながります。
③国家技能検定|電気機器組み立て(シーケンス制御作業)
国家技能検定とは、働いて身につけられる、または必要とされるスキルの習得レベルを評価する国の検定試験です。合格することで技能士を名乗れます。
検定の1つである電気機器組み立てでは、実技の基づいたシーケンス制御について学ぶことが可能です。合格できれば、シーケンス制御に関して一定の知識と技能を持つ証明になります。
(3)プレイバックロボットとの違い
産業用ロボットには、プレイバックロボットと呼ばれる産業用ロボットが存在します。
こちらは「あらかじめ動作をプログラムしておく」シーケンスロボットとは対照的に、「既存のロボットに動きを教示(ティーチング)していく」というタイプです。ティーチングした後は、そのプログラムどおりに動き(プレイバック)します。
人間の目で見ながら細かい動作の微調整ができるため。シーケンスロボットより臨機応変な対応ができる点が強みです。反面、ティーチングには資格が必要だったり、複雑な制御が難しかったりなどのデメリットがあります。
2.シーケンス制御の仕組み
ここからはシーケンスロボットの動作を決定する「シーケンス制御」について、仕組みや方式を詳しく見ていきます。
(1)フィードバック制御との違い
フィードバック制御とは、設定した出力の目標値を達成するために、出力の結果と目標値とのズレの分をフィードバックしながら行う制御です。
イメージとしてはエアコンを想像するとわかりやすいです。
- 室温28度で25度に設定する
- 室温を感知しフィードバック
- 25度になるまで冷風を出す
- 室温を測定しながら、2と3を繰り返す
- 25度に達したら冷風停止で温度上がったら冷風、以後感知とフィードバックの繰り返し
対してシーケンス制御にはこうした細かなフィードバックはなく、基本的にはシーケンスのとおりにプログラムを実行します(センサーの検知結果による工程の選択はあり)。
(2)リレーとPLCとの違い
シーケンス制御の形式でよく用いられるのは、リレーによる制御とPLCによる制御です。
①リレーシーケンス制御
リレーシーケンス制御とは、シーケンス制御回路にリレー(電磁継電器)を組み込んだ回路にて制御する方式です。リレーは電磁石と接点で構成されています。
リレーは電気を流すと磁力が発生し、接点の開閉が変化します。この開閉によってスイッチや工程のON/OFFを切り替えられるため、出力結果(電気やモーターのON/OFFなど)も変化するのです。
②PLCシーケンス制御
PLCシーケンス制御は、PLC(Program Mable Controller)と呼ばれる機器に内蔵した疑似リレー回路のようなプログラムを基に、ロボットを動作・制御する仕組みです。
リレー回路よりも複雑な動作を命令できるため、より精密な動作・調整に向いている制御方式です。現在は、こちらのPLC制御が主流になりつつあります。
(3)シーケンス制御の基本動作
シーケンス制御には、3つの基本動作が存在します。
①順序制御
順序制御は、「1つの工程が終わったら次の工程へ行く」など、決められた順序でタスクをこなしていく制御です。
②時限制御
時限制御は、時間の経過によって次の動作を指示する制御です。時間ごとに切り替わる洗濯機のプログラムや信号機がこれにあたります。
③条件制御
条件制御は、「制御対象の機器が発する信号」や「センサーで検出した結果」などから判断して、次の動作を指示する制御です。リミットスイッチのON/OFFやセンサーの検知結果によって、次の工程が分岐することが一般的です。
- スイッチONでコンベアの上に製品を流す
- センサーが良品と判断するとAルート、悪品と判断するとBルート など
(4)シーケンス制御のプログラムの表現方式
シーケンス制御のプログラムの表現方式には、次の4つが存在します。
- ラダー方式:PLCのシーケンス制御で頻繁に使用される方式
- フローチャート方式:四角や矢印を用いてシーケンスを簡単に表した方式
- ステップラダー方式:工程ごとにプログラムを作成して順序よく並べ、1連の動作とする方式
- SFC方式:プログラミング言語「SFC」(シーケンス処理プログラム用の記述言語)のプログラムを実行する方式
2020年現在では、PLCで使われるラダー方式が一般的です。
3.シーケンスロボット導入のメリット
シーケンスロボットの導入には、「業務の効率化」「原因追求の容易さ」の2点でメリットがあります。順番に見ていきましょう。
(1)自動化によって業務が効率化出来る
シーケンスロボットの動作は内蔵されたシーケンスにしたがって行われるので、人間側で1からの入力やカスタマイズ作業の必要がありません。精密かつ正確に動作するため、産業用ロボットとしての働きにも一定の品質が保たれます。
また24時間365日、疲労を考えずに稼働させられるという点も、ロボット全般に通じる強みです。
さらにPLCシーケンス制御の場合は、パソコン上の操作でロボットの動作を変えられるので、出力調整や変更も容易に可能です。配線がほとんどなく、制御盤の省スペース化もつながります。
一方、リレーシーケンス制御の場合は動作変更に配線のやり直しが必要だったり、設置に大量のスペースを使ったりなどのデメリットがあります。
(2)機器トラブルの原因が掴みやすい
シーケンスロボットのプログラムとパソコンを連動させることで、ロボットの内部情報やシーケンス図を画面で確認できます(※シーケンス図とはシーケンス制御の処理や流れの概要を図でまとめているもの)
もしトラブルがあったときにエラー表示やアラームが出るようにしておくと、「いつ、どこの工程でエラーしたのか」がすぐに確認可能です。
- エラー表示の例は次のとおりです。
- 動くべきコンベアが停止している
- 次の工程への切り替えが設定時間以上にかかっている
- 設定時間以上経っても製品が流れてこない
- 特定の機器がサーマルトリップを起こしている など
このようにシーケンス制御で動くロボットは、機械トラブルの原因が掴みやすいというメリットがあります。
4.シーケンスロボット導入におすすめのメーカー・ロボットシステムインテグレータ5選
ここからはシーケンスロボット導入におすすめのメーカー・ロボットシステムインテグレーターをご紹介します。
(1)株式会社FAプロダクツ
【特徴】
FAプロダクツは年間200台もの実績がある関東最大級のロボットシステムインテグレーターです。一貫生産体制をとっており、設計から製造までをワンストップで対応。費用・時間にムダなく最適化を行うことができます。
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「画処ラボ」ではルールベースやAIの画像処理を専門エンジニアが検証。ご相談から装置制作まで一貫対応します。
【所在地】
茨城県土浦市卸町2丁目13-3
TEL.050-1743-0310(代表)
FAX.050-3156-2692(代表)
https://jss1.jp/
【営業品目】
- 産業用ロボット
- 生産設備合理化・省力化の設計及び製作
- 基板電気チェッカーや貼合・折曲など
- 治具の設計・製作
【実績】
NM社(電子部品の製造販売)、HS製作所(情報通信・社会産業・電子装置・建設機械・高機能材料・生活の各システム製造販売)、TT社(ショッピングセンターなどリテール事業)、SM社(自動制御機器の製造・販売)、OR社(自動車安全システムの製造販売)
(2)三菱電機株式会社
【特徴】
三菱電機株式会社は、自動車や家電製品など身近なところでも活躍しているメーカーです。さまざまな分野で活躍している会社で、FA機器でも高い技術力を持っていることが特徴です。
PLCを「シーケンサ」という商品名で販売しており、今や日本国内で「PLCといえばシーケンサ」と言われるほど浸透しています。
【営業品目】
- 重電システム
- 産業メカトロニクス
- 情報通信システム
- 電子デバイス
- 家庭電器
【所在地】
東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビル
TEL:03-3218-2111
https://www.mitsubishielectric.co.jp/
(3)オムロン株式会社
【特徴】
工場などの自動化を中心とした制御機器などの製造・販売メーカーで、医療機器の分野でも活躍している会社です。FA機器でも高い納入実績をもち、多くの工場で採用されています。
【営業品目】
- 制御機器事業
- ヘルスケア事業
- 社会システム事業
- 電子部品事業
【所在地】
京都市下京区塩小路通堀川東入 オムロン京都センタービル
TEL:075-344-7000
https://www.omron.co.jp/
(4)シーメンス株式会社
【特徴】
ドイツに本社がある通信や電力、FA機器の製造販売を行っているメーカーです。世界200ヶ国以上に販売とサポート拠点があり、製品研修も世界中で行われていてサポートが手厚い会社です。
世界中に拠点があるため、どの国でも入手しやすいことが特徴といえます。
【営業品目】
- 産業オートメーション事業
- パワー&ガス事業
- 送電事業
【所在地】
東京都品川区大崎1丁目11番1号 ゲートシティ大崎ウエストタワー
TEL:03-3493-7565
https://new.siemens.com/jp/ja.html
(5)富士電機株式会社
【特徴】
PLCを含めたパワエレシステムが主戦力の重電メーカーです。業界で初めてPLCにネットワーク機能を持たせた会社です。
【営業品目】
- 発電
- パワエレシステム
- 電子デバイス
- 食品流通
【所在地】
東京都品川区大崎一丁目11番2号 ゲートシティ大崎イーストタワー
TEL:03-5435-7111
https://www.fujielectric.co.jp/
5.シーケンスロボット導入に関するご相談はFAプロダクツへ
シーケンスロボットのシーケンス制御を理解するには専門的な知識が必要であるため、現場では対応が難しかったり、間違った変更にしてしまったりなどのリスクがあります。
もしシーケンスロボット導入・運用に関するお悩みをお持ちであれば、ぜひFAプロダクツへお問い合わせください。導入から運用、保守まで、生産ラインや製品に合わせたソリューションを提供します。
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