生産保全(PM)は何をする?4つの基本活動と応用編を紹介
「PM(生産保全)」は、工場に新しい設備を導入する前から行う設備保全活動であり、導入設備の寿命が来るまで、少しでも導入当初の性能を維持しながら低い維持コストで稼働させるための活動を行います。
生産保全には4つの基本的な保全活動があり、設備トラブルの未然防止はもちろん、発生したトラブルを再発させないように、計画的な実施が求められます。
また、生産保全をさらに発展させた「TPM」は、設備部門だけでなく生産部門や事務部門まで、工場に関わる全ての人が関わる生産保全です。今回は、生産保全の基礎だけでなく、生産保全の事例についても解説します。
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目次
1.生産保全とは?
生産保全は「PM(Productive Maintenance)」と呼ばれ、新規設備を工場に導入してから劣化等によって廃棄するまでのライフサイクルにおいて、設備の生産性を高めるために行う保全のことです。
生産保全では、設計の段階から設備の製作・維持コストを下げることを考慮し、設備の経年劣化による損失コストも下げることで、トータルとして設備の生産性を高めることを目標としています。
2.生産保全の意義と基本的な流れ
生産保全は、工場で使用する設備を、いかに安く導入し、いかに長く安全に使用するかを目的としています。設備導入時から故障やメンテナンスを予知した設計を行い、定期的なメンテナンスによって安全に設備を使用すれば、生産の3要素である「QCD」を守ることもできるのです。
生産保全は、設備の長期安全稼働を目標として以下のような流れで保全活動を行います。
(1)保全予防
これまで工場で蓄積されてきた保全実績やデータを元に、新規設備の導入計画段階から保全性の優れた設備制作を行います。
経年劣化を防ぐためには、材質はもちろん設備設置場所にも配慮が必要ですし、定期的なメンテナンスが行いやすいような構造や計器の使用なども重要です。
(2)予防保全
設備の故障を未然に防ぐために、定期的な点検や軽微な部品交換などの設備保全を行います。
予防保全には、事前に保全計画を建ててスケジュール通りに実施する「時間基準保全」と、設備の劣化や異常の兆候を診断によって判断して保全時期を決める「状態基準保全」があります。
(3)事後保全
予防保全とは違い、設備機器に故障が発生した後に部品交換の対処などを行う生産保全です。
事後保全の場合は、異常箇所の補修や修理のために機械停止を伴うこともあります。また、生産が逼迫している場合などは、次の定期メンテナンスまで、負荷を減らしながら設備を稼働するなどの対処も取られます。
(4)改良保全
故障を再発させないための保全活動のことです。
故障が発生した原因を把握したならば、品質保証や供給安定性の確保のためにも、極力設備トラブルを再発させないような改善が必要となります。
3.生産保全とTPM
生産保全をさらに進展させた「TPM(Total Productive Maintenance)」は、日本語では「全員参加の生産保全」と訳される生産保全活動のことです。その言葉の通り、設備保全部門だけでなく、生産部門や営業部門などあらゆる部門の一般層から管理職までが、全員参加で生産保全を行うことを意味しています。
TPMの特徴を簡単にまとめると、以下の通りです。
- 生産システムの効率化を極限まで追求する企業体制の構築
- 生産システムの「災害ゼロ」「不良ゼロ」「故障ゼロ」によるロスの未然防止
- 保全部門だけでなく、生産・開発・営業部門などが横断的に参加する
- 小集団活動によって3つのロスゼロを達成する
TPM活動を行う際には、以下の8つの柱を基本として保全活動を行うことになります。
(1)個別改善
ロスの発生を抑制するための設備改善を行うことです。その設備で繰り返し発生するような故障を改善できれば、保全による時間ロスなどを防ぐことができます。
(2)自主保全
設備保全活動を保全部門のみに任せるのではなく、生産部門や開発部門などその装置に普段触れる関係者が自主的に保全活動を行うことです。自主保全は7つのステップに分けられています。
(3)計画保全
保全活動には、予防保全や事後保全などがありますが、これらの保全実施計画を事前にスケジューリングして計画的に保全活動を行うことです。
(4)教育訓練
生産現場の作業員などが、自ら設備の点検や部品交換といった保全活動を行えるように、実技も含めた訓練を行うことです。
(5)初期管理
新製品の開発・設計段階で、設備への負荷や品質に影響を与える製造条件などを明確にするために行う管理手法です。
(6)品質保全
設備の故障や機械設定条件の上振れや下振れによる製品の品質不良を防ぐために行う、保全活動のことです。
(7)管理関節部門活動
生産部門や設備部門だけでなく、開発部門や事務部門などが、TPMに対する意識を持って保全活動に参加することです。
(8)安全・環境管理
生産活動において最も重要なのが安全であり、設備の故障による事故や労災を防ぐためには、定期的な点検とメンテナンスが必要です。
4.生産保全の事例
自動車部品メーカーの旭鉄工株式会社では ここでは、生産保全の具体的な成功事例や失敗事例について紹介します。
(1)設備稼働データの見える化による生産保全の成功事例
自動車部品メーカーの旭鉄工株式会社では、生産機器のサイクルタイムを見える化することで、生産効率の悪いラインの効率改善を行っています。
従来は人が目視しながら作業時間を計測していましたが、工作アームの稼働時のドアの開閉部分にセンサーを設置することで、製品1個が完成するまでの時間をモニタリングできるようになったのです。
旧式の設備機器の場合は、センサーの新規設置などが難しく、従前のやり方で保全活動を行ってしまいがちです。しかし、前後の関連機器まで視野を広げることで、ちょっとした工夫で生産保全に役立つデータを採取することができるのです。
これからは5Gの導入なども進むため、このようなリアルタイムモニタリングの精度はさらに向上していくでしょう。
(2)TPMによる10年間での設備故障60分の1に削減
昭和電工の川崎事業所では、10年に渡ってTPM活動を継続した結果、年間数十件発生していた設備の重大トラブルが、4分の1までに減少しています。
設備トラブルの発生数の減少に伴って品質トラブルも減り、年間28件あった顧客からの品質クレームも14分の1の2件まで減少しました。これによるコスト削減額は、3年間で23億円にものぼっています。
昭和電工川崎事業所でのTPM活動の工夫点は、以下の3つです。
- 3年から4年をTPM活動のワンサイクルとして、各期間ごとに目標を設定した
- 中期目標に関して、部長などの管理職のトップがPDCAサイクルが上手く回っているか診断した
- TPM活動における戦略的な目標を立案できるように教育訓練を行った
TPM活動の8つの柱に沿って、事前に全体での意識の統一を図り、自主保全活動を中心に据えながら、現場の小集団活動の見える化や教育訓練を徹底したのです。
(3)事後保全後の挙動確認不足による失敗事例
X社では、塗布工程後の乾燥炉内に設置してある熱電対の挙動がおかしく、温度のモニタリングができていませんでした。生産部門では触れられない場所だったため、設備保全部門の当日夜勤担当者に熱電対の交換を依頼しました。
しかし、熱電対交換後の温度挙動の確認を怠ってしまい、正常稼働時のモニタリング温度との乖離が大きく、品質保証の観点から物性確認が終わるまで生産を停止することとなってしまいました。
TPMの観点から言えば、例え設備部門であっても、製品品質に与える影響を考慮した上で生産部門に交換後の挙動確認が必要な対応でした。
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6.生産保全システムの導入に関するご相談はFAプロダクツへ
生産保全の効率を高めるためには、定期的な機器診断が必要です。
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