色検査機とは?画像処理の仕組みや導入事例・メーカーを解説
「色検査機」はその名のとおり、対象物の色をチェックしてさまざまな認識・判別を行う高度な機器です。機器次第では高度な画像処理の技術や、ディープラーニングも搭載されています。「実際にどのような仕組みなんだろうか」「現場で応用できないか」と、興味ある担当者の方は多いのではないでしょうか。
当記事では「色検査機とは?」という基本的な部分から、具体的な仕組みや実際の導入事例、おすすめのメーカーなどをご紹介します。ぜひ色検査機の導入検討時の参考にしてください。
もし、色検査機のコンサルティングを受けて、
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目次
1.色検査とは?概要や導入のメリット
色検査による製品チェックは、自動車工場や食品の生産ラインなど、さまざまな現場の作業工程で重宝されています。
まずは、色検査の概要や導入のメリットをご紹介します。
(1)色検査とは
色検査とは、センサーやカメラで撮影した製品の画像データを解析し、色に関するさまざまな外観チェックを行うことです。
たとえば、製品の施された塗装やメッキについての、次のような問題を検出できます。
- 色ムラ
- 色抜け
- 色調の違い
- 印刷の抜け
- 色の判定・選別
2020年現在では、オンライン上での画像処理や他ロボットとの連動などの高度化により、多くの現場で複雑な作業を実現できるようになりました。ハードウェアや画像処理(マシンビジョン)、ディープラーニング技術の向上も見込まれることから、今後も高性能の色検査機が登場すると予想できます。
(2)色検査機を導入するメリット
色検査機を導入することで、人間の目では判別が難しかった色の判定・選別が可能になります。色検査機導入の主なメリットは次のとおりです。
- 検査の精度が上がる
- スキルや疲労に左右されず検査品質が一定になる
- 危険な場所にでも設置できる
- 蓄積した画像データを他の分析や改善に使える
また、ディープラーニングを導入した色検査機であれば、機械学習によってさらに検査の精度を高められます。
2.色検査の仕組みや製品の種類
機械で色を判別するには、「取り込み画像データの処理」や「色の数値化」などが要求されます。
ここからは、色検査の仕組みや、具体的にどのような製品があるのかをご紹介します。
(1)色検査の仕組み
普段に何気なく判別している「色」という概念ですが、色検査を行うにはこの抽象的概念を「数値化」しなければなりません。
色を数字として表すには、次の3要素を見ます。
色の種類 | 概要 |
色相 | 赤や青、緑などの色合い |
明度 | 色の明るさや暗さ |
彩度 | 色の鮮やかさ |
この色相・明度・彩度を調査し、「XYZ表色系」や「L*a*b*表色系」などを用いて、色を数値化します。
大筋のプロセスとしては、まず映像機器を通じて対象物の画像データを処理、その後に数値化して色判定するという流れです。画像処理のプログラムとしては、対象物を明るくしたり、背景を切り取ったり(ノイズ除去)など、より正確な色検査を実行するためのサポートが主です。細かいプロセスは、メーカーの機器によって違いがあります。
高性能な色検査機の場合は、この一連の流れの高速化・高度化を実現しているため、さまざまなスピード生産ラインや製品形状に対応可能です。
(2)メーカー別製品の種類
ここからは、メーカー別の色検査機の一部をご紹介します。
①キーエンスのカラーセンサ
株式会社キーエンスの「カラーセンサ」は、対象物に光を当てて、光の反射具合によって色を判定するという機器です。
まず、対象物に光を当てて反射させ、その後「赤・青・緑に光の3原色を、どれくらい機器が受光したのか」で色を判別します。具体例は次のとおりです。
- 3つのうち単色のみ反射:赤・青・緑のうち受光した色のどれか
- 赤と緑を受光:黄色
- 3色すべて受光あり:白色
- 3色すべて受光なし:黒色 など
細かい色の違いは、赤・青・緑それぞれの受光率の比率を計算して割り出します。
②コーンズテクノロジーのクロマキング
コーンズテクノロジー株式会社の「クロマキング」は、対象物を回転させた後、360°の外観イメージを取得して色検査を行う機器です。製品の一面だけでなく外観すべてをチェックできるため、より精度の高い色検査が実施できます。
3.色検査機の導入事例
色検査機は、主に次のような工程で導入されています。
- 自動車部品の塗装不良や色ムラの判定
- 電線の配線時の識別
- 製品に混入した異物の検出
- パンなどの食品の焼き色検査
- 工場で生産しているお弁当の彩り・欠品検査
- フルーツの色仕分け
さらに以下では「ロボット導入実証事業事例紹介ハンドブック2018」に記載ある、具体的な導入事例をご紹介します。
(1)株式会社吉野家
株式会社吉野家の「食器洗浄後の仕分け工程」にて、食器底辺に特殊マーカーを付けることで簡易かつ低コストな画像認識を達成した導入事例です。
従来の洗浄後の仕分けは、食器の色・形・大きさについて画像認識を行っていました。その後、ロボットによるピッキング作業という流れです。
システム導入後は、マーカーの状態のみを確認することで、ロボットによる食器仕分けができるようになっています。認識時間の短縮や、画像識別プログラムコストの削減を達成しました。
導入ロボット | 協働ロボット(ライフロボティクスCORO) |
人数 | 1人⇒1人 |
労働時間 | 1.8時間⇒1.8時間 |
生産量 | 109個⇒109個 |
労働生産性 | 現状維持だが、維持費やその他コストを約57万円/年削減 |
(2)株式会社西野物産
株式会社西野物産では、即席麺等の「かやく」用に使うチャーシューの判別のために、色や模様をチェックするマシンビジョンシステムおよびロボットを導入しています。
従来は、1枚1枚を人の手で包装機へ供給する、手間のかかる作業でした。
システム導入後はロボットによるコンベアへのチャーシュー供給、その後マシンビジョンにてチャーシューの色・形を確認するという自動化の流れを実現しています。
認識システムでは、チャーシューの色ムラや模様の影響を受けすぎない「輪郭重視」を採用。システムの導入によって、作業の省人化と高速化を実現しています。
導入ロボット | スカラロボット |
人数 | 2人⇒1人 |
労働時間 | 3.6時間⇒1時間 |
生産量 | 3,600個/時⇒4,800個/時 |
労働生産性 | 9.6倍 |
(3)デリカフーズ株式会社
デリカフーズ株式会社では、トマトの熟度判別の工程に、色判別カメラを含んだディープラーニング搭載のロボットを導入しています。
従来は人間の目や手での感覚での判別を行っており、作業者のスキルや労力頼りの作業でした。
システム導入後は、トマトの色味や硬さなどをデータとして蓄積させて機械学習。さらに作業者の熟度基準とも照らし合わせ、最終的にシステムの判断だけでトマトの判別が可能となっています。
導入ロボット | 垂直多関節ロボット(三菱電機) |
人数 | 5人⇒2人 |
労働時間 | 8時間⇒8.5時間 |
生産量 | 14,400個⇒14,400個 |
労働生産性 | 2.0倍 |
4.色検査機導入の際の注意点
機器選びに失敗すると、検査不良が発生したり動作しなかったりなど現場の死活問題につながります。
以下より解説する3つの注意点を、ぜひ事前にご確認ください。
(1)視野・精度・処理速度を確認すること
市場にはさまざまな色検査機がありますが、まずは検査の基本になる画像処理システムの「視野」「精度」「処理速度」の3つを確認します。
- 視野:どれくらいの範囲を捉えられるのか
- 精度:色の識別精度が高いか(カラー判別に対応しているか)
- 処理速度:1製品の処理にかける時間はどれくらいか
一般的に、画素数が高いほど精度や視野はよくなりますが、処理速度は遅くなります。
(2)対象製品の形状や生産ラインとの相性を見ること
どれだけ高性能の色検査機を導入しても、現場に合わない機器だと性能を発揮できません。あらかじめ、次の要素を確認しておきましょう。
- 検査対象物に合った機器を選定しているか
- 生産ラインに組み込める形状・大きさの機器か
- 使用環境に則した耐久性・防振性を持っているか
- カメラのレンズは対象物に合っているか
- 生産ラインのサイクルタイムに追いつけるか など
細かい調整は、導入元のメーカーやシステムインテグレーターとすり合わせながら進めることをおすすめします。
(3)予算との兼ね合いを考えること
新技術や高性能機器だからといって、むやみに色検査機を導入することはおすすめしません。必ず予算との兼ね合いを考えて、慎重に購入を検討しましょう。
- 相見積もりを取って「何にどれだけお金がかかるのか」を知る
- 本当に作業改善やコスト削減につながるのか検討する
- 投資してどれくらいの期間で利益を回収できるのかを定量化してみる
正しく選ぶことで、生産性の向上や製造単価の削減につながるはずです。
5.色検査機導入におすすめのメーカー・ロボットシステムインテグレータ4選
ここからは色検査機導入におすすめのメーカー・ロボットインテグレーターを4つご紹介します。
(1)株式会社FAプロダクツ
【特徴】
FAプロダクツは年間200台もの実績がある関東最大級のロボットシステムインテグレーターです。一貫生産体制をとっており、設計から製造までをワンストップで対応。費用・時間にムダなく最適化を行うことができます。
また、お打ち合わせから原則1週間以内に「お見積りとポンチ絵」をご送付。
【ポンチ絵とお見積りのサンプル】
テキストやお電話だけでは伝わりづらいゴールイメージを共有し、スピード感を持った対応を心がけています。
また、同社の「画処ラボ」では、画像処理を用いた外観検査装置の導入に特化し、ご相談を受け付けています。従来は目視での官能検査に頼らざるを得なかった工程の自動化をご検討の際などにご活用ください。
業界最大級の画像処理検証施設を開設!
「画処ラボ」ではルールベースやAIの画像処理を専門エンジニアが検証。ご相談から装置制作まで一貫対応します。
【所在地】
茨城県土浦市卸町2丁目13-3
TEL.050-1743-0310(代表)
FAX.050-3156-2692(代表)
https://jss1.jp/
【営業品目】
- 産業用ロボット
- 生産設備合理化・省力化の設計及び製作
- 基板電気チェッカーや貼合・折曲など
- 治具の設計・製作
【実績】
NM社(電子部品の製造販売)、HS製作所(情報通信・社会産業・電子装置・建設機械・高機能材料・生活の各システム製造販売)、TT社(ショッピングセンターなどリテール事業)、SM社(自動制御機器の製造・販売)、OR社(自動車安全システムの製造販売)
(2)アイエスシー株式会社
【特徴】
アイエスシー株式会社は、画像システムを利用したさまざまな製品検査・外観検査の自動化を提案しているシステムインテグレーターです。29年間画像処理システムに携わってきた経験から、ソフトウェア・ハードウェアまでの総合的な開発に対応可能です。
色検査機も「GPU」を活用した、高速画像処理が売りのソリューションを揃えています。
【製品一覧】
- 色検査装置
- 異物混入識別検査装置
- アルミ材光ムラ検査装置
【所在地】
横浜市港北区新羽町2033番地 102号
TEL:045-947-2835
http://www.isc-net.co.jp/
(3)株式会社コニカミノルタ
株式会社コニカミノルタは1873年の創業以来、情報機器・産業用光学システム・医療用画像診断システムなど、あらゆる分野の事業へソリューションを提供しています。2019年には「日経SDGs経営大賞」を受賞しました。
色検査に関しても、解析ソフトウェアから分光測色計、色彩計など多くの製品を取り揃えています。
【製品一覧】
- 分光測色計 CM-3700A、CM-3600A
- 色彩管理ソフトウェアCM-S100w
【所在地】
東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー
問い合わせ先:https://www.konicaminolta.com/jp-ja/contact/index.html
https://www.konicaminolta.com/jp-ja/index.html
(4)株式会社キーエンス
【特徴】
株式会社キーエンスは、1974年創業以来日本のトップを走り続けている大企業です。主力製品はFA用のセンサーですが、その技術を活かした画像処理・外観検査に強いソリューションも提供しています。
色検査の領域でもカラーセンサを扱うなど、色を意識したマシンビジョンシステムについても相談可能です。
【製品情報一覧】
- 画像処理システム:XG-Xシリーズ
- アンプ内蔵型ホワイトスポット光電センサ:LR-Wシリーズ
【所在地】
大阪市東淀川区東中島1-3-14
TEL:06-6379-1111
https://www.keyence.co.jp/
5.色検査機導入に関するご相談はFAプロダクツへ
色検査機を導入することで、これまで見逃してきた色ムラや塗装剥がれを検知できたり、人員コストを削減できたりとさまざまなメリットがあります。しかし、生産ラインや製品とぴったりの色検査機を導入しなければ、正常に作動せずに投資分が無駄になるかもしれません。
もし色検査導入に際し「どのようなシステムを入れればよいのか」に迷った場合は、ぜひFAプロダクツへご相談ください。
関東最大級のロボットシステムインテグレーター 画像処理の検証から装置化ならお任せください
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