産業用ロボットの課題とは?各業種ならではの課題とそれぞれの解決策
産業用ロボットは、自動車工場の溶接用ロボットの開発によって生産現場部にも普及が始まり、現在では電機電子分野や建設現場などへの導入も進んでいます。
今回は、産業用ロボットの日本での開発・普及の歴史や、産業用ロボットの技術的な課題、新興国などを含めた海外への更なる普及拡大に必要な対策を紹介します。また、製造業をはじめ、それ以外の業種が独自に抱える課題を産業用ロボットでどのように解決できるのか、メーカ各社の具体的な活動も踏まえながら解説します。
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目次
1.産業用ロボットの歴史と市場の変遷
産業用ロボットは、戦後の成長期からその後の安定期、バブル崩壊後の3つの大きな変化の歴史をたどっています。
(1)戦後の高度経済成長期
日本の戦後復興時には、1968年にGDPで世界2位となり、この時期のGDPの30%が製造業による寄与とされていました。まさに、製造業が日本の産業をリードしていたのです。1969年には、川崎重工業が米国企業との技術提携によって、自動車工場の溶接用産業用ロボットを開発し、一部メーカに導入されています。
(2)安定成長期
1973年と1979年に発生したオイルショックによる物価高騰の煽りを受けて、製造業では生産コストを下げる合理的な生産を目指す方向にシフトしています。これにより、産業用ロボットの普及が進み、サーボモータ等の技術力向上による製造コスト低減も追い風となって、産業用ロボットの海外輸出額が輸入額を超えることとなりました。
(3)バブル崩壊後
日本が「失われた20年」に入る原因となった1980年代前半のバブル崩壊により、産業用ロボットも需要が激減する事態に陥ります。しかし、自動化技術の向上による生産効率化が進められており、世界のIT化と共に、半導体製造などの分野で産業用ロボット導入が進んでいきました。
その後のITバブルにより一時需要は落ち込みましたが、リーマンショック以降は中国経済の成長に伴って、日本製産業用ロボットの国外輸出台数が顕著に増加しています。
(4)2017年の産業用ロボット導入状況
ロボットの導入台数が顕著に伸びているのは「世界の工場」とも呼ばれる中国であり、2017年には産業用ロボットの導入台数が日本を抑えて世界1位となっています。
日本は、バブル期の産業用ロボット販売シェア9割から6割弱まで減少しているとはいえ、2017年時点では世界トップを維持しています。
2.産業用ロボットに対する一般的な課題
産業用ロボットの世界シェアで1位の日本ですが、課題もあります。
(1)産業用ロボットの技術的な課題
産業用ロボットはあくまで半製品であり、それらを応用した上で、各工場の生産目的に合致した生産設備の設計や制作を行う必要があり、システムインテグレーション(以下SI)技術が伴わなければ能力を活かすことができません。そのため、産業用ロボットを制作・供給するメーカーだけでなく、ロボットシステムインテグレータ(ロボットSIer)の存在も重要となります。
産業用ロボットの自動化が進む中、インテリジェント化が進んでおり、この点の技術力の向上は喫急の課題です。
(2)産業用ロボットの海外市場展開の課題
産業用ロボットはグローバル化が進んでいます。ロボット技術を導入する際に、メンテナンスなどを行える保全技術者の育成や確保も必要です。しかし、これまで製造技術があまり高くなかった新興国では、保全だけでなくSI技術に関する人材も不足しています。
そのため、産業用ロボットの海外普及を目指すならば、技術レベルが高くない工場であっても扱えるような、極力シンプル化された自動化設備の開発が必要となります。
中国では、2017年時点で日本の産業用ロボットが約4割を占めていましたが、自社で使用する産業用ロボットを自社開発してコストを抑える動きもあります。今後は、ローカルユーザーに合わせたスペックダウン品開発や、部品コストを下げながらも性能を発揮するトータルコストを重視した対策が必要となるでしょう。
3.産業用ロボット導入に際しての業種別の課題
少子高齢化が進んでいる日本では、労働人口の減少が大きな問題となっており、どの業界においてもクリアすべき重要な問題となっています。また、産業用ロボット導入には、各業種独自の課題もあります。それぞれにわけて、ご紹介しましょう。
(1)製造業
製造業における最大の目標は、歩留まりの維持・向上です。そのためには、いかにトラブルなく製品を製造し続けるかが重要となります。製品の異物や欠陥などの自動検出技術の向上や、製造時の設備異常の検知など、生産システムのどこに問題が発生しているかを即時に見分けて、生産にフィードバックする仕組みが求められます。
そのため、産業用ロボットを導入する際には、5Gの導入も進む中、工場内の産業用ロボットシステムの同時連携性をいかに向上させるかが課題となってきます。
また、業界ごとにも課題があります。
たとえば、食品業界では、扱う原材料はもちろん生産する食品自体も多種多様であり、需要によって生産品目が変わることも珍しくありません。工程が複雑になればヒューマンエラーも起こりますし、人手不足になれば個々人への負担も増えます。多種多様な工程をミスなく行えるような、産業用ロボットを活用した生産システムの構築が必要です。
また、食品業においては、人が直接摂取する食品を作るため衛生管理が重要です。異物混入などはあってはならないため、産業用ロボットを導入する際にも稼働におけるクリーン度の維持も重要となります。
(2)建設業
建設業においては、人手不足による影響はもちろん、高所への搬送や溶接など、危険性の高い作業の産業用ロボット導入による自動化が期待されます。ただ、全ての工程を産業用ロボットに一任することは難しく、作業者とロボットが連携して建設工事を行えるようなシステム構築や、汎用性の高い産業用ロボット設計が必要となるでしょう。
(3)農林水産業
日本では、少子高齢化によって農業に従事する人口も減少しており、作付けや収穫などの人手不足が課題となっています。そのような中で、ICTや産業用ロボットなどを活用した「スマート農業」が注目されています。トラクターやコンバインといった農耕機器の自動走行や、ドローンによる測量や農薬散布などが進められています。
しかし、最も大きな課題は「自然災害」です。災害が起こることを前提とした農業の自動化が必須と言えるでしょう。
4.産業用ロボットの課題解決に向けた各社の取り組み
産業用ロボットを導入するときにぶつかる課題は、根底には少子高齢化という大きな問題が横たわっているものの、各業種によってさまざまです。では、こうした事態に対して、どのような取り組みが行われているのでしょうか。同様に、業種ごとにご紹介します。
(1)製造業での取り組み
たとえば食品業界では、工場自動化システムの導入によって、人手不足や食品ロスなどの課題を解決する取り組みを行っています。オムロンはカメラ機能を有した産業用ロボットを開発し、ロボットの入替え自由度を高める仕組みを構築しています。
また、川崎重工事では段ボールへの商品箱詰めロボットを開発、デンソーウェーブや安川電機では、自動車用の産業用ロボットを食品製造用に転用できるような取り組みを行っています。
(2)建設業での取り組み
建設業界では、大成建設などを含め、産業用ロボットによる溶接工法技術の開発が進んでいます。鹿島建設は「スマート生産ビジョン」を目標に掲げ、自社の溶接ロボットの全国展開を目指しており、竹中工務店とロボット施工に関する技術連携を行っています。
清水建設では、「シミズ・スマート・サイト」という建築生産システムを開発しており、搬送や溶接などの工事を同時に行えるような産業用ロボットの導入を目指しています。
(3)農林水産業での取り組み
農林水産業においては、トラクターなどの農耕機器の自動運転化への取り組みが進んでおり、ヤンマーHDでは同時稼働技術に関しても取り組んでいます。
また、アトラス(株)では、自然災害に対応した農業の自動栽培化システム「ロボファーム」の開発を行っています。空きビルや空き地などの狭い空間であっても、ボックス型ユニットや自動栽培管理システムを導入することで、農業を行うことができます。
5.産業用ロボットの導入相談におすすめのメーカー・ロボットシステムインテグレータ3選
産業用ロボットの導入では、上述したように技術的な課題があることから、ロボットシステムインテグレータに相談するのが一般的です。最後に、おすすめのメーカ、およびロボットシステムインテグレータを3社ご紹介します。
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FAプロダクツは年間200台もの実績がある関東最大級のロボットシステムインテグレーターです。一貫生産体制をとっており、設計から製造までをワンストップで対応。費用・時間にムダなく最適化を行うことができます。
また、お打ち合わせから原則1週間以内に「お見積りとポンチ絵」をご送付。
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テキストやお電話だけでは伝わりづらいゴールイメージを共有し、スピード感を持った対応を心がけています。
また、同社の「画処ラボ」では、画像処理を用いた外観検査装置の導入に特化し、ご相談を受け付けています。従来は目視での官能検査に頼らざるを得なかった工程の自動化をご検討の際などにご活用ください。
業界最大級の画像処理検証施設を開設!
「画処ラボ」ではルールベースやAIの画像処理を専門エンジニアが検証。ご相談から装置制作まで一貫対応します。
【所在地】
茨城県土浦市卸町2丁目13-3
TEL.050-1743-0310(代表)
FAX.050-3156-2692(代表)
https://jss1.jp/
【営業品目】
- 産業用ロボット
- 生産設備合理化・省力化の設計及び製作
- 基板電気チェッカーや貼合・折曲など
- 治具の設計・製作
【実績】
NM社(電子部品の製造販売)、HS製作所(情報通信・社会産業・電子装置・建設機械・高機能材料・生活の各システム製造販売)、TT社(ショッピングセンターなどリテール事業)、SM社(自動制御機器の製造・販売)、OR社(自動車安全システムの製造販売)
②KUKA
【特徴】
- 顧客に合わせた自動化ソリューションを提案
- KUKAカレッジでの顧客向けセミナーの実施
- 技術ホットラインにより迅速にエラー分析を実施
- 導入したロボットや機械のメンテナンス、スペアパーツ供給までフォロー
【所在地】
神奈川県横浜市保土ケ谷区神戸町134
問い合わせフォーム
https://www.kuka.com/ja-jp
③川崎重工業株式会社
【特徴】
- 1969年に日本で初めての産業用ロボットを生産開始
- 産業用ロボットのリーディングカンパニーとして、自動車産業など幅広い業界に供給
- 自動化や省力化などに必要な解決策をSimple&Friendlyに提案
【所在地】
東京都港区海岸1丁目14-5
本社TEL:03-3435-2111
https://www.khi.co.jp/
5.生産システムのシステムインテグレーションに関するご相談はFAプロダクツへ
自社生産設備のコストパフォーマンスを最大に高めるためには、設備導入の段階からシステムインテグレータへ相談することをおすすめいたします。
FAプロダクツは、取引実績400社以上の経験から、お客様の要望に合わせた生産システムをご提案いたします。
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