ロボットケーブル選定を失敗しない方法とおすすめメーカ3選
ロボットが稼働するためには、必ず用いるのがロボットケーブルです。
ケーブルにはさまざまな種類があり、その用途も電力を供給したり信号を伝達したりとさまざま。ですが適切に選定をしないと、断線や不安定動作など起こる可能性があるため、ロボットの設計・導入と同様に気を配る必要があるでしょう。
本記事では、ロボットケーブルの特徴や規格を説明した上で、基本的な選定方法を解説しています。
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目次
1.ロボットケーブルとは
ロボットケーブルとはその名称通り、ロボットから伸びているケーブルのことです。しかし、ケーブルはケーブルでも、ロボットのケーブルは、信号を伝えるためのケーブルやインターネット通信をするためのケーブルとは少し違います。
以下で、詳しく説明していきます。
(1)ロボットケーブルの主な特徴
ロボットケーブルが普通のケーブルと主に違う点は、いろいろな悪環境に耐えられるようになっているところです。
産業用ロボットが使われる場所は、主に工場ですから、油などによる腐食やアルコールなどの溶剤による浸食が想定されます。また、ロボットの動作による、ねじれや曲がりなどで、ケーブルに負荷がかかることになります。このような悪環境に耐えられるように体制を付加したケーブルが、ロボットケーブルなのです。
また、製造現場は、普通の環境より危険が多いため安全が重視されます。たとえば、もしロボットが動作している最中に電源線がちぎれてしまったら、急停止したロボットが把持しているワークを放り投げることになり、大事故につながるかもしれません。
このような理由で、ロボットケーブルは特殊な製法と素材で製作されており、丈夫に作られています。
(2)ロボットケーブルの規格と種類
ロボットケーブルの主な特徴は上記の通り悪環境への耐性ですが、さまざまな規格や種類があります。いくつかご紹介しましょう。
①ロボットケーブルの規格
・JIS規格
JIS(Japanese Industrial Standards)規格とは、製造現場で広く一般的に使われる製品(ねじやエアチューブなど)について、各社の認識合わせのために考案された工業標準化法に基づいて制定された規格です。その名の通り、日本独自の規格で、国内では広く浸透しています。
ロボットケーブルに関しても、JIS規格は制定されております。
・UL規格
UL(Underwriters Laboratories Inc)規格とは、アメリカの規格で、米国保険業者安全試験所という非営利団体が考案した安全規格です。目的としては電気製品の品質を保ち、事故や火災の発生を未然に防ぐために考案されました。
あらゆる電気製品に対して規格を制定しているため、ロボットケーブルに関しても規格があります。前述のJISは日本国内では通用しますが、海外に輸出する際にはULの方が一般的とされています。
②ロボットケーブルの種類
上記の規格を満たしたケーブルには、用途に分けて種類があります。代表的な種類を紹介します。
・可動用ケーブル
可動用ケーブルは、ロボットのハンド部やケーブルベア部など、常に可動している場所に対して使われます。特にハンド部は、センサやエアシリンダなどの信号のやりとりをしなければならないため、複数のケーブルが走っています。
可動用ケーブルに要求されるのは、耐屈曲性などとにかく丈夫なことです。具体的には、電線外側のシールドが特に丈夫な素材で作られています。
・固定用ケーブル
固定用ケーブルは、基本的に動作しない部分のケーブルです。ロボット駆動用の強電力を通すケーブルなどがこれに当たります。動作を伴わないため硬い素材でできており、太いことが多いですが、その分、耐油性や耐塵性は高い性能を備えています。
・ネットワークケーブル
ネットワークケーブルは、通信専用のケーブルです。
最近の産業用ロボットはIPアドレスを備えており、パソコンとインターネット通信を行うことができる機種も多いですが、それ以外にもデバイスネットやイーサネットIPなど複数の規格があり、それぞれにケーブルが存在しています。通信信号はノイズの影響を受けやすいので、ノイズ防止用のケーブルシールドがしっかりとしたケーブルになります。
2.ロボットケーブルの選定について
ロボットケーブルには、さまざまな規格や種類があり、さらに開発しているメーカも多くあるため千差万別です。
しかし冒頭でお伝えしたように、自社に適切なケーブルを選定しないと、トラブルが起きる可能性が高くなります。そこで次に、具体的にどのように選べばいいのかご説明します。
(1)ロボットケーブル選定の基本
ロボットケーブルを選定するにあたっては、以下のような点に注意するといいでしょう。
①ロボットの作業環境
まず、ロボットの作業環境を考慮する必要があります。ロボットが常に忙しくなく動いているのであれば、耐久性がより優れたケーブルが望ましいでしょう。油に常に触れる環境なら、それに強いケーブルを選ばなければいけません。
②規格に注意
ケーブルの規格は、いわば共通認識のようなもので、そのケーブルがどのようなケーブルなのかを把握するのに非常に役立ちます。
スマートフォンを購入するときに、この機種は「電話とメールができるか」「インターネットにつなげるか」などといちいち調査したりはしないでしょう。「これはスマートフォンである」という認識があるだけで、できることは大体わかっているからです。
同じように、たとえば「JIS〜に定める」との記載があれば、どのような性能なのか確実に把握できます。
正確な選定のためにも、購入しようとしているケーブルの規格に関しては把握するようにしましょう。
(2)ロボットケーブル選定の失敗例
ロボットケーブルは、装置と違って選定ミスがどのような影響を与えるのかイメージしにくいので、ありがちな失敗例をいくつか挙げていきます。
①ケーブルがすぐ断線する
ロボットの環境をしっかりと把握しなかったことによる失敗です。極端な話になりますが、耐久性の低いケーブルを、よく擦れる箇所や曲がる箇所に用いれば断線が起きやすくなります。
そうなれば、当然ながら交換が必要です。ただロボットケーブルは、ロボットの内部を通っていることも多いので、交換に手間がかかることも珍しくありません。
②通信が不安定
無線などが飛び交っている環境や近くに高電圧の強電ケーブルがあると、通信用の電気信号がノイズによって乱されてしまい、通信が不安定になることもあります。ケーブルのシールドを環境に合わせたものにしないと、このような不具合が発生することもあります。
③ケーブルが多すぎる
特にイメージしにくい失敗ですが、闇雲に丈夫なケーブルを選んでおけばいいというわけではありません。耐久性の高いケーブルは、基本的に太く、物理的にスペースを取るものが多いからです。生産設備には多くのケーブルが走っているため、ケーブルの取るスペースが多すぎると逆に作業のスペースが狭くなり、作業効率に影響が及ぶことも考えられます。
3.ロボットケーブルのメーカ紹介
ロボットケーブルは、多くのメーカが開発を行っています。ここで代表的なメーカと主力製品についてご紹介します。選定の参考にしてください。
(1)大電株式会社
大電株式会社は1951年創業の老舗で、様々なロボットケーブルを扱っています。可動用ケーブル、固定用ケーブル、ネットワークケーブの全てを扱っており、ラインナップは随一。必要なケーブルを、このメーカで全て揃えてしまうのもひとつです。
特に可動用ケーブルのRMDHシリーズは細径化と耐久性の両立を実現しており、従来の30%減の径で省スペース化を図ることができます。
(2)沖電線株式会社
沖電線は沖電気工業のグループ会社で、電線業界では大手です。
大電株式会社と同じくあらゆるロボットケーブルを扱っていますが、ユニークで性能の高い製品が多いのが特徴です。例えば、同社のORP-TWは駆動部のねじりに特化し、ねじり動作に対して抜群の体制を誇ります。
ORP-Dは独自の素材をシールドに採用し、優れた性能を持ちながら、安価なコストを実現させています。
他社には真似できないレベルで、高い技術力を生かした電線を販売していますので、何かしら悩みがあるときには相談するといい提案をもらえることでしょう。
(3)株式会社ミスミ
株式会社ミスミは製造業全般のパーツなどを販売している会社です。その特徴は、圧倒的なパーツ種類にあります。ロボットケーブルに関しても、可動用ケーブル、固定ケーブルはもちろん、その芯数やケーブル太さなどに関してもあらゆる種類を網羅しています。
また、ケーブルを保護するための製品も充実しています。特に床配線用のケーブルカバーHSCEシリーズなどは、配線の省スペース化に多いに役立ちます。
4.ロボットケーブルに関するご相談はFAプロダクツへ
ロボットケーブルは、どちらかというと縁の下の力持ちという立ち位置で、あまり日の目を浴びることはありません。しかし、だからこそ選定で差が出る部品となります。
もし本記事でご紹介したメーカを見ても選びきれない……という場合は、FAプロダクツにご相談ください。
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