パターンマッチングによる画像処理│仕組みや流れ、検査事例を紹介
パターンマッチング画像処理は、産業用ロボットの動作を支援するための位置決めや、製品に付着した異物や汚れ、キズなどの外観検査などに利用できる画像認識手法の一つです。製品の製造に直接関わるのはもちろん、インラインでの合否判定などを行う場合にも役立ちます。
今回は、パターンマッチング画像検査の基礎や検査の流れ、実際に各メーカが製造・販売しているパターンマッチング画像処理システムやハードウェアとのパッケージ製品について紹介します。
また、自社の工程管理設備に画像処理を導入して、
- 省力化、省人化してコストダウンしたい
- 検査レベルを高めて品質価値を高めたい
というご希望がございましたら、お気軽に画処ラボまでお問い合わせください。ルール型画像処理からAIによる画像処理まで、ご希望に対して幅広い対応が可能です。
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目次
1.パターンマッチングの特徴
「画像認識」とは、撮影した対象画像がどういった意味を持っているか、また何が含まれているかを認知することです。画像認識には、「形状認識」と「構造認識」があります。
パターンマッチングは、形状認識に分類されるもので、分析対象画像の中に事前に登録した「パターン(形状)」と同じものがあるかをはもちろん、どこにあるかを検出します。
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(1)パターンマッチングでできる画像検査
①位置決め
産業用ロボットなどを生産ライン上で稼働させるためには、ロボットが掴むなどの動作を行う対象物が、どの位置にあるかを検出しなければいけません。ベルトコンベアを流れる部品などの画像を登録しておけば、パターンマッチングによって位置情報が検出でき、ロボットを該当部品まで誘導することができます。
②画像類似性検査
ラベルの文字情報などの画像を登録し、それらの登録画像と製品がどれくらい似ているかを確認することで、製品の合否判定を行うことができます。製品に正しい文字情報が入力されているか、正しくパーツが組み込まれているかといった検査が可能です。
③寸法計測
事前に登録した測定対象検出に必要なモデルを画像内で数カ所検知し、モデル間の距離などを計算することで、製品の合否判定に必要な寸法の計測ができます。
④製品の外観検査
例えば、製品の外観検査を行う場合には、事前に不合格となる画像パターンを設定しておけば、パターンマッチングで類似性の高い外観欠点(異物・傷・汚れなど)が検出された時に、該当箇所の合否判定を行うことができます。目視検査などの官能評価ではなく、画像処理データから機械的に製品の合否判定が可能となります。
2.パターンマッチングとテンプレートマッチング
テンプレートマッチングは、パターンマッチングの最もオーソドックスなマッチング方式です。撮影した画像等の中に、事前に画素単位で作成登録した「テンプレート(型紙)」と同じものが存在するか否かを検出する方法です。具体的には、撮影した画像上でテンプレートを移動させながら、相違度(似ていないレベル)や類似度(似ているレベル)を測りながら、類似性の高い画像を探し出します。
テンプレートと同じ形でなければ検知できないため、サイズが異なっていたり、少し傾いているような画像の場合は検出できません。そのため、検出精度を上げるためには、大きさや角度を変えたテンプレートを別途用意したり、パターンをいくつかに分割してテンプレート化するという対処法が取られます。
検出速度が遅いという欠点があるテンプレートマッチングは、残差逐次検定法(SSDA法)やピラミッド構造化法などによって処理速度の高速化が図られます。
3.パターンマッチングを用いた画像検査
(1)パターンマッチング画像検査の流れ
パターンマッチングによる画像検査は、基本的には以下のような流れで実施します。
①データの圧縮
パターンマッチングでは、モデル画像との完全一致を前提に検査すると、処理に膨大な時間がかかります。そのため、登録するパターンや検出対象の画像を圧縮して画素数を減らすことで、処理速度の向上を図ります。
②1回目のサーチング
初回のサーチングでは、登録していたパターン画像を検査領域内で一定の間隔で移動させることで、類似性の高い箇所を初期スクリーニングします。
③2回目のサーチング
初回のサーチングで類似性の高い箇所を検出した後に、その地点を中心として集中的に再検出を行います。2回目のサーチングでは、画像の圧縮レベルを落として、鮮明度を高くした画像で類似性の高い箇所を探します。
④最終検出
2回目のサーチングが終わった後、さらに限定した箇所を中心の、圧縮していない現物データでサーチングを行います。検査対象によっては、ここで1画素以下の高精度で画像処理を行う「サブピクセル処理」も実施します。
(2)各企業のパターンマッチング画像検査事例
①オプテックス・エフエー株式会社:HVS-PMシリーズ
(引用:オプテックス・エフエー株式会社「HVS-PMシリーズ」)
24bitのフルカラーで高精細な画像抽出が可能なため、対象物の色差が微妙なものでも判別が可能です。高速で高精度のパターンサーチが可能な位置検出アルゴリズムが組み込まれており、位置情報の取得も高速かつ正確です。また、最大8,000万枚の画像保存ができ、データベースから目的の画像を素早く見つけることもできます。
②株式会社リンクス:HALCON
「HALCON」は、さまざまなパターンマッチング画像検査を行える画像処理ライブラリです。日本国内で、数万の画像処理システムに使用されています。ディープラーニングによって、複雑な解析や抽出アルゴリズムを組まずに欠陥検出などが可能で、フィルタ処理や欠陥検査機能が豊富にあるため、使用環境に合わせた高精度検出ができます。
③コグネックス:PATMAX REDLINE
幾何学パターンマッチングを、処理速度を下げることなく高解像度かつ高精度で実施できます。この特徴から、角度やスケールが大きく変動するような検査や、同時に複数の対象物を画像検査する際にも、高精度かつ高速での処理が可能となります。
④VISCO:GradFinder®
(引用:VISCO「GradFinder®」)
「GradFinder®」は、幾何学パターンマッチングが行える画像処理アルゴリズムで、ボケやノイズがあったり方向のバラツキや濃淡がある画像でも正確な位置決めができます。0.2〜0.5msecと超高速でサーチができ、高精度な検出が可能です。また、幾何学パターンマッチングだけでなく、正規化相関サーチでの画像処理もできます。
⑤株式会社マーストーケンソリューション:MVF-500C
MVF-500は、新開発のセンサやレンズ(Cマウントレンズ)、照明を1台のスキャナに組み込むことで、読み取り能力だけでなく深度マージンも向上し、以下のような検査を同時に行うことができます。
- OCR(文字認識)検査
- 形状認識(パターンマッチング)検査
- バーコードなどの印字物の品質検査
4.パターンマッチング検査の相談におすすめのメーカー・ロボットシステムインテグレータ3選
①株式会社FAプロダクツ
【特徴】
FAプロダクツは年間200台もの実績がある関東最大級のロボットシステムインテグレーターです。一貫生産体制をとっており、設計から製造までをワンストップで対応。費用・時間にムダなく最適化を行うことができます。
また、お打ち合わせから原則1週間以内に「お見積りとポンチ絵」をご送付。
【ポンチ絵とお見積りのサンプル】
テキストやお電話だけでは伝わりづらいゴールイメージを共有し、スピード感を持った対応を心がけています。
また、同社の「画処ラボ」では、画像処理を用いた外観検査装置の導入に特化し、ご相談を受け付けています。従来は目視での官能検査に頼らざるを得なかった工程の自動化をご検討の際などにご活用ください。
業界最大級の画像処理検証施設を開設!
「画処ラボ」ではルールベースやAIの画像処理を専門エンジニアが検証。ご相談から装置制作まで一貫対応します。
【所在地】
茨城県土浦市卸町2丁目13-3
TEL.050-1743-0310(代表)
FAX.050-3156-2692(代表)
https://jss1.jp/
【営業品目】
- 産業用ロボット
- 生産設備合理化・省力化の設計及び製作
- 基板電気チェッカーや貼合・折曲など
- 治具の設計・製作
【実績】
NM社(電子部品の製造販売)、HS製作所(情報通信・社会産業・電子装置・建設機械・高機能材料・生活の各システム製造販売)、TT社(ショッピングセンターなどリテール事業)、SM社(自動制御機器の製造・販売)、OR社(自動車安全システムの製造販売)
②株式会社キーエンス
【特徴】
- 豊富な画像処理システムと画像センサであらゆるシーンに対応
- グローバルな画像検査システムの導入で培ったノウハウをもとにサポート
- サンプルワークを行いながら電話やWeb会議での打ち合わせが可能
【所在地】
大阪市東淀川区東中島1-3-14
TEL.06-6379-1111
FAX.06-6379-2222
https://www.keyence.co.jp/
③オプテックス・エフエー株式会社
【特徴】
- 世界No.1産業用センサメーカーであるSICK AG社と業務提携
- FA用のセンサ関連機器や装置の開発製造経験多数
- 光電センサやレーザ変位センサ、画像センサなど取扱いセンサは多数
【所在地】
京都市下京区中堂寺粟田町91 京都リサーチパーク9号館
TEL.075-325-2920
FAX.075-325-2921
https://www.optex-fa.jp
5.画像処理システムの導入に関するご相談はFAプロダクツへ
パターンマッチング画像検査システムを導入する際には、検査対象によって求められる処理速度や分解能などが異なるため、ハードウェアとソフトウェア両方の知識が必要です。
「画処ラボ」での画像処理システムサポートを行っているFAプロダクツは、御社のお悩みの解決を豊富なノウハウでサポートいたします。
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