人の空間認識を再現したステレオビジョンとは?導入メリットと課題
各種センサ類は時に正確かつ効率的な働きを見せてくれますが、どうしても人の目のような柔軟性はありません。しかし人の見え方と同じ原理を利用したステレオビジョンなら、より立体的に空間を捉えられます。
本コラムでは、ステレオビジョンの特徴と利点にスポットを当て、導入事例や効率化の理由についてまとめました。
また、ステレオビジョンを導入して、
- 省力化、省人化してコストダウンしたい
- 検査レベルを高めて品質価値を高めたい
- 自動化を安定させて売上をアップさせたい
というご希望がございましたら、お気軽に画処ラボまでお問い合わせください。ルール型画像処理からAIによる画像処理まで、ご希望に対して幅広い対応が可能です。
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目次
1.ステレオビジョンの特徴とは?そのアルゴリズムを理解する
ステレオビジョンは非常に優れたセンサで、人が空間を認識する際の仕組みと同じ原理が使われています。特徴やアルゴリズムを知れば、いかに優れたセンサであるかを理解できるでしょう。
(1)ステレオビジョンとは?
ステレオビジョンとは、2つのカメラで映像を捉えて距離を計測するセンサです。人がモノを見るときと同じ原理を採用しており、より立体的に物体を認識できます。
具体的にはカメラ2点間の距離と、物体までの距離をつないで測量する「三角測量」の原理を応用しています。
左右のカメラ間と物体とカメラ間の差を元に、奥行きを含めて立体的に把握が可能な仕組みです。車の衝突防止機能やロボットのセンサ・監視カメラやセキュリティと、非常に広い範囲で応用されています。
(2)ステレオビジョンの特徴について
ステレオビジョンは、カメラで捉えた画像を人間の目と同じ原理で捉えます。電波やレーザー光を発して反射したものを捉えるのではなく、画像を立体的に捉えるのが一番の特徴です。
たとえば赤外線やミリ波レーダーの場合、光線を1点ずつ当てて点状で捉えています。しかし私達は、点状で空間を把握しているわけではないですよね。どうしても人の空間認識を持たせるには、画像として立体的に捉える必要があります。
また計算アルゴリズムと計測しようとしている物体が正確に捉えられれば、あらゆるものを計測可能です。
(3)ステレオビジョンの計算アルゴリズム
ステレオビジョンの計算アルゴリズムは、いくつかの段階に分けられて処理が行われています。
- 歪み補正
- マッチング処理
- 三角測量を用いて距離を計測
最初の処理ではレンズ自体に見られる歪みを補正(キャリブレーション)し、正しい距離計測が行えるよう画像を調整します。
次に2つの画像が同じ平面上に来るよう平行化処理を行い、2つの画像をマッチング処理。このとき左右カメラの見え方の違い、つまり「視差」を元に三角測量で正しい距離を計測します。
交互に片目を閉じてものを見たとき、位置が変わるでしょう。この見え方の違いがわかれば、物体までの距離が計測できるというイメージです。
2.ステレオビジョンの利点と欠点は?優れた空間認識と課題について
ステレオビジョンは優れた空間認識が可能で、非常に幅広い応用が期待できます。
一方で課題もあるため、ステレオビジョン導入の前にある程度利点と欠点についても理解する必要があるでしょう。優れた精度を出すツールだからこそ、より専門性の高いメンテナンスも必要です。
(1)ステレオビジョンの利点
ステレオビジョンの利点は、見え方の違いである視差を利用しているため、どんな物体でも距離検出ができることです。
たとえばミリ波や赤外線レーダーでは、遠すぎる物体を検出できません。また単眼では立体的に把握ができず、絵なのか実物なのかさえも区別がつけられないでしょう。
しかしステレオビジョンは、左右のカメラをマッチングさせた際のズレから距離を計測します。映像として捉えられれば、そのまま計測ができるのです。視野角も広く、高速な画像処理技術を使えば処理時間も短く済みます。
(2)ステレオビジョンの欠点や課題
ステレオビジョンは非常に優秀なセンサですが、初期設定やメンテナンスが悪いと力を発揮できません。なぜなら2つのカメラが撮影した画像をマッチングさせ、画像のズレを計測するためカメラ間の位置が非常に重要だからです。
初期設定では正確に位置をそろえるため、特殊なキャリブレーション専用のボードが必要になることもあります。
また環境によって熱変形や、経時劣化によりカメラに絶妙な位置ズレが起こる場合もあるでしょう。優秀で精度の高いセンサだからこそ、繊細な調整が必要になるのも欠点と言えます。
(3)欠点や課題に対する対応策
せっかくステレオビジョンを導入しても、調整や初期設定に時間や手間を割かなければならないのは損失が大きいです。
たとえば、オートキャリブレーション(自動調整機能)が搭載されたステレオビジョンなら、変化する状況に合わせた調整がアプリケーション上で実現できます。下記は、実際にわずかなズレで誤差が生じる様子や、オートキャリブレーションの効率性について紹介されている動画です。
またステレオビジョン提供に注力しているメーカへ、相談してみると自身の状況に合った提案が行えるかもしれません。
弊社運営の「画処ラボ」では、お客様のご要望に応じて柔軟に対応策をご提案します。画像処理でお悩みの場合に設置からサポートまで、一元管理が可能です。
3.ステレオビジョンを実際に導入した事例や活用しているケース
では具体的にステレオビジョンを導入したら、どのような効果が得られるのでしょうか。実際に課題を踏まえた上で導入している事例を見ていただければ、どのような効果が得られるのか明確に理解できるでしょう。
この項目では導入事例を3つほどご紹介いたします。ぜひ参考にしてください。
(1)ピッキング作業の自動化
物流倉庫での仕分けやピッキング、梱包作業は未だに人の手で作業を行うことが多いです。しかし単純に業務量を増やすと作業者への負担が増大し、かつコストも上がってしまいます。
そこでステレオビジョンを活用した立体的な画像認識により、仕分け作業に人の手を割かなくてもよくなりました。実際にばら積みされた物体を正確に認識し、ロボットへ伝達。ハンドリングも複雑な制御を正確に行えます。
ばら積みピッキングに関しては下記の動画も参考にしてください。
(2)施設への出入り数を正確にカウント
商業施設やマーケティングのために、出入り数を正確にカウントしたい要望は多数あります。しかし実際にカウントするとなれば、人の手でカウンターを回すことが多いです。時間も取られ、人件費も作業量の割にパフォーマンスがよくありません。
そこで奥行きを正確に捉えるステレオビジョンと、人の認識を備えたソフトウェア制御の組み合わせで人数カウントの自動化に成功。さらに複数台の設置を行い、自動的により正確な人の流れを検出できるようになりました。
定期的に人の手を使うこともなく、カメラが認識している間は常時データを吸い上げできます。結果的により効果的なマーケティング戦略へと繋げられるでしょう。
動画も参考にしていただければ、どんな導入が見込めるのかがわかりやすいです。
(3)道路のインフラ整備を効率化
道路のインフラ整備は社会の安全を守る上でも重要で、老朽化による事故は未然に防がなくてはなりません。しかし見た目だけで道路の老朽化を判断し、補修していくのは非常に時間と手間がかかります。
ステレオビジョンを使った道路状況のモニタリングは、非常に精度が高いです。たとえば、ひび割れやわだちの深さ、路面の平坦性といった評価が一回の走行で算出できます。
さらに複数の項目を定量的に評価し、道路のコンディションを保つ指数を管理しておけば効率的に整備が行えるようになるのです。
具体的には下記の動画も参考にしてください。
4.ステレオビジョンや画像処理でおすすめのメーカ3選
①株式会社FAプロダクツ
【特徴】
FAプロダクツは年間200台もの実績がある関東最大級のロボットシステムインテグレータです。一貫生産体制をとっており、設計から製造までをワンストップで対応。費用・時間にムダなく最適化を行うことができます。
また、お打ち合わせから原則1週間以内に「お見積りとポンチ絵」をご送付。
【ポンチ絵とお見積りのサンプル】
テキストやお電話だけでは伝わりづらいゴールイメージを共有し、スピード感を持った対応を心がけています。
また、同社の「画処ラボ」では、画像処理を用いた外観検査装置の導入に特化し、ご相談を受け付けています。従来は目視での官能検査に頼らざるを得なかった工程の自動化をご検討の際などにご活用ください。
業界最大級の画像処理検証施設を開設!
「画処ラボ」ではルールベースやAIの画像処理を専門エンジニアが検証。ご相談から装置制作まで一貫対応します。
【所在地】
茨城県土浦市卸町2丁目13-3
TEL.050-1743-0310(代表)
FAX.050-3156-2692(代表)
https://jss1.jp/
【営業品目】
- 産業用ロボット
- 生産設備合理化・省力化の設計及び製作
- 基板電気チェッカーや貼合・折曲など
- 治具の設計・製作
【実績】
NM社(電子部品の製造販売)、HS製作所(情報通信・社会産業・電子装置・建設機械・高機能材料・生活の各システム製造販売)、TT社(ショッピングセンターなどリテール事業)、SM社(自動制御機器の製造・販売)、OR社(自動車安全システムの製造販売)
②SystemKCamera(システム・ケイカメラ)
【特徴】
おもにネットワークカメラや監視カメラを中心に扱っているメーカです。マーケティングから監視といった、ニーズに合わせた探し方ができます。
下記の図は、同社のAI画像認識例で人の動きを検知したシステム例です。
【所在地】
北海道札幌市東区北15条東1丁目2番24号
TEL:011-704-4321
FAX:011-704-4322
https://systemk-camera.jp/
③マイクロ・テクニカ
【特徴】
画像ソリューションにおける先駆者的な存在です。3Dソリューションのほか、協働ロボットを使用したシステムの提案から物流自動化まで手掛けます。
図は、同社のデパレシステムです。
(引用:マイクロ・テクニカ 物流業界向けロボット自動ピッキングシステム)
【所在地】
東京都豊島区東池袋3-12-2 ONEST池袋イーストビル
TEL:03-3986-2902
FAX:03-3986-2549
http://www.microtechnica.jp/
5.ステレオビジョン導入に関するご相談はFAプロダクツへ
どんなに素晴らしいセンサであっても、正しく使いこなさなければ狙ったような効果を発揮することができません。また、自分たちだけではなかなか気付けない問題点もあるものです。
もし導入の一歩が踏み出せない場合は、経験豊富なFAコンサルタントに、イチからサポートをお願いしてみるのもひとつです。
FAプロダクツでも、これまでに得てきた知識や経験を元に、お客様のニーズに合った提案をさせていただきます。ステレオビジョン導入をお考えの際は、是非ともFAプロダクツにお声掛けください。
関東最大級のロボットシステムインテグレーター 装置の設計から製造ならお任せください
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