工数集約で活躍する5軸加工機│3軸との違い・種類・導入のポイント
日本の製造業を支えている工作機械は、用途によってさまざまな種類があります。
なかでも5軸加工機は、その特徴から工数を集約することが可能なことで注目されています。また、近年の5軸加工機はソフトウェアの能力が向上し、扱いやすくなったため導入する企業が多くなっています。
しかし日本で5軸加工機の普及が進んでいないため、他の加工機との違いを詳しく知らない人もいるでしょう。
この記事では、5軸加工機の特徴や導入時の注意点などを解説します。また、開発メーカもいくつか紹介します。
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目次
1.5軸加工機とは何か
5軸加工機とは、工具を移動させる直線軸「XYZ」の3軸に回転軸と傾斜軸の2軸を追加した加工機のことです。2つの軸を追加することで、以下のことが可能になります。
- 取り付け、取り外しの時間削減
- 加工精度の向上
直線軸のみを備えた加工機を、3軸加工機と言います。3軸加工機の場合、加工面を変更したいときには加工物を取り外してもう一度固定し直さなければならないため、加工物の取り外しや取り付けの作業時間が必要になります。さらに、加工物の固定位置に誤差が生じて加工精度が安定しないデメリットがあります。
一方、5軸加工機なら加工物や工具を傾けることが可能です。回転軸と傾斜軸の2軸を使用して加工する面を変更できるため、加工物の取り外しや取り付けの作業時間は不要です。固定位置の誤差も無くなり、加工精度が安定するのも5軸加工機ならではの特徴と言えます。
2.5軸加工機の種類
5軸加工機はおもに以下の3種類あり、回転軸と傾斜軸を追加する箇所が異なります。
- 回転傾斜テーブル型
- 傾斜ヘッド回転テーブル型
- 回転傾斜ヘッド型
以下より詳しく解説します。
(1)回転傾斜テーブル型
回転傾斜テーブル型は、加工物をセットするテーブルに回転軸と傾斜軸を搭載した5軸加工機です。工具側(ヘッド側)は3軸加工機と同じ仕組みなので、3軸加工機に使い慣れているとスムーズに扱えます。
(2)傾斜ヘッド回転テーブル型
傾斜ヘッド回転テーブル型は、傾斜軸が工具側(ヘッド側)にあり、回転軸が加工物をセットするテーブル側に搭載した5軸加工機です。
工具側(ヘッド側)が傾斜することで斜め穴や横穴の加工ができます。また、テーブルが回転するので連続で複数面へ加工が可能で、とりわけ円筒形状の加工が得意です。テーブルが傾斜しないので大型の加工物も安定して加工できます。
(3)回転傾斜ヘッド型
回転傾斜ヘッド型は、回転軸と傾斜軸を工具側(ヘッド側)に搭載した5軸加工機です。加工物をセットしたテーブルが完全固定なので、大型や重量のある加工物でも安定加工が可能です。
3.5軸を駆使した加工方法
5軸加工機は回転軸と傾斜軸の使い方で2種類の加工方法があります。
- 割り出し5軸加工
- 同時5軸加工
順に解説していきます。
(1)割り出し5軸加工
加工前の角度に回転軸や傾斜軸を使用し、直線軸の3軸で加工する方法です。一度のチャッキングでさまざまな方向から加工ができるため、段取り替えの工数削減による「時間短縮」「コスト削減」に貢献している加工法です。
(2)同時5軸加工
同時5軸加工は、すべての軸を同時に動かして加工する方法です。複雑な曲面や加工面から見えない部分の「アンダー形状」の製品の加工が可能できます。代表的な加工製品例は、航空部品などで使用されるインペラーやブレードなどです。
4.5軸加工機を導入するときや使うときに気をつけたいこと
5軸加工機には気をつけるべきポイントが以下3つあります。
- 加工機の種類に気をつける
- 重切削や粗加工に向かない
- 1面だけ別工程で加工が必要
順に解説していきます。
(1)加工する重量に気をつける
加工対象物が重い場合、「回転傾斜テーブル型」での加工は控えたほうが無難です。重量物をテーブルにのせて傾斜させると傾斜軸に負荷がかかり、傾斜角を保てなくなるケースがあります。重量物の加工には、「傾斜ヘッド回転テーブル型」もしくは「回転傾斜ヘッド型」がおすすめです。
(2)重切削や粗加工に向かない
基本的に、軸数が増えると機械の剛性が下がります。5軸加工機は、一般的な3軸加工機より剛性が低いため、5軸加工機で負荷の大きいを切削すると加工機がたわんで品質が低下してしまいます。重切削や粗加工は3軸加工機でおこない、5軸加工機で仕上げ加工などを行うといいでしょう。
(3)1面だけ別工程で加工が必要
5軸加工機は6面すべてを加工できません。テーブルに固定する底面は加工できないため、別工程で加工が必要です。したがって5軸加工機で加工する前に、加工物をどのように固定するのかなどの下準備が重要となります。
5.5軸加工機を開発する主要メーカ、およびそれぞれの主力製品
ここからは、5軸加工機を独自で開発しているメーカと主力としている製品をお伝えしていきます。どのようなメーカや製品があるかの参考にご覧ください。
(1)DMG森精機株式会社
5軸加工機を主力としている日本の工作機械メーカです。複雑に動作する5軸加工機のセミナーなどもおこなっており、導入後も手厚いサポートが受けられます。また世界中に拠点があるため、海外でも安心して機械を使える会社です。
主力の製品は「DMU 50 3rd Generation」で、「回転傾斜テーブル型」の5軸加工機です。ボールねじなどの主要部品すべてを冷却し、熱変位を抑制するシステムが採用されたモデルです。長時間稼働をさせても、高精度な加工が行えます。
(2)オークマ株式会社
複合加工機や旋盤などの工作機械を開発し販売しているメーカです。ミクロン単位の加工精度を実現するために、卓越した技術者が多いことが特徴の企業です。
主力製品は「MU-10000H」で、X軸をテーブルに搭載した「横型5軸加工機」と呼ばれる加工機です。工具を水平に取り付けることで、切削切りくずが重力で自然落下しやすくなっているモデルです。一般的な「回転傾斜テーブル型」と異なり、最大積載重量が2,500kgまでの大型加工物に対応しています。
(3)ヤマザキマザック株式会社
NC旋盤機を主力とした工作機械メーカです。また、旋盤とマシニングセンタの機能を1台に集約した「複合加工機」を最初に開発した企業です。
主力製品は「VARIAXIS C-600」で、「回転傾斜テーブル型」の5軸加工機です。機械の仕様は、オプションを含めて4種類の主軸から選定できるなどバリエーションが豊富なことが特徴。パレットチェンジャを搭載でき、加工物の交換を自動で行うことも可能です。
6.5軸加工機の導入に関するご相談はFAプロダクツへ
5軸加工機は上手く活用すると工数削減や品質が向上します。
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