熱板溶着ってどんな仕組み?特徴や導入時の注意点から事例まで解説!
熱板溶着は現在も多くの場面で使われるほど主流な溶着方法で、特に気密性を保ちたい場合や接着強度を高めたい場合に有利です。
しかし熱を使った溶着方法のため、どんなものでも溶着できるわけではありません。本コラムでは熱板溶着の仕組みや導入時の注意点をまとめ、熱板溶着を導入する上で知っておくべきことを解説します。
もし、熱板溶着の導入に関するコンサルティングを受けて、
- 省力化、省人化してコストダウンしたい
- 生産性アップして売上を上げたい
- 人的ミスを減らして品質価値を高めたい
- どのメーカーの自動化設備を使えば効率的かわからない
という場合は、お気軽にFAプロダクツまでお問い合わせください。
関東最大級のロボットSIerとして、最適化のご提案をさせていただきます。
目次
1.熱板溶着のメカニズムは?特徴や欠点・導入時の注意点について
熱板溶着はシンプルなメカニズムで、熱で変形しやすい樹脂なら素材を問わず溶着が可能です。また古くから使われている代表的な溶着方法でもあり、応用範囲も広いので多くの場面で使われています。
実際に導入する際は、どのような特徴があるか理解しておくと導入イメージがしやすいでしょう。
(1)熱板溶着とは?
熱板溶着は名前のとおり、熱した板を素材間に挟み込んで溶着面を熱します。一定の温度まで熱したら、熱板を離して素材同士をくっつけます。
溶けかかった状態の樹脂同士を一定の圧力で押さえ込むと、溶け合った樹脂が強固に溶着。冷えて固まれば完成です。
熱板で直接溶かす「接触タイプ」と、輻射熱を利用して間接的に接着部分を溶かす「非接触タイプ」があります。
熱板の形を変えればどんな形状にも適合し、熱可塑性がある素材ならどんなものでも溶着できるのが最大の特徴です。
(2)熱板溶着の特徴やメリット・デメリット
熱板溶着は以下のメリットがあります。
- 大型・小型の部品を問わずしっかり溶着できる
- 立体的な形状であっても対応可能
- 削らないので樹脂カスが出ない
- 比較的シンプルな構造のため導入コストが安価
- 熱可塑性の樹脂ならなんでも溶着できる
- 気密性を重視するタンク部品に最適
シンプルに熱で溶かしてくっつける原理を採用しているため、サイズ問わずどんな形状のものでも溶着しやすいです。導入コストも安く、樹脂粉が出ないのでメンテナンスも行いやすいメリットがあります。
反対にデメリットは、以下の3点です。
- 精密機器や電子部品が入っていると溶着できない
- 溶着した際に余肉が出てしまう
- ヒーター切れや交換の手間がある
熱を伴った溶着方法のため、熱に弱い電子機器が入った溶着は故障のリスクがあります。またどうしても、溶着部分に盛り上がった余肉(バリ)部分が出来てしまうのもデメリットです。
しかし、部品によっては余肉(バリ)を気にしなくていい場合も多く、ヒーター切れを起こさない電磁誘導タイプもあります。
(3)利用時の注意点
熱板に直接触れて溶着を行うタイプの場合、樹脂が糸引きを起こす可能性があります。糸引きが発生してしまうと状態が悪くなるため、離型処理は重要です。
非接触の場合、輻射熱を利用するので、どうしても接触タイプより熱量を持たせる必要があります。
しかし溶着部位とのスキマや成形品が小さすぎる場合、必要以上に加熱してしまう可能性も高いです。加熱しすぎてしまうと樹脂が分解され、気泡ガス発生により接着不良を起こすこともあります。熱板の温度やワークとの距離、加熱時間といった温度と距離の調整が重要です。
また、接触・非接触どちらのタイプにも言えることですが、部材同士を溶着させるときの圧力が低いと溶着不足を起こし、圧力が高すぎると余肉(バリ)が多く排出されることにもなります。
2.熱板溶着の用途はどんなところに使われている?実際に溶着する製品例
熱板溶着はさまざまな樹脂溶着に向いており、多くの溶着用途で使われています。以下はほんの一例です。
- 自動車の樹脂タンクやテールランプ
- 住宅向け貯水タンク
- 防炎・テント用といった樹脂シート類
- 携帯電話の樹脂ケース
- 文房具ケース
- 家電・家庭用品
とくに強度や密封性を要求する自動車部品で多く使われています。ほかにも液体全般を扱うタンク類は利用頻度が高いです。また大きな製品だけではなくフィルムやシート類にも活用されており、工業製品から家庭用品まで幅広く活用されています。
3.熱板溶着の導入事例も知りたい!どんなところに導入されているの?
熱板溶着の導入を考えた際、実際にどのような現場に導入されているのかを見たほうがイメージしやすい場合も多いです。そのため、この項目では、具体的にどんな導入事例があるのかをいくつか紹介します。
実際にどんな課題があって導入に踏み切ったのか、参考にしていただければ幸いです。
(1)硬水軟化装置に使われる圧力容器の溶着
硬水軟化装置は、硬度の高い水を軟水に変える装置です。とあるメーカでは、ガラス繊維強化ポリプロピレン製の圧力容器を高圧溶着する必要がありました。
圧力容器は一定の圧力が加わるので、密閉の重要性は非常に大きな課題です。加えてガラス繊維で強化されているポリプロピレンの溶着は、通常のヒーターだと溶着不良を起こします。
そこで溶融層を熱くするため、赤外線ヒーターを活用した非接触タイプの溶着機を導入しました。その結果、強化樹脂による軽量で耐久性の高い高圧容器を生産できるようになりました。
(2)樹脂シートの生産で熱板溶着に切替えて効率化
樹脂シートを生産していたメーカでは、シート同士の貼り合わせに接着シートや接着剤を利用していました。貼り合わせる手間や人件費にコストがかかっており、効率化が課題となっている状態でした。
そこでシートの接着方法を熱板溶着に切替え、生産性の向上だけではなく製品強度の向上も実現させました。
(3)自動車部品の溶着で一工夫により生産性の向上
熱板溶着では、素材に熱板の熱を伝導させるのにどうしても時間がかかります。
しかし、単に熱板の温度を上げるだけでは、逆に作業効率を悪くするおそれがあります。実際に熱板溶着を導入した自動車工場では、タクトタイムを短くしようとして熱板温度を上昇させたところ、熱板と部品がくっついてしまい、むしろメンテナンスの回数が増えてしまいました。
そのため、効率を上げたい場合は一工夫が必要です。
上記の工場では、メンテナンス回数が増えたため、熱板の温度が高くても離型しやすいコーティングを導入しました。それによって、離型効果の持続時間を3ヶ月から7ヶ月に伸ばすことに成功しています。
4.熱板溶着機の導入や相談におすすめのメーカー・ロボットシステムインテグレータ4選
最後に、熱板溶着を行う熱板溶着機を導入するときのおすすめの相談先として、ロボットシステムインテグレータや開発メーカを4つご紹介します。
①株式会社FAプロダクツ
【特徴】
FAプロダクツは年間200台もの実績がある関東最大級のロボットシステムインテグレーターです。一貫生産体制をとっており、設計から製造までをワンストップで対応。費用・時間にムダなく最適化を行うことができます。
また、お打ち合わせから原則1週間以内に「お見積りとポンチ絵」をご送付。
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テキストやお電話だけでは伝わりづらいゴールイメージを共有し、スピード感を持った対応を心がけています。
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「画処ラボ」ではルールベースやAIの画像処理を専門エンジニアが検証。ご相談から装置制作まで一貫対応します。
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茨城県土浦市卸町2丁目13-3
TEL.050-1743-0310(代表)
FAX.050-3156-2692(代表)
https://jss1.jp/
【営業品目】
- 産業用ロボット
- 生産設備合理化・省力化の設計及び製作
- 基板電気チェッカーや貼合・折曲など
- 治具の設計・製作
【実績】
NM社(電子部品の製造販売)、HS製作所(情報通信・社会産業・電子装置・建設機械・高機能材料・生活の各システム製造販売)、TT社(ショッピングセンターなどリテール事業)、SM社(自動制御機器の製造・販売)、OR社(自動車安全システムの製造販売)
②デュケインジャパン株式会社
【特徴】
デュケインジャパン株式会社は米国のデュケイン社が発祥となっており、1922年からの歴史があります。熱板溶着機のほか、スピン溶着機や振動溶着機・超音波溶着機に強いです。
下記の画像はデュケイン社のTH3シリーズで、熱板溶着のほか赤外線・ホットガス溶着の3機能を揃えています。
(引用:DUKANE 熱板溶着機TH3シリーズ)
【所在地】
千葉県柏市根戸206-3 北柏ビル1F
TEL:04-7136-2165
FAX:04-7136-2166
https://www.dukane.jp/
③精電舎電子工業株式会社
【特徴】
プラスチック製品の溶着・溶断技術では国内トップレベルのメーカです。また下記で紹介する非接触タイプの熱板溶着機は、電磁誘導を利用した加熱方式を採用。ヒーターよりも短時間で加熱し、ヒーターを内蔵しないので熱板形状の自由度が高いです。
(引用:精電舎電子工業株式会社 非接触熱板溶着機)
【所在地】
東京都荒川区西日暮里2丁目2番17号
TEL:03-3802-5101
FAX:03-3807-6259
https://www.sedeco.co.jp/
④ワイエル工業株式会社
【特徴】
ワイエル工業株式会社は昭和40年創立の老舗企業で、お客様の要望に沿った柔軟な自動機納入を実現している企業です。代表的な熱板溶着機は下記のWHP-2です。
(引用:ワイエル工業株式会社 樹脂加工機)
【所在地】
千葉県印西市船尾381
TEL:0476-47-3322
FAX:0476-46-0213
http://www.waiel.co.jp/index.html
5.熱板溶着機の導入に関するご相談はFAプロダクツへ
熱板溶着機は、古くから利用されている溶着機です。導入に際しても構造がシンプルで複雑な機器を入れなくて済むため、コストもあまり多くはかかりません。
しかし熱板溶着は、何にでも向いているわけではなく、場合によっては違う方式のほうが良い場合もあります。まずは熱板溶着の仕組みや特徴を知り、導入事例を見ながらどのような導入が最適か確認してみると良いでしょう。
もし導入でお悩みの場合、導入事例や知識・経験豊富なメーカーに相談してみるのも手です。FAプロダクツでは、自動化やロボット導入に多くの経験があります。お客様の要望に沿った上で、最適な提案が可能です。
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