ホモゲナイザーとは?選定のコツや注意点・主要製品10選
ホモゲナイザー(ホモジナイザーとも言います)とは、流体(主に液体)の乳化・均質・分散を行う均質機の一種です。
具体的には成分の分散・均一化や、水と油が混ざって安定した液体(エマルション)の生成などを行えます。食品・化粧品・医薬品など、成分の乳化や均質が必須の分野で幅広く活躍しています。
ホモゲナイザーにはさまざまな種類や導入時の注意点が存在するため、「どのようなホモゲナイザーを導入すべきかわからない」と悩む担当者も多いのではないでしょうか。
当記事ではホモゲナイザーの選び方やホモゲナイザー導入におすすめのメーカ、導入のメリット・デメリット、ホモゲナイザーで生産性を上げるポイントなどを解説します。
もし、ホモゲナイザーのコンサルティングを受けて、
- 省力化、省人化してコストダウンしたい
- 生産性アップして売上を上げたい
- 人的ミスを減らして品質価値を高めたい
- どのメーカの自動化設備を使えば効率的かわからない
という場合は、お気軽にFAプロダクツまでお問い合わせください。
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目次
1.ホモゲナイザー(ホモジナイザー)とは?選び方のコツ
ホモゲナイザーを選ぶ際は、ホモゲナイザーの種類やホモゲナイザーの使用目的、前後工程や操作手順の確認などを意識しましょう。
以下でくわしく解説します。
(1) ホモゲナイザーとは
はじめに、ホモゲナイザーを理解するための基本事項を紹介します。
➀ 乳化
乳化は、混じり合わない物質が混じり合った状態のことです。
例えば、水と油を合わせると油が粒子状になって水に浮いた状態になります。
そしてこの液体を強くふったり、かき混ぜれば一時的に混合します。この状態が「乳化」です。
乳化には、「O/W乳化」と「W/O乳化」の2つがあり、O/W は 水の中に油の粒子、W/O は油の中に水の粒子が混じっているという意味です。
商品によって、どちらを使用するかが決まります。
図1に乳化によって油と水がどのように変化するを紹介します。
図1の左側は、油と水が入っていて、かき混ぜて混合した状態です。
しばらく時間が経つと、真ん中のように、水と油は分離した状態になります。
図1の右側は、乳化して後の図で、水と油の粒子が細粒化して、均一化しています。
② ホモゲナイザー
図2では、ホモゲナイザーについてイメージ図とその構成を紹介します。
プランジャポンプが左側にあり、ここに原料を投入し、ピストンで高圧化して、ホモナイザ―に導入します。
ホモゲナイザ―に入った原料は、バルブシートにぶつかりながら狭いシートを高速で出口に向かい、シートを出たところでバルブやブレーカリングに激しく衝突し、細粒化します。
さらにキャビテーションによって泡になり、それが破裂したときの衝撃も加わります。
ホモゲナイザ―の出口では、油と水の粒子が乳化、均一化した状態となります。
なお、ここで細粒化しないものがある場合があり、そのときは、プランジャポンプに戻して、再度、乳化を行うか、ホモゲナイザ―の2段目、3段目を接続して連続して乳化する方法があります。
どちらを選ぶかは、原料・装置費用・製造工程への影響などを検討して、選ぶことになるでしょう。
ホモジナイザの原理
引用:【90秒でわかる】ホモジナイザの原理 |株式会社大興製作所
ホモジナイズとは何ですか?
引用:ホモジナイズとは何ですか? | シルバーソン ニッポン
N2000 超高圧無脈動ホモゲナイザー
引用:N2000 超高圧無脈動ホモゲナイザー | Homogenizer KOS21
(2)ホモゲナイザーの種類を確認する
ホモゲナイザーの種類は粒子の破壊方法によって「高圧式」「超音波」「高速(回転)」に分かれます。
種類 | 概要 |
高圧式ホモゲナイザー | 均質バルブで流体に高い圧力をかけ、ホモバルブシートやインパクトリングを利用した破砕・せん断力。気泡の破裂(キャビテーション)によって粒子の均質化を行うタイプ |
超音波ホモゲナイザー | 流体に超音波振動を与えて気泡を発生させ、気泡の破裂の衝撃で粒子の均質化を行うタイプ |
撹拌ホモゲナイザー | 固定外刃と回転内刃からなる、内刃の高速回転や遠心力、超音波、刃などによる粒子の均質化を行うタイプ |
製造現場では、高粘度・大量生産に対応できる高圧式ホモゲナイザーがよく利用されます。
高圧式ホモゲナイザーに圧力の調整方法には、手動ハンドル式と自動制御式があります。
乳製品など脂肪球を均質化に対応するには、二段加圧式の導入も検討しましょう。
またホモゲナイザーには、内部を無菌状態に保つことで食品・化粧品・衣料品の製造に対応できる「アセプティックホモゲナイザー」や、研究施設用のコンパクトな「ラボスケールホモゲナイザー(ラボ用ホモゲナイザー)」があります。
(3)使用目的・自社製品に合う種類を選択する
ホモゲナイザーは、使用目的や自社製品に合う種類を選択します。たとえば製造現場にはアセプティックホモゲナイザー、本社や研究開発質にはラボスケールホモゲナイザーを選択すると良いでしょう。
また、自社製品に合うかどうかを確認することも、ホモゲナイザーの選び方のポイントです。
以下の点に注意しましょう。
- 流体は高粘度か
- 乳化が必要なのか(乳原料を使用するのか)
- 成分はそのままに細胞だけを砕く性能になっているか(医薬品製造など)
- 1日にどれくらいの生産量が必要なのか(ホモゲナイザーの生産能力に合うか)
- ホモゲナイザー本体のサイズはどれくらいなのか
(4)前後工程の状態や作業内容を確認する
ホモゲナイザーは、前後工程との相性が重要になる機器です。
たとえば不良発生によって高圧式ホモゲナイザーに個体の原材料が侵入する構造だと、ホモバルブやピストンの破損に繋がります。設定通りの均質効果も得られません。
またホモゲナイザーから出た後の工程も確認しておきましょう。たとえば高圧ホモゲナイザーは流体ポンプの役割も担いますが、もし後工程で液封状態が発生するバルブ・配管の配置だと、バルブの操作ミスや配管の接続ミスなどが原因で、ホモゲナイザー本体やバルブ・配管の破損につながります。
導入前には「ホモゲナイザーを導入しても問題のない工程か」や「人的な操作ミスで機械に負荷が直接かからないか」などをチェックしておきましょう。
(5)定期メンテナンスに対応してくれるメーカにする
ホモゲナイザーは製品の成分の分散や均質化という、製品品質の根幹に関わる部分を担う機械です。他の機械で代用はできません。もし生産途中で故障すると、1日~数週間レベルで生産が止まる可能性があります。
そのためホモゲナイザーは故障しないよう、定期的なメンテナンスの実施が大切です。しかし専門的な機械であるため、最低でも年に1回はメーカによるメンテナンス・オーバーホールを受けるようにしましょう(ホモバルブなどは自社対応も可能)。
また深夜や緊急時のトラブルに対応してくれるメーカを選ぶことも重要です。
2.ホモゲナイザー導入のメリット・デメリット
ここでは新しいホモゲナイザーを導入するメリットとデメリットを解説します。
(1)ホモゲナイザー導入のメリット
新しいホモゲナイザーを導入するメリットは次のとおりです。
- 一日あたりの生産量の増加が見込める
- チョコレートや抹茶など高粘度の製品にも対応できるようになる
- 手動ハンドル→自動制御型への変更であれば作業工数が減る
(2)ホモゲナイザー導入のデメリット
新しいホモゲナイザーを導入するデメリットは次のとおりです。
- 数百万円レベルの金銭的コストがかかる
- 自主点検レベルでも機器分解の難易度がやや高い
- 導入後を見こした配管・操作方法・洗浄方法の見直しが必要になる
3.ホモゲナイザーを用いて生産性を上げるポイント
ホモゲナイザーを用いて生産性を上げるポイントは、ホモゲナイザーの前後工程や生産体制を整えることにあります。いかに優れた性能を持つホモゲナイザーであっても、流体の状態が悪かったり、その性能を持て余す生産計画だったりすると、宝の持ち腐れです。
以下のポイントを意識しましょう。
- ホモゲナイザーの前工程で、ある程度粒子を粉砕できる機器を導入する
- ホモゲナイザーの前で個体や異物を取り除く適切なメッシュのストレーナを取り付ける
- ホモゲナイザーの能力に合った生産計画を立てる
- ホモゲナイザーの排出力に見合った後工程の殺菌機を入れる など
また機械知識だけでなく、製品になる流体そのものの知識を身につけることも大切です。たとえば乳化(エマルション)の原理や乳化剤といった原材料の知識などが挙げられます。
知っておけば、原因不明のトラブルが発生したときや新製品のテスト生産のとき、問題の解決に役に立つことも少なくありません。ホモゲナイザーの状態を見て、「前工程でもうすこし粒子の粉砕が必要」「乳化剤の量が違うのでは」などを判断できます。
またホモゲナイザーの導入検討時にも、製品の乳化や成分状態を把握しておくことで、メーカとのやり取りがスムーズに進みます。研究部に任せるのも手ですが、担当者または現場作業員が知識を付けるのに越したことはないでしょう。
4.ホモゲナイザー(ホモジナイザー)導入におすすめのメーカ4選
ホモゲナイザーの導入でおすすめなのは次の4社です。
- 三丸機械工業株式会社
- プライミクス株式会社
- 株式会社イズミフードマシナリー
- 株式会社エスエムテー
(1)三丸機械工業株式会社
(出典:三丸機械工業株式会社)
三丸機械工業株式会社は1918年創業で100年以上の歴史がある、高圧式ホモゲナイザーの専門メーカです。省エネかつ30~40年の連続使用ができる耐久性を持つ高圧式ホモゲナイザーを提供しています。また流体を保存するエージングタンクや、流体の殺菌・滅菌を行う殺菌・滅菌装置も取り扱っています。
①エコナイザーシリーズ
三丸機械工業では、エコナイザーシリーズを展開しており、その中に遠隔操作ができる無脈動ライン機の「エコナイザー1000」があります。
(出典:三丸機械工業株式会社)
②HCシリーズ
また1時間に流体1,000~22,000Lまで対応できる「HCシリーズ」や二段加圧式ホモゲナイザー、ラボスケールホモゲナイザーなど、あらゆる高圧式ホモゲナイザーを取り扱っています。
(出典:三丸機械工業株式会社)
それぞれの機器の値段はメーカへ直接お問い合わせください。
【所在地】
静岡県三島市長伏155番地の13三島工業団地
TEL 055-977-7600
FAX 055-977-7612
(2)プライミクス株式会社
(出典:プライミクス株式会社)
プライミクス株式会社は、高速撹拌機(こうそくかくはんき)のリーディングカンパニーとして、1927年より90年以上の歴史を持つメーカです。兵庫県淡路島に本社工場や品質保証部門、乳化分散技術研究所などを構えています。
プライミクス株式会社は高速撹拌による分散機を取り扱っています。ホモゲナイザーのように流体の乳化・分散を行う「ホモミクサーMARKⅡ」や「ホモディスパー」などです。
①ホモミクサーMARKⅡ
(出典:プライミクス株式会社)
②ホモディスパー
(出典:プライミクス株式会社)
③フィルミックスシリーズ
また製品開発・研究用の乳化機・分散機や、ナノメータから数十マイクロメータの粒子に対応する「フィルミックスシリーズ」もあります。
(出典:プライミクス株式会社)
それぞれの機器の値段はメーカへ直接お問い合わせください。
【所在地】
兵庫県淡路市夢舞台1-38
TEL:03-3455-6011(東日本)
FAX:03-3455-6071
(3)株式会社イズミフードマシナリ
(出典:株式会社イズミフードマシナリー)
株式会社イズミフードマシナリーは、食品・化学品・医薬品に関する総合的な製造設備のトータルエンジニアリングを提供するメーカです。経営面では、住友重機械工業や日本スピンドル製造株式会社がそれぞれ出資しています。
イズミフードマシナリーのホモゲナイザーは、アイスクリームやコーヒー、ドレッシング、バター、香料などのさまざまな製品に対応できます。
①HV-Eシリーズ
豊富な機器設計のキャリアと技術によってフレキシブルな対応性や1時間最大40,000Lの生産力を備えたモデルです。
(出典:株式会社イズミフードマシナリー)
②HV-Aシリーズ
最小で1時間30Lの少量生産に対応できるモデルです。
(出典:株式会社イズミフードマシナリー)
③HV-Hシリーズ
シリンダーブロックの強化によって高圧力に対応できるモデルです。
(出典:株式会社イズミフードマシナリー)
それぞれの機器の値段はメーカへ直接お問い合わせください。
【所在地】
兵庫県尼崎市潮江4丁目2番30号
TEL:03-6737-2670(東京)
(4)株式会社エスエムテー
(出典:株式会社エスエムテー)
株式会社エスエムテーは、乳化・分散に関する製造機器の販売から、顧客のニーズに沿った乳化技術・分散技術のコンサルティングを行うメーカです。こちらが提出したサンプルの内容を考慮し、適切な製品を提案をしてくれます。
株式会社エスエムテーは、圧力式(高圧式)のタイプを取り揃えています。1時間最大60,000Lに対応できる「G-MODEL」、開発・研究、少量生産向けの「LAB1000」などです。
①G-MODELシリーズ
(出典:株式会社エスエムテー)
②LABシリーズ
(出典:株式会社エスエムテー)
【所在地】
東京都葛飾区柴又7-11-15
TEL 03-5694-5309
FAX 03-5694-5329
5.ホモゲナイザー(ホモジナイザー)導入に関するご相談はFAプロダクツへ
ホモゲナイザーは流体の乳化・均質・分散に関わる、製造工程において非常に重要な機会です。導入時には種類や前後工程に気を配る必要がありますが、自社製品や製造ラインに合うホモゲナイザーを選べれば、生産効率を大きく上げられます。
ただしホモゲナイザーは特殊かつ専門性が求められる機械であるため、知識や経験が浅いままで導入から操作まで自社だけど行うのは危険です。もしホモゲナイザーの導入に関してコンサルティングを受けたいときは、弊社株式会社FAプロダクツが請け負います。
【特徴】
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