三次元測定機とは?選定方法や活用のポイント、おすすめ製品6選!
三次元測定機とは、測定対象物の三次元座標データを取得して、立体的にとらえることができる装置です。
三次元測定機は、研究開発の現場はもちろん、自動車に使用するギアや切削に使う工具、航空機エンジンのコンポーネントといった部材の製造現場での品質管理にも使用されています。
この記事では、三次元測定機の選び方や導入によるメリットやデメリット、三次元測定機の導入によって生産性を上げるための注意点などを解説します。また、三次元測定機を取り扱うメーカや代表的な製品についても紹介します。
もし、三次元測定機導入のコンサルティングを受けて、
- 省力化、省人化してコストダウンしたい
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- 人的ミスを減らして品質価値を高めたい
- どのメーカーの自動化設備を使えば効率的かわからない
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目次
1.三次元測定機とは?
(1)三次元測定機とは
三次元測定機とは、測定ステージ上に設置した対象物のXYZ軸の3次元座標を計測することで、寸法や部品同士の位置関係・輪郭などの三次元的な形状を測定する機械です。
三次元測定機の測定方式には接触型と非接触型があり、測定データを活用してさまざまな分析を行うことができます。
ノギスなどのハンディ計測器では直接測定できない場所での使用はもちろん、仮想点をベースとした幾何公差の測定などもできます。
(2)三次元測定機の測定方法
図1は、中間工程のワークの寸法測定検査を表しています。
中間の工程が終了したワークの最終検査として寸法検査を行うために、検査エリアに入ってきたところです。
この寸法検査終了後に組立工程に入るため、この検査でのミスは後工程・前工程への影響が大きく、重要な検査と言えます。
図1の1-A図ではワークの寸法検査を行う範囲を示しています。
寸法検査が自動化される前は、作業者が寸法検査を行い精度内であることを確認し、次工程に回す必要がありました。
現在は1-B図のように三次元測定機が揃い、手動でプローブを使い三次元測定器を動作させます。
三次元測定機は、基準点の座標を決めて検査位置にプローブを当てれば、測定ポイントの位置座標(x,y,z軸)が特定され、自動計算で寸法が表示されます。
1-C図は、自動化された三次元測定器を表しています。
ワークを測定台に置いた上で人が制御器から測定点を指示すれば、自動で位置座標を特定して制御機に結果を表示します。
下の図2は、三次元測定機の測定対象が複雑化したワークを測定する場合について表しています。
基本的には図1同様に、基準の座標を決め測定ポイントの測定を行いますが、図1と異なるところは、ワークに凹部の形状と球体部が付いており球体半径と球体輪郭と真円度を測定する必要があることです。
凹部の形状は、現在のプローブでは長さが短い可能性があり、その場合は、スペアのプローブと取り替えます。
球体部の測定は、球体全体のデータから最小二乗法などによってデータを整理することで輪郭度の測定ができますが、真円度は、真円度測定用に変えて測定します。
ワークによって計測部位はさまざまですが、ほぼ全てが三次元測定機で測定可能です。
なお、三次元測定機には測定の自由度が高くなるアーム型(ロボットアーム)もあります。
三次元測定機について、以下の動画も参考にしてください。
都産技研 動画で見る、三次元座標測定機
引用:都産技研 動画で見る、三次元座標測定機(設備紹介)| 東京都立産業技術研究センター
3次元測定器、真円度測定器、表面形状・粗さ測定器など研削加工、研磨加工に必須な検査設備の説明
引用:3次元測定器、真円度測定器、表面形状・粗さ測定器など研削加工、研磨加工に必須な検査設備の説明 | 株式会社加藤研磨製作所
KEYENCE ハンディプローブで3次元検査!
引用:KEYENCE ハンディプローブで3次元検査!【3D inspection with KEYENCE handy probe!】| ヒラノTV /SHEET METAL FACTORY
2.三次元測定機の選び方
三次元測定機にはシンプルなハンディタイプから大型機までさまざまなものがあります。ここでは、自社に適した三次元測定機を選ぶための基本的なポイントを3つご紹介します。
(1)対象物に合わせた測定方式を選ぶ
三次元測定機には接触型と非接触型があります。接触型は測定プローブを直接接触させるため測定精度は高いのですが、変形しやすい物の測定には不向きです。非接触型は、レーザーを使用して測定するため対象物を傷つけることがなく、比較的大型の部材でも測定可能です。
(2)許容コストを見定める
三次元測定をできる機械には、ノギスやマイクロメーターのような安価なものから、数千万規模のものもあります。製品の品質規格に対応できる測定レンジであることはもちろん、無理のないコストを意識する必要があります。
(3)何をどれくらいの時間で測定したいかを明確にする
測定対象物の何を測定したいかはもちろん、計測に際しての許容時間も明確にしておきましょう。比較的小型で単純な構造の製品の長さや穴径を測定するだけならノギスやマイクロメーターでも可能ですが、手動測定では測定点数しだいでかなりの時間を要します。
3.三次元測定機導入のメリットと検討事項
三次元測定機を導入するうえでは、導入によって得られるメリットや、デメリットを踏まえた上で注意すべきポイントを事前に把握することが大切です。三次元測定機のメリット・デメリットを以下にまとめましたのでご参考ください。
(1)三次元測定機導入のメリット
①複雑で大型のワークの形状測定が可能
非接触型の3Dスキャナ形式ならば、ノギスやマイクロメーターなどのハンディ計測機での測定が難しい複雑形状の測定が可能です。また、門型測定機ならば人の立ち入りが難しい場所での大型ワークの三次元形状測定が可能です。
②測定工数を大幅に削減できる
三次元測定機は自動測定が可能なものが多く、接触型の場合はプローブのキャリブレーションなどの手間がかかりはしますが、手動測定よりも大幅に計測時間を削減できます。
③計測データが蓄積できるので後処理もできる
三次元測定機は、XYZの三次元座標系で多地点のデータ収集・保存できます。そのため、製品仕様に合わせた管理値の設定や、保存データを元に後からさまざまな計算処理を行うこともできます。
(2)三次元測定機導入時の検討事項
①導入やメンテナンスコストがかかる
三次元測定機は大型・高精度になるほど導入コストが高くなる傾向にあり、大型ワーク対応型になると導入に数千万円を要するものもあります。また、測定精度の維持のためには、メーカーによる定期的なメンテナンスや、プローブのキャリブリレーションなどが必要となります。
②測定機によっては設置に多大なスペースが必要になる
三次元測定機は測定する対象物によってもサイズが決まるため、大型ワークに対応する測定機導入にはかなりのスペースが必要になります。また、機器の設置環境の温度変化によっても測定に影響を与えるため、温度管理が可能な設置場所の確保が欠かせません。
③三次元測定機で測定できないものもある
非接触型の3Dスキャンタイプの三次元測定機は、黒色のものや鏡面や光沢のある対象物の測定ができません。接触式の三次元測定機もプローブが届かない範囲は測定できないため、アーム式の測定機などの検討も必要になります。
④高速での連続測定が難しい
三次元測定機は、高速で生産する製品を連続的に測定するのには向いていません。接触型の三次元測定機の場合は、プローブの設定角度などを変更する度にキャリブレーションが必要となります。また、非接触型の3Dスキャンタイプの場合は、複数回のスキャニングが前提であり、検査の早さを求めらえれる状況での使用には不向きです。
4.三次元測定機を用いて生産性を上げるポイント
三次元測定機のメリットやデメリットを踏まえて、三次元測定機を用いて生産性を向上させるポイントをご説明します。
(1)導入する設備の費用対効果検証を綿密に行う
三次元測定機によって品質管理を行う際には、納入規格内の管理レンジで測定できるような装置が求められます。しかし、高精度かつ高速での測定ができる機種は限られており、測定条件の要求が高まるほど導入コストも高くなります。
また、三次元測定機は導入する際にスペースの確保が必要であり、測定精度の維持には測定場所の温湿度管理も重要です。
自社製品の歩留まり向上による製造原価改善額が、三次元測定機の導入・維持コストを上回ることが大前提なので、事前の試算が非常に重要です。
(2)検査の精度・速度限界を理解した上で工程に組み込む
三次元測定機は測定対象物の形状が複雑かつ大型になるほど、高精度で測定するのに時間を要します。そのため、生産途中での検査の場合、三次元検査機の検査工程が生産速度を圧迫してしまう可能性があります。
必要な測定精度が得られる検査速度マージンを事前に把握した上で、どの工程で検査を行うかを明確にしておきましょう。
(3)SIerに自社に適した三次元測定機について相談する
三次元測定機は測定対象物よって求められるサイズや方式が異なり、品質規格によって必要な測定精度が異なります。また、三次元測定機を扱うメーカもさまざまであり、自社の使用目的に適した装置を選定するのは困難です。
そのため、三次元測定機の導入実績があるSIerに、装置選定はもちろんインラインによる品質管理化の相談などを行うことも重要です。
5.三次元測定機のおすすめメーカと取扱い製品
次に、三次元測定機のおすすめメーカと、各社の取扱い製品の特徴をご紹介します。
(1)株式会社ミツトヨ
【特徴】
・1934年にマイクロメータの日本国内生産を目標として研究所を開設
・『貼る』技術にこだわり続け、ラベルやフィルム類などさまざまなラミと剥離に対応
・機械の受注・設計・製造・納入まで一貫メーカとして日本だけでなく世界で導入実績あり
【三次元測定機】
ミツトヨでは、汎用の手動・自動測定モデルや高精度測定モデルはもちろん、自動車などの大型ワークの測定やインライン対応モデルまでさまざまな三次元測定機を取り扱っています。豊富なラインナップの中から一部の測定機を紹介します。
①超高精度CNC三次元測定機LEGEX
画像引用:株式会社ミツトヨ・超高精度CNC三次元測定機LEGEX
測定誤差の要因となる要因を徹底的に分析・排除することで、世界最高水準の高精度を達成した三次元測定機です。装置には応力分析によって幾何学運動精度への影響要因を排除する素材を導入し、振動対策も最適化されています。また、温度補正機能もあることから、温度変化にも強い設計となっています。
②インライン対応CNC三次元測定機 MACH-V 9106
画像引用:株式会社ミツトヨ・インライン対応CNC三次元測定機MACH-V9106
インライン計測対応型の三次元測定機で、駆動速度はもちろん加速度や測定速度も世界トップクラスです。5~35℃という幅広い温度環境下で測定可能であり、リアルタイム温度補正機能などの導入により温度変化にも強く、防塵対策も施されています。
【所在地】
〒386-0406
長野県上田市下丸子401
TEL.044-813-8201
FAX.044-813-8210
https://www.mitutoyo.co.jp/
(2)株式会社キーエンス
【特徴】
・新たに生み出す製品の約7割が「世界初」や「業界初」
・センサや制御、精密機器、画像処理機器まで数多くの事業を手掛ける
・豊富な機器導入実績により顧客のニーズを先取りした提案が可能
【三次元測定機】
マイクロスコープや変位計、各種センサなどさまざな計測器関連製品を取り扱うキーエンスでは、接触型と非接触型の三次元測定機があります。それぞれの測定機ラインナップは以下の通りです。
①ハンディプローブ三次元測定機XM-2000
画像引用:株式会社キーエンス・ハンディプローブ三次元測定機XM-2000
小型カメラを搭載した高精度フリーアングルプローブを測定対象物に当てるだけで、測定初心者でも簡単に測定できます。サイズもコンパクトで温度補正機能もついており、温度10~35℃湿度20~80%の測定環境でも高精度で計測可能です。
②3Dスキャナ型三次元測定機VL-500
画像引用:株式会社キーエンス・3Dスキャナ型三次元測定機VL-500
非接触タイプの三次元測定機でありながら、繰り返し精度2μmの精度を保証しており、非破壊での断面測定や色情報のスキャニングも可能です。また、測定メニューも豊富であり幾何公差測定も簡単操作で実施できます。
【所在地】
〒533-8555
大阪市東淀川区東中島1-3-14
TEL.06-6379-1111
FAX.06-6379-2222
https://www.keyence.co.jp/
(3)株式会社東京精密
【特徴】
・自動車部品の精密化が必要となる中1952年に国産マイクロメータの開発に成功
・半導体製造装置と計測機器という二つの事業を展開
・精密計測機器事業では、三次元測定機や表面粗さ・輪郭形状測定機、各種センサなどを取り扱う
【三次元測定機】
東京精密では、カールツァイスとザイザックスという2つのシリーズを取り扱っています。それぞれのシリーズの代表機をご紹介します。
①ZEISS XENOS®
全軸リニアドライブ構造の導入や新規開発のY軸デュアルドライブ構造により、高い繰り返し測定精度を実現しています。また、装置の主要な材料に、アルミナセラミックよりも低熱膨張かつ高剛性の炭化ケイ素セラミックを使用しており、測定環境の熱変化による測定精度への影響を低減しています。
②ザイザックス AXCEL RDS
画像引用:株式会社東京精密・ザイザックス AXCEL RDS
クラストップレベルの測定精度に加えて駆動速度は最大700mm/secと高速測定も可能なので、測定効率が高まります。また、新設計カバーの導入や石定盤の温度変化対策により、測定精度保証温度は15〜30℃を達成。2軸回転式ヘッドRDSの導入により、最大5,184通りの位置決めが可能です。
【所在地】
〒192-8515
東京都八王子市石川町2968-2
TEL.042-642-1701
FAX.042-642-1798
https://www.accretech.jp/
6.三次元測定機導入に関するご相談はFAプロダクツへ
三次元測定機は、ノギスやマイクロメータによる手動測定では困難な複雑かつ大型のワークの三次元形状が測定可能な装置です。
三次元測定機に求められる仕様は測定対象物はもちろん品質規格によって異なり、装置を取り扱うメーカもさまざまなため、導入が難しいという一面もあります。そのため、三次元測定機メーカの選定には、導入実績のあるSIerなどの活用も検討しましょう。
FAプロダクツでは、これまでの実績をもとに、三次元測定機の導入やインライン化による生産効率の向上など、それぞれの工場にとって最適なアドバイスを行っております。お悩みの方は、お気軽にご連絡ください。
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