疲労試験機とは?選び方や正確に実施するコツ、おすすめ製品7選
疲労試験機とは、製品や製品に使用する材料(金属など)の疲労に対する強さ・寿命・限度などを測定する装置のことです。過去には金属疲労が原因のジェットコースター脱線やクレーン転倒などの重大な事故が発生していることから、製品の安全性を担保する上で疲労試験機の役割は重要といえます。
当記事では疲労試験機の選び方や主要メーカと製品、導入のメリット・デメリット、疲労試験機を用いて生産性を上げるポイントなどを解説します。
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目次
1.疲労試験とは
疲労試験は、材料に耐力以下の応力を繰り返し与えて、破断するまでの時間を調べる試験です。
疲労試験にはさまざまな種類がありますが、ここでは引張・圧縮試験を例に解説します。(図1)
引張・圧縮試験では、応力を加えてどれだけの時間で破断するかを調べます。
応力は、図1左側の繰り返し応力図のような、応力を繰り返して加えます。
応力の大きさや、周波数などのパラメータは、材料の試験強度で決まり、応力を繰り返して破断時間を計り、次にもう1段小さい応力を加える…というように応力の大きさを変えて試験を行います。
その結果としてできるデータが、図1の右側の図のS-N線図です。
ここでのS-N線図は材料に加える応力が大きいと、短い時間で破断するが、応力が小さくなるほど、破断に至る時間が長くなることを表しています。
そして、ある応力に達すると、どれだけ時間をかけても破断しないことが分かります。その応力を、疲れ限度と言います。
S-N線図は、材料の評価やさらに強度のある材料を選ぶ際などに使用できます。
図2は、疲労試験の種類を表したイメージ図です。
以下の4種類の疲労試験を挙げています。
- 引張・圧縮疲労試験:図1参照
- 平面曲げ疲労試験:平面(あるいは棒状)に曲げを繰り返す
- ねじり疲労試験:棒にねじりモーメントを交互に掛ける試験
- 回転曲げ疲労試験:モータで回転を与えた棒に、曲げモーメントを加える試験
【関連動画】
金属疲労とは? S-N曲線とは?10分で簡単解説!
引用:https://www.youtube.com/watch?v=unZ_5MiIQe0
回転疲労試験|株式会社遠藤製作所
引用:https://www.youtube.com/watch?v=IToI_atmyHI
大型疲労試験機
引用:https://www.youtube.com/watch?v=-lBcmYK-NT0
2.疲労試験機の選び方
新しく導入する疲労試験機の選び方として、以下の3点を押さえておきましょう。
- 実施したい試験に応じた疲労試験機を選ぶ
- 動作源で選ぶ
- 対応できるマテリアルによって選ぶ
(1)実施したい試験に応じた疲労試験機を選ぶ
疲労試験は、さまざまな種類が存在します。主な疲労試験は次のとおりです。
疲労試験の種類 | 概要 |
引張・圧縮疲労試験 | ・引張、除荷、圧縮の組み合わせによって繰り返しの応力に対する耐久性を評価する試験 ・もっとも標準的となる高サイクル疲労試験や、局所的に塑性変形が発生する部材などに行う低サイクル疲労試験などがある |
曲げ疲労試験 | ・試験対象物の2点を固定し、曲げ力を繰り返し作用させて耐久性を評価する試験 ・薄板の疲労特性を評価する平面曲げ疲労試験や、棒材の疲労特性を評価する回転曲げ疲労試験などがある |
ねじり疲労試験 | ・ねじり方向(雑巾絞りのイメージ)の力に対するせん断力の耐久力を評価する試験 ・エンジンやタービン、モーター、回転を伝達するシャフトなどのねじり負荷がかかる部品が主な試験対象 |
熱疲労試験 | ・環境による温度変化が原因の部材の伸び縮みによって発生する熱応力による、熱疲労への耐久性を評価する試験 ・エンジン周りや高圧流体、ガスなどにかかわる部材が主な試験対象 |
超音波疲労試験 | ・超音波によって部材を振動させることで行う疲労試験 ・振動によって共振を起こし、キガヘルツレベルの高周波の疲労試験が行えます。 |
自社の製品の検査においては、どのような力や影響に対する試験・評価が必要なのかによって、適切な疲労試験機を選択してください。
(2)動作源で選ぶ
疲労試験機は、主に「モーターで動作するタイプ」「振動源を基にするタイプ」「油圧で動作するタイプ」に分かれます。
モーターで動作するタイプは試験用途に合わせやすいのが特徴です。
振動機タイプは周波数の設定を変えることで、試験時間の短縮を図ることができます。
油圧タイプは、高荷重の負荷をかけられる油圧源と油圧シリンダで動作する疲労試験機です。油圧サーボが付いているものは、振動機タイプと同じく高周波の振動を試験対象に与えられます。
メーカの製品ごとの特徴はあるものの、上記のタイプを頭に入れて疲労試験機を選ぶことをおすすめします。
(3)対応できるマテリアルによって選ぶ
疲労試験機においては、製品ごとに対応できるマテリアルに違いがあります。金属専用なのかやプラスチック中心のものなのかなどをチェックしておきましょう。メーカによっては、「自動車業界向けの試験機」と分けているケースもあります。
3.疲労試験機を導入するメリット・デメリット
つづいて、疲労試験機を導入するメリット・デメリットを解説します。
(1)疲労試験機を導入するメリット
疲労試験機を導入するメリットは次のとおりです。
- 製品の疲労試験にかかる労力や人員を削減できる
- 試験精度が上がり、高品質な製品を製造できるようになる
- 検査ができる範囲が広くなり、新しい製品開発や既存製品の改良に着手しやすくなる
(2)疲労試験機を導入するデメリット
疲労試験機を導入するデメリットは次のとおりです。
- 業務効率化によるコスト削減より、導入・運用コストがかかる可能性がある
- 導入初期の慣れない時期に操作や評価方法を誤り、規格外の製品を流してしまう可能性がある
- 新しい疲労試験機導入に伴い、作業方法の再考や従業員教育が必要になる
4.疲労試験機を用いて正確な疲労試験を行うポイント
疲労試験機を用いて正確な疲労試験を実施するには、新しい試験機を導入する前に「本当にその試験機を適切に運用できるのか」を検討することがポイントです。
いくら高性能の疲労試験機を導入したとしても、自社が実施している疲労試験の規格に対応できないタイプだと、業務効率化や正確な試験は見込めません。「5倍の負荷がかけられるタイプで試験時間の短縮を狙ったが、対象となる試験片が負荷に耐えられず、適切な試験が行えなかった」という失敗パターンなどが考えられます。
こうした事態を防ぐために、あらかじめ疲労試験機のメーカとしっかり話し合ったり、デモ機を用いたテストを繰り返したりなど、十分な確認と検証を行っておきましょう。
また、データ分析・蓄積・画像化などに対応した疲労試験機であれば、収集データを活用して新たな製品開発・技術開発につながる可能性もあります。そうした機能も最大限使いこなすことが、企業全体の将来的な新たな材料開発ができる下地となるといえるでしょう。
5.疲労試験機の主要メーカと製品
疲労試験機の主要メーカとして挙げられるのは、主に次の3社です。
- 株式会社島津製作所
- 株式会社鷺宮製作所
- インストロンジャパンカンパニイリミテッド
以下ではそれぞれの企業概要や主な製品をご紹介します。
(1)株式会社島津製作所
株式会社島津製作所は、分析計測機器、医療画像診断機、航空産業機器などの精密機器を取り扱う、1875年創業の老舗メーカです。材料の疲労検査はもちろん、熱分析装置、非破壊検査機器、質量分析装置などあらゆる分野の分析装置を取り扱っています。
【所在地】
京都市中京区西ノ京桑原町1番地
TEL(東京支社):03-3219- (官公庁担当)5631,(大学担当)5616,(会社担当)5622
FAX(東京支社):03-3219- (官公庁・大学担当)5520,(会社担当)5560
https://www.shimadzu.co.jp/
製品情報①EHF-Uシリーズ
(出典:EHF-Uシリーズ丨島津製作所)
EHF-Uシリーズは、広い試験空間によって構造部材や大型供試体などの実物疲労や耐久試験に対応できる動的・疲労試験機です。フレーム下部のT溝定盤、上部マウントアクチュエータを採用したU型フレームによって、大型コンポーネントや部品の設置を可能としました。定盤の大きさやコラムの長さはカスタマイズでき、試験力精度も指示値の±0.5%以内におさえられるのも特徴です。他にもオーソドックスな「EHF-Eシリーズ」や、コンパクトな「EHF-Lシリーズ」も販売しています。
価格はメーカへ直接お問い合わせください。
製品情報②EHF-JFシリーズ
(出典:EHF-JFシリーズ丨島津製作所)
EHF-JFシリーズは、サーボパルサシステムの汎用小型ジャッキとして、軽量で取り回しのしやすいコンパクトな油圧加振機です。小型構造物や各種構成部材の耐久・疲労・シミュレーション試験が容易に行なえます。価格はメーカへ直接お問い合わせください。
(2)株式会社鷺宮製作所
株式会社鷺宮製作所は、最新の開発技術力と確かな生産技術力によって、さまざまな自動制御装置や試験装置を開発・販売してきたメーカです。疲労試験機や静的ねじり試験機、可搬型アクチュエータ、回転曲げ試験機、ねじり疲労試験機など、さまざまな疲労試験機を取り扱っています。
【所在地】
東京都新宿区大久保3−8−2 新宿ガーデンタワー22階
TEL 03-6205-9101(総務部直通)
FAX 03-6205-9102(総務部直通)
https://www.saginomiya.co.jp/index.html
製品情報①LFH 疲労試験機
(出典:LFH 疲労試験機丨鷺宮製作所)
LFH 疲労試験機は、試験対象となる製品や材料に正弦波、三角波、台形波、短形波などのさまざまな波形の荷重を繰り返し与えて耐久性を調べる試験機です。荷重範囲は±10kN、±20kN、 ±30kN、±50kN、ストローク範囲は±30mm、±50mm、±100mmまで設定できます。価格はメーカへ直接お問い合わせください。
製品情報②各種シチュエーション別の試験機
株式会社鷺宮製作所では、さまざまな力のかけ方に対応した、シチュエーション別の試験機を提供しています。具体的には次のとおりです。
- DFH 静的ねじり試験機:ねじり方向の静的な力を加えて評価を行う試験機
- RFH ねじり疲労試験:ねじり方向の動的な力を加えて評価を行う試験機
- FFH 回転曲げ試験機:回転とラジアル(放射状)方向に負荷を与えて評価を行う試験機
製品情報③SMH 材料試験機
(出典:SMH 材料試験機丨鷺宮製作所)
SMH 材料試験機は、標準的なフレームを使用し、汎用性を持たせたオーソドックスな試験機です。さまざまなマテリアルの試験片テストに対応できます。標準タイプの対応容量は、200kNまでです。価格はメーカへ直接お問い合わせください。
(3)インストロンジャパンカンパニイリミテッド
インストロンジャパンカンパニイリミテッドは、世界各国に展開する材料試験メーカであるインストロンの日本法人です。疲労・耐久性の試験はもちろんのこと、引張・圧縮、衝突、衝撃など、さまざまな力に関する試験を実施できる各種製品を揃えています。
インストロンジャパンカンパニイリミテッドの疲労試験機は、荷重要領1,000Nから5,000Nまでの広範囲な動的および疲労試験に対応が可能です。例えば、高サイクル疲労や低サイクル疲労だけでなく、熱機械疲労やき裂進展、破壊靭性などもできます。
【所在地】
神奈川県 川崎市宮前区 宮前平1-8-9
TEL:044-853-8520
FAX:044-861-0411
https://www.instron.com/ja-jp/
製品情報①ElectroPulsシステム
(出典:ElectroPulsシステム丨インストロンジャパンカンパニイリミテッド)
ElectroPulsシステムは、システムの心臓部に特許取得済みのリニアモータを用い、幅広い試験に対応できる汎用性の高いモデルです。単純なものから複雑なものまで対応できる上に、安全性や操作性に優れているのも特徴となっています。また、利用する現場の産業分野(バイオメディカルや家電など)に適用できるよう、使用環境に応じたカテゴリー分けがなされています。
価格はメーカへ直接お問い合わせください。
製品情報②床置型疲労試験システム
(出典:床置型疲労試験システム丨インストロンジャパンカンパニイリミテッド)
床置型疲労試験システムである8801および8802油圧サーボ試験システムは、準静的、高低サイクル疲労、熱機械疲労、破壊力学試験などに対応できる装置です。8801はコンパクトなオールラウンドシステム、8802は精密なアラインメントを必要とする試験に対応可能なシステムとなっています。どちらのモデルも高い汎用性と信頼性を持つのが特徴です。
価格はメーカへ直接お問い合わせください。
6.疲労試験機導入に関するご相談はFAプロダクツへ!
新しい疲労試験機を導入することで、自社の製品開発幅が広がったり、外部からの試験の委託に対応できたりなど、さまざまなケースに対応できます。とはいえ疲労試験機の種類や対応範囲などはメーカによって違いがある上に、自社で用いている製品・部品の特徴によっても合う合わないがあるでしょう。
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