「画素」の意味から分かる画像処理エンジニア入門
画像処理を学ぶ上で、躓く可能性をなくすためにも、ぜひ基礎から学んでいきましょう。
目次
このコラムの要約
・画像は、画素と呼ばれる点の集合体
・画素は、画素値(色)と位置のデータを持つ
・画素値に対してトーンカーブの変化や空間フィルタリング処理を行うと、様々な情報を得られる
・各画素値に対して処理を行っていくことを画像処理と呼ぶ
このコラムでは、画像処理エンジニア検定の出題範囲に見るような基礎知識を解説します。
画像処理エンジニア検定は、画像処理分野の開発・設計に関する知識の測定を目的とした検定試験です。
公益財団法人画像情報教育振興会(CG-ARTS)が主催しています。
画像処理エンジニア検定の出題範囲
引用:公益財団法人画像情報教育振興会(CG-ARTS)
(1)そもそも画像とは何なのか
画像とは、画素と呼ばれる粒の集まりです。
画素は、画像の最小単位、画像を形成している粒のかたまりです。
この1粒ごとにデータが入っているということをぜひ覚えておいてください。
粒が小さいほど高画質な画像が形成できます。
画素の例
カメラ | 撮像素子(フォトダイオード) |
ディスプレイ | 液晶(LQ)や有機EL |
人間 | 錐体と桿体 |
(2) 画素がどういうデータを持っているか
画素値(がそち)と呼ばれるものです。
一般的なカラーのカメラではRGB(レッド・グリーン・ブルー)を持っています。
また、位置情報(マス目上のどこにあるのか)という、合わせて2つを持っていると思ってください。
画像処理とは、画素の持つ情報に対して処理を与えていくことをいいます。
(3)画像処理基礎知識としての色の性質
色の画像処理に入る前に、まず色の性質を説明いたします。
イメージセンサーが捉える光
1. 光源から出ている光
例としては、太陽光や、LEDから出ている光のことを言います。
加法混色という光を色を混ぜていくイメージで、光の三原色というものが使われております。
2. 物の色
今度は光源ではなく、私たちが見ている物の色になります。
手の色、机の色などは、物体に反射した光が人間の目に届いているわけです。
減法混色といって、物体に反射したときの色の考え方です。光源とは反対に、光が減らされていきます。
カメラやイメージセンサーが捉える光の種類は、FA業界の中ですと光源から出た光を混ぜ合わせる減法混色になります。
またエンジニアは、減法混色でワークをどう撮像できるか?というところも考えています。
イメージセンサーが捉える光の種類
① 光源(照明)から出る光 → 加法混色(光の三原色)
R + G = Yellow
G + B = Cyan
B + R = Magenta
R + G + B = White
② 物体に反射or透過した光 → 減法混色(色の三原色)
Yellow + Cyan = Green
Cyan + Magent = Blue
Magenta + Yellow = Red
Cyan + Magent + Yellow = White
(4)画像処理の例
1. ヒストグラム
度数分布表をグラフ化したもので、各色の画素値をグラフにして視覚化します。
2. トーンカーブ(階調変換関数)
入力画像(元の画像)の画素値に対して、出力の画素値をどのように変化させるか指示するグラフです。
トーンカーブを変更すると、ヒストグラムも変化します。
3. 空間フィルタリング
入力画像の一定の領域の画素に対して処理を行うことです。
エッジ抽出やノイズ除去に使用されます。
(5)動画でも内容を配信中です
本日の講義の内容は、動画形式でも配信しております。
Team Cross FAとして「日本モノづくり大学」というチャンネルを運営しております。
今後もお役立ちコンテンツを配信予定ですので、ぜひご視聴とチャンネル登録をお願いいたします。
監修者
渡辺 岳梓(わたなべ たけし)
2020年入社、機構設計として装置開発に携わる。
画像処理エンジニア検定エキスパート、色彩検定2級 所持
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