金属検出機とは?選び方や生産性を上げるポイント、おすすめ製品6選
食品安全を徹底するHACCP(Hazard Analysis Critical Control Point)という衛生管理方法の完全義務化に伴い、食品業界では金属検出機に注目が集まっています。
金属検出機は目視では検品できない製品内部の金属や微細な金属を検出し、人が検査するより確実に異物を検出してくれる機械です。
この記事では、金属検出機の導入を考えている人向けに、機械の選び方や主要メーカの製品をご紹介します。導入することでどんなメリットがあり、またどんなデメリットがあるのかも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
もし、金属検出機のコンサルティングを受けて、
・省力化、省人化してコストダウンしたい
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・人的ミスを減らして品質価値を高めたい
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目次
1.金属検出機とは
(1)金属検出機の原理
図1では、金属検出機の原理について、電磁誘導方式を例に挙げて紹介しています。
金属検出機は、発信コイルと受信コイルに分かれていて、この2種のコイルの間を検査対象物が通ります。
受信コイルは2つあり、検査物に含まれる金属を検知する受信コイル、何も含まない受信コイルに分かれます。
両方の受信コイルには、発信コイルから電磁束が運ばれ、電磁束を受け取った2つの受信コイルには、電流が流れ、電圧が上がります。
受信コイルに金属片などが含まれていない正常な時には、2つの受信コイルには、同程度の磁束が運ばれます。
そのため、両方の受信コイルに発生する電圧は等しく、2つの電圧を比較するバランスチェック電圧計もゼロの正常状態を示します。
金属片などが含まれている場合は、以下のように各受信コイルに発生する電圧に差が出ることで異常を検知します
➀ 受信コイルに磁性金属が含まれている場合
磁性金属は、発信コイルからの電界によって磁化され、磁化されたことによって、送信コイルの発する磁束が金属に引き付けられます。
そのため、受信コイルの受け取る磁束は、金属のある方の受信コイルが、金属のない受信コイルよりも多くの磁束を引き付けて電圧が上がり、金属のない受信コイル側の電圧が下がります。
すると2つの電圧を比較するバランスチェック電圧計は、バランスが崩れて指示します。その指示変動によって、検査対象物に金属があることが分かります。
② 受信コイルに非磁性金属が含まれている場合
非金属に当たる磁界によって、非金属内に電流が流れ、コイルを作ります。
電流の流れによってコイルが数多く生まれ、これを「うず電流」と言います。
図2は、うず電流が金属内に生じるイメージを描いています。
コイル状のうず電流から、磁束が生じて送信コイル側に戻る動きをします。
その結果、一方の受信コイル側に運ばれる磁束の量が少なくなり電圧が下がり、バランスチェック電圧計のバランスが崩れ、検査対象物に金属があることが分かります。
(2)金属検出機の他の種類
図3では、磁気誘導式の金属検出機と、X線放射式の金属検出器についいてご紹介しています。
① 磁気誘導式金属検出機
図3の左側は、磁気誘導式金属検出機のイメージ図です。
この方式は、磁化されたコイルの磁気で検査物内にある金属を磁化させ、検査物を送ったところでその磁気を検出して、金属の有無を検査する装置です。
金属は磁化されないと検出できないため、非磁性金属は検出できませんが検査自体は簡易に行えます。
検査対象が磁性金属のみである場合におすすめです。
② X線方式の金属検出機
図3の右側図は、X線方式の金属検出機です。
電磁束や磁化を使った金属検出方法は、例えばアルミ箔で包まれた食品などでは、内容物に金属があるかどうかは検出しようがありません。
X線方式であれば、検査内容物にX線を放射し、X線受像機でその有無が写し出されます。
ただし、検査内容物に含まれる金属片が非常に薄い場合は、X線を透過してしまい、検出できないこともあります。
X線検出方式を2重にしたり、アルゴリズムをいくつか使うことで、検出精度を向上させる工夫がなされている場合もありますが、その分装置が大きくなり、コストが増えることになります。
X線検査装置については、次のコラムも参考になります。
以下に、金属検出機の動画を紹介します。
電磁誘導方式によるコンクリート内鉄筋錆び検出実験
引用:https://www.youtube.com/watch?v=xJcxnC8GP0M
金属検出機 コンベヤーでの動作
引用:https://www.youtube.com/watch?v=FQAv3ZwgcG4
X線検査機│連包品の検査│株式会社システムスクエア
引用:https://www.youtube.com/watch?v=wPUNGpVJixs
2.金属検出機の選び方
ここまでご紹介した3種類の金属検出機の特徴を改めて以下にまとめます。装置の特徴や導入コストを比較して選定しましょう。
特徴 | 導入コスト | |
X線方式 | ・検出感度が高い ・アルミ包装品内の検出が可能 ・缶詰内の検出が可能 ・金属以外も検出可能 ・塩分量や水分量に左右されない |
・最も高価 |
電磁誘導方式 | ・磁性金属と非磁性金属の検出が可能 ・アルミ包装品内の検出が困難 ・缶詰め内の検出は不可 ・塩分量や水分量に影響を受ける |
・X線より安価 ・磁気誘導より高価 |
磁気誘導方式 | ・磁性金属のみを検出可能 ・アルミ包装品内の検出が可能 ・アルミ缶詰内の検出が可能 |
・一番安価 |
以下より詳しく解説します。
(1)X線方式
金属検出機の中で一番高価な装置です。
検出感度が非常に高く、金属球であれば直径0.2mmの金属を検出できます。アルミ包装内や缶詰内の金属検出も容易です。金属以外のプラスチックやガラスなどの検出も可能で、塩分や水分の量に左右されない特徴があります。
(2)電磁誘導方式
金属検出機の中では、中間の価格帯の装置です。
磁性金属(鉄など)と非磁性金属(アルミなど)の検出が可能です。金属検出機は、周辺金属や塩分と水分量に影響を受けやすい特徴があります。またアルミ包装内の検出は難しく、缶詰内の検出はできません。
(3)磁気誘導方式
金属検出機の中では、一番低価格の装置です。
磁性金属(鉄など)の検出が可能で、アルミなど非磁性金属の影響を受けない特徴があります。
3.金属検出機のメリット・デメリット
ここでは金属検出機を導入することで、どのようなメリット・デメリットがあるのかを紹介します。
メリット | デメリット |
信用性を維持しやすくなる | 担当者の教育コストがかさみやすい |
人的コストが削減できる | 高額な保守費用が必要になる |
以下より詳しく解説します。
(1)メリット
①信用性を維持しやすくなる
金属検出機の一番の特徴は、人の目では見えにくい細かな金属を検出することです。
食品のような人の体内に入るものは、例えそれが微細であっても異物であれば重大なトラブルとなり、顧客や取引先からの信用性の低下につながります。金属検出機を導入すると、それを未然に防げる可能性が高まります。
②人的コストを削減できる
金属が混入する原因は、必ずしも人が起因するものだけではなく、金属同士が擦れて削れた金属が混入するといったケースもあります。
こうしたさまざまなパターンでの金属混入を、マンパワーで防ごうとすれば相当な人的コストがかかります。金属検出機を導入すれば、こうしたコストの削減にもつながります。
(2)デメリット
①担当者の教育コストがかさみやすい
どんな機械でもそうですが、それを操作・保守を担当する作業員の教育が必要です。
特に金属検出機の場合、重大なトラブルを防ぐ砦のような役割をするため、しっかりと理解したうえで操作にあたってもらわなければいけません。場合によっては導入する前だけでなく、導入後も継続的に教育が必要な場合もあります。
その際のコストを視野に入れておく必要があります。
②高額な保守費用が必要になる
機械導入では機械そのもののトラブルが起きないようにするには保守が必要ですが、金属検出機の場合、本体だけでなく部品も高額なためその費用が高くなりがちです。
思った以上に維持費がかかって困っている…ということにならないように、交換部品はいくらなのか、交換時期の目安はどのくらいなのか、などを導入前に事前調べて、年間予算に組んでおくことと、必要な交換部品は予備品化することです。
4.金属検出の精度を上げるためのコツ
確実に金属検出を行うためのコツは以下の通りです。
(1)検出を通過する姿勢
製品を通過させる姿勢で、検出の感度が変化します。その感度の良い順は以下の通りです。
斜め置き>縦長置き>横長置き |
「斜め置き」が一番ノイズの影響を受けにくいため、検出感度が一番高いです。
逆に「横長置き」は内容物の面積が大きくなるため、ノイズの影響を受けやすいです。
自動化の際は、斜め置きは難しいケースが多いので縦長置きで検査することをおすすめします。
(2)検出する位置
金属検出機は、検出ヘッドの通過位置で感度が異なります。
検出ヘッドの中央が一番感度が低いため、テストピースで確認するときは中央部を通過させて確認しましょう。
5.金属検出機の主要メーカと製品
ここからは金属検出機を独自で開発や販売をしているメーカと製品を紹介します。どのようなメーカや製品があるのかの参考にご覧ください。
(1)株式会社エー・アンド・デイ
【特徴】電子計測器・産業用重量計・電子天びんを中心に医療や工業分野で活躍している企業です。アメリカやヨーロッパ、オーストラリアなど世界中に拠点があり、海外でも安心してサポートが受けられる会社です。
【所在地】〒170-0013 東京都豊島区東池袋三丁目23番14号
https://www.aandd.co.jp/
【製品】エー・アンド・デイ社では、電磁誘導式と磁気誘導式の2機種をご紹介します。
①AD-4976シリーズ(電磁誘導式)
AD-4976シリーズには、以下3つの特徴があります。
1.ノイズ可視化
2.管理者レベルの操作制限
3.オプションで脱酸素剤対応
電磁誘導式のフラッグシップモデルです。ノイズの周波数を可視化する機能があり、生産現場で金属検出機に影響を与えるノイズを可視化してくれます。本装置をノイズと異なる周波数での検出に設定すると、ノイズの影響を受けずに安定検出が可能です。
設定を管理者レベルで操作制限でき、オペレータが勝手に設定を変更できないように管理できます。また、オプションで鉄系脱酸素剤の欠品と異物検査を両立できます。
②MS7Tシリーズ(磁気誘導式)
出典:アルミ箔・缶包材用金属検出機 MS7T“D”センサー方式丨エー・アンド・デイ
MS7Tシリーズには、以下3つの特徴があります。
1.アルミ包装品の磁性体金属検出
2.厚みがある容器も測定可能
3.検出部は2種から選べる
磁気誘導式の特徴を活かし、アルミ包装品の磁性体金属を検出できます。また、アルミ缶やトレーなど厚みがある容器でも測定が可能です。検出部は機種によって「縦長」「横長」から選べ、製品の高さに応じて機種選定できます。
(2)アンリツ株式会社
【特徴】電子計測器や食品・医薬品の品質保証システムなど「はかる」に特化した企業です。世界中に拠点があります。どの国でも同じサポートが受けられる会社で、創業120年を超える老舗企業です。
【所在地】〒243-8555 神奈川県厚木市恩名5-1-1
https://www.anritsu.com/ja-JP/
【製品】X線方式とアンリツ社独自の同時2周波磁界検出方式を1機種ずつ紹介します。
①デュアルエナジーセンサ搭載HRタイプ(X線方式)
出典:デュアルエナジーセンサ搭載 X線検査機 HRタイプ丨アンリツ
デュアルエナジーセンサ搭載HRタイプには、以下3つの特徴があります。
1.厚みのある製品も安定検出
2.直径0.2mmの金属を検出
3.豊富な安全機構
2種類のX線を放射し、その差分だけを抽出するため精度の高い検査が可能です。独自の検出アルゴリズムを駆使して直径0.2mmの金属球を検出できます。オペレータの安全第一を優先した安全装置が豊富で、作業者がX線の影響を受ける心配がありません。
②エントリーモデル[M5シリーズ](2周波磁界検出方式)
エントリーモデル[M5シリーズ]には、以下3つの特徴があります。
1.シンプルでわかりやすい操作画面
2.ゴミがたまりにくい構造
3.高感度・高安定
タッチパネルを搭載し、支援機能が豊富なため作業者が直感的に操作できます。ゴミがたまりにくい構造で、清掃しやすくなっています。独自の同時2周波磁界検出方式で磁性金属と非磁性金属の同時検出が可能です。
(3)株式会社システムスクエア
【特徴】金属検出機を中心に異物検出の装置製作を得意とする企業です。食品だけでなく、医療や化学分野などさまざまな業界で活躍している会社です。
【所在地】〒940-2121 新潟県長岡市喜多町金輪157
https://www.system-square.com/
【製品】システムスクエア社では、2周波検査式と磁気誘導式の2機種をご紹介します。
①SD3Pシリーズ(2周波検査式)
出典:金属検出機丨システムスクエア ※右下の注射針用 金属検出機はSD3Pシリーズ外
SD3Pシリーズには、以下3つの特徴があります。
1.独自の検出方法
2.作業者に優しい操作性
3.多彩なサイズバリエーション
独自の2周波検査方式で、鉄系と非鉄系の2種類を同時に検出できます。またタッチパネル搭載で、イラストでナビゲートしてくれるため作業者に優しい操作性です。菓子の小袋から米用の大袋まで、さまざまなサイズに適応した機種を揃えています。
②SDMシリーズ(磁気誘導式)
SDMシリーズには、以下3つの特徴があります。
1.0.1mmの金属球の検出が可能
2.ランニングコストが低い
3.防水タイプと非防水タイプが選べる
高感度の磁気センサを搭載しているため、X線式や電磁誘導式では検出しづらい微細な金属の検出が得意な装置です。また高額な消耗品がないため、ランニングコストを低く抑えられます。防水か非防水の2種類から機種を選べ、食品関係でも安心して使用できます。
6.金属検出機の導入に関するご相談はFAプロダクツへ
金属検出機の導入は方式の違いやメーカ・種類も豊富で、用途に見合う装置を見つけるには時間と手間が必要です。どの金属検出機を導入すれば良いか、導入したけど上手く活用できていないなどでお困りの人はFAプロダクツへお気軽にお問い合わせ下さい。
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