圧力校正器の選び方と・導入のポイントについての解説と主要メーカ3選
圧力校正器は、発生させた基準となる圧力を、圧力計・各種圧力センサ・圧力スイッチなどの圧力計器の指示とを比較し、圧力計器を校正する機器です。
測定器やセンサ類を長く使う場合、精度面でのズレはどうしても生じてしまいます。
そのようなときに圧力校正器があると、測定器類の誤差をすぐに確認できるでしょう。定期的に確認する必要があるため、圧力校正器は必須といえます。
本コラムでは、圧力校正器の選び方やおすすめメーカ、生産性を上げるポイントについてまとめました。まだ検討段階の状況でも、記事を読めば具体的な検討が行えます。ぜひ最後までお読みください。
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目次
1.圧力校正器の選び方とは?用途やメーカから選ぶ手順
(1) 圧力校正器とは
製造工場内には、いろいろな場所に圧力計器が、設置されています。
水素ガスや酸素ガスを使用する製造ライン、窒素シールした液体原料タンク、油圧ラインや油圧ポンプなどです。
また、圧力計器の種類も様々あり、圧力計、圧力スイッチ、圧力伝送器などが、用途に応じて設置されています。
(A) 圧力の校正
圧力計器を使用していて、何か異常があったときに、今示している圧力値は正しいのか?という疑問が出ることがあります。
そうしたことが無いように、圧力計器は定期的に校正を受け、有効期限のシールが貼ってあれば、そのような疑問は起こらないでしょう。
圧力計器を構成する機器が、「圧力校正器」です。
図1に圧力計器と圧力校正器の関係を表しいています。
圧力校正器にはいくつかの種類があって、校正できる圧力計器が限られているものもあります。
(B) 圧力のトレーサビリティ
圧力校正器のトレーサビリティについて、図2で紹介しています。
- 圧力計器を構成する圧力校正器は、ユーザーが持っていて、校正して圧力計器の精度証明書を作成することができます。
- しかし、圧力校正器は、定期的に精度を確かめる検定検査を受けないと、圧力計器の検査ができません。法的な拘束はありませんが、圧力計器が正しいかどうかの疑問を解消するには、正しい値を示す圧力校正器で検査しないと、値の保証ができません。
- 圧力校正器の検定検査は、ユーザーでは資格がなくできないため、登録事業者に依頼して検査をして証明書を発行してもらう必要があります。
- 圧力校正器の検定検査の周期は決まっていないため、ユーザー側が使用頻度などから設定します。
(C) 圧力計器の正しさの確認方法
圧力計器の値が正しいかどうかを確認する流れを、図3で紹介しています。
- 圧力計器が正しいかどうかは、圧力校正器で検査します。
- 圧力校正器が正しく検査できる状態かどうかは、登録事業者が持つ標準器で検定検査を受けることで、証明することができます。
- 図3を見て、この流れであれば、圧力校正器は持たずに、圧力計器を直接登録事業者で、検査してもらえば良いのではないかという考えが出ると思います。
- これは正しい考えで、もし圧力計器が数台しかなく、1年~3年に1回の検査で十分である使い方であれば、そうしても良いでしょう。
- 要は、圧力校正器をもつ投資メリットがあるかどうかを、確認することです。
(D) 法的拘束のある圧力計
もう1件、重要な話があります。
圧力計器の値を、製品のユーザーに、製品とともに圧力の証明書と一緒に出す必要がある場合。もしくは、圧力計が高圧ガス対称の機器のような法的に制限された機器である場合、「計量法」が適用されます。
- 計量法が適用されると、圧力計器の値を証明する方法は、ユーザーが持つ圧力校正器の検査証明書では証明になりません。
その場合は、図2のように、圧力計器を圧力校正器ではなく、必ず登録事業者で検査を受けて証明書を発行してもらう必要があります。 - ただし、事情によっては必要がない場合もありますので、登録事業者や製品を納める相手先と協議する必要があります。
以下では、圧力校正器に関しての動画をご紹介します。
Fluke 719Pro 電動ポンプ内蔵圧力校正器
SIKA社 圧力校正器(テーブルトップ型)
SIKA社 圧力校正器(ハンドポンプ)
圧力校正器は、圧力計器の値が精度内にあるかどうかを検査する機器です。しかし限られた予算の中で高機能なものを導入しても、コストパフォーマンスが悪い場合もあります。ここでは圧力校正器の選び方について、用途とメーカから選ぶ方法についてまとめました。
(2)圧力校正器を用途から選ぶ場合
基本的に圧力校正器の用途は同一ですが、どういった場所で使われるのかは異なります。
- 校正場所が入り組んでいて移動しづらい
- 電源が確保できない
- 差圧計も一緒に利用したい
例えば圧力校正器には、ポータブル式やバッテリー内蔵式があります。ポータブル式は比較的小型にできており、移動時も最小限の手間で校正作業が可能です。また電源が確保できない場所なら、バッテリー内蔵式のものを選ぶと良いでしょう(ポータブル式とバッテリー内蔵式の違いはその大きさです)。
中には差圧計(マノメーター)が使える機種もあるので、機能性を求める場合はそちらを選んでください。
(3)圧力校正器をメーカから選ぶ場合
圧力校正器は、メーカによって機能性が異なります。得意なジャンルもあるので、ポータブル式やバッテリー内蔵式、高機能タイプと違いが大きいでしょう。そのため最初に用途から選び、その用途に合ったメーカを選ぶのが一般的です。
本記事でおすすめのメーカは下記の3社となっております。
それぞれメーカごとに販売している圧力校正器が異なるため、いずれも状況次第で選び方が変わるかと思われます。実際の製品比較も下記項目にて行っておりますので、具体的に検討をしている方は参考にしてください。
2.圧力校正器を使用するメリット・デメリットについて
圧力校正器は、、圧力計器を長く使用する現場で必要不可欠な機器です。そのため導入時にはデメリットを踏まえ、正しく用途に合った校正器を導入しなくてはなりません。この項目では圧力校正器の導入に関して、想定できるメリットとデメリットをまとめました。
(1)圧力校正器のメリット
圧力校正器を導入する大きなメリットは、適切な圧力管理ができる点です。日ごろから測定器や各種センサーを使用していると、少しずつ使用時に劣化や数値のズレが生じます。
このズレを認識していなければ、誤った結果を表示させてしまうでしょう。本来弾く予定だった製品も通してしまって最悪の事態につながるケースもあれば、弾かなくてよい製品を不良として判断してしまうケースもあります。
それだけでなく、実験データにおいても、正しい結果が読み取れなくなる可能性もあります。使用頻度が高いほどズレは生じてしまうため、定期的な校正が必要です。正しいデータを読み解くためにも、圧力校正器は必須ツールとも言えます。
(2)圧力校正器のデメリット
圧力校正器を使用するデメリットは、適切かつ定期的な使用が求められる点です。
使用方法を誤れば、正しい校正作業が行えません。同時に定期的な使用を行わないと、正しく誤差を認識できないでしょう。そのため導入時には正しい使用方法のレクチャーと標準化、さらに定期校正で日々の業務へ組み込む必要があります。
あまり業務負担は少ないものの、現状の作業と兼ね合いを考えながら頻度も決めなくてはなりません。
また、導入時の適切な頻度や作業方法については、導入場所によって変わる場合もあります。詳細は導入時のSIerから研修を受けるか、相談をしながら決めていくのがおすすめです。
3.圧力校正器を用いて生産性を上げるポイント
圧力校正器を導入して生産性を上げるポイントは、おもに下記の2つです。
- 校正作業のノウハウを学ぶ
- 定期校正を日々の業務へ組み込む
自社での校正作業は、ノウハウがなければ適切な数字を控えにくくなってしまいます。導入の段階で正しくノウハウを学び、誰が見ても扱えるよう標準化しましょう。また定期校正を日々の業務へ組み込み、一定の水準で誤差を把握できるようにしておくのがおすすめです。
ただし定期校正は時間をかけすぎてしまうと、日々の業務を圧迫します。スムーズかつ時間をかけすぎないように、大まかな時間目安も共有しておくとよいでしょう。
4.圧力校正器の主要メーカ3選と実際に提供している製品の比較
圧力校正器を提供している主要メーカ3社と、主力商品の特徴をまとめました。
(1)株式会社クローネ
【特徴】
株式会社クローネは、各種センサの製造や輸入販売を行っている企業です。取り扱っている圧力校正器はドイツの名高い企業、Halstrup社のKALシリーズとなっています。高精細で、微圧にも対応しているのが特徴です。
①KAL100シリーズ
【引用:株式会社クローネKAL100シリーズ】
KAL100シリーズは、バッテリーを内蔵しているエントリーモデルです。とくに0~±100Pa~±100kPaに対応しており、微圧の校正を考えている際に最適といえます。キャリブレーション機能のほか、計測機能を切り替えて差圧マノメーターも利用可能です。
②KAL200シリーズ
【引用:株式会社クローネKAL200シリーズ】
KAL200シリーズは、KAL100シリーズの「高精度・バッテリー内蔵」モデルとなっています。場所を問わないので、持ち運んでどこでも校正が行えるのは魅力的です。KAL100シリーズと同じく、差圧マノメーターも利用できます。
【所在地】
本社所在地:東京都葛飾区東新小岩3-9-6
TEL:03-3695-5431
FAX:03-3695-5698
URL:https://www.krone.co.jp/
(2)旭計器工業株式会社
【特徴】
旭計器工業株式会社は、前身である森計器製作所(大正5年)から続く老舗企業です。圧力計の旭計器と呼ばれるほど、圧力計に関するノウハウを持っています。計測器を組み合わせた自動システムも得意なので、総合的な相談も可能です。
①DPI620 Genii
DPI620 Geniiはスマートフォンに似た、スワイプやタッチコマンドを利用できるツールです。機能性だけではなく通信機能を有しており、自己完結型の校正システムとして人気があります。
②DPI611
DPI611は日常業務用として、メンテナンス及び校正で扱いやすいツールとなっています。また簡易的ではなく自動校正手順、誤差計算、各種システムとの連携といった高度な機能も持っているのが特徴です。
【所在地】
本社所在地:大阪市北区西天満3丁目13番10号
TEL:06(6362)7531(代)
FAX:06(6361)1351(代)
URL:https://www.asahigauge.co.jp/
(3)株式会社テクトロニクス&フルーク
【特徴】
株式会社テクトロニクス&フルークは1948設立以来、工業用電子機器の取り付けから保守・修理を行っているメーカです。Fluke製品は各市場において、上位のシェア率を誇っています。多国籍企業であり、非常に幅広い市場を確保しているのが特徴です。
①Fluke 729
【引用:FLUKE製品情報「圧力校正器」】
FLUKE729は、圧力発生と2MPaまでの制御を自動的に行います。また高機能にも関わらず、ポータブル式として非常に扱いやすいです。定義済みテンプレートを利用すれば、トランスミッタ及びスイッチを簡単に記録可能となっています。
②Fluke 719 Pro
【引用:定期校正にはデジタルトルクレンチテスターDOTE4シリーズ】
Fluke719Proは、電動ポンプを内蔵した圧力校正器です。電動ポンプが入っていると、片手で圧力校正が可能になります。また29種類の750P圧力モジュールが備わっており、圧力測定レンジが幅広いです。液体トラップも搭載されているため、安全面への配慮もされています。
【所在地】
本社所在地:東京都港区港南2-15-2品川インターシティB棟6階
本社TEL:03-4577-3972
本社FAX:03-6714-3118
URL:https://jp.flukenetworks.com/
5.圧力校正器導入に関するご相談はFAプロダクツへ
本コラムでは、圧力校正器の導入に関する選び方や主要メーカ、メリットとデメリットについて解説しました。圧力校正器は現在、自動化されたものも多く提供されています。特別な動作を必要とせず、スムーズに校正作業が行えるでしょう。ぜひ導入時は研修と標準化を徹底し、同じ水準で校正が行えるようにしてみてください。
もし導入に際してお困りでしたら、経験豊富なコンサルタントに依頼するのも良いでしょう。FAプロダクツでは圧力校正器を導入する際、状況に合った適切なサポート業務を行っています。ぜひお気軽にご相談ください。
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