偏心検査器の偏心測定の選び方と導入ポイント解説、主要メーカ3選
偏心検査器は、軸の偏りを検出する機器を装着できる測定台です。この機器があることで、ワークの不備を最小限に減らせます。
しかし導入に関しては知識が必要で、用途に合った適切な偏心検査器選定が必須となるでしょう。
本コラムでは、偏心検査器の選び方や主要メーカと製品比較、生産性を上げるポイントについてまとめました。初めて偏心検査器の導入を検討している方でも、記事を読めば具体的な導入イメージがつきます。ぜひ最後までお読みください。
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目次
1.偏心検査器の選び方
(1) 偏心検査器とは
➀ 偏心検査器
偏心検査器は、偏心を検査するための測定台のことで、偏心測定器ではありません。
偏心検査器にダイヤルゲージを取付けて、シャフトの偏心や、歯車の振れを測定することができます。そのほかにも、偏心に関わるいろいろな測定が可能です。
② 偏心検査器とダイヤルゲージによる偏心測定
ダイヤルゲージで偏心を測定するイメージの図を紹介します。
図1は、標準型の偏心検査器ですが、その他にも、P形、ラック送り式、縦横兼用形、縦形などがあり、さらに歯車の偏心測定用のアタッチメントなどのオプション品もあります。
偏心検査器を使って、治具や計測器を用いて、幾何偏差を求めることが可能です。
③ 幾何偏差
幾何偏差には、JISの定義には、形状偏差、姿勢偏差、位置偏差、振れ、があります。
これらの偏差の種類を参考に御紹介します。(JIS B 0621 参照)
それぞれの定義は、JIS B 0621を参照してください。
- 形状偏差 真直度、平面度、真円度、円筒度、線の輪郭度、面の輪郭度
- 姿勢偏差 平行度、直角度、傾斜度
- 位置偏差 位置度、同軸度、同心度、対象度
- 振れ 円周振れ、全振れ
以下では、偏心検査器に関しての動画を紹介します。
偏心検査器を使用した振れ測定 実例
B6エンジン クランクシャフト 振れ検査
偏心検査器は、ローラやシャフトのような回転する部品の軸が、偏っていないかどうかを検査する機器です。しかし用途を決めてから選定しないと、正しい数値が出ない場合も多いです。
(2)偏心検査器の用途
偏心検査器は軸の偏りを確認する検査器ですが、その計測方法によって最適な測定器が異なります。
具体的に測定する方式は、下記の4つです。
- 接触式
- 反射式
- 透過式
- 複数点透過式
接触式はダイヤルゲージを使い、アナログ式に偏心を測定します。接触式がもっとも普及しており、多くの場所で使える汎用性が特徴的です。やや扱いに慣れが必要で、測定者の違いで誤差が出てしまうのは避けられません。如何に誤差をなくすかが重要です。
反射式はレーザーを当て、そのままワークを回転させて距離のサンプリングを行います。そのため高精度に偏心を測定可能です(高精度ローラに最適)。ただしシャフトが細くなる場合は、偏心していると頂点位置がズレやすくなります。誤差も大きくなるので注意しましょう。
透過式は回転体の寸法を横から測定し、変動をサンプリングで捉える方式です(シャフトの測定に最適)。
複数点透過式は、透過式の寸法測定を二次元式に捉えます。シルエットで捉えられるため、一定の形状ではない複雑な形にも対応可能です。
一般的な円筒形状であれば、接触式を選択するのが良いでしょう。ローラや円筒形のワークであれば透過式を使い、精度を求めるなら反射式を利用。複雑な形状であれば、複数点透過式を利用するのがおすすめです。
(3)用途が決まったらメーカから選ぶ
どういった用途で偏心検査器を使うのか把握したら、次はメーカから選んでいきます。メーカによって得意な偏心検査器の方式が異なるため、用途に合った方式を得意とするメーカへ依頼するのがおすすめです。紹介した用途に合うおすすめメーカは、下記の3社となっております。
現状国内でのシェアは、株式会社理研計測器製作所と株式会社大菱計器製作所がトップとなっています。それぞれの製品比較も行っておりますので、導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
2.偏心検査器を導入するメリットとは?デメリットも解説
偏心検査器は、軸の偏りを確認するためにも必須と言える検査器です。そのため多くの場合、必ず導入することとなるでしょう。この項目では、偏心検査器を使用するメリットとデメリットについてまとめました。
(1)偏心検査器のメリット
偏心検査器を使用するメリットは、ワークの不備をなくして生産効率が高められる点にあります。測定を行わなければ不備があったとしても、気づかずに客先へ納品してしまう事態が増えるでしょう。そのため如何に正確な計測が行えるか、工数を減らせるかがポイントとなります。
その点では偏心検査器を利用すれば、素早く正確な計測が可能です。正しく用途に合った偏心検査器を導入し、誤差も少なくできれば効率的な生産が行えるでしょう。
(2)偏心検査器のデメリット
偏心検査器の導入デメリットは、「用途に合った偏心検査器を導入する必要がある」点です。どういった用途にどんな偏心検査器が合うのか、知識や現場の状況に合わせたプランニングが必要となります。さらに導入状況次第で、偏心検査器のカスタマイズが求められる場面もあるでしょう。自社で導入を検討し、正しく適切に運用できるかどうかはやや難易度が高めです。
また、ダイヤルゲージを利用した偏心検査器の場合、測定者により誤差が生じるのも見逃せません。
適切な検査手順、標準の作成とやるべき業務が増えるのはデメリットとなります。導入時はSIerと相談しながら決めつつ、教育や研修も行ってもらうのがおすすめです。
3.偏心検査器を用いて生産性を上げるポイントとは
偏心検査器を利用し、生産性を上げるポイントは下記の2つです。
- 偏心検査を正確かつスピーディーに行う
- 適切な研修と定期的な見直しを行う
偏心検査器は正しく偏心を確認する機器ですが、時間をかけすぎても生産性は上がりません。できるだけ正確かつスピーディに行うのが理想です。そのため時間をかけすぎない観点を共有し、できるだけスムーズに検査が終えられるよう運用しましょう。
また適切な研修を行ったり、検査方法の見直しを行ったりするのもおすすめです。
接触式を利用している場合、ダイヤルゲージの誤差が生じることもあるでしょう。定期チェックも業務に組み込んでおくと安心です。
いずれも時間をかけすぎてしまうと、見えない時間のロスを生み出すことがあります。日々の運用と定期的な見直しを行いましょう。
4.偏心検査器の主要メーカ3選!主力製品の比較も合わせてご紹介
偏心検査器を提供している主要メーカ3社と、主力製品をご紹介いたします。
(1)株式会社理研計測器製作所
【特徴】
株式会社理研計測器製作所は、国内でもシェア率トップを争う老舗メーカです。提供している偏心検査器はほとんどダイヤルゲージを利用した、接触式のものがほとんどとなっています。
①偏心検査器 標準型
【引用:株式会社理研計測器製作所 偏心検査器】
標準型はもっとも導入しやすく、汎用性も高い検査器です。歯車やクランクシャフトの偏心検査に最適。大きなワークにも利用できるため、活用できる範囲が広いです。ただしダイヤルゲージやテストバーが付属しません。
②偏心検査器(たて・よこ形)
【引用:株式会社理研計測器製作所 偏心検査器】
偏心検査器(たて・よこ形)は、小型の偏心検査器で縦横どちらにも使えるものです。センターを取り外せば、V溝を利用してセンター穴がないワークにも対応可能。こちらもダイヤルゲージやテストバーの付属はありません。
【所在地】
本社所在地:新潟県魚沼市堀之内3890番地
TEL:025-794-2401
FAX:025-794-2403
URL:https://www.r-riken.co.jp/index.cgi
(2)株式会社大菱計器製作所
【特徴】
株式会社大菱計器製作所は、長年多くの企業へ測定機器を提供し続けているメーカです。精密加工技術と蓄積されたノウハウのほか、電気制御とデータ処理技術を統合させた自動測定装置にも強みがあります。
①偏心検査器(標準形)
ダイヤルゲージを利用した偏心検査器で、標準型のため汎用性が高いものとなっています。要望があれば超硬センター、傘センター付きも製作可能。利用状況に合わせてカスタムメイドしてもらえるのが魅力です。
②エンコーダ付き偏心検査器製作例
【引用:株式会社大菱計器製作所 エンコーダ付き偏心検査器製作例】
株式会社大菱計器製作所の強みである、特殊製作例もご紹介します。この偏心検査器は、P型偏心検査器をベースにエンコーダを内蔵させたものです。デジタル表示やPCBへの取り込み、記録計に変換といった複数の動きが容易となっています。
【所在地】
本社所在地:新潟県長岡市南陽1丁目1216-1
TEL:0258-22-1100
FAX:0258-22-0014
URL:https://www.obishi.co.jp/
(3)株式会社キーエンス
【特徴】
キーエンスはその名前だけでも聞いたことがあるほど、有名なファクトリー・オートメーション総合メーカです。ものづくりに関わる分野を幅広く網羅し、多くのソリューションを提供し続けています。
①CL-3000シリーズ
CL-3000シリーズは、小型の同軸ヘッドを活用したセンサ式の検査器です。ディスクロータの振れ測定やプレス部品の平面度、窓ガラスの厚みと反り判定も行えます。取付箇所の狭さに諦めていた場合でも、並列設置が容易なほどコンパクトです。
②LS-9000シリーズ
LS-9000シリーズは透過型の検査器で、LEDGERカメラが1秒につき16,000回もサンプリングする性能を持っています。クランクシャフトのジャーナル径測定やガラス管の外径測定、複数ワイヤを同時に測定することも可能です。
③TM-X5000シリーズ
TM-X5000シリーズは複数点で捉える透過型の検査器です。複雑な形状の偏心であっても、即座に捉えて検知してくれます。また業界を選ばず、さまざまな測定に対応しているのが特徴です。
【所在地】
本社所在地:大阪市東淀川区東中島1-3-14
本社TEL:06-6379-1111
本社FAX:06-6379-2222
URL:https://www.keyence.co.jp/
5.偏心検査器導入に関するご相談はFAプロダクツへ
偏心検査器は現在、センサ式のものも多く提供されています。センサ式であれば測定者による誤差が生じにくく、メンテナンスコストも最小限です。
とはいえ導入時に知識が必要なため、ややハードルが高い部分もあるでしょう。もし導入に際してお困りでしたら、経験豊富なコンサルタントに依頼するのがおすすめです。FAプロダクツでは偏心検査器の適切な導入、最適なサポートを行っています。ぜひお気軽にご相談ください。
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