マウンターのおすすめメーカ3選 選び方や導入のポイントも解説
マウンターはプリント基板にコンデンサやトランジスタなどの微細な電子部品を表面実装する際に用いる装置です。「SMT(Surface Mount Technology)」は基板実装では欠かせず、電子回路を搭載するほとんどの製造工程で導入されており、生産効率を高めて高品質な製品を短時間で自動製造するために欠かせません。
マウンターには、部品の形状や特性に合わせて設計されたエンドエフェクターや、実装においての位置決めに欠かせないセンサーやCCDカメラを利用したビジョンシステムなどが搭載されており、自動化マシンの中でも高価な装置です。
この記事では、マウンターの選び方や装置自体のメリットやデメリット、マウンターの製造販売を行う主なメーカとその製品などについてご紹介します。また、最後にマウンターを導入して生産性を向上させるポイントも解説しますので、ご参考ください。
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目次
1.マウンターの選び方
マウンターは微小チップの高速搭載に適したロータリーマウンター、部品の適用範囲が広いモジュラーマウンターなど、実装したい部品や使用目的などによって機種を選ぶ必要があります。
ここでは、マウンターを選ぶ際に着目すべき基本的な3つのポイントをご紹介します。
(1)自社の製造プロセスに合わせたマウンターを選ぶ
マウンターを導入する際に最も重視しなければならないのは、自社の使用目的に合致した仕様の機器を選ぶことです。自動化したい作業の種類や求める製品品質の水準、生産性の向上目標などを明確にした上で、それに合わせたマウンターを選びましょう。
また、マウンターは製造プロセスに合わせた適切な設定が必要なので、新しい製品の生産やプロセス変更時などに対応できる柔軟性や拡張性があるか確認しましょう。
(2)導入による費用対効果を事前検証する
マウンターを導入する際に数千万円の初期投資が必要になり、定期メンテナンスや故障時の部品交換対応なども欠かせません。価格だけでなく、生産性向上や品質改善の効果、コスト削減効果を評価して投資の費用対効果を検討しましょう。
また、メーカーから提供を受けられるメンテナンスサービスや部品の入手性、保守性などを考慮して予算を策定しましょう。
(3)信頼性の高いメーカの機種を選ぶ
マウンターは長期間にわたって連続稼働する設備なので、使用目的に合った機種はもちろん、故障リスクが低く品質と信頼性が高いメーカの製品を選びましょう。
また、マウンターを導入した後は、定期的なメンテナンスが欠かせないため、テクニカルサポートや導入後のアフターフォローが充実しているかも大切なポイントです。自社での判断が難しい場合は、マウンターの導入実績が豊富なSIerへの相談も検討しましょう。
2.マウンターのおすすめメーカと取扱い製品
次に、マウンターの製造・販売メーカのおすすめ3社と、各社が取り扱っている製品についてご紹介します。
(1)ヤマハ発動機株式会社
【特徴】
・1955年創業の輸送用機器メーカで、産業用機器も取り扱っている
・マウンターだけでなく、ハンダ印刷機や外観検査機など、SMT関連機器のサポート体制が整っている
・「工程まるごと/工場まるごと支援」を掲げてFA化を推進
【取り扱い硬さ試験機】
①超高効率デュアルレーンモジュラー YRM20DL
画像引用:ヤマハ発動機株式会社・超高効率デュアルレーンモジュラーYRM20DL
「フルデュアルレーンライン」を搭載し、同じ面積で2倍の出来高を実現することにこだわり抜き、高精度実装と極小部品の安定生産ができるデュアルレーン表面実装機。1ヘッドソリューションによって幅広い生産対応力を持ち、豊富な機能によって変種変量生産の効率を大幅に高められます。
②3Dハイブリッドモジュラー S10/S20
画像引用:ヤマハ発動機株式会社・3Dハイブリッドモジュラー S10/S20
「3DMID(Molded Interconnect Device)」の実装を可能にするために、基板対応力を強化し、究極の汎用性を実現したマウンターです。
【所在地】
〒438-8501 静岡県磐田市新貝2500
TEL.0538-32-1115
https://global.yamaha-motor.com/
(2)株式会社FUJI
【特徴】
・1959年創業の産業機械メーカで1978年頃からチップマウンターを製造販売
・電子部品実装ロボット、工作機械などの開発・製造販売を行いスマートファクトリーの実現をサポート
【取り扱い硬さ試験機】
①NXTR Sモデル
画像引用:株式会社FUJI・NXTR Sモデル
NXTRは徹底したモジュール設計により、多種多様な生産に応じて柔軟で最適なライン構成を実現できるマシンです。スマートファクトリー実現を目標に設計されており、リアルタイムセンシングの実装、装着動作の最適化、装着後の品質チェックなど高い水準実施できるハイエンドモデルです。
②AIMEX III
画像引用:株式会社FUJI・AIMEX III
汎用性を高め、多品種生産に対応できるように拡張性を高めたオールインワンタイプのマウンター。品種切り替え時間を短縮し、スムーズな生産活動を行うためにさまざまな機能を搭載しています。
【所在地】
〒472-8686 愛知県知立市山町茶碓山19番地
TEL.0566-81-2111
FAX.0566-81-8238
https://www.fuji.co.jp/
(3)パナソニックコネクト株式会社
【特徴】
・2022年4月に発足したパナソニックグループのBtoBソリューションサービス等を担う事業会社
・サプライチェーン、公共サービスや生活インフラ、エンターテインメント分野向けに機器やソフトウェアを開発
・機械の受注・設計・製造・納入まで一貫メーカとして日本だけでなく海外にも事業を展開
【取り扱い硬さ試験機】
①モジュラーマウンター NPM-DX
画像引用:パナソニックコネクト株式会社・モジュラーマウンター NPM-DXI
リモート操作が可能で、高生産性と高品質の進化と省人化によるスマートファクトリー実現を目的としたモデルです。定荷重実装や高精度モードの実現、自動復旧機能などにより、高速で安定的な表面実装が可能です。
②プロダクションモジュラー NPM-TT2
画像引用:パナソニックコネクト株式会社・プロダクションモジュラー NPM-TT2
トレイフィーダーを前後に配置しており、異形部品の高速・高効率実装や多様な生産形態に対応できます。マルチ認識カメラを採用し、供給部の仕様が変更可能で交互実装や独立実装に対応し、NPM-D3AやNPM-W2に直接連結ができるためラインの拡張性が高いマシンです。
【所在地】
〒104-0061 東京都中央区銀座8丁目21番1号 住友不動産汐留浜離宮ビル
TEL.03-5565-8700
https://connect.panasonic.com/
3.マウンターのメリット・デメリット
マウンターは、導入検討をする前に特徴の把握が欠かせません。ここでは、マウンターのメリットとデメリットをご紹介しますので、導入検討の際のご参考としてください。
(1)マウンターのメリット
①生産性の向上が期待できる
マウンターは、完全自動でプリント基板などを高速かつ正確に指定された位置に表面実装できるため、作業効率が高まり生産性が向上します。制御プログラムを変更することで、異なる部品や製品の表面実装に対応できるため、生産ラインの柔軟性と拡張性が向上し、新しい製品の導入や工程変更に迅速に対応できるでしょう。
②製造コストを削減できる
マウンターを導入して工程を自動化できれば、作業時間の短縮などによってコスト削減の効果が期待できます。また、高精度で完全自動作業を行えるため、作業自体のヒューマンエラーを軽減できます。
製品品質が高いレベルで安定して歩留まりが向上することで不良品の数を低減でき、材料コストや廃棄物処理コストの削減も可能です。
③作業員の安全性の向上
マウンターは完全自動で表面実装ができるため、危険な作業現場に人が立ち入る必要がなくなるため、労働災害の発生や怪我のリスクを減らせます。
(2)マウンターのデメリット
①導入コストが高い
マウンターは高度制御機能を持つ工程自動化機器なので、導入には数千万円にのぼるほどの高額な初期投資が必要になる可能性があります。プリント基板などの極小精密機器の製造に使われるため、導入コストは決して安くなく、メンテナンスコストも考慮すると中小規模の企業では導入自体がかなり高いハードルになるでしょう。
②技術的な専門知識が必要
マウンターを使用する際には、設定や操作、メンテナンスについての専門知識やスキルが求められるため、トレーニングや教育プログラムの実施に時間とコストがかかる場合があります。
新しい製品を製造する際などには、マウンターの再プログラミングや設定変更が必要となることがあり、条件設定などの専門知識が欠かせず、教育不足によって人材育成が進んでいなければ使用者が制限されてしまう恐れもあるでしょう。
③故障リスクがある
マウンターは稼働時間が長期にわたるため他の機械と同様に故障リスクがあり、定期的なメンテナンスが欠かせません。マウンターが故障やトラブルによって停止すれば生産自体がストップしてしまう事態になるため、適切な予防保全計画の設定やメーカによるテクニカルサポート体制の確保も必要です。
4.マウンターを用いて生産性を上げるポイント
最後に、マウンターを導入して製造工程の生産性を向上させるポイントを3つご説明します。
(1)マウンターで自動化する範囲を決める
マウンターを導入する際には、どの作業を自動化するかを事前に決めましょう。自社の工程分析を行った上で、必要とされるのがロータリマウンターとモジュラーマウンターのどちらなのか判断するのはもちろん、効果的に自動化できるタスクに焦点を当てることで生産効率の向上が図れます。
(2)製造プロセス内での連携を最適化する
マウンターを導入する前に、現行の製造プロセスを評価した上で工程フローの設計や作業手順の見直しを行い、マウンターと他の設備システムとの連携を最適化することで、全体的な生産性向上を目指しましょう。
それに伴い、マウンターの制御プログラムや条件設定を変更することで、プリント基板などの取り付け位置の精度や作業速度を向上させるための、最適化への取り組みが欠かせません。
(3)作業者への教育と定期メンテナンスを徹底する
マウンターは自動化設備なので、基本的には条件設定ができれば誰でも稼働させられます。しかし、操作だけでなく機械の異常動作や故障の兆候などへの理解、実際に稼働トラブルが発生した際などのトラブルシューティングについては、定期的に教育する必要があります。
特に、故障によって停止時間が長くなるほど収益性を損ねるため、トラブルシューティングへの取り組みだけでなく、定期メンテナンスによる予防保全の徹底が欠かせません。
5.マウンターに関するご相談はFAプロダクツへ
マウンターは、電子部品の表面実装に欠かせない装置で、工程の自動化による生産効率化や品質の向上のためには、事前に製造プロセスの解析と導入効果の検証が大切です。
マウンターは他の製造マシンとの連携によって導入効果が発揮されるため、導入前にはメーカやSIerなどに工程全体の最適化も含めて相談しましょう。
FAプロダクツでは、マウンターを含めた産業用機器の導入経験や生産効率の向上支援の実績を生かして、それぞれの工場にとって最適なアドバイスを行っております。お悩みの方は、お気軽にご連絡ください。
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