摩擦試験機の主要メーカ3選!選び方や生産性向上のポイントも解説
製品の駆動部分や可動する部分には必ず摩擦が起きています。実物を可動させて数ヶ月から数年かけて耐久性や摩耗量を調査すると製品の開発が遅れてしまいます。それらのテストを短期間で結果を出すためには摩擦試験機が必要です。
この記事では、摩擦試験機の導入を考えている人向けに、機械の選び方や主要メーカの製品をご紹介します。導入することでどんなメリットがあり、またどんなデメリットがあるのかも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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目次
1.摩擦試験機は接触の仕方で選ぶ
摩擦試験機は、接触の仕方により3種類あり、それらの種類と特徴から絞ると選びやすくなります。
種類 | 種類 | 特徴 |
点接触 | ・ボールオンプレート ・ボールオンディスク |
接触する箇所は点 ベアリング球の評価 |
線接触 | ・ブロックオンリング ・ピンブロック |
接触する箇所は線 潤滑油などの評価 |
面接触 | ・リングオンディスク | 接触する箇所は面 開発材料などの評価 |
以下より詳しく解説します。
(1)点接触
点接触はおもにボールの摩擦摩耗を評価する試験法です。ボール頂点が接触しており、ベアリングの球などの摩耗を想定した試験です。点接触の試験法は以下2種類あり、想定される使用シーンで試験法が異なります。
試験法 | 想定シーン |
ボールオンプレート | 直動ベアリングの球で直線運動を想定 |
ボールオンディスク | ベアリングの球など回転運動を想定 |
ボールオンプレートは、プレートが往復運動してボールの摩耗量を評価します。おもに直動ベアリングでの使用を想定した試験法です。
ボールオンディスクは、ディスクが回転運動してボールの摩耗量を評価します。おもにベアリングの回転を想定した試験法です。
(2)線接触
線接触は油の摩耗量を評価する試験法です。ピンの外径やブロックが線接触しており、潤滑油や潤滑剤などの摩耗を想定した試験です。線接触の試験法は以下2種類あり、想定される使用シーンで試験法が異なります。
試験法 | 想定シーン |
ブロックオンリング | 油の摩耗や耐久性の調査を想定 |
ピンブロック | 潤滑状態での焼き付き評価を想定 |
ブロックオンリングは、円筒の外周に試験品を押し付けて摩耗量を評価します。おもに油の摩耗や耐久性の調査を想定した試験法です。
ピンブロックは、ピンの外周に試験品を押し付けて摩耗量を評価します。おもに潤滑状態の焼き付き調査を想定した試験法です。
(3)面接触
面接触は開発素材などの摩耗量を評価する試験法です。平面同士が接触しており、素材本体の摩耗量や耐久性の調査を想定した試験法です。面接触の試験法はリングオンディスクのみで、想定される使用シーンは以下通りです。
試験法 | 想定シーン |
リングオンディスク | 素材の摩擦・摩耗特性を調査 |
リングオンディスクは、円筒状の試験品を平面に押し付けて摩耗量を評価します。素材の耐久性などの調査を想定した試験法です。
2.摩擦試験機の主要メーカと製品
ここからは、摩擦試験機を独自で開発や販売しているメーカと製品を紹介します。
(1)株式会社エー・アンド・デイ
【特徴】
電子計測器・産業用重量計・電子天びんを主力に医療や工業などさまざまな分野で活躍している企業です。
【所在地】
〒170-0013 東京都豊島区東池袋三丁目23番14号
【製品】
エー・アンド・デイ社では「面接触」と「線接触」できるEFM-3シリーズを紹介します。
①EFM-3シリーズ
出典:摩擦摩耗試験装置 EFM-3シリーズ:株式会社エー・アンド・デイ
EFM-3シリーズには以下4つの特徴があります。
- 3種の試験法を選べる
- 加圧力とすべり制御を自動制御
- 平均値をグラフ表示
- 簡単操作のタッチパネル
EFM-3シリーズは、リング・ディスク・ピンの試験が可能です。また独自の制御システムにより加圧力とすべり制御を段階的に自動制御してくれます。装置にはタッチパネルを搭載しており、平均値をグラフ表示したりデータを保存も可能なモデルです。
(2)三洋貿易株式会社
【特徴】
日本国内になかったユニークな海外製品を取り扱っている商社です。三洋貿易社で販売した海外装置は同社で修理やオーバーホールなどに対応してくれます。装置のカスタムも可能で、豊富な知識を持ったスタッフが豊富な会社です。
【所在地】
〒101-0054 東京都千代田区神田錦町2丁目11番地
【製品】
三洋貿易社では「往復動摩擦試験機TE77」と「ファレックス試験機F1500」を紹介します。
①往復動摩擦試験機TE77
TE77には以下3つの特徴があります。
- アダプタ変更で3種の試験法をテストできる
- サーボモータで正確な動作
- 動作制御はシーケンス制御
アダプタを変更すれば点接触、線接触、面接触に切り替えができます。また駆動にサーボモータを使用しているため、精度の高い試験が可能です。それらを制御しているシーケンスはTE77専用で、WindowsベースCOMPEND 2000ソフトウェアを使用しています。
②ファレックス試験機F1500
F1500には以下3つの特徴があります。
- 線接触「ピンブロック」専用機
- タッチパネル操作可能
- 試験結果をグラフ表示
F1500はピンブロック式試験専用機です。潤滑剤やコーティングの試験も可能で、タッチパネルから試験結果をグラフ表示してくれるモデルです。
(3)株式会社トリニティーラボ
【特徴】
各種物性評価試験装置および撹拌実験装置に特化した企業です。工業用製品から食品・化粧品関連の試験機も豊富に取り揃えています。
【所在地】
〒155-0033 東京都世田谷区代田3-4-8
【製品】
トリニティーラボ社では「多機能型静動摩擦測定機 TL201Tt」と「プローブ型摩擦測定機 Handy Rub Tester TL701」を紹介します。
①多機能型静動摩擦測定機 TL201Tt
TL201Ttには以下3つの特徴があります。
- ツール交換でマルチ計測を実現
- 高精度計測
- 高い再現性
TL201Ttは4つのユニット構成で形成しており、ユニットの組み合わせ方法を変更して測定が可能です。また接触部とセンサを直結する独自設計により、精度の高い計測を実現しています。構造をシンプルにしたことで計測者が変わっても計測データに差がでない特徴があります。
②プローブ型摩擦測定機 Handy Rub Tester TL701
TL701には以下3つの特徴があります。
- 測定物をそのまま評価可能
- 自動補正で高精度
- アタッチメントのオーダー可能
TL701はハンディタイプの摩擦試験機で、測定物を取り外すことなく測定・評価が可能です。自動補正機能を搭載しており、曲面でも高精度かつ安定した試験結果を得られます。先端のアタッチメントはオーダー可能なのが魅力の装置です。
3.摩擦試験機のメリット・デメリット
ここでは摩擦試験機を導入することで、どのようなメリット・デメリットがあるのかを以下の表にまとめましたのでご覧ください。
メリット | デメリット |
品質の評価ができる | 測定子や試験片は消耗品 |
安全性を評価できる | 設置スペースの確保 |
以下より詳しく解説します。
(1)メリット
①品質を評価できる
摩擦試験機は、測定物が通常なら数ヶ月から数年かけて摩擦で劣化する現象を短期間で評価できます。製品の耐久性を確認できるため、品質向上を狙えます。
②安全性を評価できる
製品の摩耗は場合によって人の命に関わります。摩耗試験を導入すれば摩耗による安全性を確認でき、耐久性や初期不良などを確認できます。また保守交換の目安も明確になるため、劣化しやすい箇所をあらかじめ洗い出すことも可能です。
(2)デメリット
①測定子や試験片は消耗品
測定物と接触する測定子や試験片は消耗品扱いになります。それは測定物に接触させて摩擦させるため、必ず減っていくからです。導入時にそれぞれの値段をメーカに問い合わせておき、必要であれば予備を保有するのが良いでしょう。
②設置スペースの確保
摩擦試験機は装置サイズがコンパクトとは言えない製品が多数あります。狭いスペースに無理やり設置すると作業性が悪く、使い勝手が悪くなります。
事前に設置スペースを確保するのと、摩擦試験機の場合、測定物や脱着や安全スペースを確保すると良いでしょう。
4.摩擦試験機を用いて生産性を上げるポイント
摩擦試験機は、使用する試験片や測定子が消耗品扱いになります。消耗したまま使用すると正しく計測できない可能性があります。それらのトラブルを回避するには、摩擦試験機の消耗品をいつどのタイミングで交換するのか、あらかじめ生産計画に組み込んでおくと良いでしょう。
また消耗品の交換時期は測定物などで異なるため、導入するときにあわせて相談することをおすすめします。
5.摩擦試験機導入に関するご相談は株式会社FAプロダクツへ
摩擦試験機は、多くのメーカがあり、特徴もそれぞれ異なります。もしどれを選んでよいか迷っている場合は、一度試験機の導入を支援しているコンサルタントに相談するのがおすすめです。
株式会社FAプロダクツでも、摩擦試験機に関するアドバイスを行っています。ぜひお気軽にご相談くださいませ。多くの装置導入を支援する中で培ってきたノウハウをもとに、的確なアドバイスをいたします。
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