スマートファクトリーとは?歴史や必要な理由、2019年以降の展示会を紹介
スマートフォン、スマートスピーカー、スマートホームなど、いつの間にか消費者の生活に「スマート」という名前のつけられた製品が多くなりました。
また、多くの工場では「スマートファクトリー(Smart Factory)」の実現に取り組んでいます。
しかし、いったい「スマート」とはどういうことでしょうか。
結論から述べてしまうと、スマートファクトリーのスマートは、「ITによって省力化とともに品質を向上させる総合的かつ洗練された仕組み」のことをいいます。
具体的には、以下のような項目を備えていることです。
- ロボットを使って作業を自動化し、人間に負荷のかかる重労働を代替
- 無線インターネットの技術によりケーブルで各装置をつなぐ煩雑さを解消
- 小型軽量化したデバイスで作業手順やシステムの状況をリアルタイムで把握
- センサーで感知した人間の声や動作、温度などをAI(人工知能)が認識
- 常時接続されたセンサーからの情報を蓄積、分析して予知保全などに活用
- ARを利用して装置の状態や熟練工の作業手順マニュアルを現実に重ねて表示
- 自律的なシステムで工場の工程から物流まで、すべての流れを可視化および管理 など
ファクトリーオートメーション(FA:工場の自動化)という言葉がありました。FAもスマートファクトリーの第一歩ですが、最先端の工場では、さらにスマートな工場をめざしています。
ここでは、スマートファクトリーの基本概念や登場の背景にふれるとともに、経済産業省の取り組み、実際にスマートファクトリーの情報収集をする手段など、さまざまな面から解説します。
もしスマートファクトリーを実現して、
- 省力化、省人化してコストダウンしたい
- 生産性アップして売上を上げたい
- 人的ミスを減らして品質価値を高めたい
- どのメーカーのロボットを使えば効率的かわからない
場合は、関東最大級のロボットSIer、FAプロダクツまでお問い合わせください。
また、安全に工場を稼働させ続けるためには、定期点検・保守・修理、老朽化した設備のリプレースが必要不可欠です。
FAプロダクツはそういったお客様のニーズにお応えし、手書き図面のデジタル化から緊急依頼まで幅広くサポート。
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目次
1.スマートファクトリーとは何か
抽象的な概念よりも、以下の動画を観ると「スマートファクトリーとは何か」を実感できるのではないでしょうか。富士通株式会社の「コルミナ(COLMINA)」というソリューションです。
出典:次世代ものづくり -ものづくりデジタルプレイス COLMINA-/富士通株式会社
予知保全の分野ではIoT(Internet of Things:モノのインターネット)、技能継承の問題解決にはAIの活用を構想したシステムです。
コルミナはスマートファクトリーのプラットフォームを提供していますが、技術的なソリューションだけではなく、働く人々のノウハウを共有、流通させる仕組みに特長があります。
2017年、ドイツで開催された「CeBIT2017」で、日本は「コネクテッドインダストリーズ」という戦略を打ち出しました。このとき自動化と人間と機械(Man – Machine)の接続を推進するとともに、IoTやAIによって社会全体を変える「ソサエティー5.0 (Society 5.0)」が提唱されました。スマートファクトリーの実現には、先端テクノロジーはもちろん人間の働き方の改革も必要です。
2.スマートファクトリーの基盤「インダストリー4.0」
あらためてスマートファクトリーの歴史を遡って、これまでの経緯を解説します。スマートファクトリーを理解するためには、そのコンセプトが生まれたドイツの「インダストリー4.0」を知っておく必要があります。
したがって、まずインダストリー4.0の概略から取り上げます。
(1)インダストリー4.0とは
スマートファクトリーの概念は、ドイツ政府が提唱した「インダストリー4.0」から生まれました。
1989年に東西のドイツは統一されましたが、統一によってドイツの経済は大きく悪化しました。東ドイツの共産体制による不振があったからです。
その後、数十年かけて復興したとはいえ、2010年頃には、生産性向上が進展していないことが問題視されるようになりました。
メルセデス・ベンツ、BMW、ポルシェなどの自動車業界、シーメンス、ボッシュといった電機機器業界など、世界に名だたる製造業がドイツには存在します。
製造業の生産性低下を打開することはドイツの存続のために重要であり、国家レベルの構想と現実的な仕組みづくりが求められたのです。
こうした背景から2011年、ドイツ工学アカデミーと連邦教育・研究省によって、製造業のIT化を促進するプロジェクト「インダストリー4.0」が考案されました。
インダストリー4.0が発表されたのはハノーバー・メッセの会場でした。このイベントは、1947年以降ドイツの経済復興のために開催されている世界最大の産業見本市です。
インダストリー4.0では、モジュール構造化された分散型の工程を採用するほか、生産や物流の工程を大幅に自動化し、コスト削減と生産性の向上をめざしました。
これがスマートファクトリーの原型です。IoTなど先端技術を積極的に活用し、設備や装置の故障や異常を事前に検知する予知保全を重視したことに意義があります。
(2)インダストリー4.0の4つの設計原則と成果
インダストリー4.0には、以下の設計原則があります。このような設計原則によって作られた「サイバーフィジカルシステム(CPS:Cyber Physical System)」によって現場を監視し、現場を仮想的に再現することで判断や意思決定を支援します。
・相互運用性 (Interoperability)
人間と人間またはIoTによって機械と人間の相互がつながり、通信を行うことです。
・情報の透明性 (Information transparency)
相互運用性から得た膨大な情報を共有し、適切な意思決定のための情報を可視化して分析します。
・技術的な補助 (Technical assistance)
緊急の問題を迅速に解決するためには情報を集約したシステムがサポート、人間にとって重労働や不快な物理的な仕事はロボットがサポートします。
・分散型決定 (Decentralized decisions)
サイバーフィジカルシステム自体もしくはモジュールが、可能な範囲で自律的に業務の意思決定を行い、人間を支援します。
このような設計思想をもとに、自動的な業務の最適化、設備や装置の自己診断、認知機能を備えた自律型のメンテナンス、自己組織化された物流機能などに対する取り組みがさかんになりました。
インダストリー4.0とスマートファクトリーは、ドイツでは国家戦略として各企業で取り組みが行われましたが、ボッシュをはじめとした企業で成果をあげています。
以下は、ボッシュの栃木工場の事例を紹介した映像です。
プロダクションパフォーマンスマネージャー(PPM)というソリューションを独自で開発し、自動車用のABS、ESPという製品の製造において、トラブル発生時の予知保全に活用しています。
出典:Bosch インダストリー4.0/Bosch Japan
3.スマートファクトリーは、なぜ日本で必要か
日本にフォーカスすると、スマートファクトリーが求められる要因として「人材不足」と「超高齢社会」があります。これは日本の社会全体において、人口構成が変わることによって生じる大きな問題です。
特に、ものづくりに関わる企業では、日本の人口構成の変化は具体的に「技能継承」の問題を発生させます。というのは、これまでの熟練工によって維持されていた高度な技術を次世代の人材に伝えていくことが困難になるからです。
経済産業省の『2019年版ものづくり白書』では、技能継承が重要と認識している企業が66%にも関わらず、将来の技能継承に関しては「不安がある」15%、「やや不安がある」65%と、あわせて80%の企業が技術継承に関して不安を感じている結果を提示しています(n=5,867)。
また、生産性の面では、「技能継承がうまくいっている等企業(n=2,598)」では生産性が低いと認識している企業が16.7%に対して、「技能継承がうまくいっていない等企業(n=3,094)」では36.3%の回答で生産性が低いと認識している結果になりました。つまり、技能継承の問題が企業の生産性に大きな影響を与えています。
人材定着率に関しても、技能継承によって明暗が分かれています。技能継承ができない企業は、人材が定着しません。
しかしながら、技能継承は時間がかかります。その時間を短縮するためにも、ロボットによる自動化やAIを現場に投入することは急務といえます。
参考:『2019年版ものづくり白書(PDF版)』第3章 ものづくり人材の確保と育成、経済産業省
4.経済産業省によるスマートファクトリーロードマップ
2017年5月31日に、経済産業省では『スマートファクトリーロードマップ』という資料を発表しました。
参考:「スマートファクトリーロードマップ」〜第4次産業⾰命に対応したものづくりの実現に向けて〜(PDF)
この資料の冒頭では、ものづくりに関連する企業において、製造現場の外部環境の変化によって生じる課題を7つに整理しています。そのうち以下の4つは「ものづくりのスマート化」が有望な対応策であると指摘している課題です。
- 社会のデジタル化・ソフトウェア化に伴う消費の⾼度化への対応
- デジタル技術による擦り合わせ・カイゼンのコモディティ化への対応
- 製造現場のデジタル化・ソフトウェア化への対応
- ⼈材の質・量の不⾜への対応
さらにスマート化の目的として、以下の7つを挙げています。
- 品質の向上
- コストの削減
- ⽣産性の向上
- 製品化・量産化の期間短縮
- ⼈材不⾜・育成への対応
- 新たな付加価値の提供・提供価値の向上
- その他(リスク管理の強化)
スマートファクトリーの構築、もしくは現在稼働中のスマートファクトリーを改善したい場合、経済産業省の「スマートファクトリーロードマップ」を一読して「何をすべきか、どうやって行うか」というポイントを確認するとよいでしょう。
課題やステップを見きわめる参考資料として便利です。21の先行事例も掲載されていますが、やや古いため、事例は別途最新の事例を収集すると解決のアイデアがみつかるかもしれません。
いきなり完全なシステムを設計して実稼働させるのではなく、ある部門や設備に限定してトライアルや実証実験で導入する手法が有効です。
さまざまな検証をしつつ、成功事例を拡大していく段階的な導入が成功のポイントと言えるでしょう。「小さく始めて大きく育てる」ことが大切になります。
システム開発ではラピッドプロトタイピング、アジャイル、DevOpsなどの手法が現在の主流であり、起業にはリーンスタートアップという考え方があります。
トライアル段階でPDCAサイクルを回すことによってシステムを検証し、課題を解決しつつ成功したモデルを拡大して展開していく方法が堅実です。
5.スマートファクトリーの情報収集には
スマートファクトリーの構築、もしくは運用しているシステムの改善を考えるときには、さまざまなメディアを使って情報を収集することが大切です。イベントやショールームは、実際に体験できることが大きなメリットになります。以下、スマートファクトリーの情報収集のときに参考になるイベント、メディア、ショールームを紹介します。
(1)【イベント】スマートファクトリーJapan 2020
日刊工業新聞の主催によるイベントです。2019年の来場者数は3日間で4万3,169人でした。「スマートファクトリーJapan 2020」は2020年10月14日(水) 〜 16日(金) 10:00〜17:00(最終日のみ16:30まで)、東京ビッグサイトで開催。人手不足のサポートやAIとIoT活用のコーナー、スマート物流・マテハンコーナーなどがあります。
参考:スマートファクトリーJapan2019開幕 モノづくり高度化提案、日刊工業ビデオニュース
(2)【イベント】THINK SMART FACTORY 2019
TSF2019実行委員会主催による印刷業界がメインのイベントです。2019年11月11日(月)〜13日(水)にみやこめっせ(京都市勧業館)で開催され、セミナーが行われます。
(3)【Webメディア】MONOist スマートファクトリー関連記事
アイティメディアが展開している「モノづくり技術者専用サイト」。連載記事や事例も多く、工程別と産業別に記事を構成しています。
(4)【Webメディア】IoTNEWS スマートファクトリー関連記事
企業のデジタルフォーメーションを支援するコンサルティング会社、株式会社アールジーンが展開するIoTを中心とした情報発信をしているメディアです。オリジナルニュース、データ、事例のコンテンツが充実しています。
(5)【ショールーム】Smart Factory Conductor Labo(スマラボ)
FAプロダクツ(弊社グループ会社)が運営するショールームです。最先端のRobot × IoTをリアルで体験し、その話で購入もできます。1階は物流、自動車・機械、食品、IoTの4つのゾーンでマルチメーカー&ソリューションを展示、2階にはセミナールームがあり、IoTやAIに関する実践的なシステムインテグレーターの育成を行います。
■アクセス情報
住所 〒329-0206 栃木県小山市東間々田3-23-23
最寄り駅 JR東北本線・JR宇都宮線「間々田駅」
※東口から自動車で5分(駐車場あり)、徒歩15分
営業時間 平日 10:00~18:00(土日祝日は除く)
電話 03-6453-6761 (FAプロダクツ内)
■予約はこちら(見学は1か月待ちの状態です。※2019年10月現在)
https://smartfactorylabo.com
6.工場のスマート化に関するご相談はFAプロダクツへ
AIやIoTは「魔法の杖」ではないため、「ロボットやAIを導入すれば楽になるだろう」「IoTが常時監視してくれるから安心だろう」わけではありません。
スマートファクトリーを実現するためには、先端テクノロジーを熟知した「部分最適」はもちろん、生産戦略や物流戦略などの「全体最適」による構想が重要です。
FAプロダクツは年間200台もの実績がある関東最大級のロボットシステムインテグレーターです。一貫生産体制をとっており、設計から製造までをワンストップで対応。費用・時間にムダなく最適化を行うことができます。
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【営業品目】
- 産業用ロボット
- 生産設備合理化・省力化の設計及び製作
- 基板電気チェッカーや貼合・折曲など
- 治具の設計・製作
【実績】
NM社(電子部品の製造販売)、HS製作所(情報通信・社会産業・電子装置・建設機械・高機能材料・生活の各システム製造販売)、TT社(ショッピングセンターなどリテール事業)、SM社(自動制御機器の製造・販売)、OR社(自動車安全システムの製造販売)
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