渦巻ポンプとは?原理や特徴、種類と選定のコツ | 主要メーカ15選
渦巻ポンプは、羽根車の回転によって遠心力を生み出し、それを利用して流体を押し出すポンプの総称です。水などの流体を移動させる必要がある現場では欠かせません。
この記事では、渦巻ポンプの概要や原理から、その種類と選び方までまとめて解説しています。また、渦巻ポンプの主要メーカもご紹介しました。
渦巻ポンプの導入を考えている方はぜひ参考になさってください。
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目次
1.渦巻ポンプとは?特徴や原理、使用用途
渦巻ポンプは、液体を吸引し、遠心力によって加速させて放射状に排出する動力ポンプの一種です。
ポンプの回転子に取り込まれた液体は渦巻状に回転し、その動きによって圧力差が生じ、液体はポンプ内を移動します。主に中程度から高い流量と低い揚程で使用され、非常に効率的で信頼性が高いという特徴を持ちます。
(1)原理
基本的な原理は、羽根車の回転によって流体に遠心力を加え、その遠心力によって流体を押し出すことです。
羽根車は円筒形の回転子であり、羽根はケーシングの内壁との間隔が狭く、流体が渦巻くように設計されています。羽根車(インペラ)の回転によって流体は渦巻ポンプの室内で遠心力を受け、中心から外側に向かって加速され、最終的に吐出口から排出されます。
これは、流体のエネルギー保存則であるベルヌーイの定理に基づいています。
インペラは液体の速度エネルギーから圧力に変換するという、ポンプにとって重要な要素を担っている部品です。インペラにはさまざまな種類があります。以下はその中でも代表的なものです。
・半径流インペラ:水を半径方向に流す。羽の形は2次元曲面
・混流形インペラ:軸方向から半径方向に変化する。羽の形は3次元曲面。
(2)特徴
渦巻ポンプは、単純な原理や構造によりメンテナンスが容易で、広範囲の流体に使用できる汎用性が特徴です。
また、安定した吐出量と吐出圧力を得やすく、振動や騒音も少なく、特に液体中の固体容積濃度が20%以下で、比較的粘度の低い溶液に適しています。
また、渦巻ポンプは、液体中に固形物が混ざっていても効果的に取り扱うことができます。このことから、建設現場や汚水処理などの環境で、異物の有無にかかわらず頼りにされます。
(3)使用用途
渦巻ポンプは流量が多いことなどによってそれほど圧力が必要ないケースに有用で、特に、大量の液体を効率的に移動させる用途に使用されます。。
具体的には以下のような用途に適しています。
・排水
・ボイラの給水
・化学工場
・上下水道
・鉱山
・農業分野や空調機の給排水、灌漑
さらに羽根の形状などの改良、工夫によって以下のようなものの輸送に使われることもあります。
・泥水、汚水
・スラリー
・パルプ混液
・砂礫や石炭
・魚やみかん(水と一緒に輸送する)
【参考動画】
引用:渦巻ポンプの基礎知識
2.揚程とは
ここでは渦巻ポンプを選ぶ際に重要な指標となる「揚程」について解説します。
揚程とは、ポンプが液体を持ち上げ、流れを作り出すことができる高低差を示し、これは液体をポンプから出口まで移動させるために必要なエネルギーを評価する際に重要なパラメータです。
揚程は通常、ポンプやファンの性能曲線や仕様表に示され、その機械が特定の運用条件や要件に適合するかどうかの判断の目安とします。例えば水を建物の高い階に送り上げる場合や空気を建物内の通気口から排出する場合など、様々な工学的なアプリケーションで揚程を考慮する必要があります。
3.渦巻ポンプの種類と選び方
(1)渦巻ポンプの種類
渦巻ポンプにはいくつかの種類があり、それぞれ異なる特長があります。
渦巻ポンプは、羽根車の数、ケーシングの構造、軸封部の構造によって種類が分類されます。単段渦巻ポンプは1つの羽根車で流体を押し出し、多段渦巻ポンプは複数の羽根車を連続して配置し、段階的に流体を押し出します。
ケーシングの構造によっては、シングルケーシング渦巻ポンプとダブルケーシング渦巻ポンプがあり、軸封部の構造によっては、メカニカルシール式渦巻ポンプとシールレス式渦巻ポンプが存在します。
分類 | 種類 |
羽の数による分類 | 単段渦巻ポンプ |
多段渦巻ポンプ | |
ケーシングの構造による分類 | シングルケーシング渦巻ポンプ |
ダブルケーシング渦巻ポンプ | |
軸封部の構造 | メカニカルシール式渦巻ポンプ |
シールレス式渦巻ポンプ |
それぞれの特徴をまとめると以下のようになります。
①単段渦巻ポンプ
単段渦巻ポンプは、1つの羽根車で流体を押し出すポンプです。
比較的シンプルな構造を持ち、低圧および中圧の用途に適しています。単段の構造なので、主に比較的低い揚程が必要な場合に使用されます。メンテナンスが容易でコストが抑えられる特徴があります。
②多段渦巻ポンプ
多段渦巻ポンプは、複数の羽根車を連続して配置し、段階的に流体を押し出すポンプです。
各段で流体に遠心力を加え、揚程を段階的に高めることが可能です。高揚程が必要な場合や高い圧力が求められる場合に利用されます。多段構造により、単段ポンプよりも高い揚程を実現できますが、構造が複雑でコストがやや高い傾向があります。
③シングルケーシング渦巻ポンプ
シングルケーシング渦巻ポンプは、1つのケーシングを持つポンプです。羽根車とケーシングが一体化しています。この構造は単純で製造が比較的容易であり、一般的な産業用途に適しています。ただし、ケーシング内で流れる液体による摩耗が発生しやすく、それによって寿命が短くなる可能性があります。
④ダブルケーシング渦巻ポンプ
ダブルケーシング渦巻ポンプは、2つのケーシングを持つポンプです。内側のケーシングが外側のケーシングを覆い、その間に冷却液が循環する構造を持っています。これにより、外側のケーシングが冷却され、摩耗が抑制されるため、耐久性や寿命が向上します。高温の流体を処理する際や対摩耗性が要求される場面で使用されます。
⑤メカニカルシール式渦巻ポンプ
メカニカルシール式渦巻ポンプは、軸とケーシングの間にメカニカルシールを配置して、流体の漏れを防止するポンプです。シールが外部から見えないため、比較的綺麗にされている環境での利用に向いています。しかし、メカニカルシールは摩耗が発生する可能性があるため、定期的にメンテナンスをする必要性があります。
⑥シールレス式渦巻ポンプ
シールレス式渦巻ポンプは、軸とケーシングの間にシールを設けずに、流体の漏れを防止するポンプです。シールレス構造により、摩耗が少なくメンテナンスが簡略化できる可能性があります。環境への影響が少なく、腐食や汚染のリスクが低いのが特徴です。特に危険な化学物質の取り扱いなど、危険な環境での使用が適しています。
(2)渦巻ポンプの選定のポイント
①用途と液体の性質
使用する環境や液体の種類によって適したポンプが異なります。例えば、固形物を含む汚水処理ならうず巻ポンプが、大量の水の移送なら軸流ポンプが適しています。
②揚程と流量
必要な揚程と流量に応じてポンプの性能を選択します。適切なポンプ性能を選ぶことで、効率的かつ経済的な運転が可能です。
③耐久性と保守
長寿命でメンテナンスが容易なポンプを選ぶことで、運用コストを削減できます。材料や構造の耐久性も考慮しましょう。
④エネルギー効率
エネルギー効率の良い製品は環境にも経済にも優れています。高効率なモーターや設計が採用されたポンプを選ぶことが大切です。
4.渦巻ポンプの主要メーカ一覧
ここでは、渦巻ポンプの主要メーカーをご紹介します。
株式会社横田製作所 | 【特徴】
株式会社横田製作所は、ポンプ、バルブ、攪拌装置、ろ過装置など多岐にわたる製品を製作し、流体の問題を解決するメーカーです。独自の特許理論とノウハウを駆使し、自吸ポンプや一発脱泡・脱気ポンプなど特徴的な製品を数多く開発しています。 |
本多機工株式会社 | 【特徴】
本多機工株式会社は、ケミカル液や高粘度液への強みを生かし、製造業や環境保全など多岐にわたる分野を扱っています。グローバル展開を果たし、65ヶ国以上に輸出しています。独自の技術によって開発された製品の多さが特徴です。 |
株式会社シー・エス・シー | 【特徴】
株式会社三興ポンプ製作所は、水中サンドポンプや耐酸耐食ポンプの製造・販売を主力とする企業です。同社は高い技術力を持ち、砂の含有量が多い泥水でも安定して運転できる水中サンドポンプは国内トップクラスシェアを誇っています。 |
株式会社三興ポンプ製作所 | 【特徴】
三興ポンプ製作所は、水中サンドポンプや耐酸耐食ポンプの製造・販売を主な事業とする企業です。水中サンドポンプ分野で国内トップクラスのシェアを誇ります。また、鋳造による機械部品の製造も行っています。 |
ラサ商事株式会社 | 【特徴】
ラサ商事株式会社は、資源・金属素材・ポンプ・産業機器・環境プラント設備など多岐にわたる機器を取り扱う商社です。海外からの輸入産業用ポンプも高い信頼を受け、トップシェアを築いています。ニッチ市場における高いシェアを獲得しています。 |
株式会社荏原製作所 | 【特徴】
株式会社荏原製作所は、主力製品であるポンプを中心に、送風機、冷凍機など風水力機械製造で世界トップクラスの技術力を誇ります。技術力を活かし、半導体や電子部品製造に不可欠な真空ポンプ装置やCMP装置、メッキ装置なども製造しています。 |
テラル株式会社 | 【特徴】
テラル株式会社は、ポンプ、送風機の他に、給水装置や生ゴミ処理システム、防災機器等、住環境になくてはならない機器やシステムを主要事業として展開しています。また、環境配慮に重点を置き、省エネルギーで環境に優しい製品を提供しています。 |
株式会社川本製作所 | 【特徴】
株式会社川本製作所は、幅広いポンプ製品を手がける専門メーカーです。ビル設備、家庭用、産業用、農事用など様々な用途で使用されるポンプを製造しています。年間25万台の生産規模で、家庭用ポンプは「省エネ大賞」を受賞しています。 |
株式会社酉島製作所 | 【特徴】
株式会社酉島製作所は、高圧ポンプ技術に強みを持ち、発電プラントや海水淡水化プラント向けの製品を提供するメーカーです。環境に配慮し、省エネポンプの開発で平成26年度省エネ大賞「経済産業大臣賞」を受賞しました。国内外でポンプの提供だけでなく、プロジェクト全体の建設も担当しています。 |
西垣ポンプ製造株式会社 | 【特徴】
西垣ポンプ製造株式会社は、創業以来ステンレス製ポンプを主に製造する企業です。国内各所に営業所と工場を展開し、一貫してポンプ製造に専念しています。ステンレス製ポンプと鋳鉄型ポンプの2種類を扱っています。 |
株式会社丸八ポンプ製作所 | 【特徴】
株式会社丸八ポンプ製作所は、各種プラント、装置、設備用、化学薬品移送、排水処理など多岐にわたる分野のポンプ製品を製造・販売している専門メーカーです。国内に営業拠点・工場・配送センターを展開し、シンガポールとタイにも海外代理店を設けています。原料から製品に至るあらゆる工程の液体に対応し、必要に応じてカスタマイズ・オーダーメイドも扱っています。 |
グルンドフォスポンプ株式会社 | 【特徴】
グルンドフォスポンプ株式会社は、デンマークの世界市場シェアトップクラスのポンプメーカー、グルンドフォスの日本法人です。本社・工場は静岡県浜松市にあり、年間約30万台のポンプを出荷しています。環境に配慮し、ErP指令に準拠した高効率ポンプの提供に積極的に取り組んでいます。 |
株式会社鶴見製作所 | 【特徴】
株式会社鶴見製作所は、水利技術の開発に尽力し、特に水中ポンプの分野で独自の製品を製造・販売・リースを行うメーカーです。ドバイ、南アフリカ、ベトナムなどへ進出し、国家的なプロジェクトを支え、明石海峡大橋や関西国際空港などの大規模プロジェクトにも参画しています。 |
三和ハイドロテック株式会社 | 【特徴】
三和ハイドロテック株式会社は、ステンレス製マグネットポンプなど多彩なポンプ製品を製造・販売する企業です。高品質かつ液漏れせずに長寿命なポンプを特長とし、創業以来ポンプ製品の開発と事業拡大を続けています。特に液漏れを解消したマグネットポンプは業界で先駆的な開発をし、高い品質を誇る。 |
三相電機 | 【特徴】
三相電機株式会社は、モーター、ポンプの製造や販売を行うメーカーです。マグネットポンプ・ラインポンプ、循環ポンプなどのポンプ類、ファン・変減速機用モーター、マイクロバブル発生装置などを製造しています。電動ポンプで各国の国際規格と、医療器具製造許可を取得しています。 |
5.渦巻ポンプ導入に関するご相談は株式会社FAプロダクツへ
渦巻ポンプは参入メーカが多数あり、どのメーカを選べばよいか、自社にあった製品はどれなのかなどを比較して検討するのも大変です。動作設定はメーカによって操作方法も異なるため、せっかく導入してもうまく使いこなせていない……ということも、しばしば見られます。
初めて導入する場合は、自社に適した装置を開発できるメーカに相談するのもひとつです。FAプロダクツでは、豊富な実績をもとに最適な渦巻ポンプ導入のお手伝いができますので、ぜひご検討ください。
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