電子負荷装置とは?原理や種類、電源との関係|主要メーカ8選!
私たちの周りにある機械は、ほとんどが電気で作動し、どのような用途の電源も、安定して必要な電圧・電流を機械に供給することが重要です。
電源は負荷が要求する使用の電気を供給するように仕様が決められ、電源の仕様が決まれば、機械に影響を及ぼさないかを試験する必要があります。その試験を担当する装置が、電子負荷装置です。
このコラムでは、電源が正しく作動するかをテストする電子負荷装置についてご紹介します。
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目次
1.電源負荷と電子負荷装置
(1) 電源負荷と電子負荷装置
電気機械の電源でも、大型モータのようなものを動かす高電圧・大容量のものから、コンピュータの基板を駆動させる低電圧精密電源まで、いろいろな種類が存在します。これらの電気で稼働する機械は、電源負荷と呼ばれます。
図1は、電源と抵抗負荷を接続し、負荷を掛けるイメージを表しています。
図1の左側の (A)図では、負荷は可変抵抗または小さなサイズの抵抗を何本か組合せて抵抗値を変えるものとし、この抵抗負荷に電源システムが用いられています。
しかしこのような抵抗負荷では、切り替え時に正確に切り替えられず、正確な電源の電圧と電流が測定できないこと、抵抗切り替え時のノイズが発生する場合があるなどの問題があります。
図1の右側の (B)図は抵抗負荷の切換えを細かく正確に行うために、FETなどの半導体電子部品を用いて、抵抗負荷を製作しています。そのため、電源システムからの電圧と電流を、正確に評価できます。
(B)図のような電子部品で構成し、負荷としてのニーズに答えられるように製作されたものが、電子負荷装置です。
例えば、コンピュータに供給するDC24V電源があったとして、その電源をもとにCPU基板やディスクにDC5Vに変換して供給するシステムがあったとします。もし、DC24V供給電源が不安定要素があり、負荷側(コンピュータ側)で過負荷になるような事象が起こったときに、DC24V電源の供給する電圧が瞬時ながら変動するかもしれません。そうすると、CPU基板やディスクに供給するDC5Vの電圧が変動し、コンピュータの異常動作や停止が起こる可能性があります。
このように、負荷がどのようなものであっても、供給する電源は負荷側の変動に影響されることがなく、安定して電源を供給することが求められます。
電子負荷装置は電源がそのような安定した電源かどうかを試験して評価をする装置です。
以下では電子負荷装置についての動画と参考記事を紹介します。
【菊水電子工業株式会社】
引用:電子負荷ってなに? いまさら聞けない電子負荷【入門編】
【計測技術研究所】
また、以下の記事も参考にしてください。
(2) 電源負荷に接続する電源の種類
図1のような簡単な負荷に掛ける電源は、交流の100V電源で十分ですが、負荷装置は複雑な電子回路など、用途ごとに多くの種類があります。
そして、その負荷に電源を供給する電源装置にも、いろいろな種類があります。
以下の表は、電源装置の一例です。
表1 電源の種類(一例)
種類名称 | 内容 | 備考 |
バッテリー電源 | 充電によって繰り返し使用できる電源です。 | 蓄電池 |
乾電池 | 電解液を固体に染み込ませた電池です。直流電源です。 | 他に
・ボタン型電池 ・リチウム電池 |
ACアダプタ | AC電源をDC電源に変換。充電する形式もあります。 | スマホ用電源など直流供給 |
インバータ | DC・AC⇒AC(周波数違う)変換電源回路 | 交流供給 |
スイッチング電源 | ICを用いた回路で構成する、AC-DC安定化電源です。 | ACアダプタで使用。家電製品に組み込まれる |
DC-DCコンバータ | AC-DC電源から、DC-DC変換して必要電圧電源を構築します。 | |
UPS(無停電電源装置) | 蓄電した電源によって、停電時に一定時間電気を供給します。 | 非常用電源は軽油による発電 |
太陽電池 | 光エネルギーを電気に変換します。 | 直流ですが、蓄電能力なし |
太陽光発電 | 太陽によって発電し、電源を供給します。 | 交流 |
2.電子負荷装置の役割と種類
(1) 電子負荷装置の役割
電子負荷は、容量・作動電圧電流・機能など色々なものがありますが、電源装置もそれぞれの負荷に合わせたものがさまざまあります。
以下はその一例です
●商用のAC100V電源
●DC24Vのように直流に変換した電源
●コンピュータに供給する精密な電源など
電子負荷装置の目的は、電源装置から電源を受けて、次のような機能が正常かつ正確に動作するかどうか確認することです。
●バッテリの充電・放電試験
●電源装置の負荷電子回路の特性試験
●電子負荷装置の負荷電子回路の応答特性試験
●燃料電池スタックの特性試験
(2) 電子負荷装置の種類
電子負荷装置には、ドロッパー方式と回生方式の2種類があります。(図2参照)
➀ ドロッパー方式
図2の左側が、ドロッパー方式のイメージ図です。
電子負荷装置の負荷は、抵抗器ではなく、FETや半導体などのデバイスを組合せた負荷を構成します。
負荷装置にかけた電気は抵抗などに電流を流すことで熱が発生し、電子負荷装置から、大気中に放出されます。負荷の大きさによっては電子負荷装置とともに周囲の温度が上昇し、正しい電源試験を行えなくなるため、周囲を冷やすクーラーなどの機器が必要です。
また、多くの試験を回数をこなすために、ランニングコストが高くつきます。
② 回生方式
図2の右側は、回生方式のイメージ図です。回生方式は、スイッチング方式とも言います。
回生方式は、ドロッパー方式のように、投じた電源を負荷で燃やすのではなく、投じた電源を回収して元の交流電源に返します。
図2のように、電源装置から電子負荷装置に入力された電源を、AC電源変換回路を通して交流に変換し、大元の交流回路に戻します。
DC→DCからDC→ACの変換のように、多少複雑な回路が必要となりその分経費もかさみますが、電気エネルギーを浪費しないため結果的には経済的と言えます。
③ ドロッパー式と回生式の比較
ドロッパー方式と回生方式の比較は以下の通りです。(表2)
表2 電子負荷装置の種類の比較
比較項目 | ドロッパー式 | 回生式 |
価格 | 安価
(回生式より安い程度) |
高価 |
省エネルギー効果 | 低い | 高い |
適用負荷容量 | 小規模負荷に適する | 大規模負荷に適する |
負荷応答時間
(電流が流れてから設定に達するまで) |
高速応答 | 低速応答(高速より低い) |
操作方式 | 外部設定可能 | 外部設定可能 |
3.電子負荷装置による負荷試験の種類
電子負荷装置の負荷試験には、基本的な4つの方式があります。
電子負荷装置に入力される電源装置は、これらの負荷の方式にしたがって、変動が起こらず安定して供給できるかを試験されます。
ここではそれぞれの負荷試験について解説します。
(1) 定電流方式
図3左は、定電流方式(CC方式)のイメージ図です。
定電流方式は、設定した電流値で動作し、その間に試験装置の電圧が変化しても、電流の値は一定で推移するように電子負荷装置が調整します。
使用される例として、スイッチング電源の負荷変動、充電器の放電などの試験です。
(2) 定電圧方式
図3右は、定電圧方式(CV方式)のイメージ図です。
定電圧方式は、設定した電圧を維持するように、定格内で電流が変化して負荷に流れる動作方式です。
使用される例としては、定電流を出力する充電器の試験です。
(3) 定抵抗方式
図4左は、定抵抗方式(CR方式)のイメージ図です。
設定した抵抗値となるように、電圧と電流を調整します。抵抗値は、電子負荷装置の直流電子負荷を、抵抗に置き換えて試験されます。
抵抗値は、電圧/電流 で表されるため、充電器の放電などの場合に、設定抵抗に応じて放電電流が決められます。
(4) 定電力方式
図4右側は、定電力方式(CP方式)のイメージ図です。
電源装置からの電源を、電子負荷装置が設定した電力で、電力を消費されるように動作する方式です。
使用例には、電源装置の自己発熱や変換効率を測定する場合に利用されます。
(5) その他の方式
①外部制御方式
電子負荷装置の外部入力端子に入力された、電圧に比例した負荷電流値に制御する動作を行います。
②短絡動作方式
電子負荷装置が短絡状態となるように動作する方式で、電源装置などが持つ保護機能の試験に使用されます。
③リミッタ方式
入力された電圧値や電流値が、設定されたリミット値を超えたことを測定すると、電子負荷装置が、動作する方式です。
動作方式は、測定対象を破損防止するためのもので、低電圧リミット、低電圧保護、異常電圧保護などの方式があります。
4.電子負荷装置の主要メーカー8選!
以下では、電子負荷装置の主要製造メーカー8社を紹介します。
TDKラムダ | 【製品の特長】 SFLシリーズの直流電子負荷装置は、ドロッパー式で高速応答と多機能が特徴です。 ・ダイナミックモードで最大16ステップの連続動作が可能です。 ・高速電流フィードバック機能によって、オーバーシュートやリンギングを抑制します。 ・ブースター接続で10kW最大の構成、リップルノイズ電圧測定、実抵抗に近い低電圧動作を可能としています。 |
テクシオ・テクノロジー |
【製品の特長】 LSG-Aシリーズの直流負荷装置は、ブースターによって150V/800Vの容量拡張に対応します。 動作モード・レンジ・構成設定・Go-NoGo設定をテンキーにプリセットする10点プリセットメモリ、同一機種5台を並列接続するマスター・スレーブ並列動作、自動試験機能を有するプログラム&シーケンス機能、負荷入力端子の短絡をシミュレートするショート機能、2次電池などの放電テストを行うBATTテスト機能、本機に流れる電流・電圧を外部に出力できるモニター出力機能などが特徴です。 |
RIGOL JAPAN
|
【製品の特長】 プログラマブル直流電子負荷装置(DL3000)は、最大電力、最大電流、最大電圧、電流スルー・レートなどを使い、電気エネルギーの負荷電圧・消費電流・消費電力をシミュレートする装置です。シミュレートの正確さが特徴です。 |
計測技術研究所 | 【製品の特長】 QL-Dシリーズは、ハイエンド大容量直流電子負荷で、オシロライクなUIと高速電流制御回路方式を採用し、電子負荷の基本性能を深化させた電子負荷装置です。 各種負荷モードによるSweep機能、MPPT機能などによって、あらゆるニーズに対応できることが特徴です。 |
菊水電子工業 | 【製品の特長】 PXZシリーズは、大容量回生電子負荷装置で、定格電力20kW・高効率・高信頼性の回生式の装置です。 本機器の特徴は、定電流・定抵抗・定電圧・定電力の動作モードに任意に加えられるI-V特性機能です。また、シーケンス機能・プリチャージ機能・同期運転機能・パルス機能・サイン機能・VMCB機能などの多彩な機能も特徴です。 最大10台の並列運転によって、200kWまでの容量増加が可能です。 |
高砂製作所 | 【製品の特長】 FK-3シリーズは、並列接続時の取扱いを進化させた電子負荷装置です。 並列の負荷装置の負荷端子を並列として接続することで、ワンコントロールであること、自動計算した合計容量で負荷設定と計測表示ができることが特徴です。単独プログラム運転、RS-232Cによってパソコン遠隔運転が可能なことも特徴の1つです。 なお、EWL-300は、交流と直流の両用電負荷装置です。 |
東陽テクニカ | 【製品の特長】 ELR10000シリーズは、30kWの電力回生式の直流電子負荷装置です。 超コンパクト設計、電力回生率は最大96%、力率は0.99以上、60V~最大2000Vまで29種類のラインナップ、最大64台の並列運転で最大1920kWまで容量拡張が可能なことが特徴です。 |
日本測器株式会社 | 【製品の特長】 IT8500+シリーズは、多機能・ローコストの直流電子負荷装置です。 最大10kHzまでのダイナミックモード機能、バッテリー放電機能、パネル操作可能なシーケンス機能、リモートセンシング機能、合格-不合格機能、短絡シミュレーション機能、コマンド制御機能など多彩な機能を有することが特徴です。 日本測器では他にも10種類程度の特徴ある電子負荷装置を揃えています。 |
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