IoTゲートウェイとは?特徴、ルーターとの違い、主要5製品を比較
IoTゲートウェイは、複数の機器やセンサーからのデータを集約し、クラウド上に保存するための通信機器です。
個別の機器のデータを一つのPCで管理することができ、保存したデータを解析することで、製品の品質管理や生産性向上などに役立ちます。
この記事では、IoTゲートウェイを選ぶ際のポイントや導入によるメリット/デメリット、主要な取り扱いメーカーなどを解説しています。
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目次
1.IoTゲートウェイとは?仕組み、特徴、ルーターとの違い
IoTゲートウェイとは、いくつかのIoTデバイスからのデータをまとめ、ネットワークを通じてサーバーに送信する、IoTを運用する際に必須の中継機器です。
ここではIoTゲートウェイの仕組みや特徴、ルーター等との違いをわかりやすく紹介します。
(1)仕組みと特徴をわかりやすく解説
IoTゲートウェイの仕組みについて、図1に示したイメージを基に説明します。
例えば、工場などの生産現場では、複数の装置やセンサーを用いて製品を製造しますが、各機器の状態をそれぞれ個別に管理するには手間がかかります。
これらの装置から出力されたデータを一括して集約し、クラウド上にアップロードして効率的に管理するための通信機器が、IoTゲートウェイです。
IoTゲートウェイを用いることで、工場内の装置の状態が一元管理でき、センサーから出力されたデータを収集することで、品質管理や異常の早期検知が可能になります。
また、生産性と関連するデータや稼働率の解析により、品質管理だけでなく、生産性の向上も期待できるでしょう。
また、その他にも以下のような特徴があります。
・サーバー・インターネットの負荷の軽減
・セキュリティの状態を可視化
一方で、IoTゲートウェイにはセキュリティ面でのリスクや機器導入によるコストアップといった側面も存在するため、導入にあたっては、これらの点にも注意する必要があります。
(2)IoTルーター、エッジゲートウェイとの違い
IoTゲートウェイと似た機器として「IoTルーター」「エッジゲートウェイ」があります。それぞれ以下のような違いがあります。
インターネットへの接続 | デバイスの管理及び制御 |
ポイント |
|
IoTゲートウェイ | 〇 | 〇 | ・IoTデバイスとサーバを接続 ・デバイスの制御と管理も行える |
IoTルーター | 〇 | ✕ | ・IoTデバイスとサーバ間のデータ転送を行う |
エッジゲートウェイ | ◎ | 〇 | ・IoTゲートウェイの中でもデータ通信の負荷の分散を得意とする |
また、IoTゲートウェイについては以下の動画も参考にしてください。
引用:【IoTゲートウェイ】FutureNet MA-S120 シリーズ ご紹介
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2.IoTゲートウェイの選び方|接続方式・使用環境・通信速度
次に、IoTゲートウェイを選ぶ上でのポイントをいくつか説明します。
(1)接続方式
工場内の各装置やセンサーの情報をIoTゲートウェイに集約するためには、それぞれの機器とIoTゲートウェイを接続する必要があります。
接続方式には有線方式と無線方式があり、それぞれに特徴が存在するため、用途に合わせた適切な方式の選択が重要です。
有線方式では、各機器とIoTゲートウェイをLANケーブルなどの有線ケーブルで直接接続します。
通信速度や安定性にメリットがある一方で、物理的にケーブルで接続する必要があるため、設置場所や配置が制限されてしまいます。サーバーやクラウドと接続する際は有線方式が選択されることが多いです。データ量が多いケースでも通信が安定する有線方式を選択することが重要です。
また、有線接続では接続する機器の数や接続ケーブルの種類に、IoTゲートウェイが対応しているかどうかを、事前に確認する必要があります。
無線方式では、このような設置場所や接続の制限は解消されますが、通信速度や安定性は有線接続に劣るため、要求する通信基準を満たすかどうかをチェックしましょう。また、IoTゲートウェイの同時接続数やセンサーとの距離についてよく検討するなど、負荷を減らす工夫も重要です。
(2)使用環境
IoTゲートウェイの選定では、想定する使用環境に耐えうる機器かどうかを調べておくことも重要です。
例えば、高温や低温などの過酷な環境への設置を考えているのであれば、想定する温度がIoTゲートウェイの仕様範囲内であるかをよく確認すべきでしょう。
また、屋外への設置を想定する場合は、防水・防塵性能に優れたIoTゲートウェイがおすすめです。
(3)通信速度
IoTゲートウェイにどの程度の通信速度を求めているのかも、選定のポイントとなります。
接続する機器数や収集するデータ量が多いほど、通信に掛かる負荷も増加するため、大規模なデータ通信を高速で実施したい場合には、より高いグレードのIoTゲートウェイを選定する必要があります。
一方で、過剰なスペックは購入コストの増加にも繋がってしまいますので、必要に応じて通信速度に優れる有線方式での接続も検討するとよいでしょう。
3.IoTゲートウェイ導入のメリット・デメリット
IoTゲートウェイの導入にあたっては、メリットとデメリットの両方を把握しておくことが重要です。そこで、導入により生じる主なメリットとデメリットについて解説します。
(1)IoTゲートウェイ導入のメリット
①運転状態の見える化
IoTゲートウェイの導入により、個別の機器の稼働状態や測定値、負荷(電流値など)が数値で管理できます。データを見える化することで、感覚的な管理ではなくデータに基づいた装置運用が可能となるでしょう。
また、複数の機器から収集したデータを時系列で比較できることも、それぞれのデータの関係性を知り、生産性や品質を改善する上で大きなメリットとなります。
②異常の事前検知
収集したデータをグラフ化し、その傾向を確認することで、設備の異常が事前に検知できるのも、IoTゲートウェイを導入するメリットの一つです。
例として、一定の温度以上で稼働が停止してしまうような装置を、IoTゲートウェイを用いて管理するケースを考えてみましょう。
図2に示すように、継続的に温度上昇が続いている設備は、いずれ温度上限を超え、装置が故障する可能性が少なくありません。
IoTゲートウェイによる管理が無ければ、装置が突発で故障してしまい、予定外のトラブル対応により操業に大きな影響が出るリスクがあります。
しかし、IoTゲートウェイにより温度上昇のトレンドを事前に検知できていれば、故障する前に装置をメンテナンスし原因を取り除くことで故障を未然に防ぐことができるでしょう。
このように、IoTゲートウェイは品質や操業安定性の向上にも役立ちます。
さらに、収集したデータそれぞれに上下限値を設定し、設定値を超えた段階で自動でアラームを発報することにより、管理に必要な人員を削減することもできるでしょう。
③データ解析による生産性向上
IoTゲートウェイで複数の機器から収集したデータを解析することにより、生産性向上の指針を得ることも可能です。
収集したデータを統計的に解析し、生産性と因果関係のあるデータとその寄与度を整理することで、生産性に影響している因子を見出すことができます。
IoTゲートウェイを用いて収集した膨大なデータ(ビッグデータ)を、AIで解析し生産性を向上する取り組みは、近年急速に普及しつつある技術となっています。
(2)IoTゲートウェイ導入のデメリット
①セキュリティ対策が必要
IoTゲートウェイの導入により、個別の機器はネットワークで結び付くことになります。
裏を返せば、孤立した機器がネットワークで繋がることで、外部からのサイバー攻撃を受ける可能性が生じてしまいます。
IoTゲートウェイのセキュリティ対策には、例えば下記のような方法があります。
・認証システムの導入
・暗号化機能の導入
・IPアドレスの制限
・公開鍵認証方式の導入
サイバー攻撃による被害を未然に防ぐために、個々の機器の重要性や影響範囲に応じて、必要なセキュリティ対策を施すようにしましょう。
②購入・維持にコストがかかる
IoTゲートウェイはデータをクラウド上に収集する仕組みのため、本体の購入価格だけでなく、クラウドサービスにも費用が発生します。
価格は収集するデータの量や、必要な機能によって幅があるので、事前にIoTゲートウェイの導入により期待するアウトプットを整理したうえで、用途に合った機器を選定するのがおすすめです。
4.IoTゲートウェイの活用ポイント
IoTゲートウェイにより生産性を向上するためのポイントを紹介します。導入メリットを最大化するための参考としてください。
(1)どの機器を接続するかを精査する
IoTゲートウェイを用いて生産性を向上するためには、生産性に関係するデータの収集が必要です。よって、生産性に関係していると予想される機器やセンサー類を事前に絞り込んでおくことは、IoTゲートウェイの導入メリットの向上に繋がります。
もし、工場に存在する全ての機器のデータをIoTゲートウェイで収集した場合、導入や維持に掛かるコストは割高となってしまうでしょう。
逆に、生産性に最も影響の大きなパラメータを検知するセンサーが設置されていなかった場合、IoTゲートウェイを導入したとしても、期待する生産性向上の効果が得られない可能性があります。
よって、IoTゲートウェイの導入においては、どの機器を接続するか事前に精査しておくことをおすすめします。
(2)収集したデータをAIで解析する
IoTゲートウェイにより得られるデータが膨大であるほど詳細なデータ解析が可能になりますが、一方で、解析に必要な労力は大きくなってしまいます。
このデータ解析に必要な労力を減らすうえで大きな効果が期待できるのが、AIの活用です。
近年では、AI分析の技術の発達により、膨大なデータをAIを用いて高速で処理することが可能となっています。AI分析を導入することで、データ解析に人出をかけずに、生産性や品質などに影響している因子を効率的に分析することができます。
このように、IoTゲートウェイによるビッグデータの収集は、Alによるデータ解析と組み合わせることで、より大きな生産性の改善効果が期待できるでしょう。
5.IoTゲートウェイの主要メーカー5製品を比較!
続いて、IoTゲートウェイの主要メーカーと製品をご紹介します。
(1)オプテックス株式会社
引用:https://www.optex.co.jp/products/iot-device/
オプテックス株式会社では、無線方式のIoTゲートウェイを販売しています。設備や測定機器と無線接続することで、測定値の定期通知や、異常発生時のアラート通知などが可能となります。
ここでは、3種類のモデルとそれぞれの特徴をご紹介します。
①マルチコンバーター OWU-300M/OWU-310M
マルチコンバーターは郊外や山間部などの通信環境にも対応した高機能モデルで、さまざまなセンサー入力形式に対応しています。OWU-300Mは外部アンテナタイプ、OWU-310Mはアンテナ内蔵タイプです。
また、屋外でも使用可能な防水構造も有しています。
その他の主な特徴は下記の通りです。
通信方式 | LTE Cat M1 | |
入力数 | 3ch(接点、パルス、4-20mA、0-5Vに対応) | |
信号入力1,2 | 接点入力(アラームモード/パルスモード) | |
信号入力3 | 接点入力(アラームモード) | |
動作環境 | 温度-20℃~+60℃/湿度85%以下 | |
保護等級 | IPX5 |
詳細な仕様はメーカーHPをご確認下さい。
②ドライコンタクトコンバーター OWU-101S/OWU-102S/OWU-111S
ドライコンタクトコンバーターは設備機器を比較的容易にIoT化できる基本モデルになります。OWU-101Sは電池タイプ、OWU-102Sは外部電源タイプ、OWU-111Sはアンテナ内蔵タイプです。
こちらの機種も、高機能モデルと同様に防水構造を有しています。
その他の主な特徴は下記の通りです。
通信方式 | Sigfox | |
入力数 | 2ch(接点、パルスに対応) | |
動作環境 | 温度-20℃~+60℃/湿度85%以下 | |
保護等級 | IPX5 |
詳細な仕様はメーカーHPをご確認下さい。
③アナログコンバーター OWU-201S
アナログコンバーターは電流出力に対応しており、測定する機器の遠隔監視に活用できる基本モデルになります。OWU-201Sは電池タイプです。
この機種についても、他のモデルと同様に防水構造を有しています。その他の主な特徴は下記の通りです。
通信方式 | Sigfox | |
入力数 | 2ch(4-20mAに対応) | |
動作環境 | 温度-20℃~+60℃/湿度85%以下 | |
保護等級 | IPX5 |
詳細な仕様はメーカーHPをご確認下さい。
(2)アドバンテック株式会社
引用:https://www.advantech.com/ja-jp
アドバンテック株式会社はIoTゲートウェイだけでなく、AIを組みこむソリューションの提案も手がけており、最先端の技術を有しています。
ここでは、2種類のモデルとその特徴をご紹介します。
①WISE-710-N600A
WISE-710-N600AはLANケーブルなどの有線接続に対応しており、コンパクトな外装を有するモジュール式のIoTゲートウェイになります。主な特徴は下記の通りです。
動作環境 | 温度-20℃~+55℃/湿度95%以下 | |
保護等級 | 無し | |
外装 | プラスチック製 | |
重量 | 0.17kg |
詳細な仕様はメーカーHPをご確認下さい。
②UNO-420-E0A
UNO-420-E0Aはアルミニウム製の頑丈な外装を有する高機能モデルで、LAN、PoE、GPIO、HDMI、USBなど、様々な規格に対応するという特徴を有しています。その他の主な特徴は下記の通りです。
動作環境 | 温度-20℃~+60℃/湿度95%以下 | |
保護等級 | IP40 | |
外装 | アルミニウム製 | |
重量 | 1.5kg |
詳細な仕様はメーカーHPをご確認下さい。
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