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サーミスタ4
生産設備に関する記事

サーミスタとは?原理、種類、熱電対との違い、回路設計のポイント

サーミスタは、温度変化に応じて電気抵抗が大きく変わる半導体素子で、さまざまな温度測定や制御の用途に活用されています。
この記事では、サーミスタの基本的な原理・特性や選び方、メリット・デメリットに加え、実際の応用例や導入の際のポイントなどサーミスタの選定や実装の際に役立つ実践的なアドバイスを解説します。

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1.サーミスタとは?原理、種類、熱電対との違い

サーミスタ4

サーミスタは温度制御、温度測定に使用される半導体素子です。
近年、サーミスタの技術が進化し、より高精度で信頼性の高い製品が登場し、特にエアコンや自動車、給湯器などの多くの機器で温度管理の精度を大きく向上させています。
ここではサーミスタの特徴や種類、同じ温度センサーである熱電対との違い等を解説します。

(1)サーミスタの原理と用途

サーミスタは、温度変化に応じて電気抵抗が大きく変わる半導体素子で、主に精密な温度検出や制御に使用されています。サーミスタは、熱電対とは異なり、抵抗値の変化を利用して温度を測定するため、構造が簡単でありながら高精度な測定が可能です。この特性により、サーミスタはエアコン、自動車、給湯器など、多くの機器に組み込まれ、温度管理や安全性の向上に貢献しています。

通所、金属は温度上昇とともに抵抗が大きくなります。一方、半導体は温度上昇とともに自由電子やホールが増加し、その比率が結晶格子の振動による移動速度の低下よりも大きくなるため、抵抗は小さくなります。さらに半導体はエネルギーバンドギャップが小さいため加熱されると電子は伝導体へ移動し通電するため、抵抗が小さくなるのです。

図1にサーミスタの使用例を示します。また、サーミスタの技術は進化を続けており、より高精度で信頼性の高い製品が登場しています。これにより、さまざまな分野での温度制御の精度が大きく向上し、ユーザーにとってはより安心して使用できる製品が提供されています。

サーミスタ3図1:サーミスタ使用例

(2)サーミスタの種類|PTCサーミスタとNTCサーミスタ

サーミスタには、正の温度係数(PTC: Positive Temperature Coefficient)のタイプと負の温度係数(NTC: Negative Temperature Coefficient)のタイプの2種類があります。図2は、それぞれのサーミスタがどのように温度変化に応じて抵抗値を変化させるかを示しています。

サーミスタ6

PTCサーミスタは、左の図の赤い線のように、温度が上昇すると抵抗値が増加します。これに対し、NTCサーミスタは、右の図の緑の線のように、温度が上がると抵抗値が減少します。ただし、実際の抵抗値の変化は、この図のように直線的な単純なものではなく、サーミスタの材料によって異なります。そのため、使用する製造装置などに合わせて、適切に校正する必要があります。

【関連記事】以下の記事では校正器について解説しています。

(3)サーミスタの構成材料の違い  

PTCサーミスタとNTCサーミスタは、以下の表のように、それぞれ異なる構成材料が使用されています。構成材料の違いによって、温度範囲にも違いが見られます。

種類

構成材料

温度範囲

特徴

PTCタイプ

・チタン酸バリウム(BaTiO3)を主成分とするセラミック素材
・微量の希土類元素が添加されている

0℃から200℃程度

・主に過熱保護や安全装置として利用
・過熱時には回路を自動的に切断

NTCタイプ

・酸化金属(例:マンガン、コバルト、ニッケル)を基にした酸化物半導体セラミクスで構成
・マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)などの金属酸化物から成り、粉状にした遷移金属酸化物に有機バインダー溶液を混ぜ合わせて作られる

・一般的に−50℃から150℃
広範な温度特性を持つ

・温度が上昇するにつれて抵抗が減少する
精密な温度測定や制御に適している

以上のような構成材料の特性を理解しておくと、使用時に役立ちます。

(4)サーミスタと熱電対の違い

サーミスタと熱電対はどちらも温度センサーですが、以下のように、それぞれ異なる特徴を持っています。

特徴

サーミスタ

・温度によって抵抗値が変わる原理を利用
・高精度(特に低温域での感度が高い)
コンパクト
・比較的安価
・狭いスペースやコストを抑えたい場合に適している

熱電対

・異なる金属の接点で発生する電圧を測定する原理
広い温度範囲での測定が可能
高温にも対応可能で、幅広い用途に使われる
・サーミスタよりもやや高価でサイズも大きい

それぞれのセンサーは、用途や必要な温度範囲に応じて選択されます。

【関連動画】サーミスタについては、以下の動画も参考にしてください。

引用:サーミスタ選定方法(PTCサーミスタ)

引用:回路保護用PTCサーミスタ

2.用途に合わせたサーミスタの選び方

サーミスタ5

ここでは、正の温度係数PTC: Positive Temperature Coefficient)のタイプと負の温度係数NTC: Negative Temperature Coefficient)のタイプの2種類のサーミスタについての選び方を紹介します。

(1)PTCタイプのサーミスタ

正の温度係数(PTC)タイプのサーミスタは、温度が上がると電気抵抗が増加する特性を持つため、過熱による装置の保護に有効です。
例えば、電気モーターやトランスフォーマーに使用されると、内部温度が異常に上昇した場合に電流が減少し、装置の動作が自動的に停止します。

これにより、モーターが焼き付いたり、トランスフォーマーが過熱によって損傷を受けるのを防ぐことができます。

自動車のドアミラーやパワーシート、ドアロックなどを駆動するモーターの過電流を防ぐためにも、PTCサーミスタが使われています。

このように、PTCサーミスタは過熱防止や安全性向上に不可欠な役割を果たします。

(2)NTCタイプのサーミスタ

このタイプのサーミスタは、温度が上がると電気抵抗が減少する特性を持ち、温度測定や電流制限に適しています。

図1 NTCサーミスタの内部構造

引用:https://industrial.panasonic.com/jp/ss/technical/b18

例えば、電源装置の初期インラッシュ電流を制限するために使用されます。
電源を入れた直後、NTCサーミスタは冷えていて高い抵抗値を示し、大きな突入電流を抑制します。その後、サーミスタが温まると抵抗が減少し、通常の動作電流が流れるようになります。

例えば、エアコンにはNTCサーミスタが使用され、精密な温度制御を実現しています。自動車では、NTCサーミスタがエンジン内部の温度、吸排気の温度、油温、冷却水の温度を管理するために用いられています。また、スマートフォンにもNTCサーミスタが使用されています。

図3 スマートフォンにおけるNTCサーミスタ使用例

引用:https://industrial.panasonic.com/jp/ss/technical/b18

このように、NTCサーミスタは電源回路の保護や温度監視に効果的です。

また、サーミスタは以下のようにさまざまな製品に使用されています。
NTC サーミスタの世界市場は年間1,500 億円程度と推測されます。

引用:https://media.moneyforward.com/articles/6623

サーミスタのメリットと注意点

サーミスタ2

ここではサーミスタのメリットと、使用の際の注意点を解説します。

(1)サーミスタのメリット

①高精度な温度検出

サーミスタは非常に高精度な温度検出が可能な電子部品であり、温度の微細な変化をも正確に測定できる特性を持っています。

このため、電子回路における温度補正や機器の過熱防止、さらに高度な温度管理が求められる場面で非常に有用です。温度変化に対して迅速に反応し、常に安定した動作を維持することができるため、信頼性の高い温度監視が必要とされる環境では欠かせない存在です。

これにより、さまざまな電子機器や産業機器において重要な役割を果たし、その精度と信頼性が要求されるさまざまな用途で活躍しています。サーミスタの利用は、製品の安全性を確保し、寿命を延ばすためにも不可欠であり、多くの分野で広く採用されています。

②コンパクトなサイズ  

サーミスタは非常にコンパクトなサイズであることが大きな特徴であり、限られたスペース内でも容易に組み込むことができます。この小型サイズの利点により、小型の電子機器や狭い設置場所でも問題なく利用でき、機器のデザインや内部構造に柔軟性を持たせることが可能です。

特に、スペースが制約されるポータブルデバイスや、ミニマルなデザインが求められる機器において、そのコンパクトさが大きなメリットとなります。狭い場所での設置が求められるアプリケーションにも適しており、効率的なスペース活用を実現します。
また、サーミスタは他の電子部品と容易に組み合わせることができるため、機器全体のコンパクト化を推進し、製品の軽量化や設計の自由度向上に貢献します。

サーミスタは多様な分野で広く使用され、複雑なシステム内でもその存在感を発揮しています。

③コストパフォーマンスの高さ

サーミスタは製造コストが比較的低く、広範な用途に対応可能で、非常に優れたコストパフォーマンスを誇ります。

高精度な温度測定を実現しつつも、リーズナブルな価格で提供されるため、特に予算に制約があるプロジェクトや大量生産が求められる状況において、経済的かつ実用的な選択肢となります。このため、サーミスタは低コストでありながら、高い信頼性と性能を必要とする幅広いアプリケーションで活用されています。

また、製品の設計や製造において効率的なコスト管理が可能で、全体のコストを抑えることができるため、最終的な製品価格にも貢献します。

サーミスタは価格と性能のバランスを両立させ、多くの分野で重要な役割を果たしています。経済性と機能性を兼ね備えたサーミスタは、多様なニーズに応える部品です。

(2)サーミスタの注意点

①温度範囲が限られる場合がある

サーミスタの注意点の一つは、温度範囲が限られる場合がある点です。

サーミスタは特定の温度範囲内で非常に高い精度で動作しますが、使用する温度がその範囲を超えると、特性が大きく変化する可能性があります。特に極端な高温や低温になると、サーミスタの抵抗特性が変わり、測定精度が低下することがあります。したがって、サーミスタを使用する際には、予想される温度範囲内での使用を心掛けるとともに、範囲外での使用が必要な場合は他の温度センサーとの併用を検討することが重要です。

②経年劣化による特性変化

サーミスタのもうひとつの注意点は、経年劣化による特性変化です。

サーミスタは長期間使用していると、材料の老化や化学的な変化が進行し、その特性が変化することがあります。これにより、温度測定の精度が低下し、期待する性能を発揮できなくなる場合があります。
特に高温や湿度の高い環境下では劣化が進みやすく、定期的な点検や交換が必要です。

経年劣化による問題を防ぐためには、定期的なメンテナンスを行い、必要に応じてサーミスタの交換を行うことで、システムの信頼性と精度を維持することが重要です。

サーミスタを用いた回路設計のポイント

サーミスタ1

ここではサーミスタを用いた回路設計について解説します。

(1)温度補正回路での利用

サーミスタを使用する際の回路設計のポイントとして、温度補正回路での役割が非常に重要です。
サーミスタは精密な温度制御が必要とされる機器において、その高精度な温度検出能力を最大限に活用できます。例えば、エアコンの温度補正回路では、サーミスタが室内外の温度差を正確に検出し、これに基づいて冷暖房の調整を行います。
サーミスタを適切に配置し、回路設計に組み込むことで、エアコンは常に最適な温度を維持し、エネルギー効率を向上させることが可能です。

サーミスタの高い精度と感度を活かすために、回路設計において適切な位置に配置することがポイントです。
サーミスタは温度変化に迅速に反応するため、機器の性能を安定させ、過熱や冷却不足といった問題を防ぐのに役立ちます。設計時には、サーミスタの特性に応じた回路構成やキャリブレーションを行い、最適な温度管理を実現しましょう。

サーミスタを用いた温度補正回路は、温度管理の精度と機器の信頼性を高めるために欠かせない要素となります。

(2)精密機器への応用

サーミスタを精密機器に組み込む際には、温度管理や安全性の確保が重要です。

例えば、給湯器においては、サーミスタが水温の監視と管理を行い、ユーザーに常に快適な温度の水を供給するために不可欠です。サーミスタは温度変化に対して高い感度を持ち、正確な温度測定が可能です。これにより、給湯器の温度制御システムが迅速に反応し、設定された温度を維持します。

回路設計の際には、サーミスタの高感度と精度を活かすために、適切な配置とキャリブレーションが必要です。サーミスタの設置場所を慎重に選定し、温度変化に対する迅速な反応を確保することで、過熱や冷却不足といった問題を未然に防ぐことができます。
また、サーミスタを用いることで、精密機器全体の性能や耐久性が向上し、長期間にわたって安定した動作を実現することができます。サーミスタの高精度な温度制御機能は、精密機器の信頼性を高めるために欠かせない要素です。

回路設計においては、サーミスタの特性を最大限に活かし、安全かつ効率的な温度管理を実現することが重要です。

(3)その他のポイント

その他、サーミスタの回路設計のポイントを以下にまとめました。設計時に参考にしてください。

サーミスタの特性を理解する

サーミスタにはNTC(負の温度係数)とPTC(正の温度係数)があり、温度変化に対する抵抗の変化が異なります。設計する回路に応じて、適切なサーミスタのタイプと特性を選定する必要があります。

回路の目的に合わせた抵抗値の選定

サーミスタの抵抗値は温度に依存しますが、その特性曲線を基に回路設計を行う必要があります。例えば、温度センサーとして使用する場合、精度と応答性に応じてサーミスタの選定と回路設計を行います。

バイアス回路の設計

サーミスタを使用する回路では、サーミスタの特性に合わせたバイアス回路(例:分圧回路)を設計し、出力信号を安定化させることが重要です。分圧回路やブリッジ回路が一般的に使用されます。

温度範囲と精度の考慮

設計する回路が対応する温度範囲と精度要求を考慮し、サーミスタの温度特性が適切であることを確認します。必要に応じて、温度補償キャリブレーションを行うことも検討します。

ノイズ対策と安定性の確保

サーミスタ回路は外部のノイズに影響を受けやすい場合があります。回路設計時には、フィルタリングやシールドを使用してノイズを低減し、安定した測定値を得るための対策を講じることが重要です。

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