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サーボ プレス1
生産設備に関する記事

サーボプレスとは?油圧プレスとの違いや仕組み、メリット・デメリット

サーボプレスは従来のメカニカルプレスや油圧プレスとは異なり、サーボモーターを動力源とすることで、位置・速度・加圧力を細かく制御できることが大きな特徴です。特に、自動車部品や電子機器、医療機器などの分野では、より精密な加工技術が求められるため、サーボプレスの導入が進んでいます。
本記事ではサーボプレスの概要や油圧プレスとの違い、仕組み、メリット・デメリット等を解説します。

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関東最大級のロボットSIerとして、最適化のご提案をさせていただきます。

1.サーボプレスとは?一般的なプレス機や油圧プレスとの違い

サーボ プレス1

(1)サーボプレスとは

サーボプレスとは、サーボモーターを動力源とし、電子制御によって高精度な位置・速度・力制御を実現するプレス機械です。

従来のプレス機と比較して、動作の精密さ柔軟性に優れており、金属加工や成形などの製造工程で重要な役割を果たしています。サーボプレスは材料に対して正確な圧力をかけることができるため、複雑な形状の部品製造や高精度な加工に適しています。

(2)サーボプレスと一般的なプレス機の違い

従来の機械式プレスは、フライホイールやクランク機構によって動力を伝達し、固定的な動作パターンで作動します。
これに対してサーボプレスは、プログラム制御によって多様な動作パターンを実現できる点が大きな違いです。

また、従来のプレス機では難しかった低速での精密な力制御や、途中の速度変更複数のモーション制御などが可能となっています。さらに、エネルギー効率も高く、必要な時に必要なだけ力を発生させるため、省エネルギー性にも優れています。

(3)サーボプレスと油圧プレスの違い

油圧プレスは液体の圧力を利用して力を発生させるのに対し、サーボプレスは電気モーターの回転力を直接利用します。
油圧プレスは大きな力を発生できる反面、応答性や精度の面ではサーボプレスに劣ります。

また、油圧システムではオイル漏れや温度変化による性能変動のリスクがありますが、サーボプレスではそういった問題が少なく、メンテナンス性にも優れています。
油圧システムで必要な大型のタンクやポンプなどの設備が不要なため、設置スペースの削減にも貢献します。

【関連動画】サーボプレスについては以下の動画も参考にしてください。

引用:サーボプレスのご活用

引用: [プレス加工]サーボでの順送加工

2.サーボプレスの構造と仕組み

サーボ プレス2

(1)サーボプレスの主な構成要素

サーボプレスの主な構成要素は以下の通りです。

サーボモーター プレスの主動力源となる高性能電動モーター
ドライバー/コントローラー モーターを制御する電子回路
ボールスクリュー/機械式伝達機構 回転運動を直線運動に変換する装置
フレーム プレス全体を支える構造体
各種センサー 位置、速度、圧力などを検出する装置
タッチパネル/操作インターフェース オペレーターが操作するための装置
金型取付部 上型・下型を取り付ける部分

これらの要素が緻密に連携することで、高精度なプレス作業を実現しています。

(2)サーボプレスの仕組み

サーボプレスの動作原理は、電気信号によるサーボモーターの精密制御にあります。

サーボプレスは以下のような仕組みで動作します。

1.プログラムされた動作パターンに基づいて制御信号がコントローラーから出力
2.信号を受けたサーボモーターが回転
3.回転運動がボールスクリューなどの機械機構を通じて直線運動に変換
4.これによりスライド(上部可動部)が上下に動き、材料に圧力をかけることで加工が行われる

動作中は各種センサーからのフィードバック情報をもとに、リアルタイムで位置・速度・圧力の調整が行われ、高精度な加工を実現します。
例えば、材料の硬さに変化があった場合でも、センサーがそれを検知し、適切な力制御に自動調整することが可能です。

3.サーボプレスのメリットとデメリット

サーボ プレス5

ここでは、サーボプレスのメリットとデメリットを紹介します。

(1)サーボプレスのメリット

サーボプレスのメリットは以下の通りです。

高い精度と再現性 位置・速度・圧力の精密制御により、製品の品質と一貫性が向上
柔軟な動作パターン プログラム次第で多様な動作パターンが実現でき、複雑な加工にも対応可能
生産性の向上 段取り替えの時間短縮や加工サイクルの最適化により、生産効率が向上
省エネルギー性 必要な時に必要な力だけを使用するため、エネルギー効率が高くなる
低騒音・低振動 従来のプレスと比較して、作業環境が改善される
デジタルデータ管理 加工データをデジタルで管理・分析できるため、品質管理が容易
メンテナンス性の向上 油圧システムで発生する問題が少なく、保守が容易

(2)サーボプレスのデメリット

サーボプレスのデメリットは以下の通りです。

導入コストの高さ 高精度な制御システムと高性能モーターにより、初期投資額が大きくなる
大きな荷重への対応限界 超大型の成形には、依然として油圧プレスの方が適している場合がある
専門知識の必要性 プログラミングや調整に専門的な知識と技術が必要
故障時の影響 電子制御部分に問題が生じた場合、修理に時間やコストがかかることがある
電力依存性 安定した電力供給が必要であり、停電時には作業ができない

4.サーボプレスの活用事例

サーボ プレス6

ここでは、さまざまな業界におけるサーボプレスの活用事例を紹介します。

(1)自動車業界

自動車業界では、サーボプレスは多様な部品製造に活用されています。

特にボディパネルの絞り加工や、高強度鋼板の成形などに効果を発揮しています。サーボプレスの精密な速度制御により、材料の割れやしわを防ぎながら、複雑な形状の部品を効率良く生産することが可能になりました。また、多品種少量生産にも柔軟に対応できるため、車種ごとに異なる部品の製造ラインでも活躍しています。

具体的には、ドアパネル、フェンダー、ボンネットなどの外装部品や、エンジンマウント、ブラケットなどの内部構造部品の製造に使用されています。
サーボプレスの導入により、生産サイクルの短縮、材料の無駄の削減、エネルギー消費の低減といった効果が報告されています。

(2)電子部品製造

電子部品業界では、小型で精密な部品の製造にサーボプレスが活用されています。

例えば、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器に使用されるコネクタやスイッチ、精密金属部品などの製造です。
サーボプレスの高精度な位置制御により、ミクロン単位の精度が要求される部品でも安定した品質で生産することが可能です。

また、多層基板の積層プレスや、ICパッケージの封止工程などにも利用されています。
これらの工程では、均一な圧力と正確な温度制御が必要となりますが、サーボプレスはこれらの要件を高いレベルで満たすことができます。さらに、クリーンルーム環境での使用にも適しており、油漏れのリスクがない点も電子部品製造での採用理由となっています。

(3)医療機器製造

医療機器業界では、高品質と信頼性が厳しく求められる環境でサーボプレスが活用されています。
インプラント材料や手術器具、医療用デバイスの精密部品などの製造において、サーボプレスの高い精度と再現性が重要な役割を果たしています。

特に、生体適合性の高い材料(チタン合金やステンレス鋼など)の成形に適しており、複雑な形状の部品でも正確に加工できます。
クリーンな製造環境が求められる医療機器製造において、油漏れのリスクがないサーボプレスは理想的な選択肢となっています。また、各製造ロットのデータを詳細に記録・管理できる点も、厳格な品質管理が求められる医療機器製造では大きなメリットとなっています。

5.サーボプレスの導入プロセスと注意点

サーボ プレス3

ここでは、サーボプレスを導入するためのプロセスと注意点を紹介します。

(1)サーボプレスの導入プロセス

①事前打ち合わせ

サーボプレスの導入では、まず事前の打ち合わせが重要なステップとなります。この段階では、以下の項目について検討します。

1.製造する製品や部品の種類と特性
2.必要な加工能力(トン数、ストローク長さなど)
3.生産量と生産サイクル
4.工場のレイアウトと設置スペース
5.予算と投資回収計画
6.既存生産ラインとの統合方法

専門のエンジニアと共に、製造工程全体を見直し、サーボプレス導入による効果を最大化するための計画を立てます。この段階で綿密な計画を立てることが、導入成功の鍵となります。

②設計と仕様決定

事前打ち合わせの結果をもとに、具体的な設計と仕様の決定を行います。この段階では、以下の項目が重点的に検討されます。

1.プレス能力(最大加圧力、ストローク長さ)
2.必要な制御機能と操作性
3.金型取付方法と互換性
4.安全装置とセンサー類
5.インターフェースと通信機能
.省エネルギー対策
7.メンテナンス性への配慮

製造メーカーのエンジニアと密に連携し、具体的な仕様書を作成します。この際、将来の生産計画や拡張性も考慮した設計を心がけることが重要です。

③製作と組立

仕様が決定したら、以下のようにサーボプレスの製作と組立が行われます。

  1. フレームなどの機械部品の製作
  2. サーボモーターとドライブユニットの調達・組込
  3. 制御システムの構築とプログラミング
  4. 安全装置の取付と動作確認
  5. 全体の組立と調整
  6. 試運転と性能テスト

製作中も定期的に進捗を確認し、必要に応じて調整を行います。高精度な機械であるため、各部品の精度と組立の品質が最終的な性能に大きく影響します。

④立会検査と納品

完成したサーボプレスは、以下のように納品前に立会検査が行われます。

1.基本性能(圧力、速度、精度など)の確認
2.実際の製品または試験片を使用した加工テスト
3.安全機能の動作確認
4.操作性とメンテナンス性のチェック
5.納入先の要求仕様との適合性確認

検査に合格したサーボプレスは、納品先に搬入・設置されます。設置後には、調整とオペレーターへの教育・訓練も行われ、スムーズな生産開始をサポートします。

(2)サーボプレス導入時の注意点

サーボプレス導入時に注意すべきポイントは以下の通りです。

十分な事前検討の実施 実際の製品でのテスト加工を行い、効果を確認する
オペレーターの教育訓練 従来のプレスとは操作方法や考え方が異なるため、十分な教育が必要
最適な制御プログラムの開発 製品ごとに最適な動作パターンを見つけ出す試行錯誤の時間を確保
既存設備との連携 搬送装置や周辺機器との連携を含めた総合的なシステム設計
段階的な導入 一度に全ラインを更新するのではなく、重要な工程から段階的に導入する戦略

これらのポイントに留意し、計画的に導入を進めることで、投資効果を最大化し、リスクを最小限に抑えることができます。

6.サーボプレスの選び方と比較ポイント

サーボ プレス4

(1)メーカー比較のポイント

サーボプレスを選ぶ際の主要メーカー比較ポイントは以下の通りです。

技術力と実績 開発・製造の歴史、納入実績、技術革新への取り組み
サービス網の充実度 メンテナンスサポートの地理的カバレッジ、対応速度
制御システムの使いやすさ プログラミングの容易さ、操作インターフェースの直感性
カスタマイズ対応力 特殊要件への対応能力、柔軟な設計変更
総合コストパフォーマンス 初期投資額だけでなく、運用コストも含めた総合評価
他設備との連携性 自社の既存システムや他メーカー機器との互換性
将来的な拡張性 技術進化に対応するアップグレード可能性

各メーカーにはそれぞれ強みと特徴があるため、自社の優先順位や重視するポイントを明確にした上で比較検討することが重要です。

(2)機種の選定

サーボプレスの導入を検討する際には、最適な機種選定が重要です。以下のポイントを考慮すると良いでしょう。

加工内容と必要能力 製造する部品の材質、形状、サイズに適した能力(トン数、ストローク長さ)を持つ機種を選定
生産量と稼働率 予定される生産量や稼働率に適した機種を選定し、過剰投資を避ける
精度要件 要求される加工精度を満たせるモデルを選択
拡張性と将来性 将来の生産計画や製品変更にも対応できる柔軟性を持つ機種を検討
全体コスト 導入コストだけでなく、運用コスト(電力消費、メンテナンス費用など)も含めた総合的な評価
メーカーのサポート体制 故障時の対応やメンテナンスサポートが充実しているメーカーを選択

専門のエンジニアによる詳細な分析と提案を受けることで、最適な機種選定が可能になります。また、実際の加工テストの実施や、すでに導入している企業への見学なども有効な判断材料となります。

(3)トン数・サイズ別の選定基準

サーボプレスは、トン数(加圧力)やサイズによって以下のような選定基準があります。

小型(10〜100トン) 中型(100〜300トン) 大型(300トン以上)
特徴 高速性、省スペース、低コスト バランスの取れた性能、汎用性 高剛性、大型部品対応
適用 小型部品、精密部品、電子部品 自動車部品、家電部品 自動車ボディパネル、大型構造部品
選定ポイント 位置精度、繰り返し精度、操作性 多様な加工モードの対応力、段取り替え時間 フレーム剛性、エネルギー効率、振動対策

製造する部品のサイズや材質、必要な加工力を正確に把握した上で、適切なクラスのサーボプレスを選定することが重要です。過大なサイズを選ぶとコストが増大し、過小なサイズでは性能不足となるため、適正なサイジングが鍵となります。

7.サーボプレス関するご相談は株式会社FAプロダクツ

FAプロダクツは年間200台もの実績がある関東最大級のロボットシステムインテグレーターです。一貫生産体制をとっており、設計から製造までをワンストップで対応。費用・時間にムダなく最適化を行うことができます。
サーボプレスについても、ぜひご相談ください。

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