【図解】画像処理の6つの種類をご紹介。画像処理メーカー7社厳選
目次
1.はじめに
カメラなどからの映像によって私たちの生活は豊かになっています。
例えば、生活に欠かせない製品の検査、監視カメラによる安全の確保、ITS交通システムによる安全な車での移動などがあります。
工業だけでなく、生活でも欠かせなくなってきたロボットの視覚にも、画像が使われます。
さらに、最も重要と言えることは、CT・MRIに代表される医療の画像診断技術でしょう。
これらの画像応用が高度となった背景の一つが、画像処理技術です。ディジタルカメラとコンピュータの高速化と、大量のデータ処理が短時間でできるようになって、いろいろな画像処理、難しい画像処理ができるようになりました。
画像を回転・拡大させる、ぼやけた画像をはっきりさせる、込み入った画像から特定の人を探し出すなどを可能としたものが、画像処理の技術です。
画像処理はさまざまな分野・業種で使用されますが、本コラムでは、製造の分野で使われる画像処理の種類について、ご紹介します。
もし、検査・検品工程に画像処理システムを導入して、
- 省力化、省人化してコストダウンしたい
- 検査レベルを高めて品質価値を高めたい
というご希望がございましたら、お気軽に画処ラボまでお問い合わせください。
ルール型画像処理からAIによる画像処理まで、ご希望に対して幅広い対応が可能です。
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2.画像処理とは
画像処理を実施するために必要なシステムの構成を示したものが、図1(ボトルの液面高さの検査)です。
図1は瓶詰の飲料の液面高さを、インラインで検査する装置のイメージを描いています。
システムの構成は、ワークの状態を写し出すカメラ、ワークを照らす照明、カメラからの画像情報を取り入れて、OKかNGかを判定するために処理する画像処理から成り立ちます。
図1のCCDカメラは、X線カメラや赤外線カメラのほか顕微鏡を使う場合もあり、超音波などのセンサーも用いられます。
したがって、画像処理の種類も、用いられるカメラの種類やセンサーに特化した画像処理があります。
本コラムでは、CCDカメラからの画像情報を処理する種類についてご紹介します。
3.画像処理の種類
(1) 画像処理順序
図2で紹介する画像処理は、処理される順序のイメージです。
- CCD入力
ワークの画像をAD変換する画像入力はディジタルデータです。画像は画素の集合で、1280P×720Pの画像サイズであれば、92万画素に及びます。 - 前処理
取り入れた画像にはノイズなどが乗っているため、ノイズの除去を行ってから、ワークを写した画像の計測や解析を行います。簡単に言えば、分かり難い画像を、計測などができる分かり易い画像に加工する処理です。 - 画像特徴抽出と判定
前処理された画像から、ワークの面積を求めるなどの計測を行うときに、計測できる形に画像の加工を行い、計測処理を行います。
また、ワークが仕様どおりの形になっているか、画像認識を行います。
画像の特徴を抽出したのちに、設定したしきい値から、検査品のOKかNGかの判定を行います。 - 制御・出力
画像判定を行った状況を表示し、データ保存を行います。さらに、ワークの搬送システムに対し、検査でNGであれば、製造ラインから除外する指令を出すことも可能です。
(2) 画像処理の種類
画像処理の種類について、6つの例を表1で紹介します。
表1 画像処理の6つの種類
画像処理種類 | 処理内容例 | 用いられる方式例 |
①画像補正 |
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②画像変換 |
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③画像加工 |
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④画像特徴抽出 |
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⑤画像認識 |
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⑥3次元 |
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表1でご紹介した画像処理の種類や処理方式などは、ほんの一例です。また、種類の分類方法も、さまざまにあります。
ただし、どの種類、方式でも、画像処理の目的はほぼ同じです。
さらに、図2では、画像特徴抽出を行うために、画像を整頓する処理を前処理としてご紹介しましたが、メーカーや研究者によっては、そのような区別をせずに画像処理として扱っています。
本コラムでは、表1と混同しないために、前処理としてご紹介します。
(3) 前処理
前処理で使用される、空間フィルタの概念を、図3で紹介します。
検査画像を「3画素×3画素」のセグメントに分け、このセグメントに空間フィルタを積和します。得られた結果を、「3画素×3画素」のセグメントの中間画素と入れ替えます。
この処理を画像全体で行いことが、空間フィルタの役割です。
図3は、空間フィルタとして鮮鋭化(シャープ化)を適用するイメージです。
元画像セグメントと、空間フィルタの積和の計算は、図の上部のような計算を行い、3×3画素の中間値「4」を計算結果「6」に入れ替えます。
この処理を画像全体に施すことで、画像がシャープ化し、くっきりします。
前処理の種類例について表2でご紹介しましょう。
⇒画像処理に必要なフィルタ処理とは?画像処理メーカー4社紹介
表2 前処理の種類の4つの例
種類 | 処理名称 | 内容 |
①平滑化 | 平均値フィルタ | 3×3画素であれば、9画素の平均を取ります。 |
重み付き平均値フィルタ | 原点に近いほど重みをつけて平均化します。 | |
ガウシアンフィルタ | 重みをガウス分布より求めます。 | |
メディアンフィルタ | 濃淡レベルを並べ、中央値を採用します。エッジが保存されやすい長点があります。 | |
②エッジ抽出 | プレヴィットフィルタ | 隣合う画素の微分からエッジを抽出します。垂直方向と水平方向を別々に行います。 |
ソーベルフィルタ | プレヴィットと同じく微分を用いますが、中央部の画素に重みを付け、コントラストが少なくなる特徴を有します。 | |
ラプラシアンフィルタ | 二次微分を使う方式で、斜め方向のエッジ処理ができます。 | |
③鮮鋭化 | シャープフィルタ | 画像の濃淡を残してエッジを強調します。 |
④モルフォロジー変換 | 膨張 | 中心の画素を周辺の中で最も高い値(明るい)で置き換えます。暗いノイズを除く特徴があります。 |
収縮 | 中心の画素を周辺の中で最も小さい値(暗い)で置き換えます。明るいノイズを除く特徴があります。 | |
オープニング | 収縮をn回実施した後、膨張をn回実施します。 | |
クロージング | 膨張をn回実施した後、収縮をn回実施します。 |
(4) 前処理の仕方
図4では、前処理の仕方の例として、平滑化を行う平均フィルタとメディアンフィルタを紹介します。
ノイズが乗った元画像では、寸法計測検査するような処理に必要なエッジ抽出ができません。そのため、ノイズを除去するために必要な処理が平滑化です。
画像をぼやかすことで、ノイズ画素をなくします。
図4の平均フィルタは、3×3画素の全体の平均を取って、中心の画素と入れ替える手法です。このフィルタは、画像全体をぼかす効果があります。
一方、メディアンフィルタは、3×3=9個の画素の値の小さい順から並べ、5番目の中間値濃度値を中心画素と入れ替える手法です。このフィルタの効果で、全体をぼかすことなく、ノイズの除去ができるようになります。
このように、同じ平滑化フィルタでもいくつかの種類があります。同じ画像処理でもいくつかの種類があって、それぞれの処理した結果が異なるため、ワークの検査の目的に合った画像処理を選ぶ必要があります。
(5) 画像処理の注意点
画像処理の種類を選ぶときに注意することは、処理時間です。
3×3画素の処理を画像全体に施すと、高解像度ほど大量の処理が必要で、処理時間が長く掛かるため、インラインで検査するときには、許容された時間内で処理できるような画像処理が必要です。
4.図解 画像処理の方法
この章では、図1で紹介したボトルの液面高さの検査を中心に、具体的な画像処理について、図を使って紹介します。
(1) ノイズ除去
図5は、ノイズが乗った入力画像に対し、エッジ処理を行うイメージ図です。
- CCD入力画像にはノイズが入っています。
- メディアン処理を加えることでノイズを除去します。
- エッジ抽出処理で液面境界を明確とします。
- 計測処理で液面高さを求めます。
(2) 二値化処理
図6は、液面高さを求めるために、ボトルの画像を二値化します。
- 二値化処理行い、白黒の2色でボトルを表示します。
- 二値化に当たっては、白と黒を分けるしきい値によって画像が大きく変わります。しきい値を決める手法は、モード法、Pタイル法、判別分析法などいろいろあります。
- エッジ抽出処理で液面境界を明確とします。
- 計測処理で液面高さを求めます。
(3) パターン認識
図7では、パターン認識についてご紹介します。
- ワークの元図を登録します。
- ワークの検査画像を入力します。図では、キズが付いていると仮定しています。
- 元図と検査図の差分を検出します。
- 検査図-元図=差分画像、というイメージで画像処理がされます。
- 差分画像からワークにキズがあるため、NGまたは修復として対応します。
(4) 膨張・収縮画像処理
図8では、線状のノイズが乗っているワークの、画像処理についてご紹介します。
- 膨張処理行うことで、線状ノイズの周囲の明るい画素で、ノイズの画素を置き換え、ノイズを除去します。
- 1回の膨張処理ではノイズが残るため、さらに2回膨張を繰り返すことで、ノイズが除去できます。
- 膨張処理によって白い文字部分の周囲の画素が明るい色に置き換えられ、ややぼやけています。
- 収縮処理によって白い文字部分の周囲の画素を暗い画素に置き換えます。これを2回繰り返すことで、文字が元の状態近くまで戻ります。
5.画像処理の種類ごとのメーカー紹介
この章では、メーカーが有する製造品や技術を紹介します。Webページを合わせて紹介していますので、詳細はそのページで確認してください。
①画処ラボ(ガショラボ)
【所在地】
神奈川県相模原市緑区西橋本5-4-30 SIC2-2314
TEL:050-3733-3774
WEB問合せ:https://gasho-labo.jp/#contact
https://gasho-labo.jp/
【特徴】
検査の自動化に伴って画像処理装置の導入する際には、複数のセンサーメーカーと複数の画像処理機器メーカーを選択し、それぞれ検査対象によって個別対応する必要があります。
画処ラボは、メーカー横断での機器選定から判断プログラムの選定及び装置の設置構想までを⼀括で提案し、設置からサポートまで⼀元管理。
さまざまなメーカーから、照明は50種類、カメラ・レンズは30種類をとりそろえており、機器や画像処理プログラムの選定だけでなく、装置の構想・設置、サポートまで、ワンストップで相談が可能です。
②株式会社セルミック
http://www.selmic.co.jp/
【所在地】
滋賀県草津市大路1-1-1-4階
TEL:077-516-4755
【製品】
http://www.selmic.co.jp/products/inspection/soft.html
セルミック社の汎用画像処理ソフトNS2Kは、画像入力から画像計測まで多機能の画像処理です。
画像入力、領域設定、濃度階調変換、ノイズ除去、エッジ検出、幾何変換、色抽出、画像計測など豊富な種類の処理を備えています。
特に、二値化処理の機能では、KS法自動二値化、KS法より汎用性が高い独自のNS法動二値化処理を有しています。
③ヴィスコ・テクノロジーズ株式会社
https://www.visco-tech.com/
【所在地】
東京都港区海岸1-11-1ニューピア竹芝ノースタワー20階
TEL:03-6402-4500
【製品】
https://www.visco-tech.com/application/general/general-imagefilter/
VTV-9000シリーズは独自開発のソフトVisionManagerとハードを一体化した画像処理検査装置で、30種類以上の画像フィルタを搭載しています。
フィルタ設定は、元画像を見ながら設定できるため、周期ムラの除去が確認しながらの設定が可能です。ソベルエッジ抽出、8方向の膨張、細線化、コントラスト協調、ローパスぼかし、明るさ変換などの画像処理ができます。
写真は、画像間演算によって、2つの画像を1つに合成する例です。
④株式会社ケーアイテクノロジー(KIT)
https://www.kitech.co.jp/index.html
【所在地】
神奈川県横浜市港北区新横浜3丁目17番2号友泉新横浜ビル3階
TEL:045-548-4891(代)
【製品】
https://www.kitech.co.jp/products/ipkit_index.html
KIT社の画像処理ソフトIPキットⅢは、実環境下での画像に対し、基本的な画像処理を施した上で多角的アルゴリズムを構築し、検証作業を行うことができます。
画像処理ハードのデバック時の画像評価、アルゴリズム開発時の事前の検討、画像処理導入時の検討などに効果があることが、特徴です。
⑤株式会社宇部情報システム
https://www.uis-inf.co.jp/
【所在地】
山口県宇部市相生町8番1号 宇部興産ビル
TEL:0836-22-0111
【製品】
https://www.uis-inf.co.jp/urcp/soft/soft06.html
画像処理検査ソフトウェアの一つ、寸法測定システムは、画像を解析し、ワークの寸法を計測する画像処理システムです。
測定手法と測定ポイントをあらかじめ登録し、瞬時に寸法が測定でき、金属業界・プラスチック容器業界・電子部品業界で効果的に使用できます。
処理手順は、下図のように、①さまざまな形状のエッジを検出し、②エッジ情報から直線や円などの近似処理を行い、③点・直線・円から2点間の距離・垂直距離・2直線の角度などの寸法値を算出します。
⑥キヤノンITソリューションズ株式会社
https://www.canon-its.co.jp/
【所在地】
東京都港区港南2-16-6 キヤノンSタワー
TEL:03-6701-3300
【製品】
https://www.canon-its.co.jp/products/mil/
MILは、産業用画像処理開発のために、ソフトウェアツールを、1パッケージに集約したものです。MILの特徴は、いろいろな画像処理機能をDLL形式で提供できること、簡単に画像の検証ができること、プログラミング時間を短縮し大幅な開発工数が削減できること、すべての映像ソースに対応できることです。
機能には、カラー画像の色分離、エッジ抽出、幾何学情報からのパタンマッチング、形状計測ツール、文字認識、レンズやカメラの歪補正、分割画像の自動結合などがあります。
⑦株式会社イシダ
https://www.ishida.co.jp/ww/jp/
【所在地】
京都市左京区聖護院山王町44番地
TEL:075-771-4141(代)
【製品】
https://www.ishida.co.jp/ww/jp/products/inspection/xray-detector/
イシダ社のX線検査装置では、生物界の遺伝と進化メカニズムを、画像処理に応用して異物を検出する遺伝的アルゴリズム(GA)を採用しています。GAでは、最新の画像処理技術「進化的画像処理(横浜国立大学の登録商標)」を使って高感度な検査が実施できています。
他にも、個々の面積・周囲長・濃淡から正常か不良かの判別機能、検査物を数回流すことでX線出力・コントラスト・感度レベルの自動設定機能などを備えています。
6.画像処理システム導入のご相談は画処ラボまで
画像処理の目的は、画像から検査対象が仕様どおりの形状か、キズがないかなどを調べ、不良であれば除去し、その画像から原因を調べることです。
画像処理ぼ方式は、いろいろなものが考案されて、実用化されています。ノイズが乗る、画像に歪みがあるなどの課題も、いくつかの画像処理方式を組み合わせて処理すれば、検査対象の形状を測るソフトを適用することが可能です。
画像処理の問題は、得られた画像から、どのような処理を加えれば、形状判定ソフトが動かせるかの判断と言えます。
多くの画像処理を手掛けたSIerなどを頼ることで、どのような前処理を加え、どのような加工をすれば、ワークの検査ができるといった判断ができるでしょう。
画像処理システムの導入をご検討の際は、多数のメーカーの協力や実績を持つ画処ラボまで、お気軽にお問合せください。
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