スカラロボットとは?構造・用途、SIerが選ぶメーカ5選
近年、顧客ニーズは多様化しており、従来のように大量生産・大量販売の時代ではなくなってきております。このような背景を受けて、モノづくりの現場でも変革が求められています。
従来は一つの製品だけでも十分に売り上げが確保できたので、生産ラインを自動化する際には、その製品に特化してできるだけ効率よく生産できるように専用設備を導入しておりました。
一方、顧客ニーズが多様化した近年では、製品の世代交代の間隔が短くなってきており、一つの製品のための専用ラインを敷設することはリスクとなります。製品が売れなくなってしまうと、設備投資を回収できないまま設備を廃却することになりかねないからです。
今の時代、生産ラインに求められるものはフレキシビリティです。売れる商品を作るには、顧客ニーズの変化に合わせて製品を変化させる必要があります。その時、生産ラインは最小コストでその変化に追従する必要があります。ロボットは汎用性の高い機械です。上手く使えばフレキシビリティの高い生産ラインを構築できます。
本稿ではそのロボットの中でも、高速・高精度を特徴としたスカラロボットを紹介します。
もし、スカラロボットのコンサルティングを導入して、
- 省力化、省人化してコストダウンしたい
- 生産性アップして売上を上げたい
- 人的ミスを減らして品質価値を高めたい
- どのメーカーの自動化設備を使えば効率的かわからない
という場合は、お気軽にFAプロダクツまでお問い合わせください。
また、安全に工場を稼働させ続けるためには、定期点検・保守・修理、老朽化した設備のリプレースが必要不可欠です。
FAプロダクツはそういったお客様のニーズにお応えし、手書き図面のデジタル化から緊急依頼まで幅広くサポート。
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老朽化「設備・産業PC」壊れる前に!保守・リプレースを代行、弊社が納品した設備以外も対象、手書きの図面のデジタルサポートなど
目次
1.スカラロボットとは?
動画:イプロス編集部
まずは、スカラロボットの概要について紹介していきます。
また、スカラロボットを紹介するにあたり、その他の産業用ロボットについても簡単にご紹介します。
産業用ロボットにはいくつかの種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。各ロボットの特徴を把握した上で、適切なロボットを選定しましょう。
(1)スカラロボット(水平多関節ロボット)
複数の回転軸とアームそして先端部にはZ軸を持つロボットです。複数の回転軸とアームは全てロボット先端の水平移動のために使われます。回転軸の動作でワークの真上にロボット先端を移動し、ロボット先端のZ軸を用いてワークに対して作業を行います。
構造が単純で制御がしやすいこと、高速化で高精度なのがメリットです。垂直多関節ロボットのように3次元的な動作はできませんが、一方向からの単純作業を人作業からロボットに置き換える際には最適なロボットです。
(2)直交ロボット
単軸ロボットを組み合わせたロボットです。構造と制御が単純なため、位置決め精度の高さや、誤動作リスクの低さ、導入コストの安さがメリットです。
(3)垂直多関節ロボット
4~6軸の可動軸があり、3次元的な動きが可能です。そのため、人が手作業で行う複雑な動作を自動化しやすい、一台に何役も任せることができる等のメリットがあります。
そのほかのロボットについては、下記記事をご参考ください。
【動画付き】産業用ロボットとは?4種類の形状と5つの用途を解説 |
2.スカラロボットの用途
高速・高精度の動作を実現するスカラロボットですが、いったいどのような工程を担うことができるのでしょうか。ここでは、スカラロボットが使われる工程と、加工を成立させるために必要な位置決めの知識、そして特殊な機能について説明します。
(1)スカラロボットが使われる工程
スカラロボットができることは、ロボット先端を可動範囲内で水平移動し、その地点で先端を下降・上昇することです。ロボット自体はこのように単純な動作をするだけなのですが、ロボット先端部に様々な機能を持つユニットを付加することにより、生産ラインにおける様々な工程を自動化することが可能です。以下に代表的な工程とそれに用いるユニットを紹介します。
①ピック&プレース(付加するユニット:吸着パッド or チャックハンド)
ピック&プレースとは、ワーク(対象物)をある場所から取り出し(=ピック)、目的の場所に置く(=プレース)一連の動作のことです。
ワークの組付け工程や、トレイなどの容器への整列工程に使われます。スカラロボットの先端に、ワークを真空ポンプによる吸着力でつかむ吸着パッドというユニットを付加する場合と、ワークをはさんで掴むチャックハンドというユニットを付加する場合があります。これらは部品の形状・重量・剛性でどのように把持すればよいかを考えながら選択します。
②ネジ締め(付加するユニット:電動ドライバ)
スカラロボットの先端に電動ドライバを付加することでネジ締め工程を自動化することができます。
複数の箇所をネジ締めする場合でも、ネジ締め箇所をプログラミングしておくことで、自動かつ高速にネジ締めを行うことができます。
③圧入(付加するユニット:製品に合わせた形状の治具)
スカラロボットのZ軸にトルク制御機能があるタイプでは、ロボット先端部がワークを押し付ける推力を制御できます。
この機能を利用して、荷重を制御した高精度な圧入工程を実現します。
④材料塗布(付加するユニット:ディスペンサ)
スカラロボットの先端にディスペンサと呼ばれるゲル状材料の吐出機を取り付ければ、接着材などを塗布する工程を自動化できます。
材料を塗布する位置や軌跡をプログラミングすることでロボットが制御しますので、手作業で実施するよりも高速・高精度を実現することができます。
(2)ロボットとワークの位置決め
先述の通り、スカラロボットを使うことで様々な工程を自動化することができます。
ただし注意点があります。それはロボットに対するワークの位置決めです。
ロボットはあるべき位置にワークがあることを前提として動作を開始します。この位置決めの方法には大きく2通りあります。
①ワークの外形を利用して位置決め
単純な機構として位置決めピンによる位置決めがあります。ワーク自身に設けた加工基準穴と設備側に設けたピンを嵌めることで位置決めします。
さらに単純な機構として、ワークを壁に押し付ける等の方法で位置決めする方法もあります。この場合は押し付けた面と加工部位の精度が加工精度に影響します。
比較的安価な位置決め方法ですが、ワーク形状について製品設計者と生産技術者が連携して設計することが必要です。
②カメラによる位置補正
カメラの視野角に入る程度で大体の位置に設置されたワークを、固定カメラもしくはロボットの先端に取り付けたカメラを用いて位置補正します。
カメラを利用する分、高価な手段となります。製品の外形を利用できない場合に利用します。
(3)便利な特殊機能
先述のトルク制御のように、スカラロボットには便利な特殊機能をもつタイプがあります。これらの機能を知ることで、スカラロボットの用途が広がります。
①協調ロボ
一つのワークに対し、複数のロボットを同期させて動作します。この機能があることでロボット同士が衝突することなく、協調した動作を実現します。
レイアウトをコンパクトにしたい場合や、製品が大きく両手で持たないといけないような場合に利用する機能です。
②インバースタイプ
一般的には設備のテーブル上にロボットを固定して利用するタイプが主流であり、ワークに対してロボットは上からアクセスします。
一方、インバースタイプでは下から上に加工します。使い方次第で設備のダウンサイジングに貢献することができます。
③安全カバー
ロボットは便利な機械ですが、使い方を間違えると経営そのものを揺るがしかねない大事故にもつながります。
そのため、定格出力が80Wを超えるものは労働安全衛生規則により、人とロボットを柵で分離しなければならないと定められています。
ただし、何かしらの対策を講じてロボットと人が接触した際の危険性が無いと評価された場合は、柵などの対応は不要となります。そうなると、同じエリアで人とロボットが協働作業が可能となります。
これを実現する安全策として注目されているのは、静電容量の変化で検出するセンサです。ロボットを覆うカバーの表面がセンサの検出部となっており、人とロボットが接触するとロボットが安全に停止します。
3.スカラロボットの導入事例
スカラロボットの導入事例を目的別に紹介します。
(1)人作業よりも生産能力を上げた事例
ロボットは人作業よりも数倍の速さで動きます。例えば、数百mmの水平動作と数十mmの垂直動作で0.5秒を切ります。さらに、この高速な往復運動の両端で正確な作業を行います。しかもコンパクトで作業者が立つスペースで十分設置できます。したがって、同じ面積で比較すると、スカラロボットによる生産ラインは人作業よりも数倍の生産能力が出せることになります。
ある自動車部品メーカの組み立て工程の事例では、人作業で筐体の組み立てを行っており、生産能力は1分あたり30台でした。これをロボットに置き換えたところ、1分あたり60台と倍の生産能力を達成しています。
なおロボットの動作速度については、各ロボットメーカの機種によって値は違うので、詳しくは各社サイトでご確認ください。
(2)人作業よりも高精度な加工の実例
スカラロボットの位置決め精度は±0.01mm程度あります。この精度を人の手作業で出すことはかなり困難です。微細部品の組付工程や接着剤の塗布工程などでは高い精度が求められますので、ロボットの利用は不可欠です。このような用途では、製品の成立性そのものに影響します。
例えば、プリント基板実装工程後の大型部品の部品と基板の隙間に、補強を目的としたアンダーフィル材を塗布することがあります。高密度に実装された部品と部品の間は最小で0.5mm程度です。この隙間にアンダーフィル材の塗布ノズルを位置決めする必要があります。ロボットを採用することで高精度の位置決めを実現し、材料塗布工程を成立させています。
(3)人作業の加工コストのカット
こうしたロボットは、おおむね1台あたり100万円程度で導入可能です(設置費用等を除く)。一方、日本の一般工賃金は30万円弱(三菱UFJ銀行調べ)です。つまり、ロボットと人が同じ生産能力でも3か月ほどでロボット導入のコストメリットが出せます。さらに先述の通り、生産能力が数倍であることや高精度な動作を考慮すると、導入間もなくコストメリットが出せる事例も多くあります。
4.おすすめのスカラロボットメーカー+SIer5選
①株式会社FAプロダクツ
【特徴】
FAプロダクツは年間200台もの実績がある関東最大級のロボットシステムインテグレーターです。一貫生産体制をとっており、設計から製造までをワンストップで対応。費用・時間にムダなく最適化を行うことができます。
また、お打ち合わせから原則1週間以内に「お見積りとポンチ絵」をご送付。
【ポンチ絵とお見積りのサンプル】
テキストやお電話だけでは伝わりづらいゴールイメージを共有し、スピード感を持った対応を心がけています。
【所在地】
茨城県土浦市卸町2丁目13-3
TEL.050-1743-0310(代表)
FAX.050-3156-2692(代表)
https://jss1.jp/
【営業品目】
- 産業用ロボット
- 生産設備合理化・省力化の設計及び製作
- 基板電気チェッカーや貼合・折曲など
- 治具の設計・製作
【実績】
NM社(電子部品の製造販売)、HS製作所(情報通信・社会産業・電子装置・建設機械・高機能材料・生活の各システム製造販売)、TT社(ショッピングセンターなどリテール事業)、SM社(自動制御機器の製造・販売)、OR社(自動車安全システムの製造販売)
②セイコーエプソン株式会社
【所在地】
長野県諏訪市大和三丁目3番5号
https://www.epson.jp/
【営業品目】
- プリンティング
- マイクロデバイス
- ウェアラブル
- ロボティクス
【特徴】
富士経済調べ2011~2018の金額および出荷台数ベースで世界1位の実績を誇るメーカーです。エプソンと言えば時計を代表とした精密機器です。これらの精密機器の組み立てラインでは、エプソンのスカラロボットが大量に使用されており、高速・高精度を実証しています。
③株式会社デンソーウェーブ
【所在地】
愛知県知多郡阿久比町大字草木字芳池1
TEL:0566-75-7961(営業)
FAX:0566-75-7970(営業)
https://www.denso-wave.com/ja/
【営業品目】
- 産業用ロボット
- FAシステムソリューション
- ID読み書き関連(QR・RFID等)
【特徴】
世界第2位の自動車部品サプライヤーであるデンソーグループのFA製品メーカーです。製品は国内外に生産拠点を持つデンソーで技術を磨かれます。
工場のIoT活用にも力を入れており、ロボットやその他の機器からの情報をPCに吸い上げ、品質管理や予兆保全に活用するIoTソリューションまで手がけています。
④ヤマハ
【所在地】
静岡県磐田市新貝2500
TEL:0538-32-1115
https://global.yamaha-motor.com/jp/
【営業品目】
- 産業ロボット
- 部品実装機関連機器
- モーターサイクル
- ボート など
【特徴】
高速・高精度というスカラロボットの追及はもちろんのこと、ベルトレス構造や長寿命グリスの採用で長期間のメンテナンスフリーを実現しています。
⑤IAI
【所在地】
静岡県静岡市清水区尾羽577-1
TEL:054-364-5301(代表)
http://www.iai-robot.co.jp/
【営業品目】
- ロボシリンダ
- リニアサーボ
- スカラロボット
【特徴】
エアシリンダから電動アクチュエータ(ロボシリンダ)への置き換えを推進してきたことで実績のあるFA機器メーカです。廉価版のモデルとして、サーボモータではなく、安価なパルスモータタイプもラインナップしています。
5.ロボット導入のご相談はFAプロダクツへ
このコラムではスカラロボットについてご紹介してきました。ここまで述べてきたように、単純な作業であれば、人による作業からロボットへの置き換えによって、生産能力の向上・品質の向上・収益の向上を望めます。
また、ロボットは汎用性の高い機械です。ある製品の生産が終わった後は、次の製品の生産に適用することができます。まさに、ロボットを導入することは社員を雇う感覚と近いと思います。
ただし、様々なタイプのロボットがあり、それぞれに複数のメーカと複数の型式が存在します。選定を間違えると、思惑とは違う結果にもなりかねません。
人を雇うときには人材紹介サービスに求める人物像にマッチする人材がいないか相談します。これと同じように、ロボットを採用するならロボットに詳しいメーカやロボットシステムインテグレータに相談し、安心して求める能力を発揮できるロボットを採用するのが良いでしょう。
ロボット導入の検討や、作業工程でのお悩みごとなどあれば、お気軽にご相談ください。
またFAプロダクツは、定期点検・保守・修理、老朽化した設備のリプレースといったニーズにもお応えしています。
手書き図面のデジタル化から緊急依頼まで幅広くサポート。弊社が納品したもの以外の設備にもご対応いたします。
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