プレイバックロボットとは?産業用ロボットとの関係や導入のメリット
プレイバックロボットは日本の製造業において、すでになくてはならない存在です。
プレイバックロボットはティーチングによって動作を教え込ませ、教えた結果を繰り返すロボットを指します。ただその情報だけでなく、より深い詳細を知りたい導入担当者も多いのではないでしょうか。
当記事ではプレイバックロボットの詳細や導入のメリット、さらにはプレイバックロボットを扱うおすすめのメーカーを5つご紹介します。
もし、プレイバックロボットのコンサルティングを受けて、
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- 人的ミスを減らして品質価値を高めたい
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目次
1.プレイバックロボットとは?ティーチングについても解説
プレイバックロボットとは、人間が教え込んだ動作を、そのとおりに繰り返し動作を行うロボットのことです。ロボットに動作を覚えさせる「ティーチング(教示)」の後に、その動作を再生させる「プレイバック」という流れになります。
製造現場で使われている産業用ロボットのほとんどが、このプレイバックロボットに分類されます。
(1)ロボットティーチングについて
ロボットティーチングの手法は、主に4つ存在します。それぞれの詳細を見ていきましょう。
①オンラインティーチング
オンラインティーチングとは、ティーチングを行う人がロボットの目の前で動きを組み込んでいく手法のことです。ティーチングペンダントと呼ばれるリモコンに近い形状の機器を使用します。特徴は次のとおりです。
- 他の人への教育がやりやすい
- 動きを確認しながらティーチングを進められる
- ティーチングの完了まで時間がかかる
- 巻き込まれなどの事故のリスクがある
2020年現在では、次に紹介するオフラインティーチングが主流になっています。
②オフラインティーチング
オフラインティーチングとは、パソコンやその他のデバイスを使ってロボットの動作内容をプログラムする方法です。特徴は次のとおりです。
- 先にベースの動きを記録して現場に持っていけるので導入時間が短縮できる
- 事前のシミュレーションによって問題点が洗い出しやすくなる
- 現場での動作チェックで予想外のトラブルを防ぎやすい
- CADやCAMの専門知識が必要になる
オフラインティーチングには、主に「シミュレータ型」「エミュレータ型」「自動ティーチングシステム」「テキスト型」の4つが存在します。
③ダイレクトティーチング
ダイレクトティーチングとは、作業者が手で直接動かしながらロボットに教え込ませる方法です。特徴は次のとおりです。
- 専門知識が必要ない直感的なティーチングができる
- 正確に教え込ませるのが難しい
- 機械の誤作動が事故に直結する
ダイレクトティーチングは、産業用ロボットではなく主に協賛ロボット(人間をサポートするための機械)によく用いられる手法です。
④AIによるティーチチンググレス
「そもそもティーチングの必要がないロボットを作ろう」という動きも見られます。
これは最初のティーチングを行った後は、AIによる自己学習機能によって自動で動作を修正していくというシステムです。特徴は次のとおりです。
- ティーチングマンの教育コストが削減できる
- 微細なズレもAIの判断で自動修正できる
- 最初はエラーが多い
- 導入コストが高い
工場のFA(Factory Automation)、つまり自動化の流れが進んでいる中で、今後はこのAI搭載の産業用ロボットは伸びていくのではないかと推測されます。
(2)プレイバックロボットのメリット|シーケンスロボットの違い
プレイバックロボットのメリットについて、あらかじめ行うべき動作が組み込まれて決まっているシーケンスロボットと比較しながら見ていきます。
①人間の手では難しい作業を代行してもらえる
シーケンスロボットと共通ですが、ロボットに代行してもらうことで人間の手では難しい作業を一定の品質を守りながら実施できます。
- 24時間365日連続で稼働できる
- 作業の均一化によって製品の品質が安定する
体系化された製品の連続生産を行う生産ラインでは、同じ動作を安定して繰り返すプレイバックロボットの活用が向いているといえます。
一方、創造的な仕事や特殊形状の製品の取り扱いは、プレイバックロボットでは少し難しい作業になるでしょう。
②さまざまな生産ライン・製造品に柔軟に対応できる
シーケンスロボットのとの大きな違いの1つに、さまざまな生産ラインや製造品にも対応できる点が挙げられます。
プレイバックロボットの場合は、生産ラインの動作を見ながらその場で動作を調整できます。現場で直接動きをチェックしながら、製品に合わせた微調整が可能です。
対して、シーケンスロボットはまず内部の数値やプログラムから変える必要があります。基本的には柔軟性がなく、洗濯機や自動販売機のような「決まったプログラムを順序にしたがって実行していく」というシステムであるためです。
日々改善や修正が必要になる生産ラインなどでは、プレイバックロボットのほうが対応しやすいでしょう。
③作業員の安全性が向上する
プレイバックロボットに体の負担が大きい作業や危険な場所での仕事を代行させることで、作業員の安全性が向上します。
生産現場での仕事は、作業員にとって常に危険と隣り合わせです。長時間の肉体労働による疲労や、急なトラブル対応に要因でのケガなど、さまざまなリスクが潜んでいます。
ただし、事故の中にはロボットへの巻き込まれが原因のものもあるため、現場での安全教育や操作マニュアルの整備も必要です。
(3)ロボットティーチングを行うには資格が必要
ロボットへのティーチングは、実は誰でもできるわけではありません。産業用ロボットの扱いは「労働安全衛生法の第59条第3項」にある「危険又は有害な業務」にあたるため、労働者への特別な教育が必要と決まっているからです。
危険又は有害な業務とは「労働安全衛生規則第36条第31号」に定めがあるものです。正確には「研究開発中のものその他厚生労働大臣が定めるもの」は安全教育の対象外で、その中に「80w以下のもの(協働ロボット)」が含まれています。
そのため、逆に「80w以上のロボットを扱うときには資格が必要になる」との解釈になるのです。
一 定格出力(駆動用原動機を二以上有するものにあつては、それぞれの定格出力のうち最大のもの)が八〇ワツト以下の駆動用原動機を有する機械 (引用:中央労働災害防止協会) |
ロボットティーチングについてのさらなる詳細は、以下の記事をぜひご覧ください。
2.産業用ロボットの定義とは?種類についても解説
プレイバックロボットも、その多くが産業用ロボットという括りの中に入ります。ここからはプレイバックロボットについて深く知るために、この産業用ロボットの定義や種類についてご紹介します。
(1)産業用ロボットの定義
総務省の「ICTスキル総合習得教材」のPDF資料によると、産業用ロボットは日本工業規格JISや世界標準規格ISOによって、次のように定義されています。
産業用ロボットは、日本工業規格(JIS)で「自動制御によるマニピュレーション機能または移動機能をもち、各種の作業をプログラムによって実行できる、産業に使用される機械」と規定されています。
・国際標準化機構(ISO)では、産業用ロボットを「自動的なコントロール、再プログラミング、多目的で3軸以上の操作が可能で、固定または移動可能かにかかわらず産業自動化(industrial automation applications)に利用される物」と定義しています。 |
マニピュレーションとは、操作対象物をロボットのハンド等で望みの位置・方向に動かすことを指します。イメージを掴みたい場合は、以下の動画もぜひ参照にしてください。
一方、産業用ロボット以外のロボットの総称はサービスロボットと呼ばれます。
(2)産業用ロボットの種類
産業用ロボットの種類は、主に4種類に分けられます。
①垂直多関節ロボット
垂直多関節ロボットとは、通常4つ以上の軸をもつ、人間の腕に似た形状のロボットです。
動きの自由度が高いため、溶接、塗装、組み立てなどの人間が行っている作業の代替に適しています。
②水平多関節ロボット
水平多関節ロボット(スカラロボット)とは、水平方向の動きを得意とするロボットです。
部品の押し込みや基盤の組み立て、現工程から次工程への部品運びなどでよく用いられます。また垂直多関節ロボットに比べて剛性に優れ、耐久性が高いという特徴もあります。
③直角座標ロボット
直角座標ロボットとは、直線的な動きが交差するような形でスライドし動作するロボットです。複雑な作業は難しいものの、その分制御が簡単というメリットがあります。また平面作業であれば、人が行うような細かい作業も可能です。
④パラレルリンクロボット
パラレルリンクロボットとは、ロボットの関節が並列(パラレル)に配置されているロボットです。複数のリンク機構を用い、出力を1点に集中させられます。
たとえば、コンベアを流れてくる製品の整列や選定などの工程で使用されます。とはいえ、他の産業用ロボット比べ、あまり広くは活用されていません。
(3)導入時の注意点
プレイバックロボットを導入する際は、次のフローに沿って順番に決めていくことをおすすめします。
- 産業用ロボットの導入イメージを掴む
- 経営の課題を解決するロボットの導入目的を明確にする
- ロボットの希望の動きや生産数量、品種替えの頻度を検討する
- 設置スペースや動作環境(温度・湿度・振動など)、ユーティリティなどを確認する
- レイアウトや予算を固めて、具体的に内容を発注する
「自動化が必要だからなんとなく入れよう」「有名会社だから任せても大丈夫」など、目的や課題がはっきりしないまま進めるのは危険です。必ず経営陣・導入担当者・現場担当者での話し合いを行い、慎重に検討を進めましょう。
3.プレイバックロボットにおすすめのメーカー・ロボットシステムインテグレータ5選
ここからはプレイバックロボットを導入する際に相談できる、おすすめのメーカーやロボットシステムインテグレーターをご紹介します。
(1)株式会社FAプロダクツ
【特徴】
FAプロダクツは年間200台もの実績がある関東最大級のロボットシステムインテグレーターです。一貫生産体制をとっており、設計から製造までをワンストップで対応。費用・時間にムダなく最適化を行うことができます。
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【ポンチ絵とお見積りのサンプル】
テキストやお電話だけでは伝わりづらいゴールイメージを共有し、スピード感を持った対応を心がけています。
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業界最大級の画像処理検証施設を開設!
「画処ラボ」ではルールベースやAIの画像処理を専門エンジニアが検証。ご相談から装置制作まで一貫対応します。
【所在地】
茨城県土浦市卸町2丁目13-3
TEL.050-1743-0310(代表)
FAX.050-3156-2692(代表)
https://jss1.jp/
【営業品目】
- 産業用ロボット
- 生産設備合理化・省力化の設計及び製作
- 基板電気チェッカーや貼合・折曲など
- 治具の設計・製作
【実績】
NM社(電子部品の製造販売)、HS製作所(情報通信・社会産業・電子装置・建設機械・高機能材料・生活の各システム製造販売)、TT社(ショッピングセンターなどリテール事業)、SM社(自動制御機器の製造・販売)、OR社(自動車安全システムの製造販売)
(2)株式会社安川電機
【特徴】
株式会社安川電機は1915年に創業した、メカトロニクス製品を製造するメーカーです。日本で初めて全電気式産業用ロボット「モートマン」を発売するなど、産業用ロボットに関するノウハウを持っています。
アーク溶接を中心に、スポット溶接やハンドリング、組み立て、塗装などのさまざまな用途の産業用ロボットを取り扱っています。
【営業品目】
- ACサーボ、コントローラ
- インバータ
- ロボット
- システムエンジニアリング
- 物流サービス
【所在地】
福岡県北九州市八幡西区黒崎城石2-1
TEL:093-645-8801
https://www.yaskawa.co.jp/
(3)ABB
【特徴】
ABBはスイスに本社を置く企業で、世界4大産業用ロボットメーカーの1つです。130年以上の歴史、100ヵ国以上への進出、11万人以上の従業員など、4大産業用メーカーに恥ない規模を誇ります。
産業用ロボットに関しても、これまで40万以上のソリューションを出荷してきました。事業全体ではグローバル市場で第2位、中国ロボティクス市場では第1位となっています。
【営業品目】
- 産業用ロボット
- 変電所
- 可変速ドライブ
- 直流送電
- クレーンシステム
- ネットワークマネジメント
【所在地】
東京都品川区大崎2-1-1 ThinkPark Tower 22F
03-4523-6000
※ABBジャパンの所在地を記載
https://new.abb.com/jp
(4)ファナック株式会社
【特徴】
ファナック株式会社はFA事業、ロボマシン事業、IoTプラットフォーム事業の三本柱とする日本の電気機器メーカーです。「世界の工場の稼働率向上」をコンセプトに、108ヵ国への進出、260以上の拠点設置を行っています。
産業用ロボットのラインナップも、スカラロボットからアーク溶接ロボット、大型ロボットとさまざまな形態に対応しています。
【営業品目】
- FA:CNC、サーボモータ、レーザ
- 産業用ロボット:アームロボット、ロボドリル、ロボショット、ロボナノ
- 製造業向けオープンプラットフォーム
【所在地】
山梨県忍野村
TEL:0555-84-5555
https://www.fanuc.co.jp/
(5)KUKA
【特徴】
KUMAは、世界中に子会社を持つ、ドイツ発の世界的な企業です。世界をリードするオートメーション化のスペシャリストとして、ロボットコンポーネントからクラウドバースのITツールまで多種多様なサービスを提供しています。
産業用ロボットに関しても、最大リーチ約540mmから約3,000mmと幅広く揃えています。
【営業品目】
- 産業部門:産業用ロボット、オートメーション化
- オートモーティブ部門:エンジニアリング提供サービス
- コンシューマーグッズ&ロジスティクスオートメーション部門:倉庫及び配送センター向けソリューションの提供
- ヘルスケア部門:病院と薬局のプロセス及びシステムを最適化
【所在地】
神奈川県横浜市保土ヶ谷区神戸町134
TEL:045-744-7531
※KUKA College Japan K.K.の所在地を記載
https://www.kuka.com/ja-jp
4.プレイバックロボット導入に関するご相談はFAプロダクツへ
もしプレイバックロボットの導入に関してお悩みがあれば、ぜひFAプロダクツにお問い合わせください。生産ラインや製造品に合わせた、最適なロボットのご提案やソリューションの提供をいたします。
関東最大級のロボットシステムインテグレーター ロボットシステムの設計から製造ならお任せください
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