センサで製品を検出!原理から種類、検出例とメーカを比較
センサは、産業機械の自動化に欠かせない製品のひとつです。
とくに物体を検出するにはさまざまな方法があり、検出用途に合った選定で生産効率を向上させることができます。
ですが、検出の原理や種類についてあまり知らない人も多いと思います。
そこで本記事では、物体を検出するための検出種類と原理、センサの特徴などについて解説します。物体を検出するセンサについて理解し、どのようなセンサを選べば良いかという参考にぜひご覧ください。
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目次
1.各センサの原理と構造
産業機械で使用するセンサのうち、今回は物体を検出するのに特化した以下4つの検出原理について解説します。
- 光を使用した検出
- 過電流を使用した検出
- 接触を使用した検出
- 画像を使用した検出
以下より詳しく解説します。
(1)光を使用した検出
光電センサは可視光線や赤外線などの光を利用し、接触せずに物体の有無、表面状態の変化などを検出するセンサです。
検出の原理は、投光部の発光素子から放射された光が物体から反射して受光部の受光素子で反射量の変化を検出します。
光を使用した検出方法は、おもに図1で示す3種類あります。
透過形は投光器と受光器が分離しており、物体が間に入ると投光器の光が遮光されて受光器が変化量を検出します。
反射型は投光と受光が一体となったセンサです。物体から反射した光を受光部で検出します。
回帰反射は投光と受光が一体となったセンサと反射ミラーを組み合わせて使用するセンサです。物体がセンサと反射ミラーの間に入ると受光部の光量変化を検出します。
(2)過電流を使用した検出
過電流を使用したセンサは、先端の検出コイルから発生した高周波磁界の変化量を非接触で検出するセンサです。
図2は、過電流を使用した検出原理を示した図です。
検出コイルから発生した磁界に物体が近づくと、電磁誘導作用が働いて磁場が減少または停止した変化量を検出します。
(3)接触を使用した検出
接触を使用した検出は、先端部の接触子に物体を接触させ、スピンドルの移動量で距離を計測します。
図3は、接触を使用した検出原理を示した図です。
受光素子と照明のあいだに設置されたガラスケースは、スピンドルに取付けられています。ガラススケールはスリットが刻まれていて、スピンドルとガラススケールが移動すると、スリットに光が投光して受光素子に受光します。この通過したスリットの数量を信号出力して移動量を計測します。
(4)画像を使用した検出
この検出は、カメラで撮影した画像を使用して物体のさまざまな変化を検出する方法です。
撮影した画像を画像処理技術で物体の有無や色、面積などを計測して検出します。
図4は画像を使用した検出原理を示した図です。
照明で照射した物体をカメラで撮影し、得られた画像を画像処理装置でノイズを除去したり輪郭や色調などを強調します。処理後の画像から計測などをおこない、検出します。
2.各センサの特徴と実例
ここからは各センサの特徴を解説していきます。まずは4種類ある検出方法からそれぞれの特徴を以下の表にまとめました。
項目 | 光を使用した検出 | 過電流を使用した検出 | 接触を使用した検出 | 画像を使用した検出 |
検出できる物体 | ほとんどの物体 | 金属のみ | 個体 | ほとんどの物体 |
測定距離 | 普通 | 短い | 短い | 普通 |
応答速度 | 速い | 速い | 遅い | 速い |
精度 | 良い | 良い | 尚良い | 良い |
過電流を使用した検出は金属のみが検出可能ですが、光を使用した検出はほとんどの物体で使用が可能なので素材を選ばないことが特徴です。
また、過電流と接触を使用した検出は測定距離が短く、物体の素材が金属や個体のみが検出可能です。
画像は、撮像した範囲内であれば物体の種類関係なく検出が可能です。
以下より各センサの特徴を解説するとともに、検出例もお伝えします。
(1)光を使用した検出
光を使用した検出は、物体の表面反射や遮光量を検出するためほとんどの物体を検出できることが特徴です。
また、透明体の検出や液体の液面検出も可能です。以下の表で光を使用した代表的な3種のセンサの特徴を解説します。
①代表的なセンサの特徴
項目 | 光電センサ | ファイバセンサ | レーザセンサ |
センサ本体の大きさ | 普通 | 小さい | 普通 |
センサスポット径 | 普通 | 大きい | 小さい |
センサアンプ | 内蔵型有り | 内蔵型無し | 内蔵型有り |
距離検出 | 不可 | 不可 | 可能 |
価格 | 安価 | 普通 | 高額 |
ファイバセンサはセンサ本体にアンプを内蔵していないため、サイズが小さくて設置場所を選ばないことが特徴です。
センサスポット径は、ファイバセンサ>光電センサ>レーザセンサの順で大きさが異なり、レーザセンサは0.5mmのスポット径のセンサもあります。
レーザセンサは製造コストが高く、一般的に光電センサの倍程の価格で販売しています。また、ファイバセンサは必ずアンプとセットで購入する必要があるため、アンプ内蔵型の光電センサよりは高額になってしまいます。レーザセンサは距離を測定できる変位センサという機種もあり、高さや厚み測定などの検査としても使用することが可能です。
②センサの検出例
光電センサは並列でさせると隣同士の光が干渉して誤検知する場合がありますが、特殊穴なフィルタをセンサに取付することでお互いの光が干渉せずに検出ができます。
また、回帰反射型は球面の透明体でも安定検出できます。
(2)過電流を使用した検出
過電流を使用した検出は、金属体のみ検出と検出距離が短いことが特徴です。光電センサではできないガラスごしの金属体を検出することも可能です。また、検出距離は2mmからとかなり物体に接近してセンサを設置する必要があります。
以下の表で過電流を使用した検出の代表的な2種のセンサの特徴を解説します。
①代表的なセンサの特徴
項目 | 近接センサ | 過電流式変位センサ |
検出距離 | 短い | 短い |
距離計測 | 不可 | 可能 |
近接センサと過電流式変位センサは、距離の計測が可能かで違います。
過電流式変位センサは、検出コイルから発生した磁界に物体が近づくと、過電流による損失が大きくなって発振回路の振幅が小さくなります。この発振振幅を整流して信号に変換し、直流電圧の変化としています。整流させた信号と距離の比例関係を直進化回路で補正して出力しています。
②センサの検出例
移動する物体が金属体でなくても、金属体のドグを取付けると近接センサで検出が可能です。センサに設置スペースが無い場合などで有効な手法の一つです。
(3)接触を使用した検出
接触を使用した検出は個体に接触させることが特徴で、製品検査などの用途で多く利用されている検出方法です。
以下の表で代表的なセンサの特徴を解説します。
①代表的なセンサの特徴
項目 | 接触式変位センサ |
測定精度 | 良い |
耐久性 | 非接触より劣る |
価格 | 高額 |
必ず個体に接触させて測定するので、非接触のセンサより測定精度良いです。しかし、測定毎に接触するため、耐久性が非接触より劣ります。また製造コストが高いため、導入コストが高額になります。
②センサの検出例
検査する物体の高さ精度を検査する検出例です。
エアシリンダにセンサを上下させることで製品の高さ検査ができます。また接触式変位センサを並列させることで、複数の同時検査が可能です。
(4)画像を使用した検出
画像を使用した検出は、画像から得られる情報でさまざまな検査用途があります。その中でも、以下のような検査用途で多く利用されています。
- 製品の外観検査
- 寸法検査
- ラベルなどの表示に関する検査
また以下の表で代表的なセンサの特徴を解説します。
①代表的なセンサの特徴
項目 | 画像センサ(画像処理) |
必要機器 | カメラ、照明、レンズ、画像処理装置 |
測定精度 | 高い |
得意な検出 | 傷、シミ、寸法測定、表示抜けや破損など |
苦手な検出 | 立体的な筐体の検査 |
画像センサの必要機器は、おもに「カメラ」「照明」「レンズ」「画像処理装置」の4つで構成しています。この4つの組み合わせ選定を上手く利用することで、さまざまな検出が可能です。
さまざまな検査が可能な画像センサでも、苦手な検出があります。それは、立体的な筐体の検査です。画像は撮影した平面上でしか検査できないので、奥行方向の検査が苦手です。カメラの設置位置を工夫するなどの対策をする必要があります。
②センサの検出例
食品用で使用する器の汚れやシミを検出する例です。
汚れやシミの輪郭をはっきりさせるために紫外線ライトを使用することで、シミの部分がはっきりと検出できるようになっています。画像センサは、目視しにくい検査も機器を正しく選定すると検出しやすくなります。
3.センサのメーカ比較
センサは産業機械に無くてはならない装置のひとつなので、多くのメーカが参入しています。今回は豊富にあるメーカの中から3社をピックアップし、メーカの特徴について以下より詳しく解説します。
(1)メーカの特徴
比較するメーカ3社のセンサは、能力に大きな差は無いのでメーカの特徴を比較しそれぞれについて解説します。
メーカ | オムロン株式会社 | 株式会社キーエンス | パナソニックデバイスSUNX株式会社 |
特徴 | ・幅広い製品の取り扱い
・センサラインナップが豊富 |
・扱いやすい
・センサラインナップが豊富 |
・幅広い製品の取り扱い
・センサラインナップが豊富 |
オムロン社とパナソニック社は、センサ以外にもリレーなどの電気制御機器の販売もしており導入時にメーカを統一しやすい特徴があります。キーエンス社は、製品の扱いやすさに特徴があります。
以下より詳しく解説します。
(2)各メーカの詳細
①オムロン株式会社
工場の自動化を中心に制御機器や電子部品などの製造・販売しているメーカです。
センサのみならずリレーやFAシステムなどのさまざまな製品を取り扱っているため、装置に使用するメーカを統一しやすいことが特徴です。
②株式会社キーエンス
産業用のFA機器を製造・販売しているメーカです。
光電センサの筐体を金属にすることで物理的強度をあげたり、経験の浅い従業員でも簡単に設定できるような扱いやすい製品が多いなどの特徴があります。
③パナソニックデバイスSUNX株式会社
家電製品などの身近なところで活躍しているメーカのグループ企業で、FA機器の製造・販売しているメーカです。
取り扱い製品はセンサだけではなく、制御部品やレーザ加工機など幅広い製品の取り扱いがあることが特徴です。
4.センサの導入に関するご相談はFAプロダクツへ
センサは産業機械を自動化させるために欠かせない製品のひとつです。そのため多くのメーカで取り扱いがあり、そのひとつひとつを比較するのは大変です。
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