接着剤塗布機の主要メーカ3選 選ぶ基準や製品特徴、メリットも解説
人が手作業で接着塗布をすると体調や練度に左右され、仕上がりにばらつきが生じます。人員が増えるとさらにばらつきの差が生まれるため、品質が安定しません。そこで接着剤塗布を自動化すれば、人がおこなう作業より速く・正確に塗布が可能です。
この記事では接着材塗布機の選び方、導入のメリット・デメリットや生産性を上げるポイントを解説します。また接着材塗布機を独自で開発・販売しているメーカと製品特徴をいくつか紹介します。
もし、接着剤塗布機のコンサルティングを受けて、
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目次
1.接着剤塗布機の選び方
代表的な4つの接着剤塗布機から選び方を「粘度」「形状」「接触」、3つのポイントで絞ると選びやすくなります。それらを表にまとめました。
接着剤の粘度 | 塗布対象の形状 | 塗布対象への接触 | |
ロールコーター | ~100,000mPa・s | 平面のみ | 接触有 |
フローコーター
(カーテンコーター) |
~6,000mPa・s | 微細な凹凸なら可 | 非接触 |
スプレーガン | ~10,000mPa・s | 凹凸面可 | 非接触 |
ディスペンサ | ~1,000,000mPa・s | 凹凸面可 | 非接触 |
以下より詳しく解説します。
(1)接着剤の粘度
高粘度に対応しているか否かで、選べる装置の選択幅が狭くなります。目安として「100,000mPa・s」以上となるとディスペンサのみに限定されます。
(2)塗布対象の形状
塗布対象に凹凸面があるか否かで、選べる装置の選択幅が狭くなります。
ロールコーターは平面のみしか塗布できません。凹凸面がある場合は、スプレーガンやディスペンサの使用に限定されます。例外としてフローコーターでは、微細な凹凸なら塗布が可能です。
(3)塗布対象への接触
塗布対象への接触がNGの場合、ロールコーターの使用ができません。ロールコーターはロールと塗布対象が接触するからです。非接触なら他の3種から選択できます。
2.接着剤塗布機の主要メーカと製品
ここからは接着塗布機を独自で開発・販売しているメーカと製品を紹介します。どのようなメーカや製品があるのかの参考にご覧ください。
(1)株式会社ヒラノテクシード
【特徴】
ロールコーターを主力にさまざまな塗布機を独自で開発・販売しているメーカです。紙おむつや電子部品などで使用され、さまざまな分野で活躍している機械を製造・販売しています。
【所在地】
本社工場 〒636-0051
奈良県北葛城郡河合町川合 101番地の1
TEL:0745-57-0681(代表)
【製品】
ロールコーターの1種であるコンマコーターで、ホットメルトに対応した以下2種の接着剤塗布機を紹介します。
- コンマダイレクト
- コンマリバース
以下より詳しく解説します。
(コンマコーター及びコンマロールはヒラノテクシード社の登録商標です。)
①コンマダイレクト
コンマロールとバックロールに適度な隙間を作り、その間に塗布対象が通過して塗布する方式の塗布機です。以下4つの特徴があります。
- 粘度300~10,0000mPa・s
- 塗工量30~2,000μm・Wet
- 調整が容易
- 溶液などによっては精度に若干のばらつきが生じる
高粘度に対応していることと、塗工量が30μm・Wetからと少量の液量で塗工が可能です。膜厚等の条件出しが容易なため、短時間でさまざまな条件テストをおこなえます。
方式が簡易なため溶液や塗布対象の精度によって、塗工精度に若干のばらつきが生じる特徴があります。
②コンマリバース
コンマダイレクトにゴムの転写ロールをプラスした塗布機です。以下4つの特徴があります。
- 粘度100~50,000mPa・s
- 間欠パターン塗工が可能
- 塗工精度がコンマダイレクトより良い
コンマダイレクトより対応粘度は劣りますが、高粘度に対応しています。また、間欠パターンの塗工が可能で、塗工精度がコンマダイレクトより良いことが特徴です。
(2)アネスト岩田株式会社
【特徴】
スプレーガンや塗装ロボットなどの塗布機を独自で開発・販売しているメーカです。国内はもちろんのこと、海外にも20ヶ国以上の拠点があります。どの国でも手厚いサポートを受けることができ、安心して機械を使用できる企業です。
【所在地】
〒223-8501 神奈川県横浜市港北区新吉田町3176番地
TEL:045-591-1111 / FAX:045-593-1532
【製品】
接着剤用では以下2種類の装置を紹介します。
- 接着剤専用自動ガン(COG-A200)
- フローコーター FL-Gシリーズ
以下より詳しく解説します。
①接着剤専用自動ガン(COG-A200)
接着剤専用のスプレーガンで、汎用スプレーガンでは実現できなかった以下3つの特徴があります。
- ムラの無い均一な塗工
- 糸引きが起こりにくい
- ワイドに塗工できる
接着剤専用に開発されたスプレーガンで、噴霧粒子が汎用製品より細かく噴射します。粒子が細かいため、ムラになりにくく均一な塗工が可能です。
また、一気に微粒化できるため近距離でもワイドに塗工できます。塗工距離を近くできることで糸引きしにくいことが特徴です。
②フローコーター FL-Gシリーズ
(引用:アネスト岩田株式会社・フローコーター FL-Gシリーズ)
フローコーター式で接着塗布も可能な機種です。以下3つの特徴があります。
- 塗装範囲によって機種を選べる
- コンベアスピードを細かく調整できる
- 塗料ミストの飛散がないため、作業場が衛生的である
塗装範囲が「300mm」「600mm」「1200mm」の3種類ラインナップしており、塗布したい材料のサイズに応じた機種選定ができます。またコンベアはインバータ制御で、ボリウムを回すことで速度調整が可能です。フローコーター式は塗料ミストの飛散がなく、作業場が衛生的であることが特徴です。
(3)武蔵エンジニアリング株式会社
【特徴】
ディスペンサ市場で国内No.1のシェアを保有する企業です。標準機であればデモ機を貸し出してくれるため、最適なディスペンサ装置を見つけることができます。
【所在地】
〒181-0013 東京都三鷹市下連雀8-7-4
TEL. 0422-76-7111
FAX. 0422-76-7122
【製品】
接着剤に特化した以下2種の装置を紹介します。
- HOTMELT SCREW MASTER
- MPP-3
以下より詳しく解説します。
①HOTMELT SCREW MASTER
ホットメルトに対応したディスペンサ方式の機種で、以下3つの特徴があります。
- 線幅0.1mm
- 塗布速度100mm/s以上
- 設定最高温度160℃
設定温度が160℃に対応しさらに線幅を細くできるため、微細な塗布対象にも適応できます。高速動作するためインライン化しやすくなっていることが特徴です。
②MPP-3
ペール缶から直接塗料を抽出できるディスペンサ方式の機種で、以下2つの特徴があります。
- 精密な定量塗布
- 2液混合が可能
体積や重量で吐出量を設定するため、環境温度が変化して粘度が変わっても安定した連続吐出が可能です。またディスペンサを並列させると2液混合が可能で、正確な混合比のもと吐出できることが特徴です。
3.接着剤塗布機の導入メリット・デメリット
ここからは接着剤塗布機を導入すると、どのようなメリット・デメリットがあるのかをご紹介します。以下の表にまとめましたのでご覧ください。
メリット | デメリット |
品質の安定 | 装置導入に初期コストがかかる |
生産性の向上 | 維持費がかかる |
人員不足の解消 | 故障するリスクがある |
それぞれを詳しく解説します。
(1)メリット
①品質の安定
人による接着剤塗布では、体調など練度で塗布量にばらつきが生まれます。塗布を自動化することで、一定の品質を保つことが可能です。
②生産性の向上
接着剤塗布機を導入すれば、自動運転開始前に数度のテスト塗布をするだけで1日中安定した生産が可能です。
多くの接着剤塗布機は塗布量などを数値で表示しています。数値を管理すると、誰が調整しても同じ製品を生産でき、安定した生産で不良品を減らすことできるため生産性向上に繋がります。
人による作業では、8時間必ず同じ速度で作業することは困難です。作業時間が長くなると疲れなどで集中力が低下し、作業速度にばらつきが生じます。自動化すると、一定の速度で24時間稼働することも可能です。
③人員不足の解消
高齢化社会化したため、人口の減少と共に働き手が不足しています。今まで作業員がおこなっていた作業を自動化することで、人に代わり機械が働いてくれます。
(2)デメリット
①装置導入時に初期コストが必要
装置を導入するには購入するための初期コストが必要です。装置の規模や種類によりますが、コストに見合った装置選定が必要です。
②維持費がかかる
接着剤塗布機は吐出口が詰まりやすく、塗布量に影響します。また接着剤との相性によりゴムパッキンが劣化しやすくなるため、定期的なメンテナンスが欠かせません。メンテナンス中は生産できないため、生産できなくなる損失を踏まえての導入検討が必要です。
③故障するリスクがある
装置を稼働し続けていると、故障するリスクがあります。特に接着剤が通過する経路は、長期間の使用で詰まりやすくなります。詰まってしまうと管内の圧力が高くなり、破裂・破損するリスクがあります。故障中は生産できないため、修理が完了するまでの損失を考慮する必要があります。
4.接着剤塗布機を用いて生産性を上げるポイント
最後に、接着剤塗布機を導入してから生産性を上げるポイントをお伝えしていきます。生産性を上げるためには、以下3つのポイントがあります。
- 生産計画
- 人員の育成
- 操作・管理しやすい装置レイアウト
詳しく解説します。
(1)生産計画
生産計画に機械のメンテナンスも計画に入れることで、故障する箇所を予測できます。事前に故障しやすい箇所の部品を清掃・交換するなどして、故障するリスクを下げると生産性が向上します。
装置の取扱説明書にメンテナンス周期や方法が記載されています。不明であれば、メーカに問い合わせみると良いでしょう。
(2)人員の育成
新しい装置を導入すれば、それを操作・管理する人員を育成する必要があります。塗布量や塗布時間の適切な設定を迅速にできる知識、装置を分解・組立できる装置の知識が欠かせません。社内で育成することができないのであれば、外部から教育・講習などを依頼すると良いでしょう。
(3)操作・管理しやすい装置レイアウト
どんなに有能な装置を導入、人を育成しても装置レイアウトが操作・管理しにくくては生産性が下がってしまいます。いかに効率良く作業できるかが生産性向上のカギとなります。
例えば操作盤は作業者の正面に取付、接着剤タンクは交換しやすい様作業者から見える位置に設置するなどの工夫が必要です。
5.自動接着剤塗布機を導入するならFAプロダクツへ
自動で接着剤を塗布する装置は種類が豊富ですが、上手く活用すれば、品質の安定などのまざまなメリットがあります。どの装置を導入すれば良いか、上手く活用できないなどでお困りの人は、お気軽にFAプロダクツまでお問い合わせ下さい。FAプロダクツでは、下記のような設備の開発も行っています。
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