カシメ機とは?種類・選択方法・生産性アップのコツや主要3社を解説
カシメ機とは、2枚の材料に金属の鋲を通し、潰して変形させることで物理的に材料を接合させる機械です。この機械を使った加工は非常に用途が広く、金属・布を問わずあらゆるものに使われています。
しかし実際に導入を検討した際、どのような機械があって、どういった用途に合わせて選べばいいのか。少し分かりづらい面も多いです。
本コラムではカシメ機の選び方を中心に、メーカや製品の比較をまとめました。カシメ機の導入でお困りの際は、ぜひ参考にしてください。
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目次
1.カシメ機とは?カシメ機の種類や用途別の選択方法
(1)カシメ機とは
カシメは、2枚の板を接合したいけれど、ボルト締めや溶接接合ができないときに使用する方法です。
カシメについて簡単なイメージを図1で紹介します。
カシメは2枚のワークを接合することが目的です。接合方法は次の通りです。
a) リベットをワークの下方から挿入します。
b) ワークの上方に上側リベットを装着します。
c) ハンマーで強くたたいて圧力を掛け、カシメは完了です。
ハンマーでたたくことに変わるものが「カシメ機」で、リベットに下側に強い圧力で押し付け、カシメます。
図2は、スピン式カシメですが、弱い力でカシメることで、2枚のワーク間にわずかな隙を作ります。カシメた後でもわずかに動かしたい場合にはこちらを選択します。
カシメの方法は、カシメ機のが回転しながらリベットをカシメることで、やや弱い圧縮力でカシメます。
カシメの基本
引用:誠和工業 リベットカシメ
カシメ機の使い方
スピンカシメと潰しカシメの比較動画
引用:株式会社伊澤製作所 スピンカシメと潰しカシメの比較動画
カシメ機は、リベットと呼ばれる金属の鋲を潰して変形させます。しかしこのリベットをどう潰すのか、接合方法によっていくつか方式が変わる仕組みです。
- ブラインド式
- プレス式
- スピン式
それぞれ用途やメーカにより選び方が変わります。
以下では用途に合わせた選び方をまとめました。
(メーカ別の選び方は「4.カシメ機の主要メーカと製品の比較」で紹介しています。)
(2)カシメ機の用途別の選択方法
カシメ機を用途から選ぶ場合、機械の特徴から最も相性が良いものを選びます。
方式 | 相性の良い用途 | 特徴 |
ブラインド式 | 密閉製品
プレス式ではカシメが不可能な場合に選択 |
ブラインド式は、プレス式のカシメ機のひとつです。 ワークの片側からしか作業ができない状況で選択されます。心棒が付いたリベットを差し込み、心棒を引っ張ることで差し込んだ側が変形する仕組みです。ただし、心棒の強度によって固定力が決まるため、同径のリベットに比べて強度は劣ります。 |
プレス式 | 衣類
住宅設備 金属製品 |
プレス式では大きな圧力をかけてリベットを変形させます。
そのため大きな音と衝撃が発生しやすく、材料に負荷を与える可能性も高いです。 一方で加工時は軸も圧力で変形し、遊びが一切なくなります。強固な接合ができるため、材料の強度が高い場合は優先して選びたい方式です。 |
スピン式 | 自動車製品
航空機 電気製品 医療機器 |
スピン式はリベットの頭を回転しながら変形させる仕組みで、プレス式と比べて加えられる圧力はおよそ7分の1以下と言われています。
軸が変形しないので、ヒンジ軸のような動きが求められる場所で使われることが多いです。 精密さを求められる場所でも活躍します。 |
2.カシメ機の導入の目的・メリットとデメリット
カシメ機は生産効率を向上させる上で、非常に重要な役割を果たします。しかし導入すればメリットばかりではなく、デメリットもある点に注意が必要です。メリットとデメリットを加味し、慎重に導入を決定しましょう。
(1)カシメ機導入の目的・メリット
カシメ機を導入する目的は、下記の3つがあります。
- 溶接できない場合の接合に最適
- 接合コストを下げられる
- 加工時間の短縮
金属接合の場合、強固に接合する手段で溶接が挙げられます。しかし薄い板材や熱に弱い材質・場所、溶接によって外観が損なわれる場合は不適切です。また溶接ができる場合でも溶接とカシメ加工を比較し、生産性が高いほうを選択することもあります。
基本的にカシメ加工は、接合にかかるコストが低いです。大きな電力を必要とせず、接着剤も使用しません。
リベットを変形させる時間も、長くて数秒程度です。カシメ加工が最適な場合であれば、生産性はとても高まるでしょう。
以上がカシメ機を導入する目的であり、メリットでもあります。
(2)カシメ機導入のデメリット
カシメ機導入のデメリットは、下記の2点です。
- 接合後は破壊しなければ分解できない
- 金型が必要になるため数量次第ではコストが増大する
一度カシメ加工を行うと、基本的に破壊しなければ分解ができなくなります。製品によってはメンテナンス性を考え、分解ができる部分は構造を考えなくてはなりません(ネジ締め構造にする)。
また金型が必要になるため、種類が増えるとその分の金型も増えます。複数種類の金型を用意する必要があるなら、違う接合方法を検討したほうがコスト削減になる場合もあるでしょう。
3.カシメ機を用いて生産性を上げるポイント
カシメ機を用いて生産性を上げるポイントは、下記の2つです。
- 接合方法によるコストを比較する
- 生産スピードを加味して判断する
まず自社の製品はどのような接合方法が可能なのか、事前に調べてみましょう。その上でそれぞれのコストを比較してみます。接着剤よりもカシメ加工のコストが低い場合や、溶接のほうがコストはかからないといった比較が可能です。
ただし日々のコストだけでは、単純な比較ができません。そこで生産スピードも比較を行ってみてください。「カシメ加工だとコストは若干かかるが、生産スピードは溶接よりもある」「結果的にカシメ機を導入したほうが売上は上がる」といった状況になることもあります。
一番大切なのは、「売上へどれくらい直結するか」という部分です。多少のコストがかかっても売上が向上するなら問題ありません。
逆にコストを下げても生産力が上がらず、販売できるのに商品供給が追いつかない状態では問題です。総合的に比較して最適な接合方法を導入するよう、十分に検討してから選択しましょう。
4.カシメ機の主要メーカと製品の比較
では実際にそれぞれのメーカを比較し、導入時の参考となるよう製品を紹介していきます。
ただしカシメ機は、導入先に合わせた細かいカスタマイズが必要不可欠です。事前に使用目的と使用方法などの仕様を打ち合わせて、生産効率を上げられるようなカシメ機の選定をしましょう。
カシメ機はメーカによって得意な分野があるため、導入用途と照らし合わせて最適なメーカを選ぶと相性が良いです。
福井鋲螺株式会社は、ブラインドリベットが非常に強いメーカです。スタンダードタイプのものから、広範囲締結型・高圧着型・防水型と多くのリベットが取り扱われています。また中空リベットやSPR、段付きリベットと種類が豊富なのも特徴です。
株式会社富士機工は圧力制御式を採用しており、材料が厚いものから薄いものまで幅広く対応しています。上型や下型も交換できるため、さまざまなファスナーに対応し、バラつきによる加工不良も抑制可能です。
株式会社弘機商会はスピン式でも油圧式やサーボ式、空圧式といった複数のカシメ機を取り扱っています。例えば油圧式なら高加圧を期待でき、空圧式なら軽量でスピード重視といった用途にも対応可能です。
この3社は、以下のメーカー紹介で詳細をお知らせします。
(1)福井鋲螺株式会社
【特徴】
福井鋲螺株式会社は名前に「鋲(リベット、釘)」「螺(ネジ)」が入っているように、幅広い分野での製品を提供している企業です。歴史も1959年に創立となっており、およそ60年間に渡って高品質な製品を作り続けています。
提供しているカシメ機は「リベットセッター」という名称です。RSシリーズが主力製品となっています。中でも単相100Vに対応した「RS525」はサーボモーターを搭載し、高い連続作業性を実現しました。
(引用:福井鋲螺株式会社リベットセッター)
作業時はフットスイッチを踏むことで締結作業が可能です。特別な技量を必要としません。ほかにも同一のカム加圧方式を採用し、三相200Vに対応した「RS620」があります。
(引用:福井鋲螺株式会社リベットセッター)
サイクルタイムの長さが気になる場合は、三相200V対応・フライホイール加圧方式の「RS305」を選択すると良いでしょう。
(引用:福井鋲螺株式会社リベットセッター)
【所在地】
本社所在地:〒919-0898 福井県あわら市山十楽1-7
TEL:0776-73-1000(代表)
FAX:0776-73-0111
https://www.byora.co.jp/index.html
(2)株式会社富士機工
【特徴】
株式会社富士機工は、創業1973年で商品数は300種、取引実績10,000社以上の実績を持つ企業です。技術力だけではなく提案力にも定評があり、専門知識が備わった担当者がつくので対応力も定評があります。
とくに加工圧力を制御するカシメ機として、「デスクカシメⅡ」は加工不良を大幅に削減しました。
引用:FUJIKIKO PRODUCTS Channel カシメ加工機 「デスクカシメ」【株式会社富士機工】
ほかにも母材強度が弱いアルミにも対応した、「デスクカシメS」の取り扱いもあります。
【所在地】
本社所在地:〒208-0023 東京都武蔵村山市伊奈平2-92-3
TEL:042-560-7871
FAX:042-560-7883
https://www.fuji-kiko.co.jp/
(3)株式会社弘機商会
【特徴】
株式会社弘機商会はニッチなスピンカシメ機のパイオニアで、サーボ式・空圧式・油圧式と言った複数の機種を取り扱っています。
実際のテスト状況は下記の動画も参考にしてください。
主な製品は、サーボ式のKOKI-2700シリーズです。
サーボ式は数値制御をプログラムで行っているため、誰でもかんたんに操作できるのが特徴です。治具の調節も本体で設定した過去の情報を読み込み、段取り時間を大幅に短縮できます。
サーボ式のほか、空圧式のKOKI-5600シリーズも導入実績が多い製品です。
空圧式は消費電力が少なく、静音性がとても高い方式です。導入コストも安く、多くの企業に選ばれています。
【所在地】
本社所在地:〒144-0052 東京都大田区蒲田1丁目24-6
TEL:03-3732-5461(代表)
FAX:03-3732-5464
https://kokiriveting.com/
5.カシメ機導入に関するご相談はFAプロダクツへ
本コラムでは、カシメ機の導入に関する選定ポイント、機種やメーカの比較を解説しました。
単純にコストを下げるだけだと、売上に直結しないのはどの機種も同じです。それぞれの特徴や製品の善し悪しを考え、十分に検討して導入しなくてはなりません。
しかし自社のみの検討では、何がいいのか悪いのかも判断できない場合も多いでしょう。そこでおすすめとして、各業界に精通したFAコンサルタントへ相談してみると良いです。
FAプロダクツでは、豊富な知見から適切なコンサルティングを行います。カシメ機導入に限らず、工場改善の際は是非ともFAプロダクツにお声かけください。
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