フラクサーとは?選び方や導入メリット、おすすめメーカと製品6選
手作業でフラックスを塗布すると、練度の差でバラつきが生まれます。また大量生産に対応するとなれば、人が作業し続けるのは限界があります。
そこでフラクサーを導入すれば、人が作業するより正確に安定した塗布が可能です。ただ、フラクサーにはさまざまな種類があるため、いざ導入しようにもどれを選べば良いかわからない人もいるでしょう。
もし、フラクサーのコンサルティングを受けて、
- 省力化、省人化してコストダウンしたい
- 生産性アップして売上を上げたい
- 人的ミスを減らして品質価値を高めたい
- どのメーカーの自動化設備を使えば効率的かわからない
という場合は、お気軽にFAプロダクツまでお問い合わせください。
関東最大級のロボットSIerとして、最適化のご提案をさせていただきます。
目次
1.フラクサーとは
図1では、自動化されたはんだ付け(フロー方式・ロボット方式)のイメージを紹介しています。
【フロー方式】
ポンプで層内のはんだを加圧して、基板に吹き付けます。
【ロボット方式】
はんだ棒とはんだを同時に接触させてはんだ付けを行います。
はんだ付けにはフラックス(はんだ付け促進剤)が必要です。
フラックスが塗られていなければ、はんだ付けはうまくいきません。
そのため、フラクサーを使ってはんだ付け前にフラックスを塗っておく必要があります。
図2では、4種類のフラクサーについて紹介しています。
- スプレーフラクサー方式
スプレイから圧力で霧状のフラックスを吹き付けます。この方式では、はんだ付けしないところにもフラックスが付着するため、マスクを用意する場合があります。 - 発泡フラクサ―方式
圧縮空気でフラックスを泡状にして、はんだ付け箇所にフラックス泡を吹きかけます。 - ドロップジェットフラクサー方式
フラックスの粒状にしたものを吹きかけるため、局所的な塗り方が可能となります。 - 超音波フラクサー方式
超音波で振動させてフラックスを霧状にし、ジェットエアーはんだ付け場所に吹きかけるため、局所的な塗り方ができます。
フラクサーの働きは、以下の動画が参考になります。
汚れが少なく自動でフラックスを塗布するロボット(フラクサー)
引用:https://www.youtube.com/watch?v=5o_p70gITmc
基板実装 フラクサースプレー塗布
引用:https://www.youtube.com/watch?v=Tl-R834n81E
基板実装 フラクサーはんだ槽乗継
引用:https://www.youtube.com/watch?v=eloCnXZpExA
また、次のコラムで自動はんだ付け装置を解説しているので参考になさってください。
2.フラクサーの選び方
フラクサーは4種類の方式があり、その選び方は「塗布の領域」「局所塗布」「メンテナンス性」の3つのポイントで絞れば選びやすくなります。それらをまとめて表にしたのでご覧ください。
塗布の領域 | 局所塗布 | メンテナンス性 | |
スプレー式 | 広範囲 | 可能(諸条件有) | 良い |
超音波式 | 狭範囲 | 可能 | 良くない |
ドロップジェット式 | 狭範囲 | 可能 | 良くない |
発泡式 | 全面 | 可能(諸条件有) | とても良い |
以下より詳しく解説します。
(1)塗布の領域
フラクサーは、フラックスを塗布する領域で選ぶ種類が限られます。塗布する領域の大きさは、以下の順となります。
発泡式>スプレー式>超音波式>ドロップジェット式 |
全面塗布できる「発泡式」が一番領域が広く、全面ではないが広範囲に塗布が必要な場合は「スプレー式」に限定されます。また、範囲の狭い塗布は「超音波式」と「ドロップジェット式」が選べます。超音波式よりドロップジェット式のほうが、局所的な塗布に向いています。
(2)局所塗布
局所塗布が必要な場合、方式によって選ぶ種類が限られます。局所塗布が得意な方式は、以下の順となります。
ドロップジェット式>超音波式>スプレー式>発泡式 |
フラックスの粒径を変えられる「ドロップジェット式」が一番局所塗布が得意です。「発泡式」と「スプレー式」で局所塗布する場合、周辺をマスキングで覆う必要があります。マスキングにかかる時間や品質の管理が難しくなってしまいます。
(3)メンテナンス性
メンテナンス性の良さで選びたい場合、以下の順で選べます。
発泡式>スプレー式>超音波式≒ドロップジェット式 |
「発泡式」は簡単な機構で構成されているため、メンテナンス性がとても良いです。「スプレー式」は構造が簡単ですがノズルとフィルタを定期的に清掃が必要です。「超音波式」と「ドロップジェット式」はノズルが詰まりやすく、構造が複雑でメンテナンス性が良くありません。
3.フラクサーのメリット・デメリット
ここではフラクサーを導入することで、どのようなメリット・デメリットがあるのかを解説します。
(1)メリット
①品質の安定
人が手作業でフラックスすると、練度の差で塗布量にばらつきが生じます。自動化することで、バラつきを無くして品質を一定に保ちます。また多くのフラクサーは、塗布量などを数値管理しているため作業員が変わっても同じ製品を生産できます。
②生産性の向上
数値管理により品質が安定すると、不良品を削減できます。人が介入したフラクサー作業は後工程のはんだ付け作業で不良品の発覚が多く、その多くは塗布忘れなどの人を起因としたものです。フラクサーを導入すると、人が介入しないため不良品の削減が可能です。
(2)デメリット
①別途フラックス剤が必要
フラクサーには、消耗品であるフラックス剤が別途必要です。フラクサーの消費量にもよりますが、装置のほかにもフラックス剤を保管する場所の確保が必要です。
②メンテナンスが必要
多くのフラクサーは塗布したときにフラックス剤が飛散します。コンベアや周辺機器にフラックス剤が付着すると、故障や誤作動の原因になります。周辺機器も含めて定期的に清掃や点検を行い、故障のリスクを軽減することをおすすめします。
4.フラクサーを用いて生産性を上げるポイント
フラクサーをインライン化できれば、生産性が向上します。インライン化できていない場合、オフラインのフラクサー装置まで製品を運ぶ必要があります。運ぶ工程を省き、時間の無駄を削減することで生産性向上に繋がります。どうしてもインライン化できない場合は、オフラインのフラクサーをできるだけ近場にくるようレイアウトを工夫して効率良く作業ができるようにしましょう。
5.フラクサーの主要メーカと製品
ここからはフラクサーを独自で開発や販売をしているメーカと製品を紹介します。どのようなメーカや製品があるのかの参考にご覧ください。
(1)千住金属工業株式会社
【特徴】
はんだ材料・FA装置・すべり軸受の3つの事業を軸に、さまざまな業界で活躍している企業です。フロー装置やフラクサーも独自開発しており、はんだの材料から装置までをサポートしてくれます。
【所在地】
東京都足立区千住橋戸町23番地
TEL: 03-3888-5151
【製品】
千住金属工業社のフラクサーSSF2シリーズのみです。メンテナンス性と多彩なオプションがあるスプレー式のフラクサーです。
①SSF2シリーズ(スプレー式)
千住金属工業社のSSF2シリーズには、以下3つの特徴があります。
- タッチパネル搭載
- ノズル洗浄機能付
- オプションが豊富
タッチパネルを搭載しているので作業員が操作しやすく、標準でノズル洗浄機能がついています。作業員の負担を減らし、安全に稼働できるようメンテナンス性も考慮された装置です。ノズル洗浄用の液量管理やパスラインの変更・塗装色の変更などオプションが豊富です。
(2)三幸通商株式会社
【特徴】
アジア・ヨーロッパ・アメリカを中心に、はんだ付けの品質改善に関わる製品を数多く販売している企業です。産業用カメラを使用した外観検査装置や、Sono-Tek社のフラクサーなどを販売しています。
【所在地】
東京都中央区日本橋蛎殻町2-16-7 日本橋三幸ビル
TEL: 03-5642-7337
【製品】
Sono-Tek社の超音波式のフラクサーで、以下2種類を紹介します。
- エコフラクサー
- スーパーエコフラクサー
以下より詳しく解説します。
①エコフラクサー
エコフラクサーには、以下3つの特徴があります。
- 無駄のない少量塗布
- はんだ不良の削減
- 自己洗浄機能付
超音波式で薄く塗布するため、フラックスを無駄に多く吹き付ける必要がありません。また、強力な噴射力ではんだ不良を軽減できます。自己洗浄機能が搭載しているので目詰まりしにくく、メンテナンス性を向上させている装置です。
②スーパーエコフラクサー
スーパーエコフラクサーには、以下3つの特徴があります。
- 簡単な操作で塗布領域を指定できる
- チェーンコンベア洗浄システム付
- 無駄の無い少量塗布
エコフラクサーの上位モデルで、パレットの写真画像を装置システムに記録し、領域を指定するだけで後は自動でプログラムが完成します。またチェーンコンベアに洗浄システムが搭載されているため、常に清潔な状態を保てます。エコフラクサー同様に超音波式で薄く塗布するため、フラックスを無駄に多く吹き付ける必要がありません。
(3)ノードソン・アドバンスト・テクノロジー株式会社
【特徴】
アメリカ・ヨーロッパ・アジアに多くの拠点があり、サポート体制が充実した企業です。主力製品のディスペンサーやコーティング装置、はんだ付装置なども販売しています。
【所在地】
東京都江東区越中島1丁目1番1号 ヤマタネ深川1号館1階
TEL: 0120-537-555
【製品】
ドロップジェット式のフラクサーで、以下2種類を紹介します。
- Novo460
- Cerno508.1
以下より詳しく解説します。
①Novo460
Novo460には、以下4つの特徴があります。
- バッチ式で少量生産向け
- はんだ付けまでできる高機能
- 工具不要で簡単メンテナンスを実現
- 生産の柔軟性が高い
少量生産向けもバッチ式フラクサー装置で、フラクサー・プリヒート・はんだ付けまで行えます。またメンテナンスに工具が不要で、メンテナンスが容易にできます。生産の動作にシングル・デュアル・パラレルの3種類から選べる柔軟性の高い機種です。
②Cerno508.1
Cerno508.1には、以下3つの特徴があります。
- バッチ式とインライン式の両方に対応
- コンベア幅自動調整
- はんだ付けまでできる高機能
バッチ式とインライン式の両方に対応し、少量から大量生産まで幅広くカバーしたモデルです。搬送コンベアは自動で幅調整が可能で、Novo460同様にフラクサー・プリヒート・はんだ付けまで行えます。
(4)株式会社タムラ製作所
【特徴】
家電や自動車などさまざまな分野で活躍している企業です。おもに電子部品や電子化学材料の製造している企業で、フラクサー装置も取り扱っています。
【所在地】
東京都練馬区東大泉1-19-43
TEL.03-3978-2111
【製品】
タムラ製作所社では、スプレー式のフラクサー「TAF Series」を取り扱っています。
①TAF Series
タムラ製作所社のフラクサーには、以下3つの特徴があります。
- ノズル往復速度を自動設定
- 即生産に対応
- タッチパネル搭載
ノズルの往復速度を基盤搬送速度と基盤幅から自動で計算し、最適な塗布速度を算出してくれます。また運転終了時に自動でノズル洗浄して再立ち上げ時に、フラックスをノズルへ自動供給します。立ち上げ時に供給することで即生産に対応したモデルです。タッチパネルを搭載しており、直感的な操作が可能となっています。
6.フラクサーの導入に関するご相談はFAプロダクツへ
フラクサーには、さまざまな種類があり、導入に悩むケースは少なくありません。せっかく導入しても、うまく使いこなせていない……ということも、しばしば見られます。
もし初めて導入する場合で、しっかりとした準備ができない場合は、自社に適した装置を開発できるメーカに相談するのもひとつです。FAプロダクツでも、豊富な実績をもとに、最適なフラクサー導入のお手伝いができますので、よければご検討ください。
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