接触式変位センサとは?原理や種類、活用事例|主要メーカ15選
変位センサは、主に測定対象物の位置を測定するための計測機器です。
温度計や流量計などの計測機器と違い、私生活ではあまり使用することがないので見慣れないかもしれませんが、実は製造業において、重要な役割を果たしています。変位センサがないと、素材や製品の品質確認が難しくなるほか、製造中の自動制御ができなくなることもあるでしょう。
この記事では、変位センサの中でも、物体に触れて測定する「接触式変位センサ」について、原理や特徴を解説します。
国内の主要メーカも一通り紹介いたしますので、接触式変位センサについて知りたい方、導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
1.接触式変位センサとは
ここでは測定対象となる「変位」について説明した上で、接触式変位センサを解説します。
(1)「変位」とは
変位とは、「物体の位置の変化量」のことです。
「位置が変化する」と聞くと、水平方向の移動やずれをイメージするかもしれませんが、実際には以下のような種類があります。
●高さ
●厚み
●反り
●長さ(サイズ)
●角度
●距離
変位は、物の形が変われば必ず起こります。つまり、意図的にものの形を変える「成形」や「組み立て」のような行為をする場合は、適切に実施できているかを確認する目的で変位を測定します。
一方で、「温度変化による金属の伸縮」や「経年劣化によるズレ」などの意図せず物体の形が変わってしまう場合もあります。これらの場合も、変位を測定することで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
そして、変位を測定する計測機器が「変位センサ」です。
変位センサは「非接触式変位センサ」と「接触式変位センサ」に分類されます。
以下ではそれぞれの変位センサの種類や測定原理を解説します。
(2)非接触式変位センサの種類
非接触式変位センサの測定方法はいくつかあります。
ここでは代表的な種類とその測定原理を解説します。
①渦電流式
渦電流式は、センサに搭載されたコイルから発生した電流が対象物にあたった際に、コイルが受ける影響を測定することで変位を知る方式です。
原理は、コイルに交流電流を流すと「右ねじの法則」の向きで磁束が発生することを利用します。
コイルから発生させた磁束が、測定対象物を通過しようとしたとき、対象物にはこの変化を妨げる方向に磁束を発生させようして渦電流が生じます。
この結果、コイルのインダクタンス(抵抗)にも影響を与えることになり、コイルの電圧の発振振幅が変化します。
測定対象物との距離が近いと小さくなり、測定対象物との距離が離れると大きくなります。
この発振振幅を数値として検出することによって、測定対象物の変位を計測します。
測定対象物は、金属などの磁界を受けて電流を発生させる材質である必要があります。
②光学式(レーザ式)
光もしくはレーザを用いた計測手法です。
光学式には「反射型」と「透過型」があります。
●反射型:投光部より光を投げ、受光位置や、光が戻ってくるまでの時間を検出することで対象物の位置情報を検出する
●透過型:透過させた光から対象物を判別する
ここでは、反射型の原理のひとつである「三角測量方式」について説明します。
三角測量方式は、三角測量の原理で対象物までの距離を測定する方法で、「光源」「受光素子」「測定対象物」が三角点です。
受光素子には、セルごとに受光量を測定できるリニアイメージセンサ(Linear Image Sensor)や、制度は劣りますが内部回路が簡素化できる位置検出素子(PSD : Position Sensitive Device)を利用したものがあります。
反射型には三角測量方式の他にも、TOF方式や高精度CMOS型などがあり、透過型にはCCD型などがあります。
③超音波式
超音波を用いた方式です。
超音波発生装置より発信された超音波が、測定対象物に反射し、受波器で受信します。
超音波を発信してから受信するまでの時間から距離を算出し、対象物の変位を測定します。
(3)接触式変位センサの測定原理
接触式変位センサは、測定対象物にセンサを直接接触させることで変位量を計測します。
非接触式と比較すると周囲環境による影響が少なく、精度が高い計測方式です。
接触式変位センサの測定原理はいくつかありますが、ここではその中でも最も一般的な「LVDT(差動トランス)方式」について解説します。
LVDT(差動トランス)方式は、測定対象物の形状変化を、センサに内蔵されたコアの高さ変化に変換して検出します。
接触式変位センサは、内部に上下に動くコアとコア周囲のコイルがあります。
コアの先端に取り付けられたセンサヘッドが対象物に接触することで、コアが上下にスライドします。
センサ内のコア周囲のコイルには常時交流電圧がかけられており、磁界が発生しています。
その中でコアがスライドすると、前後のコイルでインピーダンスが変化します。
インピーダンス変化量は、コアの移動量つまり測定対象物の形状に対応しているため、作動電圧を検出することで、変位量を測定することができます。
LVDT(差動トランス)方式以外では、磁気検出方式(スケール方式)もあります。
その他、電気信号として得られない「ダイヤルゲージ」も接触式変位センサの一種で、製品の抜き取り検査や他の変位センサの校正に使用されています。
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また、以下の動画も参考にしてください。
引用:接触式デジタル変位センサ HG-S SERIES 新提案、堅牢スリムボディ。 – パナソニック
2.接触式変位センサのメリットと注意点
接触式変位センサを導入を検討する場合、メリットと注意点の双方を理解しておくことが大切です。
主なメリット・注意が必要な点について以下にまとめました。
(1)メリット
①周囲環境の影響を受けにくい
非接触式であれば、かならずセンサと測定対象物との間に空間ができてしまいます。
この空間に、湯気や煙が入り込んでしまう、もしくはほこりや油などの汚れが付着していると、測定結果に影響を与えてしまいます。
その点、接触式であれば周囲の環境が劣悪であっても、汚れなどの影響をほぼ受けることなく測定できます。
また、切削油などがセンサにかかる環境でも使用できるように、「エアパージ仕様」の接触式変位センサを開発しているメーカもあります。
導入を検討される現場の状況によっては、大きなメリットとなるでしょう。
②精度が良い
接触式変位センサでは、0.1μm〜0.5μmの分解能で測定可能で、繰り返し精度は0.5μm〜2.0μmです。
レーザ式変位計や、金属製の測定対象にしか採用できない渦電流式変位計と同程度の精度を持つため、使用条件や測定対象の特徴によっては最適な選択肢になりえます。
(2)注意が必要な点
①測定対象物がかたい固体に限られる
接触式変位センサでは、バネによって押し付けているセンサヘッドを押し返すことができる物体である必要があります。
そのため、いくら「変位」であっても、液体の液面変化を測定することはできません。また、固体の中でも、ある程度の強度が必要となるでしょう。
ただし、メーカによっては「低測定力タイプ」の型式もラインナップもあります。測定対象物の物性から、選定が可能かどうか確認しましょう。
②接触による傷のリスクがある
傷のつきにくいセンサヘッドを採用したとしても、接触がある以上は傷のリスクは避けられません。医薬品や電機部品自体の検査など、微小な傷が製品の品質に大きく影響を与えるような物体を扱う場合には、十分な検討が必要です。
③応答スピードが速くない
接触式変位センサは、一般的に非接触式と比較して応答速度が遅いという特徴があります。
そのため、ある程度のスピードで自動稼働する設備製造ラインにおいて、運送物の位置情報をフィードバックし制御の微調整を行うというような使い方はできません。ただし、電気信号として出力できるため、工程間に十分な時間の取れる検査工程などでは、製造ラインの制御用計測機器としての利用も可能です。
3.接触式変位センサの活用事例
実際に、どのような場面で接触式変位センサが活用されているのか、事例をいくつか紹介します。
導入を検討される場合の参考にしてください。
(1)素材の厚み測定
「厚み」を測定する場合の活用例です。
圧力容器や建設部材などは、素材となる鉄板やステンレス板の厚みに明確な規定があり、これらの素材メーカでは、品質確認の一つとして接触式変位センサで板厚を管理しています。
また、コーティングなどの表面加工の厚み測定にも使用され、設計通りの製作がなされていることを確認します。
(2)精密機器の検査
「平坦度」を測定する場合の活用例です。
複数の変位センサを使用して各所の高さを検出・比較することで、測定対象物の平坦度を測定します。
厳密な製作管理が必要となるスマートフォンや電子機器の基板、液晶パネルなどの精密機器の製造における平坦度測定に使用されています。
(3)設備の再組付け確認
「位置」を測定する場合の活用例です。
ほとんどの製造設備・運搬設備は、定期的にオーバーホールと呼ばれる分解点検・分解整備を実施する必要があります。
点検後は再組付けすることになりますが、その際、何も見ずに実施する場合、分解前と全く同じ寸法で全く同じ形状に復元することは非常に困難です。そこで、精度よく位置を測定できる接触式変位センサを用いることで、正確に再組付けでき、もし若干ずれていてもズレを定量的に測定できるため、他の部品や前後の設備で微調整が可能になります。
既定の長さであれば校正されたブロックゲージを準備するという手法もありますが、一つの長さに一つのブロックゲージが必要となるため、複数の測定長で確認が必要な場合は変位センサの活用が便利でしょう。
(4)モータ軸の振れ検査
「振れ(ブレ)」を測定する場合の活用例です。
厚みや高さを測定する原理で、回転する軸のブレを検出することができます。
例えば、モータで回転するポンプの軸や、混合タンクの撹拌機などです。
これらの出荷時の検査にももちろん使用できますが、継続して使用していく中で、取り付け状態の不良や経年劣化によって、軸振れが大きくなってしまうことがあります。設備を使用するユーザ側であっても、定期的な検査が重要であり、その検査において、接触式変位センサが活用できます。
稼働の負荷が高く、定期的に保全が発生するような設備の場合は、常設で振れの変化をモニタリングし、予防保全に役立てることもできるでしょう。
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4.接触式変位センサの主要メーカ15選
ここでは、接触式変位センサの主要メーカをご紹介します。
株式会社キーエンス | 【特徴】1974年に設立され、付加価値の創造に注力してきた企業です。新商品の約70%が世界初、業界初の商品となっている、グローバルに活躍するメーカです。 【所在地】〒533-8555 大阪市東淀川区東中島1-3-14 TEL:06-6379-1111 FAX:06-6379-2222 |
三菱電機株式会社 |
【特徴】三菱グループの大手総合電機メーカです。家電や発電機、半導体などセンサ以外の分野も広く展開する、広い技術を持つ企業です。 【所在地】〒100-8310 東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビル |
パナソニック株式会社 |
【特徴】日本の大手電機メーカです。エアコンや洗濯機などの家電、照明・配線器具などセンサ以外の分野でも活躍する企業です。 【所在地】〒105-8301 東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル |
オムロン株式会社 |
【特徴】センサ技術を核としたオートメーションのリーディングカンパニーとして、工場の自動化を中心とした制御機器、電子部品が強みです。駅の自動改札機などの社会システムやヘルスケア製品なども展開し、世界130ヶ国以上で商品・サービスを提供しています。 【所在地】〒600-8530 京都市下京区塩小路通堀川東入 |
シチズンファインデバイス株式会社 |
【特徴】自動車用の精密切削加工部品や水晶振動子、計測機器などを扱うメーカです。精密切削加工技術、薄膜技術を強みとし、自社開発も行っております。 【所在地】山梨県南都留郡富士河口湖町船津6663-2 |
株式会社東精エンジニアリング |
【特徴】自動車や家電用の精密部品製造ライン向けの自動計測機器の開発・製造を行なうメーカです。欧米、アジアに広く展開しているグローバル企業です。 【所在地】〒300-0006 茨城県土浦市東中貫町4-6 TEL 029-830-1882 FAX 029-832-4053 |
ソーラトロンメトロロジー |
【特徴】1946年創業で試験および機械制御用の精密センサーの設計、製造を専門とするグローバルなセンサーメーカです。接触式変位センサー、非接触センサー、光学リニアエンコーダーおよび関連機器に強みをもちます。 【所在地】東京都港区芝大門1-1-30 芝NBFタワー |
株式会社リベックス |
【特徴】小型の変位センサや耐環境型リニアセンサなど各種センサの開発・販売を行なう企業です。納入先は自動車メーカからアカデミアまで幅広く、研究開発から生産設備まで、広い分野のニーズに対応できるセンサを扱っております。 【所在地】〒600-8864 京都市下京区七条御所ノ内南町83番地 TEL 075-325-2888 FAX 075-325-2887 |
株式会社ナノシード |
【特徴】最先端のステレオカメラ、光ポンピング磁力計などのカメラ・センサをグローバルに扱う専門商社です。 【所在地】〒182-0026 東京都調布市小島町1-35-3 レジダンスオノ 501 |
株式会社センテック |
【特徴】昭和56年12月に省力化機器の一翼を担う各種変位センサの製造販売を目的として発足され、検出器・測定器等の開発やマイクロエプシロン社の製品を国内にて提供している会社です。 【所在地】〒532-0011 大阪市淀川区西中島4丁目4番24号 TEL.06-6304-8858(代) FAX.06-6302-0700 |
オプテックス・エフエー株式会社 |
【特徴】オプテックスグループのIA(インダストリアルオートメーション)事業を担い、製造現場の自動化・品質管理に貢献するFAセンサや画像処理用LED照明、非接触温度計を開発・販売している企業です。 【所在地】〒600-8815 京都市下京区中堂寺粟田町91 京都リサーチパーク9号館 TEL 075-325-2930 FAX 075-325-2931 |
新光電機株式会社 |
【特徴】1957年から変位センサの開発・製造をしているメーカ。センサと関連する回路技術はトップレベルで、インプロセスでの計測機器に強みを持っています。 【所在地】〒651-2271 神戸市西区高塚台3丁目1番55号 TEL 078-992-0671 FAX 078-992-0506 |
三協インタナショナル株式会社 |
【特徴】1962年に海外製リードスイッチ、リレーの専門商社として創業以来、原子力を含む発電、航空宇宙開発、鉄道車両、輸送機開発における計測技術が強みです。半導体製造、通信機器、各種産業用コンポーネントの製造メーカでもあります。 【所在地】〒103-0003 東京都中央区日本橋横山町9-14 TEL 03-3662-8100(代表)FAX 03-3662-8050 |
株式会社マコメ研究所 |
【特徴】磁気検出の技術を持ち独自の磁気検出素子の研究開発と、磁気を応用した各種製品開発を行なうメーカ。モータースポーツ向けセンサーや、建設機械向けの傾斜計、科学分野では超高精度計測に用いる磁気センサーも得意とし幅広く活躍しています。 【所在地】〒399-4601 長野県上伊那郡箕輪町大字中箕輪10800番地11 TEL 0265-79-8154 FAX 0265-79-8519 |
株式会社ミツトヨ |
【特徴】1934年に操業しており、業界で最も多い5,500種類以上の商品を取り扱う世界有数の精密測定機器の総合メーカです。また、JCSS校正認定事業者でもあります。 【所在地】〒213-8533 神奈川県川崎市高津区坂戸1-20-1 |
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