【図解】超音波検査装置とは?具体例やX線との違い+工場5選
目次
1.はじめに
切ったり割ったりせずにワークの内部の状況を知る検査方法を、非破壊検査といいます。非破壊検査の種類は、X線検査、磁粉探傷検査そして超音波検査です。
ワークの表面にある不具合は、目視やカメラ、さらに複雑なものは複数台のカメラを使い3Dで映し出すなどの高度な技術を用いて検査が可能です。
しかし、内部の不具合となると、それを目視で見るには切断するしかないでしょう。
それを切断せずに検査可能とした技術が、非破壊検査の技術です。先に述べたように非破壊検査にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴や利点、欠点があります。
例えばX線検査は内部をよく観察できますが、X線の資格が必要だったり、人に害を与えるリスクがあります。しかし、超音波を使えば、資格も必要なく人に害も与えません。
このように、検査装置の特徴をよく理解して、検査する対象に応じて最も良い検査装置を選ぶことが、製造現場で働く人にとってやりがいのあるところではないでしょうか。
ここでは超音波の検査装置について解説していきます。
また、超音波検査装置をラインに追加して、
・省力化、省人化してコストダウンしたい
・生産性アップして売上を上げたい
・人的ミスを減らして品質価値を高めたい
・どのメーカーの検査装置を使えば効率的かわからない
場合は、関東最大級のロボットSIer、FAプロダクツまでお問い合わせください。
超音波検査装置の導入が得意な技術者が、最適なご提案をさせていただきます。
2.超音波とは?
人が耳で聞くことができる音の周波数は、20Hzから20kHzです。超音波は、20kHzを超えた周波数の音です。
図1に超音波の周波数と医療や産業分野での応用について紹介します。
3.超音波を使った検査機器とは?
(1) 超音波を使った計測について
超音波を使った計測について、図2でイメージを紹介します。
超音波を出力する機器を探触子といいます。電圧を掛けることで振動子が振動子、超音波として発信されます。図2-A(上の図の左側)は、2つの材質層が重なるワークの超音波検査のイメージ図です。
探触子から発信された超音波は、材質1表面で一部が反射し、残りがワーク材質1の中を進みます。反射した超音波は受信波として受け取られ、その時間や強さから探触子とワーク材質1の表面との距離が分かります。
同様にして、ワーク材質2からも入射、反射が繰り返され、これらの音波の状況から、ワークの形状が分かります。
図2-B(上の図の右側)は、2つの材質の境界に空隙があり、それを検出するイメージ図です。
超音波は通過する媒質が変わると、一部が反射します。反射する強さは変化する媒体で異なります。これが空気の場合は、ほぼ全部が反射してしまいます。
このため、空隙からの反射量が材質2からの反射量が異なることから、空隙の存在が分かります。
図2をよく見ると、探触子からワークに至るまでが水色となっています。これは水の中にワークを置いているというイメージからです。これが空気層では、境界で全反射してしまうため、検査ができません。
そのため、超音波検査では水や油を介して測定することが必要です。健康診断で超音波検査をするときに、体にゼリーを塗りますが、これも探触子と体の間に空気を介在させないための工夫です。
(2) 超音波検査の得意とするものとは?
非破壊検査では、代表的なものに、X線による検査があります。X線と超音波による検査の違いを図3で紹介しましょう。
X線の検査は、X線の透過するところに異なる物質(異物)があると、X線が吸収され、透過量が変わり異物を検出できます。
しかし、空気層であるとX線は吸収されないため透過量が変わらず、空隙層の検出ができません。
したがって、超音波検査がX線検査に比べて優位点の一つは、空隙や傷を検出できるという点です。
⇒【図解】X線検査装置とは?原理や価格・シェア上位メーカー8選
(3) 超音波の応用例
次に超音波を使って計測・検査する応用の例を表1で紹介します。
表1 超音波で計測・検査する例
分野 | 対称 | 超音波応用技術 |
計測 | 距離 | タンク液面計、厚さ計、波高計、軸力計、三次元計測 |
速度 | 車両速度計、風向風速計、潮流計、ドップラー速度計 | |
比重 | 液体比重計 | |
濃度 | 濃度計 | |
流量 | 配管内流量計測、気体流量計、流速計、開水路流量計 | |
検知 | 全分野 | コンベア製品検出、ドア開閉検知、障害物検知 |
検査 | 全分野 | 金属内部の傷検出、金属内部構造検出、電子部品傷検出、材料境界検出、材料観察、地中埋設物検出、非破壊検査 |
その他 | 研究 | 超音波顕微鏡 |
表1で紹介した例は、主に産業で使われる超音波利用のほんの一部の例です。他にも医療分野で高度な技術が使われています。
また、超音波を使った洗浄、切断、接着などの分野でも、いろいろな応用がなされています。
4.超音波検査装置の具体例
超音波を使って検査する事例を、図を使って紹介します。
(1) 垂直キズの検査
図4は、ワークの内部にできたキズについて検査するイメージ図です。
図4のAでは、配管の肉厚部にある垂直方向の亀裂(縦傷)の検出を紹介しています。水平にできた亀裂は容易に検出できますが、縦方向の亀裂は、その大きさが検出しにくいという問題があります。
そのために、超音波を斜めに入れることで横波に変換できて、亀裂が見つけられます。
図4のBでは、物体の内部に存在する縦傷の検出を紹介しています。超音波をある角度で入射すると、ワーク内部で材質に応じた角度で屈折します。屈折した入射波からの反射波を測定し、内部のキズを検出する方式です。
(2) 配管の厚さの検査
図5では配管の厚さを検査するイメージを紹介します。
図5から入射した超音波は、反射を繰り返すことで、時間間隔を測定します。配管の肉厚は、配管材質に応じた音速と時間間隔との演算で求められます。
(3) 流量の検査
図6は、配管内を流れる流体の流量を検査するイメージ図です。
超音波を用いた流量の測定は、流体の速度を測定することで求められます。ある角度で入射した超音波と反射波入力と反射波の時間差と2つの探触子の距離から、流体の流速を求めます。
しかし、流体中に気泡などがあると、測定ができません。そのため、気泡があるときに計測する方法が、ドップラ式です。
この方法は、液体中の気泡に当たって周波数が流速によって変化するため、2つの周波数変化から流速を求めます。
使用する水に気泡が多い半導体製造では重宝する手法です。
(4) 溶接線の検査
図7では、溶接線のブローホールや割れなどの不具合を検査するイメージを紹介します。
溶接の不具合は数多くありますが、ブローホールや溶け込み不良、割れなどは超音波を使って検出できます。
図7はフェーズドアレイという振動子を使っていますが、この振動子は複数の振動子を連ねた振動子です。各振動子から発する超音波をコントロールすることで、溶接欠陥の様相全体を描くことができます。
(5) 半導体の検査
図8は、半導体のクラックやボイドなどの不具合を検査するイメージ図です。
この図で紹介する半導体検査は、スキャン装置を使って不具合を検査するイメージです。スキャン装置は、探触子の位置をx,y方向に動かし、半導体全体に超音波を当て、全体をモニターに写し出します。
5.超音波検査装置のおすすめメーカー5選
① 株式会社FAプロダクツ
【特徴】
FAプロダクツは年間200台もの実績がある関東最大級のロボットシステムインテグレーターです。一貫生産体制をとっており、設計から製造までをワンストップで対応。費用・時間にムダなく最適化を行うことができます。
また、お打ち合わせから原則1週間以内に「お見積りとポンチ絵」をご送付。
【ポンチ絵とお見積りのサンプル】
テキストやお電話だけでは伝わりづらいゴールイメージを共有し、スピード感を持った対応を心がけています。
また、同社の「画処ラボ」では、画像処理を用いた外観検査装置の導入に特化し、ご相談を受け付けています。従来は目視での官能検査に頼らざるを得なかった工程の自動化をご検討の際などにご活用ください。
業界最大級の画像処理検証施設を開設!
「画処ラボ」ではルールベースやAIの画像処理を専門エンジニアが検証。ご相談から装置制作まで一貫対応します。
【所在地】
茨城県土浦市卸町2丁目13-3
TEL.050-1743-0310(代表)
FAX.050-3156-2692(代表)
https://jss1.jp/
【営業品目】
- 産業用ロボット
- 生産設備合理化・省力化の設計及び製作
- 基板電気チェッカーや貼合・折曲など
- 治具の設計・製作
【実績】
NM社(電子部品の製造販売)、HS製作所(情報通信・社会産業・電子装置・建設機械・高機能材料・生活の各システム製造販売)、TT社(ショッピングセンターなどリテール事業)、SM社(自動制御機器の製造・販売)、OR社(自動車安全システムの製造販売)
② 菱電湘南エレクトロニクス株式会社
http://www.rsec.co.jp/index.html
写真は、菱電湘南エレクトロニクス社製 汎用探傷機UI-27です。
【所在地】
神奈川県鎌倉市山崎25番地
TEL:0467-44-1072
【営業品目】
産業用電子機器、電気機械器具の設計・製造及び販売
人工衛星、電波機器の設計・製造・組立・試験、生産支援設備の設計・製造・販売・据付
ETCシステム用機器、監視システム機器の設計、製造、試験
自動超音波探傷装置及び汎用超音波探傷器の設計、製造及び販売
通信用放送用アンテナ、移動体基地局用通信機器屋外収容架の設計・製造・販売・据付
【特徴】
菱電湘南エレクトロニクス社は、1970年に菱電電子機工として創業し、機工関連を得意としていました。2004年に現社名となり総合エレクトロニクスメーカーとなり、宇宙開発や防衛機器の分野まで手掛けられる技術力を持ちました。
菱電湘南エレクトロニクスが製造する超音波検査機器は、自動車部品製造・橋梁・石油化学プラント・火力発電・鉄道などで広く使われ、社会インフラの安心・安全に広く貢献できていることが特徴です。
③ 本多電子株式会社
写真は、本多電子社製 超音波界面レベル計HL2000です。
【所在地】
愛知県豊橋市大岩町小山塚20番地
TEL.代表 0532-41-2511
【営業品目】
マリン事業部:GPSプロッター魚探、魚群探知機、デジタル魚探、シラス漁向け魚探、マルチスキャン、バスフィッシングモデル、小型レーダー、ポータブル測深機
産業機器事業部:超音波洗浄機(ラボ・一般洗浄用、産業用、半導体産業用)、超音波計測機器(レベル計、界面レベル計、測深機、液体用流量計)、超音波切断、超音波溶着
メディカル事業部:超音波画像診断装置、動物用超音波画像診断装置、プローブ(人体用)、プローブ(動物用)
商品開発事業部:超音波霧化器、検査装置、超音波工具
セラミックス事業部:圧電セラミックス、超音波センサ、ボルト締めランジュバン型振動子、無鉛圧電セラミックス製品
【特徴】
本多電子社は、1956年に創業し、世界初のトランジスタポータブル魚群探知機の事業を始めました。その後、常に超音波による新しい価値を実現を求め、現在に至っています。
本多電子社の超音波検査機器による異なる媒体の境界面検査の特徴は、センサ発信面より0.5〜10mまで幅広い距離を測定でき、1台で2箇所の計測ができることです。
さらに、透視度や昼夜の影響されずに計測でき、上澄水の水質変化や堆積汚泥濃度の変化を考慮した演算・計測を行い、設備状態による設定値変更と再調整が不要です。
④ 株式会社KJTD
https://www.kjtd.co.jp/index.html
写真は、KJTD社製 厚板用全自動超音波探傷装置です。
【所在地】
東京都豊島区東池袋3丁目1番1号 サンシャイン60 45階
TEL:(03)5957-7367
【営業品目】
超音波探傷装置(自動装置およびポータブル型)の設計・製作・販売
超音波探触子及びフェーズドアレイ超音波探触子の販売
渦流、漏洩磁束検査装置の販売
ベルギーSDT社製超音波漏れ試験器の販売
FLIR SYSTEMS Inc.製赤外線カメラの販売
【特徴】
KJTD社は、1971年にドイツのクラウトクレーマー社、超音波探傷器メーカー、の総代理店として事業を開始しています。
創業から超音波のカスタム化・独自製品開発と製造と事業を進め、非破壊検査機器メーカーへと社会に貢献できる事業へと、常に挑戦し続けている会社です。
KJTD社の厚板用全自動超音波探傷装置は、直進搬送される厚板鋼材の上面から、二分割探触子を使い全面で垂直探傷を行います。
さらに、オンライン自動検査に対応したマルチチャンネル超音波探傷器を使用し、専用テストピースで感度調整を全自動で行うことが特徴です。
⑤ 株式会社日立パワーソリューションズ(社会・産業ソリューション)
http://www.hitachi-power-solutions.com/product-site/finesat/index.html
写真は、日立パワーソリューションズ社製 超音波映像装置FineSAT Ⅴです。
【所在地】
茨城県日立市幸町三丁目2番2号
電話 (0294)22-7111
【営業品目】
計測・検査システム
産業用X線検査装置、産業プラント向けIoT対応データ計測・保存&解析システム、画像処理システム・ソリューション、超音波映像装置・検査装置
生産設備・機器
セラミックス
マグネトロン
【特徴】
日立パワーソリューションズ社の超音波映像装置・検査装置部門は、社会・産業ソリューションに属し、超音波関連の技術を開発・製造している部門です。
同社の事業部門は、幅広い事業に携わっていて、超音波関連の技術を開発・製造も、超音波だけでなくいろいろな技術を取り入れ、統合できるという特徴があります。
日立パワーソリューションズ社は、半導体・電子部品内部の構造や欠陥を超音波で微細に検出し、画像化するFineSAT シリーズ超音波検査装置を製造しています。
この装置の特徴は、4億点から最大20億点の測定データを処理し、8インチのウェーハを10 µm以下の微小ピッチで画像化できることです。
さらに、スキャナの走査速度を向上させ、新設計の高剛性フレームで検査装置の振動を抑制し、高速走査で鮮明な画像が得られます。
6.超音波検査装置の導入のご相談はFAプロダクツへ
超音波の技術は、計測・検査・加工などあらゆる業種分野に広がり、その裾野がとても広い技術です。超音波の技術の発展は、コンピュータ技術が欠かせない分野の一つです。
昨今の飛躍的に発展を遂げている電子機器の技術に応じ、超音波の世界はさらに広いものになっています。それは、超音波技術の恩恵を受けている私たちにとって、身の回りの安全・安心が増しているということにつながっているということです。
これは、超音波応用技術が常に必要とされ、いろいろな要望と改善が常に求められているということにほかなりません。そのために、超音波検査装置を製造するメーカー、それを生産に活かすメーカーに対し、変更や改善が常に求められていることです。
常に困ったことを抱える状況ということは、言い換えれば常に良いものが生まれているということでしょう。
生産設備の生産性を上げるために、超音波検査装置に対して困ったことや改善して欲しいことがあれば、遠慮なく関係者に相談し、改善を図ることが重要ではないでしょうか。
各種検査装置の導入をご検討の際は、お気軽にFAプロダクツまでご相談ください。
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