超音波カッターとは?なぜ切れる?原理や注意点、切れないものを解説
超音波カッターとは、超音波によって振動する刃物で対象物を切断するカッターです。やわらかくてもろいものから硬いものまで、あらゆるものの切断においてキレイな形状・断面を保った切断ができます。
本記事では、超音波カッターの原理や選び方について解説します。超音波カッターについて知りたい方は、最後までご覧ください。
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目次
1.超音波カッターとは?
超音波カッターとは、非常に細かに振動する刃物で対象物を切断する工具です。超音波で刃物に振動を伝えることで、より少ない抵抗で対象物を切断できます。
毎秒2万~4万回という高速の振動により、少ない摩擦係数と摩擦熱を利用して、手動ではきれいに切断することが難しいケーキやパンなどのやわらかく崩れやすいものや、プラモデルなどの樹脂やゴム、厚紙、不織布などを安全に切断します。
超音波カッターについては、以下の動画も参考にしてください。
引用:【気になる工具】超音波カッターって実際どうなの? 3Dプリンター出力品やサポート材を楽々カットしたい!【ZO-41Ⅱ】
2.なぜ切れる?超音波カッターの原理
超音波カッターは、超音波で刃物を振動させて対象物を切断しています。
(1)超音波とは
超音波カッターに使われる「超音波」とは、人間の耳では聞こえない高周波な音波のこと。
音波とは、物体が振動することで空気や水などに伝わる波で、人はこの波を鼓膜で受け、音を認識します。人間の耳で聞こえる周波数は20Hz〜30kHz程度とされていますが、おおむねそれ以上の音波が超音波と呼ばれます。(周波数に関係なく、人の耳で聴きとれなければ「超音波」と呼ばれることもあります)
※周波数とは※ |
超音波カッターでは、この高周波振動を刃先に伝えることで、非常に高速で素材を切断することが可能です。一般的な超音波カッターは約20kHzの周波数を使用しますが、さらに高性能なものは40kHz程度の周波数を持っています。
また、超音波はたとえば産業分野では超音波洗浄機や、医療分野では診断装置(エコー)など、カッター以外にも多くの分野に活用されています。
引用:https://www.kaijo.co.jp/sansen/technical/usonic.html
【参考記事】超音波機器については以下の記事も参考にしてください。
(2)超音波カッターの原理
超音波カッターは、発振器・振動子・ホーン(刃物)から成ります。
まず発振器によって電力が超音波電力に変換され、超音波電力は振動子の動きによって超音波振動を発生させます。そして振動がホーンに伝わることで対象物に負荷を与えずに切断できます。
引用:https://www.nalex.co.jp/technology/tech-application/about-cutter/
超音波の発生には、素子に交流電圧をかけて繰り返し歪みを生じさせることで振動を発生させる「電圧効果」が利用されています。
また、ホーンに伝わる超音波振動は毎秒2万回〜4万回、振動振幅は5~30μmほどで、音として聞き取れないことはもちろん、見た目にも本当に振動しているかわからないほどの振動の細かさです。非常に細かい振動によって、包丁やのこぎりなど手動で切断するときと違って力を加える必要もないため、やわらかいものや通常の切断方法では崩れやすいものの切断まで可能にしています。
3.超音波カッターで切れるもの・切れないもの
超音波カッターには、切断できるものとできないものがあります。
(1)超音波カッターで切れるもの
超音波カッターは、柔らかい食品や表面がもろくて切断時に崩れやすいもの、粘り気があるもの、硬さが均一でないもの、全体的に硬く手動でカットすると表面が汚くなりがちなゴムやプラスチック、薄い金属板など、形を崩すことなく切断できるものは多岐に渡ります。また、これらの複合材料や発泡材料なども切断可能です。
以下は超音波カッターで切断可能な素材例です。
引用:https://www.monotaro.com/note/cocomite/447_2/
(2)超音波カッターで切れないもの
超音波カッターで切断できないもの・向かないものは、たとえば以下のとおりです。
・5mm以上の厚さがある樹脂 |
超音波の振動を刃物に伝えて切断する超音波カッターは、振動に弱いものや共振してしまうものの切断は難しいです。また、あまりにも分厚いもの・薄いものの切断にも向いていません。
4.超音波カッターを使用する際の注意点
(1)保護具を着用して安全に利用する
超音波カッターは便利な電動工具ですが、他の切断工具と比較して非常によく切れるため使用時の安全対策が重要です。
けがを防ぐために、保護具を必ず着用しましょう。特に、切れ端が飛び散る可能性があるので、保護メガネをかけることが推奨されます。また、手を守るために耐切創手袋を使用し、体を保護するためのエプロンも着用することが望ましいです。
使用中に、滑ったり転んだりして手や足、周囲の人などを傷つけることが無いよう、作業姿勢や作業環境などにも十分に注意しましょう。
(2)刃固定具の締め付けに注意
超音波カッターを使用する際は、刃固定具が緩んでいないか注意しましょう。
固定が不十分だと、切れ味が悪くなるだけでなく、刃先に過度の負担がかかり、故障や発熱の原因となります。また、刃の飛び出しによる事故の危険性もあります。
使用中に固定ビスが緩むことがあるので、こまめに締め直しましょう。汚れや変形が見られた場合は、すぐに新しい固定具に交換してください。
(3)定期的にメンテナンスをする
超音波カッターを安全かつ効率的に使用するためには、定期的なメンテナンスが重要です。
刃を固定する部分に汚れが溜まると、振動が伝わりにくくなり、切断性能が低下するため、清掃を欠かさず行いましょう。
また、刃や刃固定具などの消耗品は、汚れや摩耗が見られたらすぐに交換する必要があります。特に、刃が変形したり汚れた場合は速やかに交換し、ホーン内部も綿棒などで清掃することが推奨されます。
5.超音波カッターの選び方
最後に、超音波カッターの選び方を解説します。
下記で解説する内容を参考に、自社にあった超音波カッターを選びましょう。
(1)用途で選ぶ
超音波カッターは、主に趣味などで使われる家庭用と、業務用に大別されます。
①家庭用(趣味用)
家庭用(趣味用)の超音波カッターは、プラモデルなどの趣味用に使われることが多いです。小型で持ち運びしやすい特徴があります。価格も比較的安く、趣味用として手軽に使いたいという方におすすめです。
②業務用
業務用の超音波カッターは、家庭用よりも大型で切断するパワーも強いのが特徴です。連続で稼働できる時間も長いため、長時間利用したい方におすすめ。価格は家庭用よりも高価で10万円〜100万円と性能によって幅広いため、自社にあった性能を搭載しているものを選びましょう。
(2)スイッチの種類で選ぶ
刃物を振動させるためのスイッチには、手元スイッチとフットスイッチがあります。
引用:https://www.monotaro.com/note/cocomite/447_2/
①手元スイッチ
手元スイッチは、ハンドピースと呼ばれる刃物が搭載されている箇所にスイッチがあります。スイッチを押している間だけ刃物が振動するため、物を切断したい時のみ稼働させられる仕組みです。稼働させるにはスイッチを押し続ける必要があるため、長時間の稼働には向いていません。
②フットスイッチ
フットスイッチとは、足もとのペダルでスイッチを押すタイプのものです。足でスイッチを踏むため、空いた両手で効率よく作業ができます。
(3)安全性の高さで選ぶ
手を切る危険性のある超音波カッターにおいて、安全性の高さは重要です。例えば、スイッチを手で押している間だけ稼働する手元スイッチ仕様や、自動停止機能を搭載している仕様などです。
手元スイッチ仕様はスイッチを手で押している間だけ稼働するため、スイッチを離せば手を切る心配はありません。ただし、作業する間は手でスイッチを押し続けなければいけないため、作業効率が下がるデメリットも考慮しましょう。
(4)TAF回路を搭載しているかで選ぶ
超音波カッターは、TAF回路を搭載しているかで選びましょう。TAF回路とは、切断する素材によって振動の強弱を調整してくれるシステムです。切断する素材によっては、熱で溶けやすいものや断面が汚くなるものもあります。
TAF回路が搭載しているものであれば、素材によって振動の強弱を調整してくれるので、素材の変形を防ぎキレイな断面に仕上げられます。
(5)替え刃の購入がしやすいものを選ぶ
超音波カッターは、替え刃の購入がしやすいものを選びましょう。使い続けていれば、当然刃こぼれなどの劣化につながります。超音波カッターの仕様によって替え刃は変わるため、あらかじめ替え刃がセットでついているものや、手入れがしやすいカッターを選びましょう。
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