【図解】半導体のマスク検査装置とは?検査の内容や例、おすすめの工場5選
目次
1.はじめに
私たちの日常生活になくてはならないものが、半導体を組み込んだ機器や情報を見るディスプレイです。半導体はウェーハ上に描いた回路をチップとして切り出して、コンピュータなどに組み込まれます。
ウェーハ上に描く回路は、コンピュータで設計した回路を鉛筆で書く、というわけにはいきません。ウェーハ上に感光物を貼り付け、影絵のように回路を写し出して、その影以外の部分を切り出すことで、回路チップが得られます。
この影絵のように回路を写し出す立役者が、マスクです。もしマスクがほんのわずかでも設計と違ってしまうと、ウェーハから作られる回路チップは設計と違ってしまい、これを使った機器は誤作動を起こします。
このような問題が起きないようにマスクの信頼を確保するものが、このコラムで扱うマスク検査装置です。
また、マスク検査装置をラインに導入して、
・省力化、省人化してコストダウンしたい
・生産性アップして売上を上げたい
・人的ミスを減らして品質価値を高めたい
・どのメーカーのマスク検査装置を使えば効率的かわからない
場合は、関東最大級のロボットSIer、FAプロダクツまでお問い合わせください。
マスク検査装置の導入が得意な技術者が、最適なご提案をさせていただきます。
また、外観検査などの自動化をご検討の際は、ルール型の画像処理からAIによる画像処理までワンストップで対応する「画処ラボ」もご活用ください。
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⇒【図解】半導体検査装置とは?ウェーハ検査やおすすめの工場5選
2.マスクとは
マスクを用いて製造するものは、次のようなものです。
- ウェーハからの半導体チップ
- FPD(フラットディスプレイ)の回路
- 電子基板の回路
- マイクロマシンの回路
このマスクは一般的にフォトマスクと呼ばれていて、ここで挙げた製造品の回路は、同じような方法で製作されます。
このコラムでは、半導体のフォトマスクについて紹介します。
図1は半導体チップを製造する工程を表しています。
フォトマスクに形成された回路に光を当て、ウェーハ上の酸化膜を露光して半導体回路を形成します。
ウェーハ上に同じ回路が作られ、それを一つずつ切り出した(ダイシング)チップをパケージに設置しワイヤリングすることで、半導体パッケージが完成します。
図2では、フォトマスクの製造工程を紹介します。
図2のイメージ図のように、フォトマスク製作は次の工程で進められます。
1) マスタパターン生成工程
フォトマスクの製造では、初めに回路のパターンをマスク上に作り上げることから始まります。回路パターンは、回路設計からマスタのパターンが作られます。
2) マスク基板製作工程
フォトマスクは、ガラス基板上にクロム膜が張られたものです。基材には半導体ではガラス、FPDではフィルムが用いられるように、製造するマスクの種類ごとに異なる素材が使われます。
3) パターン形成工程
フォトマスクに光で回路パターンを露光します。露光された部分とされない部分を切り分けて、マスク上にパターンが形成されます。
4) 検査・修正工程
この工程は、マスクに形成された回路パターンが正常かどうかの検査です。さらに、不具合点が見つかったときには、修正を行います。これらの動作を行うものが、マスク検査装置とマスク修正装置です。
5) 洗浄工程
検査と修正を行って正常化されたフォトマスクは、洗浄されて製品として出荷されます。
3.マスク検査の内容や検査装置
マスク検査は、マスク製造上で発生する欠陥や不良を見つけ出すことです。
フォトマスクの製造過程で、生じる不具合には、次の3つがあります。
- 外観上の不良
- 回路パターンの寸法の精度不良
- 回路パターンの位置の精度不良
これらの検査項目について、表1で紹介します。
表1 フォトマスク検査項目
検査分類 | 検査項目 | 検査内容 | 検査装置 |
外観検査 | パターンの形状欠陥 | パターンの黒点、欠け、接触、断線、他 | 比較検査装置 |
異物 | 異物が付着 | 顕微鏡 | |
光学濃度の不足 | 膜の光学濃度が薄い部分がある | ||
傷 | 基板・膜に機械的損傷がある | ||
回路パターンの寸法精度検査 | 設計値ずれ | 寸法が設計値と比較してずれがある | 透過光式測長機 |
回路パターンの位置精度検査 | 直交性 | X軸とY軸が90°からずれている | 座標測定機、長寸法測定機 |
倍率 | オリジナルに比べて全体に比例したずれがある |
図3で紹介しているものは、フォトマスクのパターン欠陥例のイメージ図です。
パターンの形状欠陥は、マスクに回路パターンを転写する際に、機械の調整不良などでパターンがマスタとは違ったものとして形成される不良です。
図3で紹介している、黒点・欠け・接触・断線は、パターン欠陥の一例です。
これらの欠陥をそのままにして半導体を作ると、欠陥のあるパターンそのままの回路を作ってしまうため、半導体回路の誤作動の原因となります。
4.マスク検査の例
フォトマスクのパターン欠陥の検査について、図4と図5でその検査イメージを紹介しましょう。
1)ダイ to ダイ検査方式
パターン欠陥の一つにランダム欠陥があります。フォトマスクには複数個の同じ回路パターンで構成されますが、ランダム欠陥は、それらの回路のうち1つだけに起こる欠陥です。
そのため、2つのパターン回路を比較すれば、その欠陥が発見できます。
具体的には、2つのパターンの画像を重ね合わせ同じ部分を取り除けば、欠陥の画像だけが分かります。その欠陥の座標を記憶し、顕微鏡で詳細を調査し、欠陥修正を行うことができます。
2)ダイ to データベース検査方式
パターン欠陥がランダム欠陥でなく、システム欠陥の場合はどうでしょうか。
システム欠陥とは、フォトマスクに複数個あるパターン回路の、どの部分でも同じ位置に存在する欠陥です。フォトマスクを作る過程で、機械に何らかの調整不良があれば、システム欠陥が生じます。
システム欠陥の場合、図4の比較方式では、同じ欠陥のあるパターン同士を比較するため、欠陥が抽出できません。図5の方式では、マスタの画像と比較するため、欠陥の存在を知ることができます。
システム欠陥の座標を記憶し、パターン欠陥の種類や位置の情報から根本原因を突き止めて対策を打つことで、フォトマスク製造の信頼性の向上が期待できます。
検査装置には、図4の方式と図5の方式を併せ持って、検査対象ごとに使い分ける検査装置もあります。
5.マスク検査装置関連メーカー5選
①株式会社FAプロダクツ
【特徴】
FAプロダクツは年間200台もの実績がある関東最大級のロボットシステムインテグレーターです。一貫生産体制をとっており、設計から製造までをワンストップで対応。費用・時間にムダなく最適化を行うことができます。
また、お打ち合わせから原則1週間以内に「お見積りとポンチ絵」をご送付。
【ポンチ絵とお見積りのサンプル】
テキストやお電話だけでは伝わりづらいゴールイメージを共有し、スピード感を持った対応を心がけています。
また、同社の「画処ラボ」では、画像処理を用いた外観検査装置の導入に特化し、ご相談を受け付けています。従来は目視での官能検査に頼らざるを得なかった工程の自動化をご検討の際などにご活用ください。
業界最大級の画像処理検証施設を開設!
「画処ラボ」ではルールベースやAIの画像処理を専門エンジニアが検証。ご相談から装置制作まで一貫対応します。
【所在地】
茨城県土浦市卸町2丁目13-3
TEL.050-1743-0310(代表)
FAX.050-3156-2692(代表)
https://jss1.jp/
【営業品目】
- 産業用ロボット
- 生産設備合理化・省力化の設計及び製作
- 基板電気チェッカーや貼合・折曲など
- 治具の設計・製作
【実績】
NM社(電子部品の製造販売)、HS製作所(情報通信・社会産業・電子装置・建設機械・高機能材料・生活の各システム製造販売)、TT社(ショッピングセンターなどリテール事業)、SM社(自動制御機器の製造・販売)、OR社(自動車安全システムの製造販売)
②株式会社東光高岳(TAKAOKA TOKO CO., LTD)
写真は、東光高岳社製半導体用フォトマスク欠陥検査装置です。
【所在地】
東京都江東区豊洲5丁目6番36号 ヒューリック豊洲プライムスクエア8階
TEL:03-6371-5000
【営業品目】
電力プラント事業
電力機器事業
エネルギーソリューション事業
計量事業
光応用検査機器事業
スマートグリッド事業
【特徴】
東光電気社は1929年、高岳製作所社は1918年にそれぞれ創業し、ともに電気機器の製作、販売、サービスを手掛けてきています。
それぞれの会社は、取り扱う機器の高度化、システム機器を取り扱い、2014年に東光高岳社として統合し、お互いの特徴を伸ばす事業へと向かい今日に至っています。
2004年に半導体用フォトマスク欠陥検査装置を販売開始し、今日の光応用検査機器の礎とし、技術向上を図っています。
半導体用フォトマスク欠陥検査装置MISシリーズは、DIE-DIE (パターン比較/隣接比較)とDIE-DB両方の検査方式を取り入れ、高速かつ高感度のDie-DB検査が特徴です。
③株式会社ニューフレアテクノロジー
写真は、ニューフレアテクノロジー社製マスク検査装置 NPI-8000です。
【所在地】
神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番1
TEL:045-370-9127 (代表番号)
【営業品目】
◇電子ビームマスク描画装置・エピタキシャル成長装置・マスク検査装置の開発・製造・販売
◇電子ビームマスク描画装置
LSI(大規模集積回路)の製造工程における回路原版(フォトマスク)を描画・製造装置
◇エピタキシャル成長装置
シリコンウェーハ上にシリコン単結晶を成長させ装置
◇マスク検査装置
回路原版(フォトマスク)の高速検査装置
【特徴】
ニューフレアテクノロジーは、2002年に創業し、東芝機械株式会社から半導体装置事業を継承しています。
東芝機械株式会社は、1976年に東芝社から独立して電子ビームマスク描画装置を中心とした半導体製造装置事業を主幹事業として発展してきました。
2006年にマスク検査装置事業を行うことを決定し、事業を拡大させながら今日に至ります。
同社のマスク検査装置 NPI-8000は、技術を結集して最先端デバイスhp10nm世代に突入する技術が特徴です。
その特徴は、最先端短波長199nmレーザーを搭載し、60分以内に検査を終える高速性、実用感度のために先端アプリケーションを搭載したことにあります。
④レーザーテック株式会社
写真は、レーザーテック社製マスク欠陥検査装置MATRICS X8ULTRAシリーズです。
【所在地】
神奈川県横浜市港北区新横浜2-10-1
Tel:045-478-7111
【営業品目】
○ 半導体関連装置の開発・製造・販売・サービス
○ エネルギー・環境関連装置の開発・製造・販売・サービス
○ レーザー顕微鏡の開発・製造・販売・サービス
○ FPD関連装置の開発・製造・販売・サービス
【特徴】
レーザーテック社は、1960年にX線テレビの開発事業を持って創業し、1976年に世界で初めてLSIフォトマスク欠陥検査装置を販売しています。
その後、レチクル欠陥検査装置、走査型カラーレーザー顕微鏡、FPD用大型フォトマスク欠陥検査装置を開発販売し、営業品目で紹介した事業を拡大してきています。
同社のマスク欠陥検査装置MATRICS X8ULTRAシリーズは、デザインノード7nm~5nmのマスクに対応できる検査システムです。
その特徴は、ハイパワレーザーと2種類の偏光照明で達成した高感度化、初期状態の全マスクパターンによるマスクtoマスク比較検査、マスク検査と同時に計測するマスクのパターン寸法分布の可視化機能にあります。
⑤株式会社アドバンテスト
写真は、アドバンテスト社製フォトマスク用MVM-SEM E5610です。
【所在地】
東京都千代田区丸の内1丁目6番2号新丸の内センタービルディング
【営業品目】
◆半導体・部品テストシステム事業部門
ATEビジネス、SoCテストシステム、メモリ・テスト・システム
◆メカトロニクス関連事業部門
デバイス・インタフェース/テスト・ハンドラビジネス、ナノテクノロジービジネス(シリコンウエハ・フォトマスクの微細露光・加工・計測装置)
◆サービス他部門
フィールド・サービス、SLTビジネス
【特徴】
アドバンテスト社は1954年にタケダ理研工業として創業し、日本初のエレクトロニック・カウンタや振動容量型微少電流電位計を開発・販売しています。
1985年に現社名として、半導体試験装置ではトップ・シェア、世界トップメーカーとして成長し、現在に至っています。
同社のフォトマスク対応の欠陥レビューSEM E5610は、欠陥レビュー用走査型電子顕微鏡で、フォトマスク上の微小欠陥のレビューと分類を行います。
高いチャージ抑制技術とステージ精度により、高い安定度で全自動画像を取得し、簡単に欠陥をイメージングすることが可能です。
その特徴は、高い空間分解能、高安定に全自動で画像の取得、欠陥検査装置とのスムーズな連携です。
6.マスク検査装置導入のご相談はFAプロダクツへ
半導体やFPD製造に欠かせないマスク検査装置は、非常に高度な技術と繊細な機構を必要とします。
そのようなマスク検査装置を完成できた背景は、5章のマスクメーカー5選で見てきたように、創業から地道に電子部品や応用機器を開発やサービスを続けてきた技術の積み重ねに負うものが大きいことです。
5章で紹介したマスク検査装置に関連する事業は、製造・販売やサービスを含め多くの会社が関わっていて、長年に渡り蓄積しているノウハウや経験を持っています。
半導体やFPDを製造、設置する会社も多くありますが、その信頼を勝ち取るために検査装置や検査機器の適応に苦労があると想定できます。
そのような日常の悩みは、マスク検査装置関連事業を行う会社に相談することで、案外、簡単に解決できる場合もあるのではないでしょうか。
各種検査装置の導入をご検討の際は、お気軽にFAプロダクツまでご相談ください。
関東最大級のロボットシステムインテグレーター 装置の設計から製造ならお任せください
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