【図解】レンズ検査装置とは?レンズの基礎+おすすめ工場5選
目次
1.はじめに
小さいころ虫眼鏡を使って昆虫のような小さなものを見て感動した、望遠鏡で遠くの山や海を見て感動した、このような体験をお持ちの方は多いと思います。
大きくなっても、ルーペで文献を調べる方もおられるでしょう。虫眼鏡や望遠鏡で、小さなものを大きく見せる魔法は、レンズのなせる技です。
レンズのもっと身近なものは、眼鏡でしょう。眼鏡が世に現れたのは、13世紀と言われています。顕微鏡や望遠鏡は16世紀に入ってからです。
そして現在の21世紀。今では、顕微鏡や望遠鏡のように小さいものを見るという使い方から、カメラやプリンターで写し出すレンズ、CDの読み書きで使うレンズなど、多くのものにレンズは使われています。
このコラムでは、レンズの役割とともに、高精度を維持するため、レンズに必要な検査装置についてご紹介します。
また、レンズ検査装置をラインに追加して、
・省力化、省人化してコストダウンしたい
・生産性アップして売上を上げたい
・人的ミスを減らして品質価値を高めたい
・どのメーカーの検査装置を使えば効率的かわからない
場合は、関東最大級のロボットSIer、FAプロダクツまでお問い合わせください。
レンズ検査装置の導入が得意な技術者が、最適なご提案をさせていただきます。
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2.レンズとは?
(1)ヒトの眼
最も身近なレンズと言えば、それは、人間の眼です。図1に簡略的に描いた眼の構造を紹介します。
眼のレンズの役割をするものは、水晶体です。角膜もレンズの凸レンズの役割を担い、合成レンズの役割を持ちます。
虹彩は絞りの役目を果たします。水晶体で集められた光は、網膜に映し出され、視神経を通して脳で認知されます。
(2)レンズの基本性質
レンズの基本性質として、物体から出た光がレンズを通してどう進むか、という性質を図2で紹介します。
物体の頂点から出た光は、実像の頂点に達します。
平行に進んだ光は、焦点を通って結像し、レンズの主点を通った光は直線的に進み、焦点を通ってレンズに入った光は、平行に進んで結像します。
レンズの役割は、光を屈折させることです。屈折はスネルの法則に従って曲がって進み、結像します。
光の屈折は、ある物質から別の物質に進んだときに起こります。
レンズを作る物質が不純物があると、その不純物の数だけ屈折することになり、レンズとしての機能が果たせません。
そのため、レンズを構成するガラスなど原料の純度は非常に高い精度が要求されます。
(3)カメラのレンズの役割
製造現場では、製品の製造が終了したときに、必ず外観検査が行われます。
その時に使われる検査装置の多くが、CCDカメラを使った外観検査装置です。
図3では、カメラを使った検査がどのように行われるかを紹介します。
カメラで検査物を捉えると、レンズで物体からの光を集光し、眼の網膜に当たるCCDへ写し出します。
CCDはカメラの解像度に応じた光情報の格納箇所、例えば、1080×1440ピクセルのように細分化された検査物の情報格納箇所です。
CCDに格納された情報データは、画像処理装置に転送され、検査物の画像としてモニターに映し出され、また、解析のために加工されます。
⇒【図解】検査装置のカメラとは?画像処理とは?おすすめのメーカー5選
⇒【図解】外観検査装置とは?検出できる欠陥の種類やおすすめの工場5選
3.レンズの製造工程とは?
この章では、レンズの製造工程について紹介します。
レンズはガラスの素材から作られるものと、プラスチック素材から大量生産として作られるものがあります。
(1)レンズの製造工程
図4は、ガラス素材から作られるレンズの製造工程のイメージです。
レンズの製造工程の例として図4で紹介しています。
製造メーカーによって独自の工程が加えられ、精度の維持、高品質化がなされます。
◆ 図4のレンズの製造工程説明
- ガラスの素材を溶かし、その後ブロックを製造します。
- ブロックをレンズの設計形状となるように荒削りされます。このとき使われる工具が、カーブジェネレータです。
- 砂かけの工程では、荒削りしたレンズを砂やダイヤモンドペレットを使い、削ります。この工程では、レンズを複数枚治具に貼り付けて、同時に削っていきます。
- 次の工程がレンズ製造のメインとなる研磨です。この工程で、設計通りにレンズ曲面がなるように丁寧に仕上げます。
- 研磨が終わると、芯とりと言って、レンズの上下端を削ります。
- レンズ面に反射防止の薄い膜をコーティングします。この工程で使われる装置が、真空蒸着槽です。
- 完成したレンズは、出荷前に検査されます。ここで使われるのが、人の目視とレンズ検査装置です。
(2)大量生産レンズの生産工程
図5で紹介するレンズの製造工程は、プラスチックを原料としたレンズの製造です。
CCD装置で読み書きするレンズやスマートフォン用のレンズなどは、大量に短納期で生産する必要があります。
プラスチックからレンズを生産する技術とともに、大量生産できる技術と装置が開発されました。
◆ 図5のレンズの製造工程説明
- レンズ設計から金型が製作されます。
- 金型に、射出成型という方法で原料が供給され、レンズが製作されます。射出成型では、原料のプラスチックは金型内に押し込まれ、金型が圧着されてレンズができます。
- 反射防止のためのコーティングがされます。
- 検査装置による出荷前の検査です。
4.レンズの検査とは?
(1)レンズの用途
レンズの用途の種類は、どれだけあるでしょうか。
カメラ、望遠鏡、顕微鏡などはすぐ思いつきますが、その他となると、行き詰まるのではないかと思います。
表1にレンズの用途について紹介します。
表1 レンズの用途
種類 | 概要 |
メガネ | 近視は凹レンズ、遠視は凸レンズ、老眼は凸レンズ、乱視はシリンドリカルレンズを使います。 |
カメラ | 一眼レフカメラ、デジタルカメラがあります。 カメラのレンズは複数枚、凸レンズと凹レンズ、の組み合わせで使います。 |
望遠鏡 | 凸レンズと凹レンズを組み合わせる望遠鏡がガリレオ式、凸レンズを組み合わせるのがケプラー式があります。 |
顕微鏡 | 接眼レンズと対物レンズを組合せ、それぞれの倍率の積によって拡大率が決まります。 |
スキャナー | 原稿台のの文字をミラーを使いレンズで集光し、ラインセンサーに送りディジタル化します。 |
レーザー プリンター |
半導体レーザーを、コリメータレンズでポリゴンミラーに送り、ミラーで反射したレーザー情報を、球面レンズを通して感光ドラムに送ります。 |
CD読み取り機 | 光ディスク装置は、レーザービームでディスク上の突起に記録されたデータを非球面レンズを通して読み取ります。 |
半導体製造 | 半導体はウェーハ上に回路を記録して製造されます。ウェーハ上への記録は、20枚を超えるレンズを組み合わせた投影レンズを通して記録されます。 |
レンズを使った製品は、表1で紹介した以外にもいろいろな種類があります。
1つの種類でも、製造方法によって使われるレンズの種類や技術が違います。
(2)レンズ外観検査装置
さらに、レンズの種類だけでなく、大きさも巨大なものから微細なものまでさまざまです。
このような多くの種類のレンズありますが、レンズを製造する過程で共通な工程の1つが、レンズ検査装置を使った検査です。
レンズの検査について、紹介しましょう。
図6で紹介する検査は、レンズの外観検査装置のイメージです。
レンズの欠陥の種類を表2で紹介します。
表2 レンズ欠陥例
欠陥例 |
スクラッチ(キズ) |
くぼみ |
気泡 |
端部欠け |
コーティング傷 |
割れ |
異物付着 |
図6で示すように、レンズの外観検査では、表2のような欠陥をCCDカメラで撮影し、画像処理装置に送り解析します。
レンズの欠陥は非常に微細なもので、欠陥を検出してもどのような種類で、その原因は何かを突き止める必要があります。
そのために、画像解析のソフトは数値解析・過去のデータ解析などの高度な技術が必要です。
(3)レンズMTF検査装置
図7で紹介するレンズ検査装置は、レンズのMTF検査装置です。
MTFとは、Modulated Transfer Function で、変調伝達関数と訳されます。
伝達関数とは、制御回路などでおなじみの用語ですが、入力系が出力系に移るときの特性を示すものと解釈できます。
レンズで言えば、被写体の情報をレンズを通して、フィルムやCCDに送るときの特性と言えます。その特性がMTF特性です。
そのため、伝達関数MTFが分かっていれば、被写体がどのような色・模様・大きさであっても、写し出されるものから、どれだけ正確に被写体を写しているかが分かります。
レンズによって写し出される像は、レンズによるコントラストの情報がいかに正確かが分かれば、想定できると言われています。
つまり、レンズの性能はほぼコントラスト性能に集約できるということです。
そのため、レンズのMTF特性は、コントラスト情報に基づいて決定されます。
図7の写像A,B,Cはそれぞれ模様や色合いが違いますが、レンズのMTF特性によって決まるということになります。
このMTFを測定するもの、レンズの実力測定とも言えますが、それがMTF検査装置です。
5.レンズ検査装置関連メーカー5選
①株式会社FAプロダクツ
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テキストやお電話だけでは伝わりづらいゴールイメージを共有し、スピード感を持った対応を心がけています。
また、同社の「画処ラボ」では、画像処理を用いた外観検査装置の導入に特化し、ご相談を受け付けています。従来は目視での官能検査に頼らざるを得なかった工程の自動化をご検討の際などにご活用ください。
業界最大級の画像処理検証施設を開設!
「画処ラボ」ではルールベースやAIの画像処理を専門エンジニアが検証。ご相談から装置制作まで一貫対応します。
【所在地】
茨城県土浦市卸町2丁目13-3
TEL.050-1743-0310(代表)
FAX.050-3156-2692(代表)
https://jss1.jp/
【営業品目】
- 産業用ロボット
- 生産設備合理化・省力化の設計及び製作
- 基板電気チェッカーや貼合・折曲など
- 治具の設計・製作
【実績】
NM社(電子部品の製造販売)、HS製作所(情報通信・社会産業・電子装置・建設機械・高機能材料・生活の各システム製造販売)、TT社(ショッピングセンターなどリテール事業)、SM社(自動制御機器の製造・販売)、OR社(自動車安全システムの製造販売)
②computar
http://www.computar-global.com/jp/
写真は、computar社製逆投影MTF検査装置 M17-Eシリーズです。
【所在地】
東京都中央区月島2-15-13
TEL:03(3536)4500
【営業品目】
・監視カメラシステム向け製品:セキュリティを目的とした耐久・汎用性に優れた光学レンズ製品
・FA(ファクトリーオートメーション)向け製品:製造ラインの自動化に貢献する光学レンズ製品
・医療用機器向け製品
・都市・港湾等インフラ・セキュリティ向け製品
【特徴】
computarは、CBCグループのレンズブランドです。1925年に創業後、1974年にCCTV監視用レンズの輸出を開始後、1980年にcomputarが立ち上がりました。1999年にCBC株として社名変更し、現在に至ります。
同社のレンズ検査装置には、光学スペック検査装置のほか、写真の逆投影MTF検査装置 M17-Eシリーズがあります。この装置の特徴は、非常に高価であった装置を低価格と提供できること、中心と周辺ポジションを最大17台のカメラで、高速にMTF評価ができることです。
このシリーズには、超広角レンズ用、広角レンズ用、単焦点レンズ用と幅広いラインナップがあります。
③パール光学工業株式会社
https://www.pearl-opt.com/index.html
写真は、パール光学工業社製解像力投影検査器RPT-25です。
【所在地】
東京都目黒区祐天寺1-3-8
TEL:03-3760-8871
【営業品目】
光学測定機器/テストチャートの製造販売
特注光学機器の開発・製作
薄膜事業
【特徴】
パール光学工業社は、1961年に望遠鏡メーカーから独立して創業し、1971年に光学部門が独立して、現在の社名となりました。創業から光学測定機器類を開発・製造・販売の事業を展開しています。
同社の光学機器には、偏芯測定、レンズピント出し・平面角度測定、焦点位置・収差確認、オートコリメーター・コリメーター用チャート、解像力検査、曲率半径(R)、焦点距離測定、非球面レンズ形状測定などがあります。
解像力投影検査器RPT-25シリーズは、レンズの解像力・球面収差・非点収差・像面湾曲・軸外の色収差を、投影方式で検査を効率よくできることが特徴の検査装置です。この装置は、受入検査や工程検査の合否判定に使用され、その実力を発揮しています。
④株式会社エフケー光学研究所
http://www.fk-opt-labo.co.jp/index.html
写真は、エフケー光学研究所社製MTF測定装置です。
【所在地】
埼玉県新座市中野1-13-4
TEL:048-482-6910
【営業品目】
透過型位相シフトレーザー顕微干渉計測装置(自社開発製品)
レーザー光による非破壊的細胞診断技術開発(公的プロジェクトにかかる技術開発)
液晶基板検査装置
観察/監視工業用ファイバースコープ(特殊環境下用)
観察/計測用光学応用機器
医用光学応用機器
光通信用測定機器
画像処理用レンズ
特定仕様対物レンズ
英国MTF標準測定装置
【特徴】
エフケー光学研究所社は昭和53年に創業し、光学機器の設計・製作の事業を展開し、昭和57年にファイバースコープの光学系開発・設計を開始しています。その後、事業の拡大とともに、営業品目で紹介した機器の開発・製造へと進展し、現在に至っています。
同社のMTF測定装置は、英国のMTF標準に準拠した高精度な検査装置で、リアルタイムに測定が可能です。豊富なディテクタと独自に開発したリレーレンズによって、有限遠・無限遠測定・紫外~可視~近赤外域までを、1台の検査装置で対応できる所に、特徴があります。
⑤京立電機株式会社
写真は、京立電機社製偏芯測定機CS-A1100です。
【所在地】
東京都狛江市岩戸南2-3-17
TEL:03-3480-1770
【営業品目】
カメラ、レンズ用測定器の開発・製造・販売
画像評価ソフトウェアの販売
医家向け医療機器の開発・製造・販売
【特徴】
京立電機社は、1965年に創業し、カメラ測定器の製造販売を開始しました。その後、1986年にフラッシュ光量計、1995年にフラッシュ光配光試験器、2002年にディジタル一眼用高速シャッターテスター、そして2003年にコリメータと製造販売を行い、事業拡大しています。
同社が扱う偏心測定器には、8種類の製品があります。その中の、CS-A1100は、現場で使える高性能偏芯測定機で、コリメータ方式を採用し、測定者による誤差を解消した透過型偏芯測定機です。
CS-A1100は、測定可能なレンズの焦点距離を幅広くカバーし、コンパクト・省スぺースによって使いやすく、製造現場での省力化・高品質化・効率化が特徴の検査装置です。
6.レンズ検査装置導入のご相談はFAプロダクツへ
レンズは眼を真似ることから始まり、今では、眼の機能をはるかに超えて超精密な半導体を製造する「眼」までに進化してきました。
レンズの製造は、酸化ケイ素という地球に広く存在する石の素材から、純度の高いガラスへと製造することから始まります。
ここから微小で超精密な球面加工する技術と光学分野を完全に克服した技術で、今のメガネやカメラという身の回りの製品が生まれてきたと言えます。
もう一つ、レンズを使った製品を安心して使えるためには、レンズの検査装置の果たした役割も大きく、超精密なレンズにも対応できているということが、それを証明しています。
こうした製造や検査の技術が確立した背景には、たくさんの失敗と挫折があったと思い浮かびます。それを克服したノウハウがレンズに係るメーカーには蓄積されています。
レンズに係る仕事で行き詰まることも多いと思いますが、そんな時はノウハウを蓄積しているメーカーの力を借りることで、新たなアイディアが生まれることでしょう。
各種検査装置の導入をご検討の際は、お気軽にFAプロダクツまでご相談ください。
関東最大級のロボットシステムインテグレーター 装置の設計から製造ならお任せください
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