赤外線検査装置とは?赤外線の検出方式や、おすすめの工場5選
目次
1.はじめに
非破壊検査の分野では、X線、超音波、磁粉探傷、浸透探傷などがあります。
「検査対象を割る」「切ることをせずに、検査対象内部の欠陥を見つける」ことができます。
これらの検査方法は、産業のあらゆる部門で使われ、「不良製品を出さない」という企業の信頼と製品ブランド維持の役割を果たしています。
こうした非破壊検査の手法のうち、検査対象の温度分布や濃度分布を観測できるものが、赤外線を利用した検査です。
赤外線センサで良く知られているものに、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の目と鼻の間にあるセンサがあります。
獲物が近くにいると、そのセンサで獲物の体温を検知するそうです。
夜で目が見えなくても検知できるそうですので、私たちの身の回りにある、赤外線センサと同じと言って良いでしょう。
本コラムでは、赤外線を利用した検査について紹介します。
また、赤外線検査装置を製造ラインに追加して、
・省力化、省人化してコストダウンしたい
・生産性アップして売上を上げたい
・人的ミスを減らして品質価値を高めたい
・どのメーカーの検査装置を使えば効率的かわからない
という場合は、お気軽にFAプロダクツまでお問い合わせください。
関東最大級のロボットSIerとして、最適化のご提案をさせていただきます。
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2.赤外線とは
(1)赤外線とは
赤外線は、電磁波の一種です。図1では、赤外線を含む、電磁波の種類をご紹介します。
電磁波には、X線から電波まであります。
その区分は、波長の大きさです。図1は波長ごとに最小1pmから最長10kmまでの波長帯に応じた電磁波を示しています。
私たちが見ることができる電磁波は、可視光線で、虹色で知られる7色の色は、波長に応じて色が変わる光です。
可視光線より大きな波長に属する電磁波が、赤外線です。波長に応じて、近赤外線、中赤外線、遠赤外線に分かれます。
図2で紹介しているのは、赤外線の特性です。
赤外線が物体に入射すると、赤外線は、次のように進み、物体の組成に応じ、その量が変わります。
- 反射光
物体から反射する赤外線です。 - 透過光
物体を透過して物体外へ出ていく赤外線です。 - 吸収光
物体の組成に応じた波長の赤外線が、物体に吸収されます。吸収された赤外線は、物体の組成を振動させ、振動によって生じて物体の温度が上昇します。 - 放射光
物体の温度に応じ、物体外部に放射される赤外線です。赤外線の吸収によって生じた温度上昇分の赤外線が放射されると考えます。
(2)赤外線の検出方式
赤外線検出素子を大きく分けると、熱型と量子型に分類できます。2つの違いを、表1で紹介します。
表1 赤外線検出方式の違い
特徴 | 応答速度 | 検出能力 | 冷却 | |
熱型 | 赤外線エネルギーを熱として検出し、電気信号に変えます。 | 遅い | 低いが、波長に依存性がありません。 | 不要です。 |
量子型 | 赤外線を格子数に比例した電気信号に変えます。 | 速い | 高いが、波長に依存性があります。 | センサの冷却が必要です。 |
表1で紹介したように、赤外線検出器方式には、それぞれ欠点と長点があります。
どのようなものをどのような精度で検出するかによって、検出器を選択することになります。
(3)赤外線を利用した機器
赤外線を利用した機器は、私たちの身の回りに多く見られます。
- 家電製品のリモコン
- 自動ドア
- 駐車場の人の検知
- セキュリティシステムによる不審者侵入検知
- ガス分析計や水分計
これらは、ほんの一例です。
赤外線を利用した機器は、日々、開発が進められ、拡大していくことでしょう。
3.赤外線を利用した検査
(1)赤外線カメラ
赤外線の検査で、第一に挙げられる用途は、赤外線カメラでしょう。
可視カメラと同様に、光を利用したものですが、赤外線の特性を利用し、CCDカメラとは異なる分野で適用されています。
図3で紹介するのは、赤外線カメラの構造です。
赤外線カメラは、レンズで集光した赤外線を、センサに取り込みます。
取り込まれた赤外線情報は画素に書き込まれ、
- 黒に近い色
赤外線量が少ない - 白に近い色
赤外線量が多い - 黒と白の中間色
赤外線量が中間
となります。量子型センサの場合は、冷却器が必要です。
この理由は、センサの温度を―200℃に維持しないと温度の誤差が出てしまうためです。
⇒【図解】検査装置のカメラとは?画像処理とは?おすすめのメーカー5選
(2)サーモグラフィ
図4では、赤外線カメラを使ったサーモグラフィを紹介します。
赤外線は、絶対零度以外の温度であれば、物体の組成と温度に応じた赤外線を放射します。
図4のように下側から上側に向かい温度が上昇する物体からは、下側から上側に向かい、放射量が多くなる赤外線が放射されます。
赤外線カメラは、この赤外線量を画素に書き込み、全体の温度分布画像を作成します。これがサーモグラフィです。
(3)非破壊検査
図5-1、図5-2では、赤外線検知を応用した検査について紹介します。
図5-1は、ミカンの内部の痛みと糖度を、検出するイメージ図です。
図5-1(A)は、ミカンの痛み部分を検出するイメージ図です。
図5-1(B)は、ミカンの糖度を検出するイメージ図です。
赤外線は、検査する対象の成分によって、吸収される波長が異なり、その吸収率は成分の濃さに比例して上がります。
そのため、ミカンの中に痛みがあるときは、その部分が色が変わって映ることになります。
ミカンの糖度も、ミカン成分の化学構造に応じたスペクトル分析から、糖度を知ることが可能です。
図5-2(A)は、瓶詰の色の濃い飲料水の内部に含まれる異物の検出イメージ図です。
瓶の中にある飲料水が透明であれば、CCDカメラで映し出すことで、異物の検知ができます。
しかし、飲料水が濃い色であるときや、瓶全体がラベルなどで覆われていると、異物検出ができません。
そこで、赤外線を使えば、異物だけ吸収率が大きくなり、異物を写し出すことが可能です。
図5-2(B)は、物体の内部に亀裂を生じているかどうかを検査するイメージ図です。
内部の亀裂の検査は、非破壊検査として、X線など多くの手法で検知でき、検査装置も多く開発されています。
赤外線を使った検査器具も、物体の中に亀裂による空間があると、そこだけ赤外線の吸収率が違うことで、映像として写しだすことができます。
赤外線の検査器具は、ハンディタイプのものがあり、手軽に検査できることが特徴の一つです。
4.赤外線検査装置
図6は、赤外線検査装置を使い、インラインで製造品の良し悪しを検査するイメージ図です。
図6は、ワークの表面の薄い塗装の膜厚を検査し、規定内の膜厚であれば、合格としてOKラインを通過させ、不合格であればNGラインに導入し、廃棄・手直しする製造ラインの様子です。
膜厚検査では、膜の成分と膜厚に応じて、特定の波長の赤外線が吸収されます。
吸収率と膜厚のスペクトル分析から、膜厚を検査できます。検査対象によって、反射方式か透過方式を選定します。
5.赤外線検査装置関連メーカー・システムインテグレータ5選
①株式会社FAプロダクツ
【特徴】
FAプロダクツは年間200台もの実績がある関東最大級のロボットシステムインテグレーターです。一貫生産体制をとっており、設計から製造までをワンストップで対応。費用・時間にムダなく最適化を行うことができます。
また、お打ち合わせから原則1週間以内に「お見積りとポンチ絵」をご送付。
【ポンチ絵とお見積りのサンプル】
テキストやお電話だけでは伝わりづらいゴールイメージを共有し、スピード感を持った対応を心がけています。
また、同社の「画処ラボ」では、画像処理を用いた外観検査装置の導入に特化し、ご相談を受け付けています。従来は目視での官能検査に頼らざるを得なかった工程の自動化をご検討の際などにご活用ください。
業界最大級の画像処理検証施設を開設!
「画処ラボ」ではルールベースやAIの画像処理を専門エンジニアが検証。ご相談から装置制作まで一貫対応します。
【所在地】
茨城県土浦市卸町2丁目13-3
TEL.050-1743-0310(代表)
FAX.050-3156-2692(代表)
https://jss1.jp/
【営業品目】
- 産業用ロボット
- 生産設備合理化・省力化の設計及び製作
- 基板電気チェッカーや貼合・折曲など
- 治具の設計・製作
【実績】
NM社(電子部品の製造販売)、HS製作所(情報通信・社会産業・電子装置・建設機械・高機能材料・生活の各システム製造販売)、TT社(ショッピングセンターなどリテール事業)、SM社(自動制御機器の製造・販売)、OR社(自動車安全システムの製造販売)
②株式会社KJTD
https://www.kjtd.co.jp/index.html
写真は、KJTD社製非破壊検査システム サーモ・インスペクターです。
【所在地】
東京都豊島区東池袋3丁目1番1号 サンシャイン60 45階
TEL:(03)5957-7367
【営業品目】
超音波探傷装置(自動装置およびポータブル型)の設計・製作・販売
超音波探触子及びフェーズドアレイ超音波探触子の販売
赤外線検査装置の販売
ベルギーSDT社製超音波漏れ試験器の販売
FLIR SYSTEMS Inc.製赤外線カメラの販売
【特徴】
KJTD社は、1971年に創業し、ドイツ超音波探傷器メーカー・クラウトクレーマー社の総代理店として事業を開始しています。その後、独自製品の開発を進め、非破壊検査メーカ―として事業の拡大を図っています。2014年には科学技術研究開発機構(JST)と、赤外線非破壊検査方法の産学共同開発をを進め、現在に至っています。
同社の破壊検査システム、サーモ・インスペクターは、赤外線カメラとフラッシュランプによる励起装置を使い、材料を探傷する装置です。
非接触検査、短時間での検査、いろいろなカメラを選ぶことが可能、解析専用ソフトによる材料物性研究、といった特徴を持っています。
③株式会社ケン・オートメーション
http://www.kenautomation.com/index
写真は、ケン・オートメーション社製(FLIR社製)超高速赤外線カメラFLIR X6900scです。
【所在地】
神奈川県横浜市西区平沼1-11-12 横浜KMHビル5階
TEL:045-290-0432
【営業品目】
◆赤外線サーモグラフィカメラ関連
高性能冷却型赤外線カメラ(FLIR社)、高速冷却型赤外線カメラ(TELOP社)、非冷却型赤外線カメラ(FLIR社)、監視用赤外線カメラ(FLIR社、NIT社、noxant社)、特殊用途・ガス検知赤外線カメラ(FLIR社)
◆内部欠陥検査装置
サーモグラフィ非破壊検査装置(edevis社)、テラヘルツIR非破壊検査装置(neTHIS社)、非接触空中伝播超音波検査装置(Ultran社)、非接触表面性状検査機、渦流検査機(ibg社)、非接触光学式表面検査機(OptoSurf社)
◆圧力分布測定装置
圧力分布測定装置(XSENSOR社)、接触式ポータブル3D測定装置(Metronor社)
【特徴】
ケン・オートメーション社は、ヨーロッパ・アメリカなど世界の検査・計測技術をベースとした機器を輸入し、日本のユーザー仕様に応じたシステム構築を行い、提供するメーカーです。
その内容は、高性能赤外線応力測定装置・カメラ・サーモグラフィ・渦電流検査装置・光学式表面検査装置・静電容量圧力分布計測装置と、多種類の機器があります。
そのため、製造品検査において、どのような分野のユーザーからの要望にも応えられることが強みです。
同社の超高速赤外線カメラFLIR X6900scは、640x512画素で最大25秒間の記録でもコマ落ちしない、瞬間を捉えることができる高速タイプの冷却型赤外線カメラです
内蔵RAM/SSDへの録画機能、電動4ポジションフィルター装備、研究開発・評価試験分野の先端科学技術開発への適用などが、FLIR X6900scの特徴です。
④倉敷紡績株式会社(正式社名扱い:クラボウ) 環境メカトロニクス事業
https://www.kurabo.co.jp/el/index.html
写真は、クラボウ社製膜厚計RX-100です。
【所在地】
大阪市中央区久太郎町2-4-31
TEL:06-6266-5111
【営業品目】
■繊維事業
綿、合繊、その他素材の繊維製品(糸、織物、編物および二次製品)の製造・販売、綿・合繊織編物の染色整理加工
■化成品事業
ポリウレタンフォーム、合成木材、無機建材、機能性フィルム、精密ろ過関連製品、高性能エンプラ製品、不織布および補強ネットの製造・加工・販売
■環境メカトロニクス事業
色彩管理、生産管理に関する情報システム機器および検査・計測システムの製造・販売・保守、環境・エネルギー関連の各種プラント等の設計・製作・施工・販売、バイオマス発電事業バイオ関連製品の製造・販売、工作機械等の製造・販売
■食品・サービス事業
フリーズドライ食品の製造・販売ほか
【特徴】
クラボウは、営業品目で紹介したいろいろな事業を大規模に行う製造メーカーです。
その中で、環境メカトロニクス事業部は、「色」の制御を目的として始められたエレクトロニクス技術集団で、情報処理、調色・計量、検査・計測の分野に特化してきました。
同社の赤外吸収方式による膜厚計RX-100は、検査・計測分野の開発製品の一つです。液晶・有機ディスプレイ向けのフィルム品質に欠かせない膜厚の検査として開発され、複雑化する高機能フィルムの製造プロセスをサポートします。
RX-100は、透過測定・反射測定の選択ができ、偏光フィルムの水分計測管理、保護フィルム厚み管理、反射防止コート・粘着剤コートの厚み計測、偏光フィルムのヨウ素・ホウ酸濃度計測などに対し適用が可能です。
⑤株式会社ビジョンセンシング
写真は、ビジョンセンシング社製遠赤外線マイクロスコープです。
【所在地】
大阪市北区与力町1番5号 与力町パークビル5F
TEL:06-4800-0151
【営業品目】
1)遠赤外線カメラ事業
① カメラ開発/設計/製造/販売(小ロットまで)<光学・基板・FPGA/ファームウェア・アプリケーション開発>
② カメラ受託開発/設計/試作(量産支援)<技術支援/シャッタレス技術供与/キャリブレーション/コンサルティング>
2)画像処理システムの開発
① 遠赤外線および可視画像処理システム開発<サンプル評価/検査システム提案/処理スクリプト開発>
3)検査・画像処理のコンサルティング業務
【特徴】
ビジョンセンシング社は、2008年に創業し、遠赤外線カメラ試作機を完成させています。その後、赤外線カメラの開発、画像処理システムの開発を進め、画像・検査・赤外線をキーワードに事業展開しています。
ここで、画像とは、画像を捉え加工することです。
検査は、最先端センシング技術による画像を画像処理ハードウェア上に独自アルゴリズムで検査システムを造り出すことです。
赤外線は、赤外線技術応用システムの開発です。
同社の遠赤外線マイクロスコープは、遠赤外線顕微鏡レンズとカメラを組合わせた、高倍率遠赤外線カメラです。加冷却熱源と組合せすることで、半導体部品の非破壊検査に適用できます。
顕微鏡サーモグラフィとしての微小領域の温度計測、最高光学分解能4.25μm/pixel、最小温度分解能<10mK、温度計測範囲・温度分解能の任意設定などが、この機器の特徴です。
6.赤外線検査装置導入のご相談はFAプロダクツへ
私たちが普段、太陽に当たって暖かいと感じるのは、太陽から出る赤外線のおかげです。この赤外線によって人類は育まれ、今日の高度な文明の社会が築かれたと言っても過言ではないでしょう。
太陽と同じように、高度文明発展に貢献したものの一つが、赤外線を応用した検査機器、検査装置です。太陽からの光を観測しているうちに、赤外線が発見され、その効用を研究する過程で、赤外線応用技術が今日の技術へと発展してきました。
赤外線技術の発展と同時に、多くの苦労と失敗が重ねられたことは、容易に想像できます。その苦労と失敗の数だけ、赤外線技術に対するノウハウがあることでしょう。
赤外線に携わってきたメーカーや研究者には、多くのノウハウがあります。そこで、製造品検査で困ったことがあれば、問題点を問い合わせることで、案外簡単に、悩みが解消できるのではないでしょうか。
赤外線検査装置の導入をご検討の際は、お気軽にFAプロダクツまでご相談ください。
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