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画像処理に関する記事

画像処理のエッジ検出とは?前処理や検査、事例10選

1.はじめに

外観検査では、カメラでワークの状態を撮像し、パソコンに画像を送って、ワークの仕様が正しく製造されているかどうかを確認します。
しかし、画像にゴミのようなノイズがある、画像がぼやけているなどで、ワークの正確な状態が見れないことがあります。
そうすると、ワークの仕様(例えば、ワークの幅など)の寸法測定をすることができないことが起こります。

そのために必要なことは、まずはノイズを取り除くことや、画像をシャープにしてぼやけを取り除くことです。
次に寸法測定に必要なことは、画像の位置を決めることで、それが、画像のエッジ検出処理です。
このコラムでは、画像処理のうち、ワークのエッジ検出についてご紹介します。

もし、検査・検品に画像処理システムを導入して、

  • 省力化、省人化してコストダウンしたい
  • 検査レベルを高めて品質価値を高めたい

というご希望がございましたら、お気軽に画処ラボまでお問い合わせください。
ルール型画像処理からAIによる画像処理まで、ご希望に対して幅広い対応が可能です。

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2.画像処理とは

図1では、インラインで外観検査を行うシステムのイメージを紹介します。

画像処理エッジ検出 図1

検査装置では、生産ラインを流れるワークの状態をカメラで写し、デジタル画像を取り込んで画像処理装置に送ります。
デジタル画像データは、

前処理 → 画像特徴抽出 → 判定 → 表示・出力

の順に画像処理されて、ワークの仕様に対し、NGかOKかの合否を判定し、制御処理します。

(1)画像処理

画像処理とは、画像データを表す画素の濃度値を数値化し、演算処理によって、ワークの仕様に合った特徴を表すように、画像元図から抽出、変換、認識を行う画像処理の方法です。

(2)画像特徴抽出

画像特徴抽出の一つが、次のような画像の形状の特徴を検出する処理です。

  • 重心
  • 面積
  • 周囲長
  • 円形度
  • モーメント主軸

(3)画像判定

画像によって検査する目的は、ワークが仕様通り製作されているかどうかの判定です。
例えば、ワークの幅を検出し、設計通りのものかどうかを判定します。
ワークはLSIのように非常に精密でコンパクトになってきていて、目で判断することは不可能です。
画像データから正確な情報を得るときに、画像のノイズなどで計測が不正確になっては困ります。
そのために、画像の特徴を抽出する処理を行う前に必要なことが、次の章で紹介する前処理です。

3.前処理とは

画像の特徴を抽出するためには、生の画像に対して前処理をする必要があります。
例えば、生の画像にノイズによる点が広がっている場合に取り除くことや、ぼけた部分により画像が明確でないときに、境界を強調させて明確にする画像処理が必要です。
これを行う前処理が、前処理フィルタによる画像処理です。

空間フィルタを適用するイメージを、図2で紹介します。

画像処理エッジ検出 図2

元画像の3×3ピクセルの画素に対し、ノイズを除去するような空間フィルタを適用することで、3×3ピクセルの画素の中央の画素を変換します。
元画像の3×3ピクセルの画素変換を、元画像全体に適用することで、元画像全体でノイズを除去する作用が働き、元画像からノイズ成分が除去された画像となります。
こうすることで、画像特徴抽出の処理を行う際に、障害となるノイズ画素がなくなり、正確な特徴の抽出ができます。

(1)前処理の種類

前処理は、不必要であるような情報を取り除く処理ですが、その種類を表1で紹介します。

表1 前処理例

前処理 処理内容
膨張 3×3の画素の中心を、9個の画素のうち、最も明るい濃度値に置き換えます。
収縮 3×3の画素の中心を、9個の画素のうち、最も暗い濃度値に置き換えます。
平均化 3×3の画素の中心を、9個の画素の平均の濃度値に置き換えます。
メディアン 3×3の画素の中心を、9個の画素の中で明るい順に並べた5番目の濃度値に置き換えます。
エッジ抽出 画像中の輝度が大きく変化する箇所を検出します。
エッジ強調 画像をより鮮明になるように、画素を変換します。

表1で紹介した前処理は、メーカーによっては、画像特徴抽出処理と混合する場合があります。例えば、画像の境界を検出するためのエッジ強調処理は、前処理に含まれる場合と、画像特徴抽出に含まれる場合があります。
どちらのケースも、処理する方法はほぼ同じであり、場合分けだけの問題です。

(2)前処理フィルタ例

図3で前処理の例として、膨張と収縮のフィルタ処理について、ご紹介しましょう。

画像処理エッジ検出 図3

膨張フィルタは、3×3の9個の画素のうち、最も大きい濃度値、最も明るい濃度を、中心の画素に置き換えます。図3では、0~8の濃度値の中で、8が最も大きいため、中心の濃度値4を8に置き換えます。

画像が1080×1440ピクセルであれば、3×3のセグメントで処理した内容を、画像全体の全セグメントに渡って処理します。

圧縮フィルタは、膨張とは逆に、3×3の9個の画素のうち、最も小さい濃度値、最も暗い濃度を、中心の画素に置き換えます。
図3では、0~8の濃度値の中で、0が最も大きいため、中心の濃度値4を0に置き換えます。

(3)前処理フィルタを適用した画像例

図4では、膨張と収縮フィルタを適用した画像例を紹介します。

画像処理エッジ検出 図4

検査する元図では線跡がありますが、膨張フィルタを適用することで、線跡が消えます。
しかし、文字の部分も暗い画素で置き換わるため、文字部分が縮小します。
これに対して、収縮フィルタで画像を処理すれば、文字の部分が拡大し、元の文字の大きさ程度に戻ります。
このように、膨張と収縮フィルタを適用することで、元図の線跡だけが消える画像処理が行えることが可能です。

4.エッジ検出による検査

図5では、画像のエッジを検出する手法のイメージを、ご紹介します。

画像処理エッジ検出 図5

円板型のワークの撮影画像から、円板の内径を計測することを考えてみましょう。
図5の最上位で描く円板の画像は、円板のエッジの周囲にあるノイズなどで、明確な境界を見つけることができません。もちろん、ピクセル単位での話です。
この様子をグラフで描くと、縦軸を輝度値として、図5の上から2番目の図のように表されます。

この図を微分した図で表すと、一次微分図のように表され、極大値とした所が、画像の色の変化が最も大きい境界、すなわちエッジです。

さらに、この境界は、二次微分図のゼロクロッシング点(マイナスからプラス、または、プラスからマイナスに変わる0の位置)として表されます。

(1)前処理エッジ処理の方法

エッジを抽出するフィルタについて、手法ごとに表2で紹介します。

表2 エッジ抽出フィルタ

フィルタ名 エッジ抽出方法
ソーベルフィルタ 左右に隣合う画素値の輝度の一次微分として,境界を検出します。

縦方向と、横方向にエッジ検出を行い、その結果を合成します。

ラプラシアンフィルタ 左右に隣合う画素値の輝度の二次微分として,境界を検出します。

縦方向と、横方向にエッジ検出を行い、その結果を合成します。

キャニーフィルタ 画像の平滑化を行うガウシアンフィルタに、ソーベルフィルタを組み合わせて輪郭を検出するフィルタです。

 (2)エッジ処理フィルタ例

図6では、ソーベルフィルタによるエッジ抽出について紹介します。

画像処理エッジ検出 図6

ソーベルフィルタは3×3の画素9個の画素に対して乗算を行い,画像の境界を抽出するフィルタです。
左右に隣合う画素の値の差から一次微分を求め、境界の検出を行いますが、それぞれX方向とY方向のエッジ抽出フィルタがあり、2つの結果を足し合わせて境界を検出します。
一般的に、平滑化を行うフィルタと組み合わせて使います。

(3)エッジ処理

図7では、ソーベルフィルタを適用したイメージ図を紹介します。

画像処理エッジ検出 図7

ここでは「粗さがあるワークのリード間の寸法など、形状を計測する検査装置での画像検査」と想定します。

  • このワークをソーベルフィルタでエッジを抽出するときの図が、左下の図です。粗さの部分もエッジとして検知するため、このままでは形状測定は不可能です。
  • そのため、粗さのあるワークにメディアンフィルタをかけて、粗さ部分をぼかします。この様子が、図7の上部真中の図です。
  • メディアンフィルタをかけた画像に対し、ソーベルフィルタでエッジを抽出した図が、上部右側の図です。
  • 粗さによるエッジ抽出誤りがなくなるため、ワークの形状計測が可能となります。

5.画像処理メーカーで行うエッジ処理事例

この章では、画像処理に係る製造メーカーが有する、エッジ処理に関する製造品や技術を紹介します。Webページを合わせて紹介していますので、詳細はそのページで確認してください。

画処ラボ(ガショラボ)

【所在地】
〒105-0004 東京都港区新橋5丁目35−10 新橋アネックス 2階
TEL:050-3733-3774
WEB問合せ:https://gasho-labo.jp/#contact
https://gasho-labo.jp/

【特徴】
検査の自動化に伴って画像処理装置の導入する際には、複数のセンサーメーカーと複数の画像処理機器メーカーを選択し、それぞれ検査対象によって個別対応する必要があります。

画処ラボは、メーカー横断での機器選定から判断プログラムの選定及び装置の設置構想までを⼀括で提案し、設置からサポートまで⼀元管理。

さまざまなメーカーから、照明は50種類、カメラ・レンズは30種類をとりそろえており、機器や画像処理プログラムの選定だけでなく、装置の構想・設置、サポートまで、ワンストップで相談が可能です。

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②ヴィスコ・テクノロジーズ株式会社

https://www.visco-tech.com/

【所在地】
東京都港区海岸1-11-1 ニューピア竹芝ノースタワー20階
TEL:03-6402-4500

【製品】
https://www.visco-tech.com/technical/guidance/patternmatch/

幾何学形状マッチングGradFinderは、ヴィスコ社独自の画像検出技術です。
位置決めの検査画像から、エッジのような幾何学的特徴を抽出し、その特徴が最も一致する位置を検出します。位置決めツールに搭載されます。
さまざまな照明条件やバラツキを考慮した設計となっているため、検出の安定性や信頼性を実現する特徴を有します。

画像処理エッジ検出 ヴィスコ・テクノロジーズ

③株式会社リンクス

https://linx.jp/

【所在地】
東京都品川区上大崎2丁目24-9 アイケイビルディング4F
TEL:03-6417-3371

【製品】
https://linx.jp/casestudy/halcon-rect

HALCONは、リンクス社の画像処理ライブラリです。
計測ツール、パターンマッチング、ブロブ解析、文字認識など多くの機能を有します。
高速処理、さまざまな機器での動作実績などが、特徴です。
図は、四角形部品の計測の画像処理です。この処理では、画像をサブピクセル精度で、画像のエッジ情報を抽出する技術により、エッジを四角形・円・直線で近似し、計測を可能としています。

画像処理エッジ検出 リンクス

④シャープ株式会社

https://corporate.jp.sharp/

【所在地】
大阪府堺市堺区匠町1番地
TEL:072-282-1221

【製品】
https://jp.sharp/business/image-sensor-camera/application/electronic-parts/005.html

図は、集積回路のリードやコネクタピンの並びを検査する、画像処理です。
この画像処理機能では、ピッチモジュールと言い、リードやコネクタピンのような計測対象の連続した突起のエッジを検出し、それらの本数・間隔・長さを測定します。

画像処理エッジ検出 シャープ

⑤株式会社キーエンス

https://www.keyence.co.jp/

【所在地】
大阪市東淀川区東中島1-3-14
TEL:06-6379-1111

【製品】
こちらをクリック

画像寸法測定器 IM-7500は、検査対象を測定器にセットし、品種の切り換えをすることなく、測定ができる寸法測定器です。
ピントを自動で調整する機能、サブピクセル処理でエッジを検出する機能などでエッジ部の認識にばらつきがないことで、正確な測定ができます。
IM-7500は、寸法測定が、速く、正確に、簡単にできることが特徴です。さらに、最適な照明条件を使うことで、より正確にエッジが抽出できることも特徴の1つです。

画像処理エッジ検出 キーエンス

⑥オプテックス・エフエー株式会社

https://www.optex-fa.jp/

【所在地】
京都市下京区中堂寺粟田町91 京都リサーチパーク9号館
TEL 075-325-2920

【製品】
https://www.optex-fa.jp/tech_guide/light_solution/part/parts_002.html

図は、センシングリング照明OPR-S55-28W+LAを用いたエッジ検出の様子です。
OPRは、アタッチメントレンズを使用し、ローアングル照射に切り替えることで、チップ部品のみへの照射が可能です。
そのため、ノズルと背景に関係なくチップ部品エッジだけを明瞭に撮像します。

画像処理エッジ検出 オプテックス・エフエー

⑦美和電気工業株式会社

https://www.miwadenki.co.jp/

【所在地】
東京都新宿区新宿1-8-5 新宿御苑室町ビル
TEL:03-3341-2101(代)

【製品】
https://www.miwadenki.co.jp/solution/picture/

図は、画像処理エンジンHALCONによる円弧状の計測です。
この計測の目的は、金属部品中央部にある4つの穴の間の幅を、計測することです。
計測範囲を矩形で設定すると、直線と円弧の違いから高精度に計測できませんが、HALCONは、計測範囲を環状に設定することができます。そのため、円弧に垂直なエッジ点の抽出ができて、円弧に沿ったエッジ点間の距離の計測が可能となります。

画像処理エッジ検出 美和電気工業


⑧コグネックスコーポレーション

https://www.cognex.com/ja-jp

【所在地】
(東京オフィス)
東京都文京区本駒込2-28-8 文京グリーンコート23階
Tel:03ー5977ー5400

【製品】
https://www.cognex.com/ja-jp/products/machine-vision/vision-software/vision-tools/edge-inspection

コグネックス社の画像処理ソフトウェアの中で、ビジョンツールには、ビード検査、エッジ検査、パターンマッチング、寸法計測ツール、識別などのツールがあります。
図は、エッジ検査ツールで、エッジや傷を検出する InspectEdgeと、フレキシブル傷検査ツールです。
InspectEdge(図の右側)は、直線・円形・不規則な形状のエッジで、ギャップと欠陥を検出します。フレキシブル傷検査ツール(図の左側)は、境界と表面の欠陥を検査します。

画像処理エッジ検出 コグネックス

⑨SSI Japan株式会社

http://www.ssi-japan.com/

【所在地】
東京都品川区南大井3丁目34-3 オフィスAビル501号
TEL:03-6423-1602

【製品】
http://www.ssi-japan.com/products/stream-vision/355-edge.html

Stream Visionは、SSI社が精密塗布用に開発した、画像処理ソフトです。このソフトの特徴の1つが、高精度アライメント機能で、その機能のなかにエッジ検出アライメント機能があります。この機能は、寸法誤差や傾きがある検査対象のエッジを正確に検出し、塗布軌跡を自動補正し、エッジから一定の距離を保って、塗布することができます。
図の左下が、一般的なアライメント機能で、右下が、エッジ検出アライメント機能です。

画像処理エッジ検出 SSI Japan

⑩エイチエスティ・ビジョン株式会社

https://www.hst-vision.co.jp/

【所在地】
東京都台東区上野2丁目14番27号上野の森ファーストビル11階
TEL:03-6808-9020

【製品】
https://www.hst-vision.co.jp/products/imageprocessing/

エイチエスティ・ビジョン社の画像処理ライブラリは、幾何学形状サーチ、正規化相関サーチ、キャリパ、ブロブ解析といった画像処理の他に、位置決めや検査に適合する画像処理ツールのパッケージです。
その中の一つ、幾何学形状サーチツールX-Matchは、何学形状データをモデルとして画像内部で幾何学形状が一致する箇所を探し出し、配置情報を表示します。
高精度で高速に処理すること、ロバストな認識性能があること、多様な条件でサーチ検出ができることなどが、特徴です。
図は、高精度高速処理を示します。輪郭位置からマッチングを行うため、高速で高精度なアライメントができます。

画像処理エッジ検出 エイチエスティ・ビジョン

6.画像処理システム導入のご相談は画処ラボ

このコラムでは、画像処理の中の、エッジ検出について紹介しました。
画像処理の方式はいろいろあり、同じ方式、例えばエッジ検出の方法でも、いくつかの手法があります。
検査対象の状況も、カメラの解像度、位置、照明の明るさや当てる位置など、その状況に応じて画像が変わるため、画像処理の方式もやアルゴリズムの処理順序も変わってきます。

さらに、同じエッジ処理でも、メーカーごとに独自の手法を開発しています。
これは、多くのワークを対象とした検査の経験から最も最適なものが選ばれていることでしょう。

こうしてみると、同じような飲料水を作るペットボトルの製造ラインでも、メーカーごとに特色ある製造方法がありますから、ボトルの検査装置の方式も異なってきます。
そのため、検査装置で処理する画像処理の方式も、ボトル製造ライン独自の画像処理を行っていると言っても良いでしょう。

したがって、製造ラインのワークの検査装置を設置し、画像処理の方式を選ぶとき、処理パラメータのチューニングを行うときも、独自に開発が要求されます。

その製造ラインを多く手掛けていれば、経験から短時間で検査装置を完成できますが、経験が不足していると、短時間での完成はできません。
5章の「画像処理メーカー」のように、独自の画像処理の実績と経験が豊富なメーカーが多くあります。
そのような経験が豊富なメーカーなどに相談し、自社にあったシステム導入を行いましょう。

画像処理システムの導入をご検討の際は、まずは画処ラボまでお気軽にお問合せください。

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関東最大級のロボットシステムインテグレーター 画像処理の検証から装置化ならお任せください

050-1743-0310 営業時間:平日9:00-18:00

つくば工場:茨城県土浦市卸町2-13-3、相模原工場:神奈川県相模原市中央区上溝1880番2 SIC3-317