食品工場で活躍する自動化ロボットとは?種類や最新事例紹介
自動車や電機製品の大規模工場では欠かせない存在となっている自動化ロボット。
昨今は私たちが日々口にするお菓子や総菜といった食品の工場にも、活躍の場が広がっています。
従来、食品は軟らかくロボットが扱いにくい製品が多いため製造の自動化が進んでいませんでしたが、ロボット本体や治工具などの進化により、適用例が増えてきました。
地方を中心に人手不足に悩む食品事業者が数多く存在する中、課題解決に向けた“救世主”としてロボットに期待がかかっています。
もし、あなたの食品工場に合ったロボットをラインに追加して、
・省力化、省人化してコストダウンしたい
・生産性アップして売上を上げたい
・人的ミスを減らして品質価値を高めたい
・どのメーカーのロボットを使えば効率的かわからない
場合は、関東最大級のロボットSIer、FAプロダクツまでお問い合わせください。
食品工場のロボット導入が得意な技術者が、最適なご提案をさせていただきます。
目次
1.仕分け用ロボット(パラレルリンクロボット)
食品工場におけるロボットの用途として、代表的なのが製品の仕分け作業です。ピッキングとも呼ばれます。
ベルトコンベヤーでランダムに流れてくる製品を、ロボットが腕(アーム)の先端で次から次へと吸着し、整列していきます。
製品はたいてい、次工程で専用の自動機によって箱詰めや包装がなされます。
つまり、箱詰め機や包装機に製品をセットする上での“下準備”をロボットが担うわけです。
これまで、こうした作業はアルバイトやパートなどの従業員が主に担っていました。
しかし人手不足が深刻化し、生産性向上も迫られる中、自動化に踏み切る工場が増えています。
最近では、製品を整列するだけでなく、トレーや箱へのセットなど次工程の一部まで担うロボットシステムも実用化されてきました。
物体を認識するビジョンセンターの性能向上や低価格化などによって、高度な作業が実現しています。
このような仕分け作業では、上方に吊るされる形式で高速動作を得意とするパラレルリンクロボットが広く使われています。
3つのモーターを用い、並列に配置した3軸を動かし位置制御する仕組みが主流で、デルタ型ロボットとも呼ばれます。
代表的な食品の自動仕分けラインでは、同ロボットが上から製品を吸着し、目にも止まらぬ速さで適切な位置に配置していきます。
2.荷積み用ロボット(パレタイジングロボット)
食品工場において、仕分けと並び多く使われる用途が、製品出荷前の荷積み作業です。
キログラム単位の段ボール箱や袋などを動かす作業であるため、現場作業者への負担は重く、ロボットにとっては“活躍しがいのある場”といえます。
荷積み作業では、主に可搬質量50キログラム以上の垂直多関節ロボットが使われます。
仕分けと比べ精密さや高速さが必要ない半面、重量物を軽々と持ち上げて動かすパワーが求められます。
動作の自由度は一般的な垂直多関節ロボットほど必要でないため、軸数は通常より少ない4-5軸程度が採用されることが多いようです。荷積み用ロボットは一般にパレタイジングロボットと呼ばれます。
ところで食品工場では、衛生面への対応が欠かせません。特に昨今は異物混入対策などへの社会的要請が厳しくなり、食品メーカーは神経を使わざるを得なくなっています。
ロボットメーカー各社はそのようなニーズに応えるべく、食品工場向けの製品をラインアップしています。
例えば、潤滑用のグリースを食品由来にしたり、防滴仕様にして洗浄可能にしたりするなど、さまざまな工夫を凝らしています。
したがって、ロボット導入に関する衛生面でのハードルは低くなっています。逆に昨今は異物混入対策としてロボットを導入する例もあるほどです。
ロボットは人的ミスのリスクがなく、また万が一問題が起きても原因究明がしやすいからです。
3.人と協働するロボット
食品工場向けでは、新種のロボットとして「人と協働できるロボット」も注目されています。
上に紹介した従来型のロボットはいずれも、安全確保のため作業者と隔離された空間で動作することを前提としており、「人と協働」はできません。
自動化ロボットは人に似た動作ができる半面、人よりはるかに大きな力を持ち、適切なリスク管理をしないと思わぬ事故を誘発し得るからです。
他方で人と協働できるロボット、いわゆる「協働ロボット」は、作業者の隣でも稼働できるよう安全面の配慮がなされています。
例えば代表的なロボットメーカーのファナックは、2015年から協働ロボット「CRシリーズ」をラインアップしています。
同シリーズのロボットは、人などと接触すると自動で停止する機能を備えています。このため、人の立ち並ぶ仕分けラインに設置するなど、従来より自由な活用が可能になります。
ある食品メーカーの経営者は、「欠員が出た時にすぐヘルプに入れるロボットがほしい」といいます。
納品計画はタイトに設定されている一方、生産を支える従業員は生身の人間であるがゆえ、欠勤リスクもゼロではないためです。
こうしたニーズに対し、協働ロボットはフィットする存在といえます。従来型のロボットのように、作業場を隔離するため安全柵などを設ける必要がないからです。
ファナックをはじめ、昨今多くのロボットメーカーが協働ロボットを製品化していますが、その中の多くがキャスターやAGV(無人搬送車)などで容易に移設できる仕様になっています。
4.広がるロボットの用途
仕分けや荷積みに加え、近年は食品工場におけるロボットの新たな活用法が提案され始めています。
ファナックと同じくロボット大手の川崎重工業は、協働ロボット「デュアロ」を用い、ピザ生地にソースを塗る作業の自動化を実現しています。
このシステムでは、コンベヤー上を流れてくる生地に対し、デュアロが右腕でソースを吹き付け、左腕でまんべんなく塗布していきます。
これまでロボットがあまり得意としてこなかった軟らかい食材を扱う作業という意味で、挑戦的な試みといえます。
また、扱う対象が包装前の食材であることも、新しい点です。上に述べた衛生面の配慮により実現しているシステムとも位置付けられます。
こうした実際の調理に近い仕事は、ロボット導入が先行している仕分けや荷積みに比べ、今でも大部分が人力で行われているのが実情です。
理由は、これまでロボットにとって難易度が高かったためですが、このシステムが示すように供給側の工夫により徐々に自動化が可能になっています。
そして、足下で人手に頼っているからこそロボット導入の余地があり、今後加速度的に普及する可能性を秘めています。
このシステムで重要な役割を演じているのが、ロボットのアームの先端に取り付けられた治工具です。
通常、用途に応じてこうした治工具が設計・製作され、ロボットの活躍に一役買うことになります。
前述した仕分けや荷積み作業の場合、製品を吸着する器具がそれにあたります。あるロボットユーザーは、「ロボット本体より治工具の性能の方が我々にとって重要」と言い切ります。
5.食品業界の自動化最新事例
2021年9月には、経済産業省の「令和3年度革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」にて
人手不足が顕著な分野へロボットを導入していく上で、導入コストの低減につながるロボットを導入しやすくする環境(「ロボットフレンドリーな環境(ロボフレ)」)の整備が重要と位置付け、一般社団法人日本惣菜協会が採択されています。
参考:経済産業省「ロボットフレンドリーな環境が実現する日が近づいています。~「令和3年度革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」にて4社採択されました~」
<事業内容>
・製造工程の中でも自動化が難しいとされる「盛付ロボットシステム」の開発を行い、工場に導入
・食品工場に導入するロボットシステムについて、UIなどのガイドライン提供を含む協力体制を構築
・廉価な盛付アームロボットの構想設計
・廉価なトップシール機の構想設計
将来的には、構想設計に基づき、廉価な盛付アームロボットやトップシール機の開発を進めることを想定しています。
今回の事業には、日本惣菜協会より選定された協力企業として弊社・株式会社FAプロダクツも参加しています。
参考:「日本惣菜協会が主導する令和3年度 革新的ロボット研究開発等基盤構築事業にTeam Cross FA幹事企業3社が参画」
6.ロボット導入で活躍するSIer
このような治工具を作ったり、ロボット本体と組み合わせてシステムにしたりするのが、ロボットシステムインテグレータ(SIer)です。
上記のユーザーのコメントからも分かる通り、自動化ロボットは治工具と組み合わさりシステムになって初めて価値を発揮するため、SIerは非常に重要な役割を担います。
工場の自動化を支える縁の下の力持ちといったところでしょうか。
食品分野は需要拡大が見込めるため、SIer各社は同分野に合わせたシステムの提案を強化しています。
アジア最大級の「食」の総合トレードショー「FOOMA JAPAN」。2019年7月に東京・有明の東京ビッグサイトで開かれた最新回には、数多くのロボットSIerが参加し、自社の技術をアピールしました。
中でも注目を浴びたのが、企業コンソーシアム「Team Cross FA」のロボコムとオフィスエフエイ・コムがAI研究で知られる東京大学・松尾研究室と共同開発したキャベツの定量盛り付けシステムです。
千切りキャベツはロボットにとって扱いにくく従来盛り付けの自動化は困難でしたが、このシステムではAI技術の一種「強化学習」を用い、アーム先端でロボットの“手”となるロボットハンドの制御を最適化しています。
AIがキャベツの適切なつかみ方や量を“学習”するため、作業が進むたびに精度が改善するのが特徴です。
最初はキャベツをつかむことすらできないのに、学習する度に作業の質が向上していく様は、人が仕事を覚える過程を想起させます。
このように、ロボットSIerは食品工場の人手不足解消に寄与するのみならず、ロボットの新たな可能性を切り拓く存在といえます。最後に代表的なSIerを以下に記しておきます。
①株式会社FAプロダクツ
【特徴】
FAプロダクツは年間200台もの実績がある関東最大級のロボットシステムインテグレーターです。一貫生産体制をとっており、設計から製造までをワンストップで対応。費用・時間にムダなく最適化を行うことができます。
また、お打ち合わせから原則1週間以内に「お見積りとポンチ絵」をご送付。
【ポンチ絵とお見積りのサンプル】
テキストやお電話だけでは伝わりづらいゴールイメージを共有し、スピード感を持った対応を心がけています。
【所在地】
茨城県土浦市卸町2丁目13-3
TEL.050-1743-0310(代表)
FAX.050-3156-2692(代表)
https://jss1.jp/
【営業品目】
- 産業用ロボット
- 生産設備合理化・省力化の設計及び製作
- 基板電気チェッカーや貼合・折曲など
- 治具の設計・製作
【実績】
NM社(電子部品の製造販売)、HS製作所(情報通信・社会産業・電子装置・建設機械・高機能材料・生活の各システム製造販売)、TT社(ショッピングセンターなどリテール事業)、SM社(自動制御機器の製造・販売)、OR社(自動車安全システムの製造販売)
②オフィスエフエイ・コム
【本社所在地】
栃木県小山市楢木293-21 小山南工業団地内
TEL: 0285-41-1140(代表)
FAX.0285-41-1164
③株式会社 FAプロダクツ
【本社所在地】
東京都港区新橋5丁目35番10号 新橋アネックス2階
TEL:03-6453-6761
FAX:03-6453-6762
7.ロボット導入のご相談はFAプロダクツへ
技術の向上により、従来は自動化が難しかった工程も置き換えが可能となり、食品工場でも、さまざまなロボットの導入による自動化が進められています。
導入の際は専門性を持ったロボットSIerなどの力を借りることで、より効率的な最適化が可能となるでしょう。工場へのロボット導入に関するお悩みは、お気軽に株式会社FAプロダクツにご相談ください。
関東最大級のロボットシステムインテグレーター ロボットシステムの設計から製造ならお任せください
050-1743-0310 営業時間:平日9:00-18:00