赤外線を用いた画像処理を簡単解説!種類・原理・導入事例
赤外線を検出することができる赤外線カメラは、暗闇での撮影や温度検知用などさまざまな場面で使用されています。また、赤外線画像処理技術の向上により、工場などで高速生産される製品の品質検査にも赤外線カメラが利用されるようになっています。
今回は、赤外線の基礎や赤外線カメラを使用したサーモグラフィーなどの製品事例について解説します。最後に、赤外線技術を用いた生産工程管理機器や成分分析機器や、具体的な赤外線カメラ取扱メーカについても紹介します。
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目次
1.身近な赤外線
赤外線(IR)とは、人の目では認識できない波長の光であり、その波長は780nm〜1000μmであり、波長ごとに以下のように分類されるのが一般的です。
- 近赤外線(NIR):780nm〜2.5μmほど
- 中赤外線(MIR):2.5〜4μmほど
- 遠赤外線(FIR):4〜1000μmほど
各波長領域によって、赤外線カメラや異物分析などに用いられるフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)、電気オーブンまで幅広く利用されています。
(1)赤外線がカメラとして使用される例
赤外線を物体に照射した時、光は以下のように分かれます。
透過光:物体を通り抜ける赤外領域の光
反射光:物体表面で反射する赤外領域の光
放射光:物体が赤外線を吸収して温度上昇した結果発生する赤外領域の光
赤外線の特徴を活かして撮影する赤外線カメラは、被写体の表面からの輻射光を検出して、デバイス内で画像処理を行います。赤外線カメラは、検知する波長領域によって撮影するものが変わります。例えば、近中赤外領域ならば暗視野の環境であっても対象物を明確に撮影でき、監視カメラなどの暗闇での撮影が必要なシーンで使用されます。
また、遠赤外線領域を対象とした撮影をする場合は、サーモグラフィのように、対象物の熱放射を検知して画像化もできます。
(2)赤外線と写真加工
デジタルカメラで撮影したモノクロの赤外線写真は、写真加工によってさまざまな色表現を行うことができます。デジタルカメラのRAWデータを、PhotoshopやGIMP2などの写真加工ソフトで、カラースワッピングやスノー効果などのカラー色変換を行うことで、非現実的で幻想的な色彩に加工することができるのです。
2.赤外線カメラによる画像処理技術
赤外線カメラは、人の目では視認できない被写体の赤外線を、検知できることが最大の特徴です。そのため、単に撮影を目的とするだけでなく、画像処理技術と組み合わせて、被写体が発する赤外線量の違いを検出することで、内部にあるクラックなどを見つけることもできます。
赤外線のメリットは、赤外領域の波長の吸収や反射状態を解析することで、さまざまな分析に活用できるという点にあります。
(1)赤外線カメラによる温度の可視化
サーマルカメラという赤外線カメラを使用することで、物体の温度を可視化することもできます。サーマルカメラは、被写体が発する遠赤外領域の放射光を検出するセンサが設置されているため、非接触かつ暗闇でも温度を検知できます。センサで検出した温度を、温度が高い箇所を赤色、温度が低い箇所を青色といったように画像処理によって色付けすることで、サーモグラフィーとして画像化できるのです。
新型コロナウイルスの感染拡大もあり、人の体温を可視化するためにサーマルカメラや関連アプリが一般的に普及しています。
(2)複数枚超解像処理
赤外線カメラは、工場や工事現場などで、微細キズや内部異常を検知するために使用されています。ただ、画質を求めるあまり高画素化を目指せば、赤外線カメラ自体が非常に高額になるため、ソフトウェア処理によって高画素化や空間分解能の向上を目的とした研究開発も行われています。
日本アビオニクスの「複数枚超解像処理」では、連続撮影された画像を組み合わせることでノイズを除去して鮮明な画像を抽出でき、「インフレックR500」という製品にも当該画像処理技術が搭載されています。
(3)構造・成分解析(赤外分工法)
赤外カメラとは離れますが、赤外線は構造や成分分析にも利用できます。
赤外分光法とは、分析対象に赤外領域の波長の光を照射して、反射また透過した光を検出・分析することで、対象物の組成や構造を解析するために用いられます。赤外線は、紫外線に比べてエネルギーが小さいため、分子振動や回転によって、吸収が生じるという特徴があります。
赤外光の吸収を画像処理してスペクトル化することで、各物質特有の赤外吸収パターンと比較することで、化学構造が判明するのです。
3.赤外線カメラによる画像処理の導入事例
赤外線カメラを使用した画像処理技術は、製造現場などのさまざまな業界で活用されています。ここでは、赤外線カメラを使用した工程監視用システムや、赤外線技術を活用した分析機器について紹介します。
(1)サーモカメラ監視システム
観察対象物の熱放射を検知して、画像に変換するサーモグラフィは、工場における温度管理や異常検知に用いられます。固体の熱伝導はもちろん、空間や液体、透明なフィルムなどの温度も可視化できるため、幅広い使い方ができます。例えば、延伸のために加熱したフィルムを、冷却ロールで冷却した後の温度分布を調査して冷却効果を検証したり、発熱体付近の空間温度分布を調べることで、作業環境設定のための事前確認を行うこともできます。
(2)赤外線検査装置
赤外線検査装置は、赤外線画像を元に、人の目では確認できないような製品の傷などを検査することが可能です。パイプなどの鏡面加工品の微細キズや、金属加工品やセラミック成形品はもちろん、シリコンウェハ上のミクロンオーダーのクラックまで検出できます。赤外線を照射して検知するため、非破壊で製品へのダメージを与えることなく短時間での連続検査をできることが最大の特徴です。
(3)赤外線厚み測定器
プラスチックフィルムの製膜ラインやコーティングラインなどでは、フィルムや塗膜の厚み管理をインラインで行う必要があります。幅方向や流れ方向の厚みの均一性が確認できなければ、オフライン検査でのスポット検査のみでは良品として出荷できないからです。また、膜厚測定値が生産管理値の上下限付近であれば、生産条件を調整する必要もあります。
(4)FT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計)
製造業において、発生した異物などの分析に使用されるのが「FT-IR」です。生産中に欠点が発生した際には、原因物質がわからなければ、対策ができずに不良品を生産し続ける事態に陥ります。また、エンドユーザから欠陥の指摘があった場合、対象物の組成分析を行うことで、自社起因の欠陥なのか確認することもできます。
FT-IRは、赤外分光法で測定した透過光や反射光の計測結果を、コンピュータ上でフーリエ変換してスペクトルを得る方式です。分散型のIR分析器に比べて波数精度が高く、高波数の分析が容易という特徴があり、成分分析ではスタンダードな方式となっています。
4.赤外線カメラを用いた画像処理におすすめのメーカー・ロボットシステムインテグレータ3選
①株式会社FAプロダクツ
【特徴】
FAプロダクツは年間200台もの実績がある関東最大級のロボットシステムインテグレーターです。一貫生産体制をとっており、設計から製造までをワンストップで対応。費用・時間にムダなく最適化を行うことができます。
また、お打ち合わせから原則1週間以内に「お見積りとポンチ絵」をご送付。
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テキストやお電話だけでは伝わりづらいゴールイメージを共有し、スピード感を持った対応を心がけています。
また、同社の「画処ラボ」では、画像処理を用いた外観検査装置の導入に特化し、ご相談を受け付けています。従来は目視での官能検査に頼らざるを得なかった工程の自動化をご検討の際などにご活用ください。
業界最大級の画像処理検証施設を開設!
「画処ラボ」ではルールベースやAIの画像処理を専門エンジニアが検証。ご相談から装置制作まで一貫対応します。
【所在地】
茨城県土浦市卸町2丁目13-3
TEL.050-1743-0310(代表)
FAX.050-3156-2692(代表)
https://jss1.jp/
【営業品目】
- 産業用ロボット
- 生産設備合理化・省力化の設計及び製作
- 基板電気チェッカーや貼合・折曲など
- 治具の設計・製作
【実績】
NM社(電子部品の製造販売)、HS製作所(情報通信・社会産業・電子装置・建設機械・高機能材料・生活の各システム製造販売)、TT社(ショッピングセンターなどリテール事業)、SM社(自動制御機器の製造・販売)、OR社(自動車安全システムの製造販売)
②株式会社ビットストロング
【特徴】
- 工業用から一般家庭用まで幅広いサーモグラフィーの品揃え
- サーモグラフィーや医療用撮影機器のレンタルサービスも実施中
- FA系や医療系の画像処理システムの受託開発も実施
【所在地】
東京都港区浜松町1-1-10 秋間ビル6F
TEL.03-3437-5315(代表)
FAX.03-3437-5368
https://www.bitstrong.co.jp/
③日本アビオニクス株式会社
【特徴】
- 赤外線サーモカメラを用いたプロセスコントロールシステムなど取扱い多数
- 航空宇宙・防衛など幅広い産業へのシステム導入実績あり
- 約2,500種以上のハイブリットIC及びモジュールの生産実績あり
【所在地】
横浜市都筑区池辺町4475番地
TEL.045-287-0300(大代表)
https://www.avio.co.jp/
5.赤外線カメラ設備の導入に関するご相談はFAプロダクツへ
赤外線カメラによる、製品監視システムを導入する際には、カメラの種類や設置方法だけでなく画像処理システムとの連携も重要です。
赤外線検査装置についてのご相談は、赤外線関連システムの導入実績とノウハウのあるFAプロダクツまでご連絡ください。
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