非破壊検査に対応可の会社6選!業界の市場動向や将来性も考察
「非破壊検査(NDT)を請け負ってくれる会社を探しているけど、どこがよいのかわからない」とお悩みではないでしょうか。
非破壊検査は検査物に直接手を加えたりキズをつけたりする必要がない試験です。人間の目では確認しづらい欠陥や製品の大きさ・厚さなどを検査できます。しかし、専門知識や技術が必要になる検査であるため、信頼のない会社の製品やサービスを利用するのは非常にリスクが高いです。
当記事では非破壊検査を請け負う会社6つや、非破壊試験の概要や将来性について解説します。
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目次
1.非破壊検査の会社とは?種類やメリット・デメリット
非破壊検査とは、検査の対象物を壊したり傷つけたりなどせずに欠陥・劣化・位置・形状などを調べて状態を判定することです。大型プラントや鉄道、ビルなどの大型構築物や工業製品など、さまざまな物体の形状・機能を破壊することなく検査を行います。
専門知識や技術、経験が必要になるため、非破壊検査の実施は実績がある会社に依頼するのがおすすめです。ただし会社によって得意・不得意な分野があるため、事前に「どんな種類の非破壊検査があるのか」を知っておきましょう。以下では「非破壊検査の種類」に加え、非破壊検査を実施するメリット・デメリットをご紹介します。
(1)非破壊検査の種類
日本産業標準調査会によって定められた非破壊検査には、主に次の種類が存在します。
- 超音波探傷試験
- 放射線透過試験
- 磁粉探傷試験
- 浸透探傷試験
- 渦流探傷試験
- 漏れ(リーク)検査
- アコースティック・エミッション試験
- ひずみゲージ試験
- 外観試験
- 赤外線サーモグラフィ試験
今回は上記の上から5つの試験の概要をご紹介します。
①超音波探傷試験(UT)
超音波探傷試験とは、深触子と呼ばれるセンサーが発信する超音波(エコー)の反射を利用して検査を行う手法です。固体や液体などの物資内も伝播する超音波の性質を利用し、反射して戻ってくる超音波の強さや時間を計測することで、内部にあるキズや物体の厚さを検査します。
②放射線透過試験(RT)
放射線透過試験とは、X線やγ線などの放射線を検査対象物に照射し、透過した内部の状態をフィルムに写し出して調べる手法です。物体にあるキズや分厚い部分は多くの放射線が透過するため、フィルムにより強い黒色が反映されます。その濃淡状態を見て判断を行います。
③磁粉探傷試験(MT)
磁粉探傷試験とは、磁化させた検査対象物に磁粉をかけることで、表面のキズを検出する手法のことです。磁化させた検査対象物にキズがあると、その部分に電極が生じて磁粉が集まります。するとキズの数倍から数十倍の磁粉模様が浮かび上がってくるため、その部分を目視で確認します。
④浸透探傷試験(PT)
浸透探傷試験とは、検査対象物の表面に浸透液を塗布して浸透させ、表面のキズの部分を浮かび上がらせる手法です。キズの部分に浸透液を溜め、その後に毛管現象を利用して浸透液を吸い出し、浮かび上がった浸透液をカメラやブラックライトでチェックします。
⑤渦流探傷試験(ET)
渦電流探傷試験とは、検査対象物に交流を流したコイルを近づけて磁界を発生させ、キズや在シスの変化を検出して確認する手法です。
(2)非破壊検査のメリット・デメリット
非破壊試験を行うメリットは次のとおりです。
- 検査対象物を保護したまま検査できる
- 目視では確認しづらい内部まで検査できる
- 危険箇所の事前検出によるリスクマネジメントにつながる
続いてデメリットは次のとおりです。
- 材質や大きさによって適切な試験を選択する必要がある
- 間接的な検査になるため結果に不確実性が残る
- 検査に関する専門的な知識や経験が必要になる
超音波や放射線、磁力などを扱う試験が多いため、素人判断では判別が難しいどころか正しい手順。自社で非破壊検査を行う場合は、「一般社団法人 日本非破壊検査協会」の資格試験を受けたり、検査機器のトレーニングを積んだりなどの人材教育が必須です。
もし人材育成やトレーニングの時間を割く労力や時間にお悩みの場合は、非破壊試験を請け負ってくれる会社へ検査を依頼することをおすすめします。とくにタンクなどの大型のものや圧力容器など失敗が事故につながるものに関しては、専門業者の力を借りるのが無難といえるでしょう。
2.非破壊検査の業界動向!将来性はどうか?
非破壊検査は、日本の工業製品やその他の建造物の異常を事前に見つけるためには非常に大切な作業です。工場ラインの自動化システムや産業用ロボットならびその部品の需要が増えるなか、非破壊検査の役割も大きくなっています。
ここからは非破壊検査の業界動向や将来性についての考察を見ていきましょう。
(1)非破壊検査の市場概況
株式会社矢野経済研究所の調査によると、2019年度のものづくり向け非破壊検査機器世界市場は6,411億円、日本市場は637億円との見込みを出していました。
装置・機器・受託業務の場合は、2017年度に2兆8,356億円と過去に見込まれています。2025年には4兆2,592億円まで伸びると予想されるほど、将来的に市場や需要が拡大していくと見解がなされました。
2019年までに市場は拡大を続けていましたが、2020年では新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあって、製品の受注減が見られています。しかし、後述する技術の進歩による非破壊検査の高精度化や、産業機器関係の部品などの需要増による「非破壊検査そのものの需要」が増えるとの予想から、今後も非破壊試験の市場は上昇すると考えられます。
(2)非破壊試験市場の将来性や技術展望
製造現場や日常生活などでも見かけるようになったAIやIoT分野の技術ですが、非破壊検査市場との関係も進みつつあります。
たとえば2020年には株式会社Laboro.AIによる「非破壊検査領域におけるカスタムAI」の開発・提供がありました。こちらは渦流探傷試験における損傷箇所の特定を支援するソリューションです。試験技術にAIが加わることで、将来的に高精度化や自動化につながるのではないでしょうか。
しかし進化しつつあるものの、非破壊試験自体にAIやIoT技術を取り込むのはまだまだ困難といわれています。磁粉探傷試験や放射線透過試験などの結果判別はまだAIで難しいとの見解があるためです。
とはいえ工場の自動化やAI・IoT技術進化は加速していることから、今後も非破壊試験をサポートする技術がますます世に出てくると予想されます。加えて元々AI分野と深い関わりがあるマシンビジョン分野も市場が拡大中です。
なにより、これらの技術進化に必要な機器や部品の検査にも、非破壊検査が行われています。今後も検査需要は増えていくと考えられるでしょう。
3.非破壊検査に対応する会社と実施検査の種類
ここからは非破壊検査に対応する会社と、会社ごとに実施している検査の種類をご紹介します。
(1)日本非破壊検査株式会社
日本非破壊検査株式会社とは、1956年に創業して以来、非破壊検査分野のリーディングカンパニーとして業界を引っ張ってきた企業です。「一般社団法人 日本非破壊検査協会」「一般社団法人 日本社会基盤安全技術振興協会」などの団体にも加入しています。
材料関係や熱交換チューブ等、圧力容器、鋼構造物などの検査に対応可能です。業業界も製造・電気・建築・土木など、あらゆる業界の非破壊検査を引き受けてくれます。
【対応できる非破壊検査】
- 超音波探傷試験(水浸超音波探傷試験)
- 放射線透過試験
- 磁粉探傷試験
- 浸透探傷試験
- 渦流探傷試験
- 目視検査
【所在地(本社)】
東京都大田区大森北 4-4-3
TEL:03-3761-3521
FAX:03-5763-7049
https://www.jndi.com/
(2)電子磁気工業株式会社
【特徴】
電子磁気工業株式会社とは、創業以来、「磁気」の特性を生かしたさまざまな商品を開発・販売している企業です。時代に合わせた幅広いニーズに対応し、自動車メーカなどを中心に各方面から高い評価を得ています。
非破壊検査の分野では磁気と電力の技術を生かした、ソリューションを提供しています。
【対応できる非破壊検査】
- 磁粉探傷試験
- 渦流探傷試験
- 画像処理システムによる画像でのキズ検出
【所在地(本社工場)】
東京都北区浮間5-6-20
TEL:03-5970-8681
FAX:03-5970-8680
https://www.emic-jp.com/
(3)株式会社大検
株式会社大検とは、産業設備やインフラ設備、建築、土木などのさまざまな分野で非破壊検査技術サービスを提供してきたメーカです。
非破壊検査においても非常に多くの手法に対応でき、コンクリート構造物の調査や橋梁調査も可能。米国非破壊検査協会のSNT-TC-1A(非破壊試験技術者の技量を認めるために推奨されている手順)により認定された検査技術者が在籍しているのも特徴のひとつです。
【対応できる非破壊検査】
- 超音波探傷試験(フェーズドアレイ検査)
- 放射線透過試験
- 磁粉探傷試験
- 浸透探傷試験
- 渦流探傷試験
- ヘリウムリークテスト(漏れ試験)
【所在地(本社)】
大阪府守口市暁町4-27
TEL:06-6991-7481
FAX:06-6991-7484
https://www.daiken-ndt.co.jp/
(4)総合非破壊検査株式会社
総合非破壊検査株式会社とは、「見えないものを診る会社」をコンセプトに、建物やガスプラントなどの施設や設備の非破壊検査を実施する企業です。
実績も豊富で、これまで配管内の液面調査や金属部材の溶接部、側板溶接部など変形・破損しやすい箇所に関する非破壊検査に携わってきました。
【対応できる非破壊検査】
- 超音波探傷試験
- 放射線透過試験
- 磁粉探傷試験
- 浸透探傷試験
- ひずみゲージ測定
- 開放検査関連
- 自動探傷検査
【所在地】
東京都台東区元浅草3-13-12
TEL:03-6825-4550
FAX:03-5830-0581
http://www.sogo-ndt.co.jp/
(5)原電子測器株式会社
原電子測器株式会社(EDDIO)とは、「きずを視るチカラ」というコンセプトのもと、非破壊検査に対応できる装置を製造しているメーカです。
とくに「渦流探傷試験」と「漏洩磁束探傷試験」を専門にした技術とノウハウを提供しています。導電性や磁性のある対象物の非破壊検査を行う際には、利用をおすすめのメーカです。
【対応できる非破壊検査】
- 渦流探傷試験
- 漏洩磁束探傷試験
【所在地(本社)】
埼玉県戸田市美女木東2丁目2番9号
TEL:048-449-0911
FAX:048-449-8661
https://www.eddio.co.jp/
(6)マークテック株式会社
【特徴】
マークテック株式会社とは、非破壊検査をはじめ、印字装置・マーキング装置、風・環境の再現システムなどを提供しているメーカです。
装置そのものだけでなく、浸透探傷試験用の浸透液・洗浄剤など、非破壊検査で使用する各消耗品も取り扱っています。
【対応できる非破壊検査】
- 超音波探傷試験
- 磁粉探傷試験
- 浸透探傷試験
- 渦流探傷試験
【所在地】
東京都大田区大森西四丁目17番35号
TEL:03-3765-1712
FAX:0120-76-1712
http://www.marktec.co.jp/
4.非破壊検査装置導入に関するご相談はFAプロダクツもおすすめ!
今回ご紹介した非破壊検査を実施する会社を、あらためて以下にまとめました。
非破壊検査会社 | 特徴 |
日本非破壊検査株式会社 | 日本最初の非破壊検査会社 |
電子磁気工業株式会社 | 磁気や電気の技術を駆使した検査 |
株式会社大検 | あらゆる業界や製品に対応 |
総合非破壊検査株式会社 | 総合的な非破壊検査サービスを提供 |
原電子測器株式会社 | 渦流探傷試験特化のサービス |
マークテック株式会社 | 非破壊検査関連の製品も取り扱い |
非破壊検査の業界・技術は今後進化が見込まれるため、今一度「成長しそうな非破壊検査会社はどこか」「自社にぴったりの技術やソリューションはどこが提供しているか」を慎重に検討してみてはいかがでしょうか。
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