垂直搬送機とは?メリットや選び方・活用ポイント、主要メーカ3選
垂直搬送機は、荷物を垂直方向に搬送する設備です。
工場や倉庫などの建物内に設置されて、上下階や中二階に荷物を搬送する際に活用されています。
垂直搬送機は、荷物用の昇降機(エレベーター)とは異なります。人やリフトを乗せることはできませんが、昇降機よりも導入のハードルが低く、有効に活用すれば生産性を大きく上げることも可能です。
今回は、垂直搬送機の選び方や導入メリット・デメリット、生産性を上げるためのポイント、おすすめメーカなどをまとめて解説します。垂直搬送機の導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
1.垂直搬送機とは
初めに、垂直搬送機とは何かについて、図1でそのイメージを紹介します。
垂直搬送機は、垂直方向に物を搬送する設備です。
図1のように、下から半製品を詰めたカートを上階へ運び製品に加工する、または、逆に、2階で製作を終了した製品を、製函して1階に送り、1階の搬送エリアから送り出すというような、搬送設備です。
図1を簡単に説明します。
➀ 製造途中の半製品をカートに詰め込んで、2階に送る準備し、待機します。
② 2階から垂直搬送機が下りてきたら、搬送機の中に入れます。
③ 1階から2階までの途中です。
④ 2階に到着し、カートを搬出する準備に入り、搬出します。
⑤ 1階から搬送された半製品が、最終製作の工程に入るのを待ちます。
あるいは、2階で製造が終わった製品を梱包し、カートに乗せて1階に運ぶために、待機中のものもあります。
- 図1は、1階から2階への垂直搬送の手順ですが、2階から1階に下ろすときは、全く逆の操作となります。
- 図1には周囲への安全対策の枠などはありませんが、十分な安全対策は当然必要です。
- 垂直搬送機には人は乗らないため、建築基準法や労働安全衛生法による、昇降機やエレベータとしての法規制はありません。
- 法規制には定期検査とその報告が含まれますが、報告義務はありません。しかし定期検査・日常点検・定期オーバーホールなどは、スケジュール化して正しく実施しないと、事故は必ず起きます。必ず実施しましょう。
- 垂直搬送機に製造ラインのコンベアを接続すれば、2階の製造工程と合わせて、製造が自動化できます。改造費用と製造のコスト低下と比べてメリットが大きいならば、自動化すべきでしょう。
垂直搬送機について理解するために、以下の動画も参考になります。
垂直搬送機
引用:垂直搬送機 | 株式会社山本精工所
【スライドリフター既存改造型】 入出庫動画 ㈱ジャロック 【昇降機・垂直搬送機
引用:【スライドリフター既存改造型】 入出庫動画 ㈱ジャロック 【昇降機・垂直搬送機】| 株式会社ジャロック
2.垂直搬送機の選び方
次に、垂直搬送機を選定する上でのポイントをいくつかご紹介します。
(1)搬送できる荷物で選ぶ
垂直搬送機は、機種によって搬送できる荷物が決まっている場合があります。最も主流なのはパレットを搬送するタイプですが、それ以外にも台車や箱、袋など、さまざまな荷物の形状に対応できる垂直搬送機も存在します。そのため、自社が搬送したい荷物に対応している垂直搬送機を選定するようにしましょう。
荷物の形状に規定がない場合でも搬送できるサイズや重量に関しては間違いなく規定があります。必ず確認することをおすすめします。
(2)搬送方向で選ぶ
垂直搬送機には、荷物の搬送方向に応じて次のような型があります。
- C型:荷物を積んだ方向と同じ方向に荷物を下ろす
- Z型:荷物を積んだ方向と反対方向に荷物を下ろす
- 両面型:どちらの方向からでも自由に荷物を積んだり、下ろしたりできる
また、エスカレーターのように一方通行にしか搬送できないもの、エレベーターのように双方向に搬送できるものなど、さまざまなタイプがあります。自社工場や倉庫のレイアウトに応じて、最適な機種を選定するようにしましょう。
(3)スペックで選ぶ
垂直搬送機を導入する際には、スペック表を確認して自社の用途に合った機種を選定するようにしましょう。
スペック表の中でも特に確認しておきたいのは、搬送能力です。
メーカや機種によって異なりますが、1分間や1時間の間に搬送できる荷物量か、搬送できる距離が搬送能力として記載されています。生産ラインなどに組み込んで大量に荷物を搬送する場合、垂直搬送機に十分な搬送能力がなければボトルネックとなる恐れがあるので、注意が必要です。
以上、(1)~(3)で垂直搬送機を選ぶポイントを紹介しましたが、まずは何をやりたいのか、運ぶものは何か、将来の拡張計画は何かなど、自社の仕様を明確にすることです。
これには社内の各部署からの協力が必要なため、社内プロジェクトを作って進めるのが効率的でしょう。
そしてそれを踏まえて、垂直搬送機設置コンサルタント会社、垂直搬送機建設会社などの関連会社と、詳細を詰めていきます。
実績あるメーカー数社と相談することで、コストを低減できた垂直搬送機が設置できます。
3.垂直搬送機の導入メリット・デメリット
垂直搬送機の導入には、メリット・デメリットの両方が存在します。どのような内容かをみていきましょう。
(1)垂直搬送機のメリット
①生産性が向上する
垂直搬送機を導入すれば、大きい荷物であっても素早く確実に上下階へ搬送できます。パレットごと搬送できるものが多いので、わざわざパレットから積み下ろしたりする必要がなく、搬送作業の生産性が大きく向上します。
②荷物用の昇降機より導入しやすい
垂直搬送機は人が乗れない仕様になっており、建築基準法でいう昇降機に該当しません。昇降機を設置する際には、建築確認申請や労働基準局の許可、設置後の定期検査報告などが必要ですが、垂直搬送機はこれらが不要であり、導入しやすいというメリットがあります。
③作業者の安全が確保できる
垂直搬送機を活用すれば、人が重い荷物を搬送しなくてすむため作業者の安全を確保できます。垂直搬送機にも各種安全装置が備わっており、人を乗せて動作しないように制御されているので安心して利用できます。
(2)垂直搬送機のデメリット
①導入コストがかかる
上述した通り、垂直搬送機は荷物用昇降機よりも導入しやすいですが、それでも相当な導入コストがかかります。導入後の使用頻度が低い場合には、十分な費用対効果を得られない可能性があるので注意が必要です。また、荷物用昇降機のように義務化はされていないものの、定期的なメンテナンスは必要なため運用コストもかかります。
②スペースの確保が必要
搬送する荷物のサイズにもよりますが、垂直搬送機を設置するには広いスペースが必要になります。垂直搬送機自体の設置スペースだけでなく、荷物を積み下ろしする際にフォークリフトなどが動けるようにしておかなくてはならないので、狭い現場ではかえって作業が滞る可能性があります。
4.垂直搬送機を用いて生産性を上げるポイント
最後に、垂直搬送機を用いて生産性を上げるポイントをご紹介します。垂直搬送機の導入メリットを最大限に得るための参考としてください。
(1)汎用的な機種を導入する
垂直搬送機の能力を最大限に発揮するためには、荷物の形状に制限なく搬送できる機種を導入するのがおすすめです。具体的には、パレットしか搬送できない機種よりも台車や箱、袋など、さまざまな荷物を搬送できる機種の方が汎用的に使えるので望ましいでしょう。
また、必要な機能が後から出てきた場合に備えて、後付けできるオプションが充実している機種を選んでおくと長期間に渡って垂直搬送機を有効活用できます。
(2)ラインに組み込んで使用する
垂直搬送機のなかには、荷台の入り口をコンベアなどと接続できる機種があります。そういった機種を選定してラインに組み込んで使用すれば、上下階への搬送時にラインの流れを止めなくてもよくなるので、生産性の向上が期待できます。
5.垂直搬送機のおすすめメーカと取り扱い製品
ここでは、垂直搬送機のおすすめメーカと、各メーカの主要製品の特徴をご紹介します。
(1)ホクショー株式会社
【特徴】
ホクショー株式会社は、各種搬送システムを開発・製造・販売するメーカーです。特に、垂直搬送システムと仕分け搬送システムに強みがあり、どちらも業界内で高いシェアを誇ります。そのほかにも、パレタイジングシステムやパッケージングシステムなど、モノの流れに関連したあらゆる製品を提供しています。
【所在地】
石川県金沢市示野町イ6
TEL.076-267-3111(代表)
FAX.076-268-2241(代表)
①垂直搬送システム VTSシリーズ
引用:垂直搬送システム VTSシリーズ|HOKUSHO ホクショー チャンネル
豊富なラインナップを揃えている垂直搬送機のシリーズです。50kgまでの軽量物から、3,000kgといった重量物まで対応が可能で、現場によって異なるニーズに合わせて導入できるようになっています。
②クリーン垂直搬送システム
引用:https://www.hokusho.co.jp/standard.html#std_vts
クリーンルーム間での立体的な自動搬送ラインを構築できる垂直搬送機です。ボタン1つで、任意の階へ水平を保ちながら自動搬送できます。
(2)不二輸送機工業株式会社
【特徴】
不二輸送機工業株式会社は、マテハン機器システムと関連サービスを提供しているメーカーです。垂直搬送機とパレタイジングロボットの先駆者でもあり、パレタイザ・デパレタイザ・垂直搬送機・ケーサーなどのさまざまなマテハン機器を扱っています。
【所在地】
山口県山陽小野田市東高泊2327-1
TEL.0836-83-2237(代表)
FAX.0836-83-7272(代表)
①スーパーリフコン(カゴ車・パレット兼用)
引用:https://www.fujiyusoki.com/products/lifcon/carpallet/
パレットだけでなく、カゴ車やカートラックといった不定形な荷物にも対応した垂直搬送機です。常温環境から低温環境まで幅広く対応が可能で、食品・医薬品などの搬送にも適しています。
②コンベレータ(連続搬送式)
引用:https://www.fujiyusoki.com/products/lifcon/convelator/
省スペースでありながら、垂直搬送だけでなくコンベヤの持つ連続搬送の機能も併せ持った垂直搬送機です。複数の荷台が昇降機のように連続して現れることで、高い搬送能力を実現しています。
(3)鈴木製機株式会社
【特徴】
鈴木製機株式会社は、物流機器の設計・製作・施工・メンテナンスを手掛けるメーカーです。「ポーリフト」ブランドで各種昇降機・昇降装置・チェーンコンベヤ・ローラーコンベヤなどを展開しており、直近10年では、トレー搬送型の垂直自動搬送機「トレーリフターシリーズ」も開発・提供しています。
【所在地】
静岡県掛川市下垂木2428-1
TEL.0537-22-9231(代表)
FAX.0537-23-2180(代表)
①アクトレーター
引用:https://www.szk-s.co.jp/product/vertical_conveyor
垂直搬送機の標準的なシリーズで、軽量物から重量物まで幅広い品揃えとなっています。搬送能力が高く、搬送方向に関してはC型・Z型の2種類に加えて前後左右にも対応できる機種があります。
②ポーリフトオート
引用:https://www.szk-s.co.jp/product/vertical_conveyor
同社のブランドである「ポーリフト」本体の前後に搬送コンベヤを取り付けた、簡単操作でリーズナブルな小型の垂直搬送機です。上述したアクトレーターよりも安価に垂直搬送機を導入できます。
6.垂直搬送機の導入に関するご相談はFAプロダクツへ
今回は垂直搬送機のおすすめメーカに加えて、選定時や活用時に役立つポイントを解説してきました。
荷物だけを搬送する目的であれば、荷物用昇降機よりも導入しやすい垂直搬送機が最適です。水平方向の搬送だけでなく、垂直方向の搬送も自動化・効率化したいとお考えの方は、垂直搬送機の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
FAプロダクツでは、関東最大級のロボットシステムインテグレーターとして垂直搬送機のような設備の導入コンサルティングを行っています。垂直搬送機の導入でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
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