ヘーズメーターとは?選定・活用ポイントの解説、おすすめメーカ3選
ヘーズメーターとは、液体やガラス、プラスチックなどの透明な物体の光線透過率を測定し、「ヘーズ:HAZE(曇り度)」値を導き出すための装置です。
完全に透明な物質は光を100%透過させるので、ヘーズ値はゼロになります。
ヘーズメーターがあれば、ガラスやフィルム製品などといった光学特性を重視する製品の品質保証はもちろん、生産現場での品質管理を行うこともできます。
本記事では、ヘーズメーターの選び方のポイントや導入のメリットやデメリット、ヘーズメーターを取り扱うおすすめメーカなどを紹介します。
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目次
1.ヘーズメーターとは
ヘーズメーターは、ガラスやプラスチック、フィルム製品といった透明材料の曇り度や光の拡散度合い、全光線透過率などを測定する装置です。
図1は、ヘーズメーターの原理についてのイメージ図です。
◆ヘーズメーターはガラスなどの透明・半透明材料の「曇り度」(ヘーズ)を測定する装置です。
◆ヘイズ値は図1の右端にある計算式で求められ、T1~T4の値が必要です。
◆ヘイズ値は小さいほど、試料ガラスの光の透過度が大きいく、ヘイズ値が多くくなれば、曇り度が大きい試料ガラスと言えます。
◆まずは、図1の赤線の上側で標準の装置の値を求めます。(T1、T3)
T1:積分球とは、中に入った光が球の中で反射を繰り返し、光を集め空間的に積分して光を均一にするために使用され、入射光の強度に比例した光を受光器から取り出せます。それが図1の上側の左の図で、T1が入射光の強度となります。
T3:図1の上側の右の図では、入射した光は真っすぐ進み、ライトトラップに吸収されます。ライトトラップが100%吸収力がないときには、残りの光が積分球の中で均一な光の強度として受光器で検知されます。その値がT3です。
◆次に、では、試料ガラスの曇り度を測るために、試料を挿入して入射光を当てます。(図1の赤線の下側左図)
T2:試料で反射した光以外の入射光は真っすぐに進む光と、屈折して拡散する光が混じりますが、まっ直ぐの光は反射板で屈折するので、積分球では入射した光と同じ強度の光が受光器で検出されます。その値がT2です。
T4:次に、右図では、真っすぐの光はライトトラップで吸収され、積分球入口で屈折した光が均一化され、受光器は給された光以外の光が検知されます。その値がT4です。
◆ライトトラップの吸収率が100%ととすれば、T3は0になるため、曇り度は、T4/T2×100% の値で求められます。
ヘーズメーターについて、以下の動画も参考になりますのでご覧ください。
全光線・ヘイズ・AGフィルム測定器
引用:全光線・ヘイズ・AGフィルム測定器 haze-gard i【BYK-Gardner】| 株式会社テツタニBYK-Gardner総代理店
透過型ヘーズメーター
引用:Novo HazeTX Transmission Hazemeter | RhopointInstruments
2.ヘーズメーターの選び方
ここではヘーズメーターを選ぶ際のポイントについて紹介します。
(1)測定したい光学特性に合致しているか
ヘーズメーターは、ガラスやフィルムなどの個体に限らず、液体の濁り度なども測定可能です。導入したいヘーズメーターが、どういった試料の測定が可能かは必ず確認しましょう。
また、ヘーズメーターには、全光線透過率だけでなく可視光波長の分光透過率などを測定できるものもあります。
自社で測定したい波長領域に対応できる機種なのか、事前に確認しましょう。
(2)自社の品質保証規格に対応しているか
ヘーズメーターは、主に製品の光学特性の品質保証をするために用いられます。そのため、自社の品質保証規格に対応したヘーズメーターを選ばなければいけません。
ASTM規格やJIS規格は変更されることも少なくないため、必ず最新の規格に対応したものを導入しましょう。
(3)導入前後のメンテサポートなどが充実しているか
ヘーズメーターは、測定したい項目によって必要となるオプションパーツがあります。また、光源や積分球などのように光学特性の測定に大きな影響を与える部品があるため、定期的なメンテナンスが必須です。
インラインタイプのヘーズメーターを導入する際には、特に管理が重要であり、メーカーのサポートが必須です。ヘーズメーターの製造メーカはもちろん、販売代理店のメンテナンスサービスが充実しているものを選択しましょう。
3.ヘーズメーターの導入メリットと注意点
ヘーズメーターは、自社に適したものを選ぶだけでは作業の効率化にはつながりません。その特徴から、導入によってもたらされるメリット・デメリットを把握しておくことが重要です。
(1)ヘーズメーター導入のメリット
①製品の光学特性を詳細に分析できる
ヘーズメーターは、透明材料の初期評価において必須である「光線透過率」や「ヘーズ」が一度に測定できます。装置によっては積分球を用いた分光測定も可能なため、全波長だけでなく特定の波長の透過率や濁度、反射率や色彩の測定も可能です。
そのため、測定したい光学測定項目によってはヘーズメーターだけで全てまかなえるため、測定器の導入費用や管理負担による人的コストを大幅に下げることができます。
②透明な製品の品質管理ができる
ヘーズメーターは、透明な製品のヘーズや全光線透過率といった光学特性を数分で測定できます。装置自体も比較的小型で安価なため、透明な製品を製造している工場の場合は、導入すれば大きな費用対効果を得られるでしょう。
③製造ラインでの品質管理ができる
ヘーズメーターがあれば、製品の品質保証はもちろんですが、製造ラインでの品質管理もできます。また、インライン型のヘーズメーターがあれば、連続生産中にもヘーズ管理が可能です。
(2)ヘーズメーター導入の注意点
①ヘーズメーターだけでは分析できない光学特性もある
ヘーズメーターには、分光測定も可能な機種があるため反射率はもちろん、機種によっては光沢度(グロス)の測定も可能です。ただし、光軸等の設定は限られるため、写像性測定器などで厳密に測定する鮮明度などの光学特性は測定できません。
②ヘーズメーターの校正や機差の確認が必要
ヘーズメーターは、光源や積分球など光学系部品の取り扱いが非常に重要です。測定器を移動させたりする場合には注意が必要であり、測定前や定期的な校正が求められます。
また、製造ライン内に品質管理用のヘーズメーターを設置する場合には、品質保証用のヘーズメーターとの機差確認と補正などが必須です。
4.ヘーズメーターを用いて生産性を上げるポイント
ここでは、ヘーズメーターを用いて製造ラインにおける生産性を向上させるポイントをご説明します。
(1)ヘーズメーターを導入する工程に注意する
ヘーズメーターは比較的測定が容易なため、導入しやすい測定器です。ただし、光学系の測定器なので、機差はもちろん振動に弱いなどのデメリットがあります。最終的な品質保証に用いるヘーズメーターは、特に取り扱いに注意が必要です。
また、品質管理のために工程に導入する際には、機差補正はもちろん製造装置から離れた位置に設置して測定者をライセンス制にするなど、品質管理機器としての機能を十分に果たすように注意しましょう。
(2)ヘーズの測定タイミングを明確にする
ヘーズメーターは、透明フィルム・ガラスなどの生産工程管理には特に有効です。工程管理の面ではインライン測定が理想ですが、多品種製造の場合は、測定対象物のヘイズ値によっては管理が困難な場合もあります。そのため、少量多品種の生産ラインなどではオフライン測定が前提となり、ヘーズの測定タイミングが歩留まりに影響します。
特に、透明フィルムなどの連続生産品の場合は、工程内の条件変更やトラブル等の中で特にヘーズに影響を与えるものを考慮して、測定するタイミングを事前に決めておくことが重要です。
5.ヘーズメーターのおすすめメーカと取扱い製品
次に、ヘーズメーターのおすすめメーカ3社と、それぞれの取扱い製品の特徴をご紹介します。
(1)日本電色工業株式会社
【特徴】
・日本国産初の測色色差計を開発した、色と光のパイオニア企業
・営業から製造、アフターフォローまでが一体化したサービス体制
・色彩管理のスペシャリストとして、さまざまな光学測定器を開発・販売
日本電色工業株式会社では、2種類のヘーズメーターに加えて、ワイドレンジ高速検出などのオプション検出器やシステムパッケージを取り扱っています。ここでは、ヘーズメーターを2シリーズ紹介します。
①ヘーズメーターNDH8000
「JIS、ASTM、ISO」規格の各種プラスチック製品試験方法に準拠したヘーズメーターです。「NDH8000」はA4サイズまでの試料測定が可能で、これ以外にも開放型でA4サイズよりも大きい試料の測定ができる「NDH7000SPⅡ」という装置もあります。
②分光ヘーズメーターSH700
波長範囲380nm〜780nmの光を5nm間隔で出力できる、分光型のヘーズメーター。全光線透過率や拡散透過率、ヘーズだけでなく、色彩値や分光データなどの測定も可能です。
【所在地】
〒112-0011
東京都文京区千石4-45-17
TEL.03-3946-4392
FAX.03-3946-1690
https://nippondenshoku.co.jp/
(2)スガ試験機株式会社
【特徴】
・2020年で創業100周年の各種試験機に特化したメーカ
・環境負荷試験に特に強く日本発の国際基準の試験規格作りに貢献
・ヘーズメーターも含めた色彩測定機器などの生産・販売事業を展開
スガ試験機株式会社では、測定者の経験やスキルに左右されないための全自動型ヘーズメーターや、卓上タイプの小型装置など、実使用を考え抜いたシリーズ展開を行っています。
①ヘーズメーターHZ-V3
測定する試料にあわせて、縦置きと横置きどちらでも測定可能なヘーズメーター。スガ試験機独自技術のTMダブルビーム方式により、長時間安定して光学測定が可能。
②ヘーズメーターHZ-L
透明フィルムの製膜工程や透明フィルムへの印刷加工など、連続でフィルムを搬送する生産ラインでインラインでのヘーズ連続測定が可能な測定器システムです。
【所在地】
〒160-0022
東京都新宿区新宿5-4-14
TEL. 03-3354-5241
FAX. 03-3354-5275
https://www.sugatest.co.jp/
(3)株式会社村上色彩技術研究所
【特徴】
・昭和31年11月に日本電子測器株式会社から分離独立
・事業の三本柱として、色と光沢をはじめとする「カラー・アピアランス」を掲げる
・光学及び電気を応用した計測器や色票類の製造販売を実施
①ヘーズメーター HM-150N
引用:株式会社村上色彩技術研究所・ヘーズメーター HM-150N
光源の偏光特性を解消した、測定誤差の少ないヘイズメーター。従来の光学測定規格だけでなく、「新規格ISO 13468、ISO 14782、JIS K 7361、JIS K 7136」にも対応しています。
②ヘーズ・透過率・反射率計 HR-100
引用:株式会社村上色彩技術研究所・ヘーズ・透過率・反射率計 HR-100
シングルビームタイプの全光線透過率測定用ヘーズメーター。補償開口が設けられているため、反射率を補正した透過率だけでなく、金属面の全反射率や拡散反射率測定も可能です。
【所在地】
〒104-0054
東京都中央区勝どき3丁目11番3号
TEL. 03-3532-3011
FAX. 03-3532-2056
https://www.mcrl.co.jp/
6.ヘーズメーター導入に関するご相談はFAプロダクツへ
ヘーズメーターは、透明物質のヘーズや透過率などの光学特性を測定できます。透明度が高いガラスや機能性樹脂、フィルムなどの製造メーカーでは必須とも言える測定器であり、最新の品質規格に対応したものを導入する必要があります。
ヘーズメーターは測定する目的に応じた機種選択が必要なのはもちろん、オプションやアクセサリーを使用することで多角的な光学測定もできます。インラインタイプの測定器もあるため、自社の品質保証や品質管理によって効果的なヘーズメーターの選定に迷うこともあるでしょう。
FAプロダクツでは、ヘーズメーターの導入やFA化による生産性の向上に関してアドバイスを行っているので、お気軽にご連絡ください。
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