産業用カメラとは?選び方や導入メリットを解説
産業用カメラは、FAなどの分野で画像処理による検査に対応したカメラを指します。そして撮影の基準位置に設置することで安定した画像出力を行える装置です。利用目的に合わせたレンズマウント、イメージセンサなどの組み合わせで、最適な検査環境を構築することができるのが特徴です。
産業用カメラはさまざまなメーカから販売されており、何を選んだらいいのか悩ましいものです。
この記事では、産業用カメラを選ぶ時のポイントと主要メーカの取り扱い製品を紹介し、産業用カメラで生産性を上げるポイントなどを解説していきます。
もし、産業用カメラのコンサルティングを受けて、
・省力化、省人化してコストダウンしたい
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目次
1.産業用カメラとは
カメラにはいろいろな用途のものがありますが、このコラムでは、工場内の材料入荷から製品出荷までの工程内で使用されるカメラについてご紹介します。
工場内で使用される産業用カメラは、大きく以下のように分けられます。
・モニタリングで使用されるカメラ
・生産ラインで使用されるカメラ
・検査で使用されるカメラ
それぞれについて以下で詳しく解説します。
(1) モニタリングで使用される産業用カメラ
図1は、モニタリングで使用される産業用カメラです。
工場内のモニタリングには、工場内を監視するという役目で使用されますが。図1ではその具体例を2つご紹介しています。
図1の左:顕微鏡のモニタリング
顕微鏡の内容を定期にモニタリングして画面に表示するとともに、データを保存することを目的とします。
図1の右:セキュリティゾーンの監視
カメラは工場内監視用モニタに写されたり、コントローラと接続してセキュリティゾーンへの侵入があった際に警報を鳴らすなどします。
(2) 製作ラインで使用される産業用カメラ
図2は、製作ラインで使用される産業用カメラの例です。
図2ではロボットがワークに部品を取付けるイメージ図ですが、ロボットは、ワークの位置と取付け箇所の座標データが必要です。
それを産業用カメラが写し出し、画像処理装置に画像データを送り、画像処理の後に座標を割り出してロボットに指示します。
図2の右側の赤線で囲んだ部分が、画像処理とデータ解析のソフトの部分です。
(3) 検査で使用される産業用カメラ
図3は、製造工程で行われる検査に産業用カメラを使用している例です。
図3は、製造工程ラインを流れるワークの中間検査を行っているイメージ図です。
容器内の異物の有無や液量が一定レベルであるかなどの検査を産業用カメラで行います。
画像データは画像処理装置に送られデータの整合性や異物チェックを行い、異常があれば警報を発して知らせます。
ここまで図1から図3を使って工場内での産業用カメラの例を紹介しました。
産業用カメラを活かすためにはカメラの解像度とか処理量などのカメラのハード的な面だけではなく、以下の点にも気を配る必要があります。
・照明
・画像処理ソフト
・評価結果を知らせる方式
・それぞれを統一して機能させるコントローラをいかに調整するか
以下に、産業用カメラに関する参考動画をご紹介します。
産業用カメラのご紹介
引用:https://www.youtube.com/watch?v=5qG1wQh8vAo
automatica会場からMD解説「ベッコフの産業用カメラによる超高速リアルタイム画像処理」
引用:https://www.youtube.com/watch?v=yYrN-ofJ7fo
2.産業用カメラの選び方
産業用カメラを選ぶ際は、次に挙げる項目に注目して選びましょう。
(1)撮影対象の形状
まずチェックしておきたいのは撮影対象の形状です。この形状によって、導入する産業用カメラの選択肢に影響が出てきます。
撮影対象の形状による産業用カメラの分類は、大きく分けるとエリアカメラとラインセンサカメラがあります。
エリアカメラは人の視野と同じように面で対象物を捉えることが得意なカメラです。
特徴としては、対象物を静止させて撮影することができるので基準位置から大きくズレる要素を少なくできます。しかしカメラを複数台用意して撮影しなければならない場合は、視野割り当てといった繁雑な調整作業が必要になります。
ラインセンサカメラはエリアカメラでは難しい円筒形状や長物を捉えるのが得意なカメラです。特徴としては、対象物を動かしながらライン単位で撮影するのでカメラ1台で検査をまかなうこともできます。しかし対象物を動かさなければいけないため、回転機構といった装置が必要となり検査装置が高額になります。
撮影対象の形状によって適した産業用カメラが変わりるため、よく確認する必要があります。
(2)求められる画像の条件
次にチェックしておきたいのは求められる画像の条件です。
産業用カメラで得られた画像から適切な検査結果を導出できる必要があります。
そのために求められる画像の条件は主に次の3つです。
1.色情報
色情報は、画像処理の必要条件に色が含まれているかがポイントになります。もし必要なければモノクロタイプのものが選択肢にあがります。
2.解像度
解像度は、検出対象の大きさがポイントになります。エッジ検出のために精緻な画像が必要であれば、高い解像度のものが選択肢にあがります。
3.取り込み速度
取り込み速度は、撮影対象の送り速度がポイントになります。移動している撮影対象の全体を画像に収めるには、高い取り込み速度のものが選択肢にあがります。
(3)インターフェース
最後にチェックしておきたいのは撮影した画像・動画を取り込むためのインターフェースです。
インターフェースによって、導入する産業用カメラの選択肢や選択したカメラを組み込んだ装置構成に影響が出ます。産業用カメラのインターフェースは、代表格としてCameraLink、USB、Gigabit Ethernetの規格があります。
必要な画像情報量によって最大転送速度がポイントになりますが、もう一つ注目しておきたいのは最大ケーブル長です。代表格としてあげたCameraLinkは最大10m、USBは最大3m(USB3.0)、Gigabit Ethernetは100mです。
例えば安価でPCへ接続しやすいUSBは、端子を延長することで容易にケーブル長を伸ばすことができますが、反面、ノイズが混ざりやすく安定した出力を得ることが難しくなります。
このように、インターフェースによって費用対効果のメリット/デメリットがありますので確認しておく必要があります。
3.産業用カメラを導入するメリット・デメリット
産業用カメラは、メリットだけでなくデメリットも併せて押さえておきましょう。
(1)メリット
①製品の信頼性を上げることができる
産業用カメラは、撮影の基準位置に設置することで安定した画像出力を行える装置です。そのため、人による見落としをなくし、精緻な画像を取ってる適切な画像処理をすることで、人の目でも難しい検出が可能になります。
対象物に最適な産業用カメラを選ぶことで、製品の品質を保証できるようになり、信頼性を上げることができます。
②生産性を向上させられる
産業用カメラの周辺機器は、撮像範囲や倍率を決めるレンズ、そのレンズを取り付けるレンズマウントがあり、様々なメーカから販売されています。他にも特殊な撮影を可能とするバンドパスフィルタを組み合わせたりと、利用目的を実現するための選択肢が非常に豊富です。これら周辺機器の中から求められる条件に合った適切な撮影環境を構築できるため、より生産性を上げることができます。
(2)デメリット(産業用カメラを使う上での必須条件)
①初期費用がかかる
産業用カメラは、制御用PCやケーブル、レンズなどといった周辺機器が別途必要です。さらにカメラを活かす照明、画像を処理するソフトなど、これら一式を揃えるとなるとどうしても初期費用が多くかかります。
②動作検証の期間が必要になる
利用目的に合った産業用カメラ一式を揃えたとしても、いきなり現場に導入することはできません。導入するためには、安定稼働を妨げる要因が発生しないかを確認する、動作検証が必要になります。
例えば、高い精度で欠陥などの検出をできたとしても、可動率が低いのであれば原因を対策しない限り導入は見送られることになります。こうした事態を避けるためにも、動作検証の期間が必要になります。
4.産業用カメラを用いて生産性を上げるポイント
産業用カメラは画像処理による製品の検査が主な使われ方ですが、視点を変えれば画像から情報を読み取って品質情報へデータ整形しているといえます。応用すると識別情報となるQRコードをカメラで読み取らせて、製品と装置情報を紐づけることも可能になります。
このように作業プロセスといった管理方法を見直しをすることで、生産性を上げることも可能です。
5.産業用カメラ導入に関するご相談はFAプロダクツへ
産業用カメラは、FAなどの分野で画像処理による検査に対応したカメラを指し、撮影の基準位置に設置することで安定した画像出力を行える装置です。しかし撮影対象に適した組み合わせのものを選択しなければ、安定した画像出力を得ることができません。
もし、産業用カメラの導入にお困りでしたら、ぜひFAプロダクツまでお問い合わせください。
FAプロダクツは年間200台もの実績がある関東最大級のロボットシステムインテグレーターです。一貫生産体制をとっており、設計から製造までをワンストップで対応。費用・時間にムダなく最適化を行うことができます。
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