インサーキットテスタとは?選び方や活用ポイント、主要製品5選
インサーキットテスタは、電気部品と基板の部品や接続を検査する検査装置です。
動作電流よりも小さい電流で検査を行うので、部品や基板を破損させることなく、不良位置の特定や定数間違いを検出できます。外観検査では見ることのできない電気的な不良を発見し、品質保証の生産性を上げられるのが特徴です。
しかし、インサーキットテスタはさまざまなメーカから販売されており、どれを選んだらいいのか悩ましいものです。そこでこの記事では、インサーキットテスタを選ぶ時のポイントと主要メーカの取り扱い製品を紹介し、インサーキットテスタで生産性を上げるポイントについて解説していきます。
もし、インサーキットテスタのコンサルティングを受けて、
- 省力化、省人化してコストダウンしたい
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目次
1.インサーキットテスタとは
(1) インサーキットテスタの基本原理
図1では、インサーキットテスタの基本原理を紹介します。
図1の左側の図は、テスタ(回路計)で抵抗を測定している様子です。
テスタは、導通、電流、抵抗値など、電子基板の回路の健全性のチェックをしますが、測定箇所は1点ごとですので、時間がかかります。
インサーキットテスタを使えば、一度に何十箇所もの測定を行えます。いわば、テスタを数十台用意して測定するとも言えます。
インサーキットテスタでは抵抗単体の値を調べるときはテスタと同じですが、図1のように並列回路の抵抗値を測定するには誤差が出ます。なぜなら、抵抗3に電流が流れているからです。
それを改善したのが、ガーディング機能です。ガーディングによって、図1のG側に接続されることで、抵抗3の両側の電位差がゼロになります。ということは、抵抗3側の電流が流れないため、検査する抵抗を精密に検査できます。
その他にも、位相分離機能のように、抵抗やコイルなどが接続した回路に交流を流すことで、それぞれの位相差が現れ、そうれぞれの素子を単独で検査できます。
(2) インサーキットテスタのジグ方式
図2は、インサーキットテスタのジグ方式で、検査回路基板を検査するイメージを紹介しています。
図2では、検査用プローブは検査箇所の数だけ用意され、プレス・ジグを押し付けることで、プローブが検査箇所に接触します。
一方、基板の検査対象箇所は、検査用ジグと配線でスキャナー部と繋がっています。
今、図2のAとBの間を測定するために、スキャナー部のりAとBが測定信号部とつながるようにリレーが作動すれば、AとB間に電圧・電流が掛かり、AとB間の測定ができます。このように、リレーが次々と切り替わることで、検査用プローブが目標の検査箇所の検査を完了します。
検査結果はすぐに計測部に送られて、計算され、基板の健全性の確認ができることになります。
しかし、インサーキットテスタのジグ方式は、同じ基板の検査には向いていますが、基板が変わると、そのままでは使えないため、ジグ部やスキャナー部の変更が必要です。そのため、この方式は、少量多品種の基板検査には向いていません。
(3) インサーキットテスタ・フライングプローブ式
図3は、インサーキットテスタのジグ方式の弱点をカバーする「フライングプローブ式」のイメージ図です。
図3では、検査用ブロー部は、移動台上に据付けられ、計測制御部からの指令で、基板の検査位置に移動し、検査部と接触します。
スキャナー部では、検査する箇所のリレーが開き、プローブ台座に電源・電流が付加され、それらはプローブを通して検査対象箇所に負荷され、検査が実施されます。
この方式では、検査基板の構成が変わっても、制御部の記憶回路を変えれば良いだけで、検査がすぐに開始できます。
インサーキットテスタのジグ方式と比べれば、検査時間は長くなりますが、少量多品種の基板検査には最適です。
【関連動画】インサーキットテスタについては以下の動画でも詳しく解説しています。
タカヤ株式会社】フライングプローブテスタ インラインモデルのご紹介
引用:https://www.youtube.com/watch?v=nN_GPojuBHs
2.インサーキットテスタの選び方
インサーキットテスタを選ぶ際は、次に挙げる項目に注目して選びましょう。
(1)検査基板の部品密度
まずチェックしておきたいのは検査対象となる基板の部品密度です。この部品密度によって、インサーキットテスタの導入可否に影響が出てきます。
インサーキットテスタの特性上、物理的にプローブピンを接触させて測定しなければなりません。近年では技術の進歩で基板の小型化・高密度化が進んでいて、プローブピンを接触できる範囲だけではテストカバレッジが十分ではなく、品質の保証が難しくなっています。このような特徴から、残念ながらインサーキットテスタを導入できない場合もありますので確認しておく必要があります。
(2)検査する基板の生産量
次にチェックしておきたいのは検査対象となる基板の生産量です。大量生産の基板と少量多品種の基板とでは、コストパフォーマンスの観点から適切なインサーキットテスタの検査方式が決まってきます。
インサーキットテスタには、プローブピンを治具に固定して測定する検査治具方式と、ロボットアームに取り付けられたプローブピンを測定位置へ移動させるフライングプローブ方式の2種類の検査方式があります。
- 検査治具方式
あらかじめ測定位置にプローブピンを配置・固定した検査治具を製作します。治具の製作費用、固定するプローブピンの配置間隔は実用最小で1.27mm程度といった制約はありますが、検査治具を利用できる基板であれば高速に検査ができます。このような特徴から、検査治具方式は大量生産の基板向けの検査方式になります。
- フライングプローブ方式
ロボットアームを指定した位置まで移動させて検査するプログラムを作成します。治具を製作しないため低コストで検査ができますが、数本のプローブピンで測定を行うために単位時間あたりの検査速度が遅くなってしまう傾向にあります。このような特徴から、検査する部品点数が少ない基板や少量生産の基板向けの検査方式になります。
3.インサーキットテスタの導入メリット・デメリット
インサーキットテスタを利用する際は、導入することで得られるメリットと生じるデメリットについてもおさえておくことが重要です。
(1)メリット
① 信頼性の高い製品を製作することで、注文先からの信頼度が得られる
インサーキットテスタは、動作電流よりも小さい電流で検査を行うので、部品や基板を破損させることなく、不良位置の特定や定数間違いを検出できる装置です。
導入することで、電気部品と基板の接続信頼性を保ちになるため、信頼できる製品として納品でき、注文先からの信用を得やすくなります。
②生産力がアップする
インサーキットテスタは、短い時間で検査ができます。各メーカの装置性能によってバラつきはありますが、参考値として検査治具方式では約20ms/step、フライングプローブ方式では約40ms/stepの検査速度があります。検査時間が短くなることで生産力がアップし、売上向上が期待できます。
(2)デメリット
インサーキットテスタは、テストの特性上プローブピンを接触させられないと検査できません。BGAのようなパッケージングされたデバイスは、入出力端子が基板の裏面に密集しているため、インサーキットテスタで検査ができないことがほとんどです。
もしインサーキットテスタ導入後に、それの検査が必要になった場合、コストがかかりますが、「バウンダリスキャンテスト」や「ROM書き込みシステム」の機能をあわせ持った統合タイプを取り入れる必要があります。
4.インサーキットテスタを用いて生産性を上げるポイント
インサーキットテスタで検査を行ったら、その結果のデータを収集・解析して、検査する基盤の品質傾向を管理します。解析結果をすばやく製造現場にフィードバックして、改善点があればすぐに対応することで、生産性が維持できます。
メーカによっては専用のデータ解析ソフトの提供も行っています。各メーカによって収集・解析できるデータの種類やソフト自体の使用感などが異なるので、気になる方は一度問い合わせてみることです。
5.インサーキットテスタの主要メーカと製品
ここでは、インサーキットテスタを取り扱っている主要メーカと製品をご紹介します。
(1)日置電機株式会社
日置電機株式会社は、電気計測器の開発・生産・販売・アフターサービスを手がけている企業です。
主な商品としてインサーキットテスタFA1220シリーズ、フライングプローブテスタFA1817があり、高精度な基板検査を可能にしているのが特徴です。
①FA1220シリーズ
(引用:日置電機株式会社 | 実装基板検査 | インサーキットテスタ FA1220シリーズ)
FA1220シリーズには、FA1220・FA1220-02・FA1220-11の3種類があります。
FA1220は多チャンネルを持つ省スペースのモジュールタイプの検査装置です。自動機への組み込みが可能なので投資コストを抑えられる特徴があります。
FA1220-02は省スペースのバッチタイプの検査装置です。ワンタッチでプレスダウンを行うので安全面に配慮されている構成になっています。
FA1220-11は省スペースのインラインタイプの検査装置です。スイッチバック機能を備えているため左右逆向きの生産ラインにも対応しており、設置レイアウトの自由度が高いところが特徴です。
②FA1817
(引用:日置電機株式会社 | 実装基板検査 | フライングプローブテスタ FA1817)
FA1817はオープンビアな微小抵抗値を高速で正確に検出が可能な検査装置です。
専用開発した超絶縁抵抗測定ボード、新開発した統計処理ソフトを兼ね備えており、不良の解析結果を設計工程や製造工程へフィードバックできる特徴があります。
引用:https://www.youtube.com/watch?v=yUPla7QqeGk
【所在地】
▼本社
長野県上田市小泉81
Tel:0268-28-0555
Fax : 0268-28-0559
▼国内販売拠点
<首都圏支店>
東京都千代田区外神田1-18-13 秋葉原ダイビル13F
Tel:03-5256-2731
Fax : 03-5256-2732
(2)タカヤ株式会社
タカヤ株式会社は、電子機器関連製品の企画・開発・調達・製造をはじめとしたインサーキットテスタの製造・販売を手がけている企業です。
主な商品としてインサーキットテスタAPT-3050シリーズ、フライングプローブテスタAPT-1340Jがあり、高速・広範囲測定を実現した基板検査装置を提供しているのが特徴です。
①APT-3050N
(引用:タカヤ株式会社 | 基板検査装置 | インサーキットテスタ APT-3050シリーズ)
APT-3050Nは、高速かつ広範囲の測定を実現した、APT-3050シリーズの中でもスタンダードなタイプの検査装置です。
②APT-1340J
(引用:タカヤ株式会社 | 基板検査装置 | フライングプローブテスタ APT-1340J)
APT-1340Jはフレキシビリティに富んだ高精度・広範囲計測システムを搭載し、4つのヘッドと6つのフライングプローブ機構を持つ検査装置です。多種多様なSMTボードを高精度に短時間で検査できる特徴があります。
【所在地】
▼本社
岡山県井原市井原町661-1
Tel:0866-62-2015
Fax : 0866-62-2017
https://www.takaya.co.jp
(3)オカノ電機株式会社
オカノ電機株式会社は、半導体・電子部品関連などのFA装置の開発・設計・製造を手がけている企業です。
主な商品としてインサーキットテスタZPC-IT9K/FT9Kシリーズがあり、セル生産方式に対応した基板検査装置を提供しているのが特徴です。
①ZPC-FT9K
(引用:オカノ電機株式会社 | インサーキットテスター | ZPC-IT9K/FT9Kシリーズ)
ZPC-FT9Kは、オプションでファンクション機能を追加できるスタンダードタイプの検査装置です。
【所在地】
▼本社
東京都東久留米市金山町2-8-18
Tel:042-471-3316
Fax : 042-4474-1675
▼名古屋営業所
愛知県名古屋市名東区本郷3-5 グロウバルビル4-A
Tel:052-776-7659(代)
Fax : 052-776-6419(代)
https://okano-denki.co.jp/index.html
6.インサーキットテスタ導入に関するご相談はFAプロダクツへ
インサーキットテスタは外観検査では見ることのできない電気的な不良を発見し、電気部品と基板の接続信頼性を保証する検査装置ですが、検査する基板に適したものを選ばないといけません。
もし、インサーキットテスタの導入にお困りでしたら、ぜひFAプロダクツまでお問い合わせください。数多くの装置の導入サポートを行ってきたその経験から、最適なソリューションを提供いたします。
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